まず結論から
- 費用を抑える最初の手は、撤去工事の見積もりを、複数の石材店に頼むことです。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。見積もりの単位(積算の仕方)は店によって違うので、項目をそろえて比べます。
- 撤去そのものは省けません。撤去は使用者の義務とされ、北九州市はコンクリートの基礎まで撤去した更地で返すよう求めています。比べるときは、撤去の範囲と「一式」の中身をそろえます。
- 移し先は、合祀・合葬墓(ほかの人の遺骨と一緒に納める墓)が最も多く選ばれています。公営なら1体ごとの使用料で、大阪市の瓜破霊園は直接合葬が1体5万円です。自宅に置く場合と散骨する場合は、改葬許可が要りません。
- 役所の改葬許可は自分で申請でき、京都市と下関市は手数料が無料です。公営墓地の墓なら、磐田市のように、納めた使用料の50%を還付する市もあります。
墓じまいの費用は、どこを削れるのか
墓じまいの費用は、撤去工事、遺骨の移し先、役所の手続き、お寺に包むお金などの合計です。鎌倉新書の調査報告は、総額の幅の理由に、解体する墓地の広さと、移す先の永代供養墓・納骨堂のグレードを挙げています。
墓じまいを検討してやめた人の理由で最も多いのも、「解体費用が高すぎた」の22.2%でした。鎌倉新書が2026年1月、「いいお墓」経由で資料請求や霊園見学をし、墓じまいを検討・実施した人に聞いた調査です。安くする手を、費目ごとに並べます。
| 費目 | かかる人 | 安くする手 |
|---|---|---|
| 墓石の撤去工事 | 墓を返す人の全員です。撤去は使用者の義務とされています。 | 複数の石材店に見積もりを頼みます。北九州市も勧めています。比べ方は次の節からです。 |
| 遺骨の移し先 | 遺骨を別の墓や納骨堂へ移す人 | 合祀・合葬墓も候補に入れます。公営の合葬墓は1体ごとの使用料です。額は移し先の節に並べました。 |
| 役所の手続き | 遺骨を別の墓や納骨堂へ移す人 | 自分で申請すれば、京都市と下関市は手数料が無料です。行政書士の報酬は、答えた23人の平均で6万3,587円でした(日本行政書士会連合会・2026年1月)。頼める範囲は行政書士の記事にあります。 |
| 納めた使用料 | 公営墓地の墓を返す人 | 返す前に、還付と撤去費の助成を窓口で聞きます。磐田市は使用料の50%を還付し、浦安市は撤去費に上限15万円の補助金を出します。ほかの市は墓じまい補助金の記事にあります。 |
| 毎年の管理料 | 年ごとに管理料を払っている人 | 返す月で戻り方が違います。尼崎市の弥生ケ丘墓園は、返した翌月以降の分を月割りで還付します。神戸市には月割りの制度がありません。 |
| お寺に包むお金 | 寺院墓地の墓をしまう人 | 離檀料に明確な基準はなく、納得できなければ寺と話し合います。曹洞宗は、早い段階で菩提寺に相談するよう勧めています。名目はお寺に払う費用の記事にあります。 |
撤去工事は、もう1社に頼むとどれだけ変わるのか
撤去工事の額は、頼む石材店で変わることがあります。義父の実家の町にある墓を夫がしまうとき、2社に見積もりを頼んだ経過を、妻が日付つきで書き残しています。
義父の実家の町にある墓を夫がしまうとき、2社に見積もりを頼んだ経過を書いた妻(個人ブログ・アメブロ)
【◯石材店】
パパが電話してお話した腰の低そうな男性。
従業員だと思ったら、社長さんだったとか…。
しかも直ぐにパパとメールを繋いで
「お墓を間違えない様に、義実家のお墓の写真を下さい」 と言われた。
(翌朝パパは仕事に行く前に墓地に行き、
義実家のお墓の写真を撮り送った)
1社目は墓地管理所に教わった店で、4月18日に頼んだ見積書が5月14日に届き、37万4千円でした。2社目は1週間で見積もりを出し、巻き石も処分する場合で22万2千円です。北九州市も、複数の業者からの見積り取得を勧めています。
出典: 墓じまい(石材店見積り)(アメブロ)(台帳: V0123)
日本石材産業協会は2023年度、墓じまいの見積もりを何の単位で積算しているかを、会員の石材店に尋ねました。184件の回答は、面積(平米)、石の体積(才数)、重量(kg)、一式、墓の数、人件費(人工計算)に分かれています。単位ごとの割合は墓じまい費用の記事の図にあります。
物差しが違えば、1社の見積書だけでは高いか安いかを決められません。見積もりは、2社目、3社目にも頼みます。
経験者もこの手を選んでいます。株式会社huhuが2026年5月、墓じまいを経験した100人に聞くと、費用を抑えるために複数の石材店から相見積もりを取った人は38人でした(複数回答)。ほかの回答は墓じまいのお金がないときの記事に、石材店の探し方は墓じまい業者の記事にまとめました。
撤去の見積もりは、何で高くなるのか
見積もりの額を動かすのは、店の違いだけではありません。墓の大きさや場所でも変わります。実家の菩提寺の墓をしまった人は、工事を見ながら気づいたことを書き残しています。
実家の菩提寺にあった墓を2014年にしまい、遺骨を散骨した当事者(個人ブログ・note・12年後の振り返り)
墓の解体では墓石の数や外構の作り(石がたくさん使われている)、墓の区画の面積などで料金が変わるが、 重機が使えるか?人力作業か?で金額が変わる。 実家の墓は昔からあるお寺の墓だ。広さ畳3枚位。他家の墓がいっぱいある中、墓の区画にたどり着くまで細い道を通っていくのだけど、たまたま我が家の墓の裏側にお寺の塀があり、塀の向こうは道路だった。
その道路にクレーン車とトラックを停められ、墓石は吊り上げて運び出されました。細い通路を人の手で何往復もせずに済んだ、と書いています。どこまで撤去するかは墓地の決まりでも変わり、北九州市は基礎まで撤去して返すよう求めています。
出典: 汚実家片付け番外編 『墓じまい〜散骨』② 具体的な流れ(note)(台帳: V0003)
額を動かす条件には、削れないものと、比べて下げられるものがあります。見積書の中身を、次のように分けて見ます。
| 見積もりの中身 | 削れるか | 確かめること |
|---|---|---|
| 墓石と基礎の撤去、更地に戻す工事 | 省けない | 撤去は使用者の義務とされています。北九州市は、使う前と同じ更地にして返すよう求めています。 |
| 石の量と運び出し | 墓で決まる | 積算の単位には、面積・石の体積・重量・人件費があります。 |
| 店ごとの単価と積算の仕方 | 比べて下げられる | 単位は店によって違います。北九州市も、複数の業者からの見積りを勧めています。 |
| 「一式」に入っていない費用 | 先に確かめる | 日本石材産業協会のガイドラインは、「一式」で示すとき含まれるものを明記するよう登録店に求めます。含まれないものは、別途費用になる旨を書く決まりです。 |
| 見積もりのあとの追加 | 先に確かめる | 同じガイドラインは、見積り以外の追加費用が出る場合と、見積書と請求書の差を、誠実に説明するよう求めています。 |
「格安」や「◯万円〜」という表示も、範囲が違えば比べられません。撤去の範囲と「一式」の中身をそろえてから、額を並べます。パック料金と並べるときの比べ方は墓じまいパックの記事にあります。
いちばん安い移し先は、どこなのか
撤去の次に額が大きく動くのは、遺骨の移し先です。神奈川県西方の先祖の墓をしまった長男は、移し先を選んだ理由をこう書いています。
神奈川県西方の先祖の墓をしまい、都内の建物の中にある合祀墓へ移した長男(個人ブログ)
私の場合は、実家と同じ市内にあった一般的なお墓をしまい、 都内の駅から近い鉄筋コンクリートの建物に入っている 共同墓地(合祀墓) に収めました。
共同墓地に決めたのは、せっかく元のお墓をしまって、 あらたな地に同様な墓を建てたのでは、 数百万円という出費もさることながら、 将来、私が亡くなってから妻、そして娘や息子に、 今回と同様の手間をかけさせることになる と思ったからです。
撤去は、平場の墓地の一般的な大きさの墓で、トータル40万円ほど。納骨のときの法要は10万円くらいでした。鎌倉新書は、総額70万円以下が約半数になった一因に、比較的安価な合祀・合葬墓の選択を挙げています。
出典: 後悔しない! 墓じまい こうすればうまくいく(個人ブログ)(台帳: V0016)
鎌倉新書の2026年1月の調査では、墓じまいのあとの移し先は、合祀・合葬墓が43.2%で最多でした。新しく墓を買う場合と、費用の小さい側の選択肢を並べます。
| 移し先 | 額の手がかり | 知っておくこと |
|---|---|---|
| 新しく墓を買う | 平均購入金額は、一般墓152.0万円、納骨堂81.5万円、樹木葬71.7万円 | 鎌倉新書が2026年1月、2025年に「いいお墓」経由で墓を買った1,267件に聞いた額です。 |
| 公営の合葬墓 | 大阪市の瓜破霊園は、直接合葬が1体5万円(令和8年度)。札幌市の合同納骨塚は、1体9,100円です。 | 大阪市に住んでいない人は1.5倍です。札幌市は申請時に一括で払い、以後の管理料はかかりません。ほかの市は永代供養の費用の記事にあります。 |
| 公営の墓を返して、同じ市の合葬墓へ | 浦安市は、墓地公園の墓を返す人なら、移し先の使用料を負担せずに返せます。 | 浦安市の墓地公園の使用者のための制度です。ほかの市の特例は市営墓地の墓じまいの記事にあります。 |
| 自宅に置く・散骨する | 改葬許可が要りません。総務省の2023年の報告書にある、厚生労働省の見解です。 | 下関市は、自宅に置くなら、遺骨の情報を書いた書類を今の墓地の管理者からもらっておくよう勧めています。散骨は散骨の記事にあります。 |
公営の合葬墓も、使用料は1体ごとです。国民生活センターの月刊誌は、骨壺ごとに管理する施設では骨壺1つで30〜50万円という例を挙げます。新しく墓を建てるより費用がかかることもある点は見落とされがちだ、とも書いています。
移し先は、遺骨の数をかけた総額で比べます。何体あるかの確かめ方は遺骨の数と費用の記事に、合祀する前に知っておくことは合祀の記事にまとめました。
まとめ
墓じまいの費用を安くする手は、費目ごとに違います。撤去工事は省けませんが、見積もりの単位は店によって違います。複数の石材店から見積もりを取り、撤去の範囲と「一式」の中身をそろえて比べます。北九州市も、複数の業者からの見積りを勧めています。
移し先は、合祀・合葬墓が最も多く選ばれています。公営の合葬墓は1体ごとの使用料なので、遺骨の数をかけて比べます。役所の手続きは自分ででき、京都市と下関市は手数料が無料です。公営墓地の墓なら、返す前に還付と助成を窓口で聞きます。
撤去を頼む先と額を考えた3人の口コミ
最後に、撤去を頼む先や見積もりの額について書いた3人の記録から、一節ずつ紹介します。
祖父が亡くなったときに父が建てた公営霊園の墓をしまい、撤去を頼む業者を自分で探した娘(個人ブログ・note)
ネットなどで調べたらいくらでも墓じまいの流れは出てきます。 まずはお墓の撤去をどこでするかの決定です。 ・お寺の紹介でしてもらう ・霊園の方で紹介してもらう ・自分で探す この中でどうしようかと考えました。
出典: 2年前に実家の墓じまいをしました(note)(台帳: V0113)
遠方に住み、父を埋葬した墓の撤去を、地域の葬儀会社の系列の会社に頼んだ当事者(個人ブログ・アメブロ)
墓地の場所は地図で説明できたものの、お墓の位置の説明が難しかった…
たぶん、直接墓石屋さんを探して依頼するほうが安価だと思います
出典: 【墓じまい】墓石撤去と法要の手配(アメブロ)(台帳: V0124)
山の中にある父の墓と先祖の墓をしまうため、5社に見積もりを頼んだ一人娘(個人ブログ・note)
・納得できる価格 私は慎重な性格なので、安さだけで決めることはありません。ただ、大手のような広告費や人件費がかからない分、この価格が実現できているのではと感じました。
出典: 墓じまいを決めるまでの話【5社見積もりを取って分かったこと】(note)(台帳: V0001)
