土葬の墓じまいはできる?骨は火葬して納める・費用と骨が出ない時

土葬の墓じまいはできる?骨は火葬して納める・費用と骨が出ない時
目次

祖父母や曽祖父母の時代に、土葬で葬られた人が眠る墓があります。その墓もしまえるのか。普通の墓じまいと何が違い、何が上乗せになるのか。掘っても骨が出てこなかったら、どうなるのか。迷う方は少なくありません。

この記事では、土葬の骨がある墓をしまうときに、手続きと費用で変わる所を整理します。厚生労働省(当時の厚生省)の1957年の通知と衛生行政報告例、東京都の条例、八王子市・長野市・大津市などの案内を出典にしました。土葬の墓をしまった人の口コミも紹介します。

まず結論から

  • 土葬の墓もしまえます。移し先で最多の合祀・合葬墓は、長野市・八戸市・呉市とも火葬した骨しか受けないので、掘り出した骨は火葬してから納めます。鎌倉新書の2026年の調査では、移し先の43.2%が合祀・合葬墓でした。
  • 役所の手続きは、普通の墓じまいと同じ改葬の許可です。八王子市は、土葬の骨は申請書を火葬した骨と分け、出た許可証で火葬できるとしています。
  • 八王子市は、手続きの前に今の墓の管理者へ、遺骨が何体あるか、火葬骨か土葬骨かを必ず確かめるよう求めています。
  • 厚生省の1957年の通知は、遺体や火葬した骨がすでに無ければ、改葬に当たらないとしています。三豊市は、骨が残っているかもしれないなら、掘る前に許可を受けるよう求めています。
  • 公営の斎場には、改葬で移す骨(改葬遺骨)の火葬料を決めている所があります。浦安市斎場は、市内5,000円・市外35,000円です。土葬の分も含めて、複数の石材店に見積もりを頼みます。

土葬の墓もしまえるのか。普通の墓じまいと何が違うのか

法律(墓地、埋葬等に関する法律)は、土葬した遺体をほかの墓へ移すことも「改葬」と呼びます。法律の「埋葬」は、遺体を土の中に葬ること、つまり土葬のことです。

高崎市は、土葬は法律では禁止されていないが、今は条例や霊園の規約で許可されていないことがほとんどだと書いています。東京都の条例は、都が墓地の許可を出す町村の区域で、知事が土葬禁止地域を指定できると定めています。その地域の墓地は、知事が支障がないと認めて許可した場合を除き、火葬した骨(焼骨)のほかは埋めさせてはならないとしています。父の出身地に残った墓をしまった人が、墓地に近い石材店へ電話したときのやりとりです。

名古屋で生まれ育ち、父の出身地の愛知県新城市に残った先祖代々の墓をしまった、男3人兄弟の次男(個人ブログ・note)

すると、今忙しいから、来月暇になったら、見に行って見積もり出してあげる。 その地域なら、土葬されていた時期があるかもしれないけど、土葬されているのある? す、すいません、自分はその土地に住んだこともないし、親からもそういう話は聞いたことがありません。

父が亡くなって20年ほどたち、家は売却して、墓だけが残っていました。書き手は地図で墓地に近い石材店を探し、電話をかけていました。長野市は、移す先が土葬を受けないなら火葬が要るとして、事前に移す先へ確かめるよう案内しています。

出典: 墓じまいからの永代供養98万円也(note)(台帳: V0121)

鎌倉新書は2026年1月、お墓の情報サイト「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人のうち、改葬・墓じまいを検討・実施した人に調査をしました。遺骨の移し先は、永代供養の合祀・合葬墓が43.2%で最多です。行き先ごとの割合は、墓じまいで骨はどうなるかの記事にまとめました。移す先が土葬の骨をどう扱うかを、公営の7か所の案内で並べます。

移す先土葬の骨の扱い
長野市の霊園の合葬式墓地火葬していない遺骨(土葬骨)は納められません。火葬すれば改葬できます。
八戸市の合葬墓納められるのは焼骨だけです。土葬の場合の遺骨は、納める日までに火葬して持参します。
呉市の合葬式墓地火葬していない遺骨(土葬の場合など)は納められません。
神戸市の鵯越合葬墓土葬の遺骨も申し込めます。納骨までに、申込者の費用で火葬します。
松戸市営の白井聖地公園納められるのは焼骨だけです。土葬骨は焼骨にして持参します。
福岡市立霊園土葬骨の場合は、焼骨にして納めます。
姫路市の名古山霊苑の納骨堂納骨できるのは焼骨だけで、土葬骨や土は納骨できません。

移す先に、土葬の骨を受け入れるかを先に聞きます。市ごとの案内は、長野市・八戸市・呉市・神戸市・福岡市・姫路市の記事と、松戸市を含む千葉県の記事にまとめました。

役所の手続きは、八王子市の案内では火葬した骨と同じです。土葬の骨と火葬した骨が両方あれば、申請書を分けます。移す先が八王子市内なら一度火葬が要ります。市外なら、火葬が要るかを移す先の管理者か市区町村に確かめます。

八王子市は、出た改葬許可証で土葬の骨を火葬できるとしています。長野市も、市の斎場なら改葬許可証を見せれば火葬できると案内しています。法律は、火葬場の管理者は改葬許可証などを受け取ってから火葬し、墓地の管理者は受け取ってから納めさせると定めています。相模原市は、土葬されていた遺骨を改めて火葬するなら、火葬炉使用承認申請も要るとしています。改葬の意味は墓じまいと改葬の違いの記事に、市ごとの手続きは八王子市・相模原市の記事にまとめました。

うちの墓に、土葬の骨はあるのか。何体あるのか

いまの土葬は、ごくわずかです。2024年度の衛生行政報告例では、全国の遺体の埋葬(土葬)は108件、火葬は1,658,585件でした。新城市の書き手のように、家の墓が土葬かどうかを聞いたことがない人もいます。地元に帰って、家族や先祖の話を聞いた人の記録です。

父を見送り、父の散骨と墓じまい、実家の解体を終えた当事者(個人ブログ・note)

爺ちゃんはそれまで地域では土葬だった風習をぶち壊し、自分は絶対に火葬にしろという遺言を遺して親父に自分を火葬にさせたらしい。この辺の話は本当にややこしくて、まわりとめちゃくちゃ揉めて大変だったと親父はよく言っていた。

実家の片付けや親戚への報告で地元へ帰ったとき、懐かしい人に会い、家族や先祖の話を聞いたといいます。八王子市は、手続きの前に今の墓の管理者へ連絡し、遺骨が何体あるか、火葬骨か土葬骨かを必ず確かめるよう求めています。

出典: 実家隣人(note)(台帳: V0112)

火葬骨か土葬骨かは、今の墓の管理者に確かめます。新居浜市は、墓じまいを決めたら納骨室を開けて、遺骨の数と状態(土葬の有無など)を確かめるよう求めています。確かめる先の分け方は遺骨の数の記事に、新居浜市の手続きは愛媛県の記事にまとめました。

土葬の骨は、改葬許可の申請書の書き方も変わります。

市土葬の骨の書き方
豊橋市土葬なら、「火葬の場所」「火葬の年月日」の欄に、埋葬の場所と年月日を書きます。
名古屋市埋葬(土葬)なら、火葬場を書く欄に、いま埋葬されている墓地の所在地と名称を書きます。
倉敷市土葬なら、埋葬した日や場所を書きます。様式には一体用と複数体用があります。
長野市亡くなった人の本籍・住所・死亡年月日などが分からなければ、「不明」か「不詳」と書きます。

市ごとの手続きは、豊橋市・名古屋市・倉敷市の記事にまとめました。申請書のほかの欄は墓じまいの書類の記事、墓を開けたときの状態ごとの案内は骨はどうなるかの記事で確かめられます。

掘っても骨が出てこなかったら、どうなるのか

川口市は、土葬から年数がたち、遺体(遺骨)がもう土の中に無い場合について案内しています。祖父の土葬から約70年たった墓をしまった人の記録です。

菩提寺の境内にある実家の墓をしまい、祖父・祖母・父・兄と母の遺骨の永代供養を寺に頼んだ当事者(個人ブログ・note)

業者にしてみれば、遺骨が見つからなかったためにかえって区画全体を掘り下げなければならなかったわけだ。しかもご住職からは、遺骨を掘りあてる作業に際しては、損傷を避けて手掘りのみでおこなうよう指示されていた。慣れているとはいえ、たいへんな作業だったのではないだろうか?

「お支払いは当初のお見積りの額でよろしいでしょうか?」とメールで恐る恐る問い合わせると「火葬及びそれに付随する役所の手続きがなかった分○○円差し引かせていただきます」との返信。 重ね重ね申し訳なく、心のなかで手を合わせた。

祖父が葬られた昭和30年前後は土葬が一般に行われていたと、住職から聞いていました。業者の返事では、区画全域を2メートル掘り下げても遺骨は出ませんでした。厚生省の1957年の通知は、遺体や火葬した骨がすでに無ければ、改葬に当たらないとしています。

出典: 墓じまいの話(note)(台帳: V0021)

骨が土に還っていたときの扱いを、国と市の案内で並べます。戦没者の墓じまいの記事でも、掘って骨が出なかった家の記録を紹介しています。

国・市骨が土に還っていたら
厚生省の1957年の通知遺体や焼骨がすでに無ければ、改葬に当たりません。
大津市骨が土に還って現物として無く、骨の移動も無いなら、改葬許可は要りません。土は改葬許可の対象ではなく、土を移すなら移す先の管理者に相談します。
水戸市土葬して土にかえったなど、遺骨が無いなら、改葬の手続きは要りません。
川口市年数がたって遺体(遺骨)が土の中に無く、土や遺品だけを移すなら、改葬許可の手続きは要りません。
宇治市骨が土に還っていれば、改葬の手続きは要りません。還っているかどうかは移す先の墓地が判断するので、移す先に確かめます。
三豊市改葬の許可は、墓を掘り返す前に要ります。骨が残っている可能性があるなら、事前に許可を受けます。

三豊市の案内のとおり、骨が残っているかもしれないなら、掘る前に許可を受けておきます。市ごとの案内は、大津市・水戸市・川口市の記事と、宇治市を含む京都府、三豊市を含む香川県の記事にまとめました。

土葬の分は、何が上乗せになるのか。どう頼むのか

まず、掘る深さです。東京都の条例は、都が墓地の許可を出す町村の区域で、土葬の墓穴の深さを2メートル以上と定めています。大阪市は2022年の霊園整備計画で、北霊園の縁故者のいない墓(無縁墳墓)の改葬にふれています。一部の墓は土葬と想定され、骨を納めた墓より深く掘る必要が生じ、経費が増える懸念があるといいます。

次に、骨を洗うことと火葬です。長野市は、事前に洗骨(骨を洗うこと)が要る場合が多いとしています。移す先でそのまま土葬するなら移す先に、火葬するなら火葬場に確かめるよう案内しています。公営の斎場には、改葬で移す骨(改葬遺骨)の火葬料を、大人の遺体と別に決めている所があります。

公営の斎場2か所の火葬料を、改葬遺骨と大人の遺体で、市内と市外に分けて並べた縦棒グラフ。単位は円。浦安市斎場は、改葬遺骨1件が市内5,000円・市外35,000円、大人(16歳以上)1体が市内10,000円・市外70,000円。福知山市斎場は、改葬遺骨1体が市内5,000円・市外15,000円、大人(12歳以上)1体が市内20,000円・市外60,000円
図1: 公営の斎場の火葬料(改葬遺骨と大人の遺体)。出典: 浦安市斎場 利用のご案内/福知山市斎場条例 別表

福知山市の改葬遺骨の「市内」は、遺骨が埋葬されている墓地が市内にある場合です。北霊園を含む大阪市の市設霊園の墓じまいは、大阪市の記事にまとめました。

北九州市は、市営霊園の工事について、複数の業者からの見積り取得を勧めています。日本石材産業協会は2023年度、会員の石材店に見積もりを積算する単位を尋ねました(184件の回答)。単位は、面積・体積・重量・一式・墓の数・人件費に分かれていました。土葬の分も含めて、複数の石材店に見積もりを頼みます。項目をそろえて比べます。3つめの節の書き手も、土葬の分を含めた料金を、見積もりを頼んでいた3社に計算し直してもらっていました。比べ方は墓じまい費用の記事、頼む相手は墓じまい業者の記事にまとめました。

土葬の骨がある墓をしまう順番を、図にまとめました。役所の手続きの順番は、八王子市の案内によります。

土葬の骨がある墓をしまう順番を6段で示した図。1 複数の石材店に見積もりを頼む(土葬の分も入れてもらう)。2 今の墓の管理者に確かめる(遺骨が何体あるか、火葬骨か土葬骨か)。3 移す先に聞く(土葬の骨を受けるか、洗骨が要るか)。4 改葬許可を申請する(土葬の骨は申請書を分ける。掘る前に申請する)。5 掘り出して火葬する(改葬許可証で火葬できる)。6 許可証を出して移す先に納める(骨が出なければ改葬に当たらない)
図2: 土葬の骨がある墓をしまう順番。出典: 北九州市/八王子市/長野市/三豊市/墓地、埋葬等に関する法律 第14条/厚生省 1957年の通知

まとめ

土葬の墓もしまえます。移し先で最多の合祀・合葬墓は、長野市・八戸市・呉市とも火葬した骨しか受けないので、掘り出した骨は火葬してから納めます。役所の手続きは改葬の許可で、八王子市は土葬の骨の申請書を分けるよう求めています。

手続きの前に、何体あるか、火葬骨か土葬骨かを今の墓の管理者に確かめます。骨が土に還っていれば改葬に当たりませんが、残っているかもしれないなら掘る前に許可を受けます。土葬の分も含めて、見積もりは複数の石材店に頼みます。

取り出した骨の骨壺や乾かし方は先祖の遺骨の記事、家に置くなら遺骨を自宅に置く記事にまとめました。散骨するときの扱いは骨はどうなるかの記事、墓じまいのあとに手を合わせる場所は墓じまいとはの記事で確かめてください。

参考文献

  1. 日本石材産業協会 (2023)「お墓じまいに関する業界内意識調査」結果(2023年度お墓じまいアンケート). 回答者は会員の石材店.
  2. 鎌倉新書 (2026)【第4回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)全文版. 同社サイト「いいお墓」経由で資料請求・霊園見学をした人のうち、改葬・墓じまいを検討・実施した人へのインターネット調査(2026年1月・有効回答733件).
  3. 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第2条・第14条. e-Gov 法令検索.
  4. 東京都「墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例」(昭和59年東京都条例第125号)第1条・第13条・第14条. 東京都例規集.
  5. 厚生労働省 (2025)「衛生行政報告例 令和6年度」第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数(全国の行). e-Stat.
  6. 北九州市「諸手続きについて(市営霊園)」.
  7. 松戸市「松戸市営白井聖地公園 墓地の使い方(2025年度版)」.
  8. 新居浜市(環境政策課)「墓じまいについて」(2025年4月1日更新).
  9. 相模原市「よくある質問 改葬許可の手続き方法について知りたい。」(2025年11月18日更新).
  10. 宇治市「改葬の手続きについて」.
  11. 八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」改葬手続きの一般的な流れ・土葬骨を改葬する場合.
  12. 浦安市「浦安市斎場 ~利用のご案内~【令和8年7月一部改訂版】(葬儀社用)」(2026). 火葬使用料.
  13. 福知山市「福知山市斎場条例」(平成8年条例第30号)別表. 福知山市例規集.
  14. 大津市「墓じまい、改葬許可申請について」(2026年4月20日更新).
  15. 川口市「改葬許可」(2025年12月4日更新).
  16. 厚生省環境衛生部環境衛生課長回答 (1957)「墓地、埋葬等に関する法律上の疑義について」(昭和32年3月28日 衛環第23号). 厚生労働省 法令等データベース.
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  18. 水戸市「墓地等から遺骨を移す(改葬許可申請)」(2023年11月1日更新).
  19. 一般社団法人長野市開発公社「長野市霊園合葬式墓地使用の手引」.
  20. 長野市「改葬許可申請」(2026年9月1日更新).
  21. 高崎市「遺骨の改葬」(市民課・2024年10月30日更新).
  22. 大阪市環境局「大阪市霊園整備計画(将来ビジョン)」(2022年7月).
  23. 姫路市「名古山霊苑納骨堂のご案内」(2026年6月2日更新).
  24. 神戸市「合葬式墓地(鵯越合葬墓)」よくあるご質問.
  25. 呉市「令和8年度呉市合葬式墓地使用者募集案内」(一般公募用).
  26. 福岡市役所 市立霊園窓口「福岡市立霊園 利用の手引(一般墓所)」(令和6年4月改定).
  27. 倉敷市 環境政策部 環境衛生課「改葬」(2025年2月7日更新).
  28. 豊橋市「改葬許可申請書」(様式・PDF). 福祉部福祉政策課.
  29. 名古屋市「改葬許可申請書(記入例)」(PDF). 名古屋市保健所 生活衛生部 環境薬務課.
  30. 三豊市「お墓の移動には改葬許可が必要です」(2024年10月7日更新). 市民環境部 環境衛生課.

当事者の口コミの出典: V0121(note)/V0112(note)/V0021(note)。いずれも本人が公開している記録で、引用は原文のままです。

更新履歴: 2026-10-08 公開