まず結論から
- 墓じまいでお寺に払うのは、墓から霊を抜く法要のお布施と、檀家をやめるときの離檀料が中心です。移す先が同じ寺の永代供養墓なら、その料金の永代供養料も寺に払います。
- お布施と離檀料には、宗派や公的機関が示す決まった額がありません。真宗大谷派は、お布施に「本来金額にも決まりはない」としています。国民生活センターも、離檀料に明確な基準はないとしています。
- 額が決まっているのは、寺が墓地の料金として受け取るお金です。年ごとの管理料や永代供養料がそれにあたり、厚生省(当時)の指針は料金の規定が明確であることが必要だとしています。
- 離檀料を払わなかった人もいます。株式会社huhuが2026年2月に墓じまいの経験者100人に聞いたところ、払っていないのは13人でした。その理由の最多は「お寺から一切請求されなかった」の8人です。
- 墓石の撤去には、お布施とは別に工事の費用がかかります。見積もりの単位(積算の仕方)は店によって違うので、複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて比べます。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積り取得を勧めています。
墓じまいで、お寺には何を払うのか
お寺に払うお金は、名前がいくつもあって分かりにくいものです。次の人は父と2人で、墓を同じ寺の中の永代供養墓へ移しました。かかった費用を、名目ごとに書き残しています。
父と2人で、墓を同じ寺の永代供養墓へ移した当事者(個人ブログ・はてなブログ)
このように私達は5年前に墓じまいを行いました。
その費用の内訳を改めて記載します。
墓じまい費用
閉眼供養お布施 30,000円
永代供養墓購入 700,000円
墓石撤去工事 129,600円(税込)
開眼供養お布施 30,000円
合計金額 889,600円
同じ寺の中の移動で、檀家でもなかったため、離檀料は払っていません。開眼供養のお布施は、渡した記憶がなく、渡したことにした額だと本人が書いています。墓石は、霊を抜く法要(抜魂式)を行ってから撤去すると、全日本墓園協会の横田睦氏は書いています。
出典: 【終活】墓じまいをして新たに永代供養墓を購入したお話です。(はてなブログ)(台帳: V0012)
お寺に払うお金は、額に決まりのないお礼と、寺が決める料金の2つに分かれます。名前ごとに、何のお金か、額の決まりがあるかを表にまとめます。
| お寺に払うお金 | 何のお金か | 額の決まり |
|---|---|---|
| 霊を抜く法要のお布施 | 墓を移すときに、墓から霊を抜く法要へのお布施です。法要の呼び名は宗派によってさまざまです。 | 真宗大谷派は「本来金額にも決まりはない」とし、読経料のような対価でもないとしています。 |
| 離檀料 | 檀家(寺を支え、法事を頼んできた家)をやめるときに、寺へのお礼として慣習的に払うお布施です。 | 明確な基準はありません。曹洞宗は、寺と檀家の側の話し合いで決まるものと考えています。 |
| 永代供養料 | 将来の墓の管理(供養)を、墓地を経営する寺などに任せる永代供養墓の料金です。 | 墓地を経営する寺などが決める料金です。指針は、料金の規定が明確であることが必要だとしています。 |
| 管理料 | 墓地の共用部分の支出を補う料金で、年ごとなどに払います。 | 墓地の契約で決まります。払い方も契約書で確かめます。 |
| 墓石の撤去工事 | 墓石を撤去し、区画を元の状態に戻す工事の費用です。 | お布施ではなく工事の代金で、見積もりは石材店が出します。見積もりの単位は店によって違います。 |
寺の墓で住職に頼むことの全体は寺の墓の墓じまいの記事に、墓じまい全体の費用は墓じまい費用の記事にまとめています。
お布施と離檀料に、相場はあるのか
お寺に額を尋ねると、「お気持ちで」と返ってくることがあります。次の人は、義実家の墓のことで寺に相談し、言われた内容を書き残しました。
義実家の名字を継ぎ、その墓のことを寺に相談した当事者(個人ブログ・note・相談の段階)
言われた内容を、うちの場合として書いておく。
・墓じまいのとき、お墓に入っているご遺骨ひとつにつき5万円
・それとは別に、30万円
・戒名、納骨、お経は「お気持ちで」
・ほかに、墓石を処分する費用
遺骨は、いまきょうだいの家にあります。納骨をせずに墓じまいにしたいと相談した場で、返ってきた答えでした。花園大学の佐々木閑氏は、お布施の金額をいくらにするかは、すべて布施をする側に選択権があると書いています。
出典: お坊さんは、私を見なかった|義実家の墓じまいで言われたこと(note)(台帳: V0004)
この例には、遺骨の数で額が示されたお金と、「お気持ちで」とされたお金が混ざっています。真宗大谷派は、額に困ったら地域の人に聞いたり、世話になる寺の住職に事前に尋ねたりしてはどうかと案内しています。
実際に納めた額を聞いた調査もあります。墓じまいの手続きを手伝う事業者「墓じまいパートナーズ」は2026年3月、墓じまいを経験・検討した230人に聞きました。お布施を払った経験者42人では、「5〜10万円」の23.8%が最多で、「20〜30万円」の21.4%が続きます。
この調査のお布施は、離檀のあいさつとして渡したお金も含む、寺に納めた額の全体です。額の分布はお布施の記事に、離檀料だけを聞いた調査は離檀料の記事にまとめています。
払わなかった人もいます。離檀と墓じまいの代行業者の株式会社huhuは2026年2月6日、墓じまいの経験がある100人にインターネットで聞きました。離檀料(お布施)を払ったのは76人、払っていないのは13人、離檀する必要がなかったのは11人です。
払っていない13人に理由を聞くと、「お寺から一切請求されなかった」が8人で最多でした。
お寺への切り出し方や、話がこじれたときの相談先はお寺との交渉の記事にまとめています。
寺が決める料金は、どこで確かめるのか
寺の墓地では、管理料や永代供養料は、寺が墓地の料金として受け取るお金です。額が決まっているぶん、払い方の取り決めで行き違うことがあります。次の人は、兄の墓の管理費で寺と行き違いました。
2025年に兄の墓をしまい、公営の合葬式墓地へ移した当事者(HALMEK up・読者アンバサダーの寄稿)
ところが、先代が亡くなって、代が変わったとたん「残りの金額を前納してください」と言われたのです。
びっくりしましたが、確かに墓の契約書を読むと「前納」と書いてあります。
兄の墓を建てたときは、先代の住職から、管理費は1年ごとでよいと言われていました。移す先は、金額のはっきりした公営の合葬式墓地にしています。厚生省(当時)の指針は、契約書と重要な事項の説明書を作って説明することを挙げています。
出典: 「墓じまいの」金銭トラブルを防ぐ!総額45万円で抑えたわが家の体験談(HALMEK up)(台帳: V0020)
同じ指針は、どの範囲にどの程度の料金がかかるかを、利用者に十分に知らせることが重要だとしています。やむを得ない事情がない限り、ほかに様々な名目で料金を足してはならないとも書いています。
全日本墓園協会の横田睦氏は国民生活センターの月刊誌で、パンフレットだけでなく、使用規則や料金表こそ見るべきだと書いています。骨壺で一定期間管理する施設では、骨壺1つで30万〜50万円かかる例も挙げています。
寺の墓地に使用規則があるか、中身はどうかは、菩提寺(葬儀や法事を頼んできた寺)の住職などに尋ねるよう、曹洞宗は案内しています。寺の料金は、契約書と使用規則の料金表で確かめます。
管理料の年額は、株式会社huhuが2026年4月に、いまお墓の管理費を払っている100人に聞いています。最多は「5,000円〜1万円未満」の45人でした。払い続けた場合のことは墓じまいしないとどうなるかの記事に、同じ寺の永代供養墓へ移す流れは永代供養の記事にまとめています。
お寺とのお金で迷ったら、誰に確かめるのか
迷ったときに確かめる相手は、お金の種類で変わります。公的な機関や宗派の案内をもとに、表にまとめます。
| 迷っていること | 確かめる相手・方法 |
|---|---|
| お布施の額が分からない | 世話になる寺の住職に事前に尋ねるか、地域の人に聞いて参考にします。 |
| 離檀料の額に納得がいかない | 基本的に寺と話し合います。根拠と額を寺に尋ね、檀家総代(檀家の代表)や同じ寺の檀家の親族に、適正な額かを確かめる方法もあります。 |
| 管理料・永代供養料の中身 | 契約書や重要な事項の説明書、使用規則と料金表を見ます。規則の有無は住職に尋ねます。 |
| 撤去工事の額 | 複数の石材店から見積もりを取ります。北九州市も市営霊園の案内で勧めています。 |
| わからないことがある | 消費生活センターや、消費者ホットライン188に相談できます。 |
撤去の工事は、複数の石材店から見積もりを取って決めます。見積もりの単位(積算の仕方)は店によって違うので、項目をそろえて比べます。北九州市も、複数の業者からの見積り取得を勧めています。比べ方は墓じまい費用の記事にまとめています。
まとめ
墓じまいでお寺に払うのは、墓から霊を抜く法要のお布施と、檀家をやめるときの離檀料が中心です。どちらにも宗派や公的機関が示す決まった額はなく、額に迷ったら住職に事前に尋ねてかまいません。離檀料を払っていない13人の最多の理由は、「お寺から一切請求されなかった」でした。
管理料や永代供養料は寺が決める料金で、契約書や使用規則の料金表で確かめます。墓石の撤去は工事の代金で、北九州市も複数の業者からの見積りを勧めています。寺の墓の手順は寺の墓の墓じまいの記事に、墓じまい全体の費用は墓じまい費用の記事にまとめています。
お寺に払うお金を書き残した3人の口コミ
最後に、お寺に払うお金について書いた3人の記録から、一節ずつ紹介します。
菩提寺にある実家の墓を守り、自分の代での墓じまいは考えていない当事者(個人ブログ・アメブロ)
ちなみに、私の実家のお墓の管理にかかる経費はざっと計算すると、護持会費(年会費)4,000円、盂蘭盆会のお布施10,000円、お盆とお彼岸の花代5,000円×3で年間約3万円程度です。
出典: 「墓じまい」について(アメブロ)(台帳: V0086)
母に代わって施主となり、寺の墓の墓じまいを前に、未納だった管理費を払いに寺へ行った当事者(個人ブログ・note)
お寺に管理費を払って、 近いうちに墓じまいをする予定だと伝えた。
じゃあ、塔婆は出さないでおいきますね。
と言われた。
たった少しのやりとりで、少し心が触れ合った気がした。
出典: 墓じまいサイトに相談してみた(note)(台帳: V0068)
実家の菩提寺にあった墓を2014年にしまい、遺骨を散骨した当事者(個人ブログ・note・12年後の振り返り)
閉眼供養のお布施(7万円包んだ)を含めて、12年前はこれらを全て行って60万円ほどだった。まだ墓じまいが今ほど多くなかったころだからそれで済んだが、今だとこの物価高でもっと費用はかかるだろう。
出典: 汚実家片付け番外編 『墓じまい〜散骨』② 具体的な流れ(note)(台帳: V0003)
