まず結論から
- 「樹木葬」の半数は、いつまでも個別に眠る形ではありません。2022年の研究が全国905か所を調べると、一定期間のあと合祀へ移す形が50.9%でした。合祀は、ほかの人の遺骨と一緒に納めることです。
- 墓じまいした遺骨を樹木葬へ移すのは「改葬」で、遺骨が今ある市区町村の許可が要ります。宇治市の案内では、申請は移す先が決まってからです。
- 鎌倉新書が2026年1月、前年に「いいお墓」経由で墓を買った人に聞いた調査(1,267件)では、樹木葬の平均購入金額は71.7万円でした。公営の例では、1体の使用料が千葉市は6万円、横浜市が2027年に開く墓園の樹木型は22万円です。
- 都立霊園の樹林型は、2025年度の公募で3.1倍の抽選でした。相模原市は、ほかの墓に埋めてある遺骨の改葬では申し込めないとしています。
- 都立霊園の樹林型・樹木型と、千葉市・前橋市の樹木葬は、埋めた遺骨を返さないと定めています。
樹木葬へ移すのも「改葬」。散骨とは手続きが違う
樹木葬で焼骨を埋める場所も、墓地でなければなりません。墓地埋葬法は、焼骨を墓地以外の区域に埋めることを禁じています。
木を植える埋め方も同じ扱いです。月報司法書士の2015年の解説は、厚生労働省の2004年の通知を引いています。穴に焼骨をまき、その上に苗木などを植えて埋めることは「焼骨の埋蔵」に当たる、という内容です。
墓地埋葬法は、埋蔵した焼骨をほかの墳墓(墓)へ移すことを「改葬」と呼びます。許可を出すのは、遺骨が今ある市区町村の長です。総務省の2023年の報告書が載せた厚生労働省の見解では、取り出した焼骨を自宅に置く場合と散骨する場合は、改葬許可は要りません。散骨との違いは墓じまいと改葬の違いの記事にまとめました。
最初の一歩は、撤去の見積もりを複数の石材店に頼むことです。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積もりを勧めています。役所の手続きは、そのあとです。宇治市は、申請書に改葬先の名称と所在地を書くので、移す先が決まってから申請するよう案内しています。移す先からもらう受入証明書と、申請までの順番は、墓じまいして永代供養にする記事に図でまとめました。
「樹木葬」と書いてあれば、木の下でずっと眠れるのか
母が実家の寺の樹木葬に申し込んだと聞き、改めて調べた娘の記録です。
実家の墓がある寺の樹木葬に、60代後半の母が申し込んだと知らされた40代の娘(個人ブログ・note)
という訳で改めて調べてみますと、母の契約した樹木葬というのは寺の境内に作られた公園のような場所になる予定で、いい感じの樹の周りにいい感じで配置されたおしゃれな墓石プレート(一人用から大人数用まで様々)が配置され、管理は契約会社がするけど盆には和尚さんがお経をあげてくれるよ、でも別にうちの檀家でなくてもいいよ、という何だか新しいかたちの墓地であるようでした。
母が選んだ区画は4人まで入り、墓じまいの一連の費用と新しい墓石プレート、区画代で58万円でした。研究では、寺が経営する樹木葬691か所のうち421か所で、石材店などの企業が企画販売や運営サポートを担っていました。
出典: 墓じまいと母のこと【母と私と樹木葬】(note)(台帳: V0007)
樹木葬には、今のところ統一された定義がありません。2021年の講演録は、始めた住職の言葉として、名前を商標登録しなかったので誰が使ってもよいことになっている、と紹介しています。上田さんの研究は、全国の樹木葬を次の4つの型に分けています。
| 型 | どんな形か(上田さんの研究による) |
|---|---|
| 里山型 | 今ある山林を使い、生えている木の根元に焼骨を埋めます。 |
| 樹林型 | 焼骨を埋めた所に苗木を植え、将来は林に育てます。 |
| シンボルツリー型 | 目印になる木を植え、その周りを取り巻くように焼骨を埋めます。 |
| ガーデン型 | 木は見られず、墓の区画を木や花壇で飾ります。 |
数が多いのはシンボルツリー型とガーデン型で、なかでも木の無いガーデン型がほとんどでした。ガーデン型1,084件のうち593件(54.7%)は、石のプレートなどで埋めた場所を示す形でした。
遺骨の納め方も、施設で違います。最初から土に還す形と、骨壺のまま一定期間置いてから合祀の施設へ移す形があります。
最初から土に還す形は、そのあとの改葬が難しいとされます。合祀へ移る時期は、13回忌・33回忌・50回忌に合わせることが多いとされます。
公営の例では、前橋市の嶺公園の樹林墓地が、使用許可の日から20年は骨壺のまま埋め、そのあとほかの遺骨と一緒に納めます。
厚生省(当時)が2000年に示した墓地経営・管理の指針は、墓地の経営者に、使用期間を明らかにして十分に説明するよう求めています。合祀に移るまでの年数を、契約の前に確かめます。墓じまいの遺骨をどこへ移す人が多いかは、墓じまいで骨はどうなるかの記事にあります。
樹木葬に移すと、全部でいくらかかるのか
国民生活センターの月刊誌は、骨壺ごとに料金がかかる施設の例を挙げ、先祖代々の墓から取り出す骨壺は相当な数になる場合もあると書いています。移す先が何体分で数えるかで、費用は変わります。
金沢駅から1時間ほど奥にある父の家の墓を、東京近辺へ移そうと調べた娘(個人ブログ・note)
最近よく聞く樹木葬だとか 船からの散骨だとか
そういうのも基本は一体からということで
先祖代々の大量のお骨を というのは難しいようです
最終的には父も
「もうこのままにして 遠い将来的に無縁仏になったら それはそれでしゃーない」
ということになりました
10年ほど前に父が言い出した、墓の引っ越しでした。資料を取り寄せて調べたのは娘です。千葉市の合葬式樹木葬墓地は、1つの骨壺に複数体が入っていれば、体数分の申し込みと使用料が要るとしています。
出典: お墓じまいに挫折(note)(台帳: V0025)
鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」経由で2025年に墓を買った人に調査しました(有効回答1,267件)。平均購入金額は、樹木葬71.7万円、納骨堂81.5万円、一般墓152.0万円でした。
上田さんの研究では、最初から土に還す形のほうが料金は高く、合祀までの期間でも料金が違います。公営の樹木葬で、1体ごとの使用料を定めている例を並べると、図2のとおりです。
何体分で数えるか、ほかに払うものがあるかも、施設で違います(2026年度の募集案内)。
| 公営の樹木葬 | 何体分で数えるか | 使用料のほかの支払い |
|---|---|---|
| 千葉市 平和公園 | 1体ごとです。1つの骨壺に複数体なら、体数分の申し込みと使用料が要ります。 | ありません。使用料に施設の維持管理費を含みます。 |
| いわき市 南白土・東田墓園 | 1体ごとです。複数の遺骨は、1体(連名なら2体)ずつ申請します。 | ありません。管理の費用は使用料に含まれます。 |
| 前橋市 嶺公園 | 区画ごとです。1〜2体用は23万円、3体用は35万円です。超える遺骨は合同埋蔵施設を併用し、1体5万円です。 | ありません。使用料に永代管理料を含みます。 |
| 横浜市 舞岡しぜん墓園 | 1体分か2体分で申し込みます。 | 1体分で管理料6万6千円(永年)を別に納めます。 |
| 相模原市 峰山霊園 | 1体用か2体用で申し込みます。 | 年間の管理料はありません。 |
厚生省(当時)の指針は、「永代使用」と表示しながら、実際は管理料を払う間だけ続く契約などのこともあるとしています。いわき市は、合葬墓地は永代供養墓ではなく、法要などは行わないと案内しています。遺骨の数と、使用料のほかの支払いを、申し込む前に確かめます。
公営の樹木葬に、墓じまいした遺骨を移せるのか
公営の樹木葬は、数が限られます。2022年の研究が確かめた公営の樹木葬は、横浜市の2か所と東京都・浦安市・越生町・前橋市の6件でした。905か所のうち691か所は、寺が提供していました。千葉市や相模原市は、応募が募集数を超えると抽選にしています。
14代続いた実家の墓をしまい、住む街の公営の墓地公園へ遺骨を移す人(個人ブログ・note)
公営の墓地公園の抽選に当選し、先祖のお骨を移す場所も決まった。
あとは、実際に墓じまいを進めていくことになる。
まず取り掛かったのが、墓じまいをしてくれる業者選びだった。
住職が亡くなった寺の墓で、寺を離れること(離檀)は兼任の住職に了承されました。取り出した遺骨は洗浄と乾燥を経て、住む街の墓地公園へ送られることになりました。都立霊園の2025年度の公募では、樹林型が3.1倍、一般の墓などが2.9倍でした。
出典: 墓じまいで一番心配だったこと(note)(台帳: V0022)
墓じまいの遺骨で申し込めるかは、市によって違います。2026年度の募集案内から並べます。
| 市 | 墓じまいの遺骨は | 申し込める人(住む期間など) |
|---|---|---|
| 千葉市 平和公園 | 市営霊園の墓を返す人の区分があります。改葬を予定するなら、遺骨が改葬できる状況かを先に確かめるよう求めています。焼骨を持つ人の区分は、埋める遺骨を配偶者や2親等以内の血族などに限ります。 | 市内に1年以上住む人です。墓を返す区分は1年以内でも申し込めます。 |
| いわき市 | 市営墓園の区画墓地を墓じまいする人も、合葬墓地に応募できます。許可の前に、区画の原状回復と返還が要ります。 | 市に1年以上住民登録か本籍がある人などです。 |
| 横浜市 舞岡しぜん墓園 | 樹木型・樹林型とも、「生前・改葬」の区分を設けています。 | 市内に3か月以上住む人です。 |
| 前橋市 嶺公園 | ほかの墓からの改葬は「遺骨枠」などで申し込めます。民間墓地からの改葬は、事前に相談するよう求めています。 | 墓を継ぐこと(承継)が難しい市の住民です。市営墓地から改葬するなら、住民でなくても申し込めます。 |
| 相模原市 峰山霊園 | ほかの墓に埋蔵中の遺骨の改葬では申し込めません。取り出して自宅に仮安置した遺骨も対象外です。 | 2025年9月1日以前から市内に住む人です。 |
前橋市は、「お墓の管理が面倒」「普通墓地を購入するより安い」などの理由では申し込めないとしています。墓じまいの遺骨で申し込めるかを、募集案内で確かめます。
受け付けない市なら、寺や民営の樹木葬が移す先の候補です。最初の口コミの母も、実家の墓がある寺の樹木葬を選んでいます。
まとめ
墓じまいした遺骨を樹木葬へ移すのは改葬で、遺骨が今ある市区町村の許可が要ります。撤去の見積もりは複数の石材店から取り、額と内訳を比べます。北九州市も、複数の業者からの見積もりを勧めています。
「樹木葬」の中身は施設で違い、2022年の研究では一定期間のあと合祀へ移す形が50.9%でした。合祀までの年数、何体分で数えるか、使用料のほかの支払いを、契約の前に確かめます。公営の樹木葬は、墓じまいの遺骨を受け付けるかが市で違います。移す先と順番は、墓じまいして永代供養にする記事も参考になります。
墓じまいの遺骨と樹木葬をめぐる3人の口コミ
最後に、樹木葬が出てくる3人の記録から、一節ずつ紹介します。
地域で共同管理する実家の墓地から、父の遺骨を名古屋の樹木葬墓へ移す準備をする人(個人ブログ・はてなブログ)
万一母が亡くなれば葬儀は浜松で行いますが、お骨は五十日祭の時に名古屋の樹木葬墓に埋葬する予定です。その際に亡父のお骨も一緒に埋葬するつもりです。
このため急いで墓じまいの手続きをしないといけません。
出典: 墓参りの後は母の万一に備えきょうだいで打合せ(リタイアおじさんの絵日記)(台帳: V0033)
父と決めて墓じまいをし、同じ寺の永代供養墓へ遺骨を移した人(個人ブログ・はてなブログ)
ですが、1年後にこの墓地に更に永代供養墓が増設されました。(私達が行った時は工事中でした)
それは5万円~25万円の志で納骨できる永代供養墓となっていました。
5万円=最初から合葬される合葬墓所
10万円=合葬の樹木葬
25万円=1区画(30×30ほど)各家個人の墓地として納骨できる
出典: 【終活】墓じまいをして新たに永代供養墓を購入したお話です。(りかさんのぼっちブログ)(台帳: V0012)
義父の遺骨を、樹木葬の中にある永代合祀墓へ移すと決めた人(個人ブログ・アメブロ)
あとは義理実家の役所に手続きして、遺骨をお迎えにいき、今回契約した永代合祀墓に納骨します
そしたら完全に義理実家のお墓は墓じまい
出典: 永代合祀墓の見学(アメブロ)(台帳: V0092)
