墓じまいトラブルは親族とお寺で起きやすい?話す順番と相談先

墓じまいトラブルは親族とお寺で起きやすい?話す順番と相談先
目次

墓じまいは親族やお寺と揉める、と聞いて、始める前から気が重くなっていないでしょうか。誰と、どんな場面で揉めやすいのかが分かれば、先に打てる手があります。

この記事では、墓じまいの経験者に聞いた調査で、揉めやすい相手と場面を確かめます。国民生活センター、東京都消費生活総合センター、大津市、曹洞宗の案内をもとに、揉めにくい順番と、揉めたときの相談先を整理します。経験者の口コミも添えます。

まず結論から

  • 墓じまいで揉めやすい相手は、親族とお寺です。株式会社フーフーが2026年2月に経験者100人に聞くと、最も大変だった工程(複数回答)は「親族との話し合い・合意形成」の45人が最多でした。次が「お寺への相談(離檀の交渉など)」の28人です。
  • 大きな困りごとなく終える人も多くいます。全国石製品協同組合が2023年12月に経験者41人に聞くと、最も多い答えは「困ったことはない」でした。株式会社フーフーの2026年2月の調査でも、離檀(檀家をやめること)をめぐる困りごとは「とくにない」が100人中58人でした。
  • 揉めごとは、先に話すべき相手を飛ばしたところで起きやすくなります。日本石材産業協会の2023年度の調査では、石材店は受注のときに、墓地の管理者や親族の同意を必ず確かめていました。同意を得ずに進めると、後々トラブルに発展する可能性が高いためです。
  • 進める順番は、見積もり、親族、お寺など墓地の管理者と移す先、書類、納骨と工事です。親族から納骨までは大津市の案内の順です。見積もりの単位(積算の仕方)は店によって違うので、複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて比べます。北九州市も、複数の業者からの見積り取得を勧めています。
  • 揉めたときの相談先は、相手で違います。離檀料で困ったら、消費者ホットライン188などに相談できます。お寺が証明書を出さないときは、墓のある区市町村の窓口です。墓を継ぐ人が決まらないときは、家庭裁判所が定めます。

親族と揉めるのは、どんなときか

墓への考え方は多様化していて、家族の中でも意見の違いが考えられる。東京都消費生活総合センターの情報誌は、そう書いています。

実家近くの墓を、都内の建物の中にある合祀墓(ほかの人の遺骨と一緒に納める墓)へ移した長男は、取りかかってから分かったことを、こう書いています。

神奈川県の実家近くにあった先祖の墓を、都内の建物の中の合祀墓へ移した長男(個人ブログ)

とりかかって重要だと分かったこと。

それは、墓じまいそのものよりも、“墓に関わっている人たち”とどう折り合いをつけるかということでした。

私は長男ですが、姉妹が3人おり、実家の墓がある墓地には、他に親戚の墓もあります。

東京に住む書き手は、遠い墓を子に負わせたくないと考えました。親戚を回ると苦言や反対もあり、納得を得るまで時間と労力がかかったといいます。横浜市も、改葬の手続きの前に、親族内で話し合うことが必要だとしています。

出典: 後悔しない! 墓じまい こうすればうまくいく(ヒロブログ 歳刻を愉しむ)(台帳: V0016)

経験者への調査でも、親族との話し合いは大変な工程の筆頭です。株式会社フーフーは2026年2月6日、墓じまいの経験がある男女100人にインターネットで聞きました。最も大変だった工程(複数回答)は「親族との話し合い・合意形成」の45人が最多で、「お寺への相談」の28人が続きます。

株式会社フーフーが2026年2月6日に、墓じまいの経験がある100人にインターネットで聞いた、最も大変だった工程(複数回答可)の横棒グラフ。親族との話し合い・合意形成が45人で最も多く、お寺への相談(離檀の交渉など)が28人、自治体への書類申請(改葬許可の手続きなど)が14人、遺骨の新しい納骨先探しが7人、石材店の選定・撤去工事の立ち会いが4人、その他が2人
図1: 墓じまいで最も大変だった工程(経験者100人・複数回答可)。出典: 株式会社フーフー「わたしたちの墓じまい」(2026) 墓じまいの流れに関する実態調査

同じ調査の自由回答には、「親族それぞれの考えが違っていて、話し合いに時間がかかった」という答えもありました。東京都の情報誌は、後々のトラブルを避けるため、家族や親族で事前に十分話し合うよう勧めています。

誰に、どの順で切り出すかは反対されたときの記事に、同意の書類が要る範囲は親族の同意の記事にまとめています。費用の分け方で揉めそうなら親戚が包むお金の記事へ。知らされなかった側の話は勝手に墓じまいされたときの記事にあります。

お寺と揉めるのは、どんなときか

お寺とのやり取りを、最も大変だったと答えた調査もあります。墓じまいの手続きを手伝う事業者「墓じまいパートナーズ」は、2026年3月に経験者52人に聞きました。最多は「お寺(住職)とのやり取り」の38.5%で、「手続き・書類」23.1%、「親族との話し合い」17.3%が続きます。

親戚との話は進んだのに、住職とは手間取った人の記録です。

遠方に住み、父を散骨し、実家の墓をしまって家も解体した息子(note)

そのおかげというか、そのせいでというか。親父を散骨する時も、墓じまいをしたときも、実家を解体するときも、我が一族がやらかしてきた数々の行いのおかげで「まあ、お前んとこはな…」という近所や親戚たちからの納得なのか諦めなのかよく分からない感情がはたらき、意外とすんなりと話が進んだ。いや、墓じまいに関してはお寺の住職さんとなんやかんやあってややこしいこともあったけど、まあもうしんどいからそれはいいや。

祖父は火葬を、父は散骨を遺言し、そのたびに周りや寺と揉めてきた家だといいます。長く連絡のなかった墓を突然しまうと言われた寺の、感情的な軋轢から揉める例も珍しくないようだと、全日本墓園協会の横田睦専務理事は書いています。

出典: 実家隣人(note)(台帳: V0112)

寺と揉めた人ばかりではありません。株式会社フーフーが2026年2月6日に経験者100人に聞くと、離檀をめぐる困りごとは「とくにない」の58人が最多でした。困りごとの中身は「離檀そのものを強く引き止められた」24人、「金額の折り合いがつかず何度も話し合った」15人などです。

株式会社フーフーが2026年2月6日に、墓じまいの経験がある100人にインターネットで、離檀をめぐって困ったことを聞いた結果の横棒グラフ。とくにないが58人で最も多く、離檀そのものを強く引き止められたが24人、金額の折り合いがつかず何度も話し合ったが15人、第三者に相談したが2人、その他が1人
図2: 離檀をめぐって困ったこと(経験者100人)。出典: 株式会社フーフー「わたしたちの墓じまい」(2026) 離檀料(お布施)に関する実態調査

始める前の心配とは、ずれがあります。全国石製品協同組合が2023年12月に聞くと、墓じまいを検討している141人の心配ごとの1位は「高額な離檀料を請求される」でした。経験者41人では「困ったことはない」が最多です。

離檀料に明確な基準はなく、額に納得がいかないときは、基本的に寺などと話し合うことになります。曹洞宗は、菩提寺(葬儀や法事を頼んできた寺)との関係に疑問や要望があれば、できる限り早い段階で菩提寺に相談するよう勧めています。

切り出し方とこじれたときの進め方はお寺との交渉の記事に、離檀料の額と払う決まりは離檀料の記事に、寺に払うお金の全体はお寺に払う費用の記事にまとめています。

お寺が書類を出してくれないと、墓じまいは止まるのか

改葬(遺骨をほかの墓へ移すこと)の許可を受けるには、今の墓地の管理者が作る、遺骨を納めた事実の証明を申請書に添えます。寺の墓なら、この証明(埋葬証明書)を作るのは寺です。

墓をしまう相談に行った寺で、先に戒名の話をされた人の取材記事です。

参る人のいなくなった墓をしまおうと寺を訪ねた、49歳の人(仮名・日刊SPA!の取材記事)

参る人のいなくなった墓を畳もうと寺を訪ねると、住職は墓じまいの相談より先に父の戒名の話を始めました。戒名には格があって、末尾が『信士』なら標準的で、その上は『居士』、頭に『院』が付くと最上位。『お父さんは信士で、このままでは他のご先祖様が納得しない。院号を付けないと祟られる』と。お布施は150万円だと言われました

断ると態度が変わり、寺は改葬に要る納骨の証明を「出せない」と言いました。移す先の樹木葬には、もう支払いを済ませていたといいます。国の省令は、管理者の証明が難しい特別の事情があれば、市町村長が必要と認める書面で代えられるとしています。

出典: 墓じまいを切り出したら「離檀料1000万円」、別の寺では「祟られる」と150万円要求、遺骨を“人質”に…急増する泥沼トラブル(日刊SPA!)(台帳: V0019)

証明書が出ないときは、経緯をまとめて、墓のある区市町村の窓口に相談します。東京都消費生活総合センターの情報誌によると、管理者とのトラブルで証明書が手に入らなくても、区市町村長が認める書類で申請できる場合があります。

東京都の消費生活相談のQ&A(2018年)は、納骨時の写真や書類などで代えられることもあるとしています。何が認められるかは墓地の状況や市町村で違うので、改葬の許可証を出す窓口に前もって相談します。

書類は、揉めごとが無くても手間のかかる工程です。鎌倉新書が2026年1月に「いいお墓」の利用者に聞いた調査では、大変だったことの2番目が「役所の手続き」の32.3%でした。最多は「遺骨の引っ越し(改葬)先選び」の38.8%です。

代わりになる書類の例は200万円と言われたときの記事の表に、書類をそろえる順番は墓じまいの書類の記事にまとめています。

揉めにくい順番と、揉めたときの相談先

大津市は墓じまいの手順に番号を振り、最初の(0)に「親族間での意思確認・意思決定」を置いています。親族間のトラブルの原因になることがあるので、改葬の前に話し合うよう勧めています。この手順の前に見積もりの段を足し、段ごとの相談先と並べます。

順番すること揉めたとき・迷ったとき
1 見積もり複数の石材店に撤去の見積もりを頼み、項目をそろえて比べます。北九州市も勧めています。日本石材産業協会の「お墓なんでも相談室」。協会の登録店は、相談室から相談があれば速やかに解決に取り組む決まりです。
2 親族大津市の手順の(0)。改葬の前に親族間で話し合います。墓を継ぐ人が決まらなければ、家庭裁判所が定めます。法テラスの無料法律相談は弁護士・司法書士が受け、収入と資産の基準があります。
3 お寺など墓地の管理者大津市の手順の(1)。今の墓地と、使用を終える打ち合わせをします。曹洞宗は早い段階での相談を勧めています。離檀料に納得できなければ、寺と話し合います。わからないことは消費者ホットライン188など。
4 移す先大津市の手順の(1)。移す先を選び、確保します。パンフレットだけでなく、使用規則や料金表を見て、親族と相談します。
5 書類大津市の手順の(2)(3)。申請の書類をそろえ、改葬の許可証を受け取ります。証明書が出なければ、経緯をまとめて区市町村の担当窓口へ。
6 納骨と工事許可証を移す先の管理者に出して納骨します。墓石を撤去し、区画を元の状態に戻します。工事の契約で困ったら、1と同じ相談室へ。

石材店の側も、見積もりの内容が不明瞭だと後々トラブルに発展する可能性があるとして、工事内容や金額の根拠の説明を心がけています。見積もりの単位(積算の仕方)は店によって違うので、複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて比べます。北九州市も、市営霊園の案内で複数の業者からの見積り取得を勧めています。

見積もりの比べ方は墓じまい費用の記事に、石材店の選び方は墓じまい業者の記事に、移す先の選び方は遺骨の行き先の記事にあります。

まとめ

墓じまいで揉めやすい相手は親族とお寺で、経験者100人が最も大変だったと答えた工程は「親族との話し合い・合意形成」が最多でした。一方で、離檀をめぐる困りごとは「とくにない」が最多という調査もあります。

揉めにくくするには、見積もり、親族、お寺の順に、決める前に話します。お寺が証明書を出さないときは墓のある区市町村の窓口へ、離檀料で困ったら188へ相談できます。墓を残す道も含めて考えたいときは、墓じまいしないとどうなるかの記事へ。

親族やお寺との話に向き合った3人の口コミ

最後に、これから話す人、寺との話に区切りをつけた人、いとこたちと墓をしまった人の記録から、一節ずつ紹介します。

墓が3つあり、子は娘1人。今の父が亡くなったあとに墓じまいを進めるつもりの、60歳目前の人(note)

お寺は離檀をすんなり理解してくれるのか。

やりたいことは決まっている。でも、段取りより先に、人の気持ちという難所が待っていそうです。

出典: 自分的5大事業③ 墓じまい(note)(台帳: V0110)

亡くなった従兄弟の檀家寺を継ぐことになり、寺からの請求を払わずにいた人(アメブロ)

これもバックれば、よいのですが、だとすると

今後も寺から封書が届くことになり

それはそれでストレスになるので

この度は、寺の御好意に甘えて

離檀

を、させていただく事となりました。

出典: 厄介案件、放置していた墓じまい、離檀届けという寺からの御提案に感謝(アメブロ)(台帳: V0032)

いとこ9人で、祖父母が眠る寺の墓をしまった一人(note)

予想外のタイミングだったけど、9人が揃っている今、亡き伯父と共同で墓じまいができたこと、ホントによかったと思ってます。

出典: いとこ9人で墓じまい。きっかけ、しまい方、費用。そして墓参りは続く…(note)(台帳: V0071)

参考文献

  1. 株式会社フーフー「わたしたちの墓じまい」(2026)「墓じまいの流れに関する実態調査」. 墓じまいの経験がある男女100人へのインターネット調査(2026年2月6日実施).
  2. 全国石製品協同組合(全石協)(2024)「墓じまい」に関してのアンケート調査(2023年12月調査・全国40才代以上の男女182名).
  3. 株式会社フーフー「わたしたちの墓じまい」(2026)「離檀料(お布施)に関する実態調査」. 墓じまいの経験がある男女100人へのインターネット調査(2026年2月6日実施). 実施主体は離檀と墓じまいの代行業者.
  4. 日本石材産業協会 (2023)「お墓じまいに関する業界内意識調査」結果(2023年度お墓じまいアンケート). 回答者は石材店.
  5. 国民生活センター (2025)「国民生活」2025年12月号(No.160)特集「『家』を継げない時代の埋葬と祭祀を考える」特集3 横田睦「墓じまい(廃墓)をする場合の留意点」.
  6. 北九州市「諸手続きについて(市営霊園)」.
  7. 大津市「墓じまい、改葬許可申請について」.
  8. 国民生活センター 見守り新鮮情報 第424号「墓じまい 離檀料に関するトラブルに注意」(小山市の転載ページ).
  9. 東京都「東京くらしねっと」No.289「相談の窓口から 『改葬』のトラブルに注意!」.
  10. 東京弁護士会「終活コラム(11)祭祀承継者」.
  11. 横浜市「改葬(遺骨の移動)の手続き」.
  12. 墓じまいパートナーズ (2026)「墓じまい実態調査2026」. 墓じまいを経験または検討した230人へのインターネット調査(2026年3月). 大変だったことは経験者52人の回答.
  13. 曹洞宗宗務庁 (2023)「離檀料・墓じまいに関する報道について」.
  14. 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年厚生省令第24号)第2条. e-Gov 法令検索.
  15. 鎌倉新書 (2026)【第4回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)全文版. 2026年1月、同社サイト「いいお墓」で資料請求・霊園見学をし、墓じまいを検討・実施した人へのインターネット調査.
  16. 東京都 消費生活相談FAQ「田舎の墓地から遺骨を移転したいが高額費用を請求されている。」(2018). 東京くらしWEB.
  17. 日本石材産業協会 (2023)「墓石工事契約等ガイドライン」(2023年11月1日改訂).
  18. 日本司法支援センター(法テラス)「無料法律相談のご利用の流れ」.

当事者の口コミの出典: V0016(個人ブログ)/V0112(note)/V0019(日刊SPA!の取材記事)/V0110(note)/V0032(アメブロ)/V0071(note)。いずれも公開されている記録で、引用は原文のままです。

更新履歴: 2026-10-08 公開