まず結論から
- 合祀にした遺骨は、あとから取り出せません。都立霊園の規則は、合葬の施設でほかの遺骨と共に埋めた遺骨を「返還しない」と定めています。千葉市の桜木霊園は「合祀された焼骨は、改葬することはできません」としています。神戸市の鵯越合葬墓も、合葬施設の遺骨は返還できないと案内しています。
- 合祀の前に、骨壺のまま何年か置く形を選べる施設があります。大阪市の瓜破霊園は直接・10年後・20年後、千葉市の桜木霊園は直接か30年後、神戸市は直接か10年後(延長で20年後)です。横浜市の2022年の調査では、墓を取得したい377人の最多は、一定の期間のあと合同墓へ移す期限付きの墓(38.7%)でした。
- 合祀の施設で法要があるとは限りません。札幌市は供養や慰霊祭などの宗教的な行事を、神戸市は慰霊祭などの祭事を、八戸市は宗教的な儀式を、市として行わないと案内しています。寺の永代供養墓は、論文の定義では寺院が永代に供養をする合葬墓です。
- 全日本仏教会と大和証券が2024年12月に全国の6,192人に聞いた調査では、合祀に抵抗がある人は57.1%でした。それでも、合祀墓が購入の選択肢になる人と、金額や立地などの条件次第で選択肢になる人は、合わせて70.2%です。
合祀墓・合葬墓・合同墓は、何が違うのか
合祀は、遺骨を骨壺から出して、ほかの人の遺骨と一緒に納める納め方です。千葉市の桜木霊園の合葬墓は、焼骨(火葬した遺骨)を骨壺から納骨袋に移し替え、合祀室に納めます。
合祀の施設の呼び名は、法令で決まっていません。総務省行政評価局の2023年の報告書は、多数の焼骨を共同で埋蔵・収蔵する施設を「合葬式施設」と呼んでいます。そのうえで、地域によって「合葬墓」「共同墓」などと呼ぶ場合もある、と注記しています。2018年の論文も、合葬墓・合同納骨堂など、墓所や論者によって呼び方が違うと書いています。公営の墓地・納骨堂を持つ765市町村のうち、合葬式施設を持つのは25.5%でした。
月報司法書士の2015年の森謙二さんの論考は、骨壺の扱いで共同墓を分けています。施設型は一定の期間は骨壺に入れるので、改葬(別の墓へ移すこと)ができる期間があるとしています。骨壺に入れず土に直に埋める区画型(樹木葬の墓地など)は、一度埋めると改葬は困難になると書いています。呼び名ではなく、いつ骨壺から出すかと、あとで取り出せるかで比べます。樹木葬の形は樹木葬で墓じまいする記事にまとめました。
鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」経由で資料請求や霊園見学をし、墓じまいを検討・実施した人に調査しました。墓じまいのあとの移し先は、永代供養(合祀・合葬墓)が43.2%で最多でした。行き先の全体は墓じまいで骨はどうなるかの記事に、移す手続きの順番は墓じまいして永代供養にする記事にあります。
合祀はいつ?最初からか、骨壺のまま何年か置いてからか
合祀には、最初から骨壺を出す形と、骨壺のまま何年か置いてから移す形があります。父の墓をしまい、同じ霊園の合祀墓へ移した人の記録です。
父名義の霊園の墓をしまい、祖父母と父の遺骨を同じ霊園の永代供養合祀墓へ納めた施主(個人ブログ・アメブロ)
合祀されるまでの期間を選ぶことができるが、私は0年で申し込んだから、来年の4月には父も祖父祖母の遺骨は他の遺骨とともに土に還るのである
一連の儀式を終えて、私たち夫婦は帰路についた
父が亡くなったら、父名義の墓をしまおうと考えていた人です。遺品からは、霊園の墓じまいの説明書と料金表も見つかりました。金額は、預骨年数によっても違ってくると書いています。公営の神戸市の合葬墓でも、骨壺のまま置く年数で使用料が変わります。
出典: 墓じまいをした(アメブロ)(台帳: V0009)
横浜市は2022年10月、20歳以上の市民5,000人(無作為抽出・回収1,822件)に墓の調査をしました。墓を取得したい377人に望ましい形を聞くと、最多は「一定の期間が来たら骨壺から出し合同墓へ移す、期限付きのお墓」で38.7%でした。「最初から合同墓」は9.5%です。期限付きを選んだ146人が答えた、合同墓へ移すまでの望ましい期間が図1です。
選べる形は、施設で違います。2026年度の案内と都の規則から並べます。
| 施設 | いつ骨壺から出すか | 合祀のあと取り出せるか |
|---|---|---|
| 大阪市 瓜破霊園の合葬式墓地 | 直接合葬・10年間保管後合葬・20年間保管後合葬から選びます。年数は使用料を納めた日から数えます。 | 募集案内には書かれていません。申し込む前に霊園に確かめます。 |
| 神戸市 鵯越合葬墓 | 最初から合葬施設に納める形と、個別安置施設に骨壺のまま10年置いてから移す形があります。延長すると計20年です。 | 合葬施設の遺骨は返還できません。個別安置の期間内なら返還できます。 |
| 千葉市 桜木霊園の合葬墓 | 直接合祀と、骨壺のまま30年置いてから合祀室へ移す通常納骨があります。 | 合祀された焼骨は、改葬も返還もできません。 |
| 都立霊園の合葬埋蔵施設 | 一定期間のあとに共同で埋める形と、直接共同で埋める形があります。 | ほかの遺骨と共に埋めた遺骨は、返還しません。 |
神戸市は、個別安置の期間が過ぎると、申請者に知らせずに合葬施設へ移します。個別安置のあいだに改葬すると、その後は再び納骨できません。何年後に合祀されるかを、申し込む前に確かめます。
年数で使用料も変わります。神戸市は、合葬施設が1体5万円、個別安置施設が1体10万円で、10年延ばすと1体5万円です。公営の合葬墓の1体ごとの額は、墓じまいの遺骨の数と費用の記事に並べました。
今の墓が公営なら、返すのと同時に合葬墓へ移す道もあります。都立霊園には、継ぐ人がいない使用者が墓を返して、遺骨を合葬式墓地へ移す施設変更の制度があります。大阪市は、市外に住む人でも、市設霊園の墓を返して移すなら申し込めます。市ごとの決まりは市営の墓を返すときの節にあります。
元の墓の墓石の撤去は、複数の石材店に見積もりを頼み、額と内訳を比べます。北九州市も、市営霊園の工事は複数の業者から見積りを取るよう勧めています。比べ方は墓じまい費用の記事にまとめました。
永代供養の合祀なら、そのあとも供養してもらえるのか
永代供養の墓に移せば、合祀のあとも供養は続くのか。地主から墓の転出を求められ、寺の住職と話した人の記録です。
地主から墓の“転出”を求められて墓じまいを考えた、アラフィフ世代の人(個人ブログ・はてなブログ)
長年の懸案事項でもあった「次世代への負担」を最優先に考えた結果、我が家では 墓じまい を選択する決断をいたしました。お骨は骨壺から出し、合祀していただく形になります。今後は、お参りはお寺の観音様へという形になります。
永代供養について聞くつもりで、5月21日に住職と会った日の記録です。住職は、永代供養と墓じまいの両方を具体的に話しました。2018年の論文は、寺の永代供養墓を、合葬墓の中で寺院が永代に供養をするものと定義しています。
出典: 「実家のお墓、どうする?地主さんからの“転出”要請で始まった、アラフィフ世代の供養改革」(はてなブログ)(台帳: V0035)
論文が調べた兵庫県新温泉町(旧浜坂町)のA寺は、永代供養墓の石版に、供養した人の名前を刻んでいます。祥月命日(亡くなった月日)には経を上げ、遺族に葉書で知らせています。
公営の合葬墓は、事情が違います。合祀のあとの供養とお参りを並べます。
| 預け先 | 法要・供養 | お参り |
|---|---|---|
| 寺の永代供養墓(論文のA寺) | 祥月命日に経を上げ、遺族に葉書で知らせます。 | 親族が墓参りに来て、花が供えられていると論文は伝えています。 |
| 札幌市 合同納骨塚 | 市は、供養や慰霊祭などの宗教的な行事をしません。 | 屋外の供花台の前でお参りします。線香や、僧侶を呼んでの読経は遠慮するよう求めています。 |
| 神戸市 鵯越合葬墓 | 市は慰霊祭などの祭事をせず、集団での祭事もできません。 | 献花台でお参りします。ろうそくや線香は使えません。 |
| 八戸市 合葬墓 | 市は宗教的な儀式をしません。個人で儀式を行うことはでき、管理事務所への予約が要ります。 | 開門時間内はいつでも参拝でき、線香は線香台に置きます。 |
市の合葬墓では、市が法要をしないところがあります。法要を続けたいなら、個人で儀式ができる八戸市のような施設か、寺の永代供養墓が候補になります。預け先の選び方は永代供養の記事にまとめました。
親や先祖の遺骨を合祀にする前に、家族とどう話すか
合祀にすると、あとから戻せません。両親の墓の行き先を、母に提案した人の記録です。
隣の県の実家近くに、両親が自分たちの墓を買ってある姉妹の姉(個人ブログ・アメブロ)
母親に、どうせ最後に合祀墓なら、私の自宅近くのお寺に合祀の方が、私も妹もお参りに楽なんだけど、と提案。
すぐに合祀ではなく、近くのお寺の納骨堂からの合祀を提案。
(私も妹も、実家近くのお墓は遠くて不便だし🚃)
母親からは却下されました
実家近くのお墓が良いそうです。
両親はともに健在です。いずれ墓じまいをして、同じ霊園の合祀墓へ移す前提で、その墓を買っていました。話し手は、親の意向を確かめられて良かったと書いています。全日本仏教会と大和証券の調査では、合祀に抵抗がある人が半数を超えました。
出典: それぞれの墓事情(アメブロ)(台帳: V0120)
全日本仏教会と大和証券は2024年12月、全国の20〜79歳6,192人に、合祀への抵抗感を聞きました。抵抗がある人は57.1%で、遺骨をとても大切に思う人では27.9%が「かなり抵抗感がある」と答えています。
同じ調査は、合祀墓が購入の選択肢になるかも聞いています。「選択肢になる」26.2%と「金額や立地などの条件次第で選択肢になる」44.0%を合わせると、70.2%でした。抵抗感の答え別に見ると、図2のとおりです。
「やや抵抗感がある」人でも、条件次第で選択肢になる人が63.0%いました。「かなり抵抗感がある」人では、78.8%が「まったく選択肢にならない」と答えています。
自治体も、家族との相談を求めています。千葉市の桜木霊園は、合祀された焼骨は返還できないので、親族等でよく話し合い、理解を得ておくよう求めています。直接合祀を申し込むときは、返還されないことへの同意書が要ります。原則として、配偶者・親・子の全員(いなければ兄弟姉妹の全員)に書いてもらいます。八戸市も、親族と十分に相談したうえで申し込むよう案内しています。
浄土宗の公式Q&Aは、合祀墓や散骨では遺骨を再び集めることは困難で、後年「遺骨を返してほしい」といわれるケースもあると書いています。そのうえで、家族でよく相談するよう勧めています。決める前に、その遺骨にかかわる家族と話しておきます。親族に反対されたときの話し方は、墓じまいに反対されたときの記事にまとめました。
まとめ
合祀にした遺骨は、都立霊園・千葉市・神戸市の決まりでは、あとから取り出せません。最初から合祀にするか、骨壺のまま何年か置いてからにするかを選べる施設があります。合祀のあとに法要があるかも、施設で違います。
決める前に、その遺骨にかかわる家族と話しておきます。元の墓の撤去は、複数の石材店に見積もりを頼み、額と内訳を比べます。北九州市も、複数の業者からの見積もりを勧めています。預け先の選び方は墓じまいして永代供養にする記事に、費用の全体は墓じまい費用の記事にまとめました。
合祀を考えた・選んだ2人の口コミ
最後に、親の墓を合祀にするか家族で話した人と、合祀墓を選んだ人の記録から、一節ずつ紹介します。
伯母の墓の隣に買った墓地を手放したいと、父から相談された子(個人ブログ・note)
私以外の家族は 「墓はいらない、合祀でよいのでは」 という意見。
母は下を向いたまま。 相談してきた当時者、父も どことなく、しょんぼりしてる。
出典: note Diary #31 墓じまいに迷う(note)(台帳: V0059)
神奈川県西方の先祖の墓をしまい、都内の建物の中にある合祀墓へ移した長男(個人ブログ)
私は、 ・ 費用(イニシャルコスト、ランニングコストとも) ・手入れや参拝のしやすさ ・ 将来の安心感(子どもに負担をかけたくない) という点から、建物の中にある「 合祀墓(共同墓地) 」を選び、 永代供養料を支払う こととしました。
出典: 後悔しない! 墓じまい こうすればうまくいく(ヒロブログ 歳刻を愉しむ)(台帳: V0016)
