まず結論から
- 墓じまいの日の供え物は、花・線香・ろうそくと、菓子や果物が目安です。天台宗と日蓮宗の公式が、お墓参りに持っていく物として挙げる品です。
- 食べ物や飲み物は、お参りが終わったら持ち帰ります。日蓮宗は、花以外の供物を持ち帰り、集まった人でいただくよう勧めています。
- 何をいくつ用意するかは、法要を頼む寺に確かめます。曹洞宗の公式は、仏事のしきたりは地域や寺で様々だとして、菩提寺(先祖の墓があり、法事を頼んできた寺)に尋ねるよう求めています。
- 呼ばれた親戚は、品物より現金の「御供物料」を包むのが一般的です。線香や供え物は、法要を営む家が用意するためです。
- 移した先の合葬墓(ほかの人の遺骨と一緒に納める墓)では、供えられる物が限られます。福岡市と鹿児島市の合葬墓は焼香と献花までで、食べ物は置けません。
墓じまいの日、何を供えればいいのか
墓じまいでは、墓石を片付ける前に、墓の前で法要を営みます。日蓮宗の公式は、改葬(遺骨を別の墓へ移すこと)で墓石を処分するときは、必ず「御霊抜き」の法要を営むとしています。その法要に先立って、墓を掃除した人の記録です。
祖母が建てた山の中の墓をしまった当事者(個人ブログ・note)
恥ずかしながら、これが私にとって最初で最後のお墓掃除となりました。
母がお墓参りに行きたがらず、掃除もしていなかったのをいいことに、私もしたことがなかったのです。
墓は、雑草や木の根に覆われていました。法要の当日は、花と少しの果物、線香を供えて、読経してもらっています。天台宗の公式は、お墓参りに特別な作法はないとしています。
出典: お墓じまい⑥閉眼供養(note)(台帳: V0063)
お墓参りに持っていく物は、宗派の公式が挙げています。天台宗は一例として、日蓮宗はお墓参りで具体的に何をするかの答えとして書いています。
| 用意する物 | 天台宗の公式 | 日蓮宗の公式 |
|---|---|---|
| 花 | お供え用に、お花 | 花 |
| 線香・ろうそく | 線香・ろうそく・マッチ | ローソク・線香 |
| 食べ物・飲み物 | 菓子・果物・飲み物と、それらを置く半紙など | 供物。故人の好物などを用意する |
| 数珠など | 輪袈裟・数珠・経本 | 数珠 |
| 掃除の道具 | たわし・ほうき・ぞうきん・バケツ・ゴミ袋など。バケツやひしゃくは霊園で借りられるので、事前に調べておく | 掃除道具。お寺に用意がある場合もある |
どちらの公式も、墓を掃除してから供え、線香をともしてお参りする順で書いています。花や香、供物を供えることを、天台宗は「利供養」と呼びます。曹洞宗も、施主(法要を営む人)が仏さまに飲食や花を供え、読経をすることを供養と説明しています。
法要の呼び名や、営むかどうかの考え方は、魂抜き(閉眼供養)の記事にまとめています。
何を誰が用意するのか。いくつ要るかは誰に聞くのか
花は何束か、果物はいくつか。施主が持っていく物と、ほかの人が整えてくれる物はどう分かれるのか。義父母の墓をしまった人の、法要の日の記録です。
夫を亡くし、義父母の墓をしまった当事者(個人ブログ・アメブロ)
持ち物もすっかり準備してあったので、あとはお焚き上げしていただく古いお位牌を白いタオルで包んで紙袋に入れるだけ。
お供え物やお花、線香などの荷物を車に積んで墓地に向かうと、もう石材店の社長さんは到着していました。
正午からの法要でした。墓前には水桶と柄杓が置かれ、花も飾ってもらえました。線香には、社長がバーナーで火をつけています。曹洞宗の公式は、地方ごとの慣習を事前に菩提寺に聞くよう勧めています。
出典: 墓じまい。閉眼供養が終わりました。(アメブロ)(台帳: V0095)
何をどこまで用意するかは、寺や地域で違います。曹洞宗の公式は、仏事の執り行われ方は地域の慣習や伝統、しきたりで様々で、全国的にみれば統一できる状況にないと答えています。そのうえで、しきたりは菩提寺に直接尋ね、指示を受けるよう求めています。日蓮宗も、法要は菩提寺の住職に相談するとよいとしています。
迷うのは珍しいことではありません。全日本仏教会と大和証券は2024年12月、全国の20〜79歳に、葬儀や法要で不安なことを項目ごとに尋ねました。回答の偏りを補正した後の6,192人のうち、「葬儀や法要に何が必要か分からない」にあてはまる人は57.9%でした。
いちばん低いのは、菩提寺がある60代以上の41.3%でした。どちらの層でも、年代が若いほど「分からない」が多くなっています。
墓石の撤去を頼む石材店は、複数の店から見積もりを取り、内訳を比べて選びます。北九州市も、市営霊園の案内で、複数の業者から見積りを取るよう勧めています。費用の内訳は墓じまい費用の記事に、寺に包むお布施の額はお布施の記事にまとめています。
供えた物はどうするのか。移した先では何を供えられるのか
お参りが終わったら、食べ物や飲み物は持ち帰ります。天台宗の公式は、お供えの食べ物や飲み物は持ち帰るよう心掛け、借りた用具は戻すよう書いています。日蓮宗は、花以外の供物を持ち帰り、仏壇に供える物と同じように参会者でいただくよう勧めています。
遺骨を移した先では、供え方の決まりが変わることもあります。母の遺骨の納め先を探して、納骨堂を見学した人の記録です。
両親が生前に買い、使わないままだった霊園の墓を返した当事者(個人ブログ・note)
音もなくデモ用のコンテナが運ばれてきて、扉が開くと、なるほどそこは墓である。墓にしか見えない。左右に造花が飾られ、焼香できる。火は使えない。生花や供物は墓参り時に並べることができるけれど、墓参りが終わったら共用の場所に移すか持ち帰るかする。
カードをかざすと、遺骨の入ったコンテナを機械が運んでくる室内の納骨堂です。書き手はこの納骨堂と契約し、母の遺骨を納めました。札幌市の合同納骨塚も、供え物は必ず持ち帰るよう求めています。
出典: 399 お墓の話(note)(台帳: V0126)
公営の墓地や合葬墓の案内から、供え物の決まりを並べます。
| 墓地・施設 | 供え物の決まり |
|---|---|
| 都立霊園 | 菓子やくだものなどの供物は持ち帰る。線香や花は霊園では売っておらず、近くの石材店や花屋で買える。 |
| 旭川市の市営墓地 | 近くでもヒグマなどの出没情報があるため、お参りが終わったら持ち帰る。 |
| 豊田市の古瀬間墓園 | 食品・飲料などの供物は、野生動物の被害を防ぐため、参拝後に必ず持ち帰る。 |
| 札幌市の合同納骨塚 | 屋外の供花台の前でお参りする。花と供え物をする程度で、線香や僧侶の読経は遠慮する。供え物は必ず持ち帰る。 |
| 福岡市の合葬式墓所 | 屋外の参拝所で焼香と献花ができる。食料品などは置けない。読経などもできない。 |
| 鹿児島市営合葬墓 | 参拝所で焼香と献花ができる。飲食品などは置けない。読経など宗教的な儀式もできない。 |
香の扱いも分かれます。福岡市と鹿児島市の合葬墓は参拝所で焼香ができ、札幌市の合同納骨塚は線香をあげるのを遠慮するよう求めています。移す先の決まりは、申し込みの案内に書かれています。
移す先の選び方は墓じまいで骨はどうなるかの記事に、ほかの遺骨と一緒に納める合祀の意味と注意点は合祀の記事にまとめています。
呼ばれた親戚・参列者は、お供えを持っていくのか
法要に呼ばれた側は、品物より現金を包むのが一般的です。全日本冠婚葬祭互助協会は、以前は法要にも線香や供え物を持っていったと書いています。それらは喪家(法要を営む家)が用意するので、代わりに現金を供えるのが一般的だそうです。真宗大谷派も、供物や供花を持参する人より、金封(お金の包み)と菓子折りを持って行く人のほうが一般的になっているようだと書いています。
品物で供えるときの目安も、同じ互助協会の案内にあります。
| 品物で供えるなら | 互助協会の案内 |
|---|---|
| 何を | 生花、果物、菓子類。上質の線香やろうそくでもよい。 |
| いつ届けるか | 供物は祭壇に飾るので、贈るときは早めに届ける。 |
| 参会者が多いとき | 喪家の都合を考え、「御供物料」「御花料」としてお金を包んだほうが無難。 |
| 現金に菓子を添えるか | 特に必要はない。故人がとりわけ好きだった菓子を添えるのは、行き届いた心づかい。 |
曹洞宗の表書きの一覧では、「御供」は葬儀の際に霊前に供える花や菓子・果物に、「御供物料」はその代わりに添える金包みに使う語です。
包むお金の表書きと額は親戚が包むお金の記事に、菓子折りの掛け紙はお寺への手土産の記事に、当日の服装は服装の記事にまとめています。
まとめ
墓じまいの日の供え物は、花・線香・ろうそくと、菓子や果物が目安です。天台宗と日蓮宗の公式が、お墓参りに持っていく物として挙げる品です。食べ物や飲み物は、お参りのあと持ち帰ります。
何をいくつ用意するかは、地域や寺で違います。迷ったら、法要を頼む菩提寺の住職に尋ねましょう。墓石の撤去を頼む石材店は、複数の店から見積もりを取って比べます。
移した先の合葬墓では、食べ物を置けない所があります。呼ばれた親戚は、品物より御供物料を包むのが一般的です。
墓じまいで花や線香を用意し、供えた3人の口コミ
最後に、墓じまいの前後に花や線香を用意した人の記録から、一節ずつ紹介します。
菩提寺に離檀を申し出て、閉眼供養の準備を住職から聞いた当事者(note)
雨が降ったら、延期。 小雨くらだったら決行。 花束を2つとお線香を用意するように言われました。
出典: 菩提寺でついに「離檀」。墓じまいの費用と本音、全部書く(note)(台帳: V0067)
いとこ9人で祖父母の墓をしまい、寺の敷地内の合祀墓へ納めた当事者(note)
・ 墓石を開けた状態で、お墓の前で読経、お焼香(閉眼供養)
・ 骨壺を取り出し、汚れを拭いてから合祀墓へ
・ 扉を開けた状態の合祀墓の前で読経、お焼香(永代供養)
・ 合祀墓の扉を閉める
・ 花と線香を供え、合祀墓に水をかけて手を合わせる
出典: いとこ9人で墓じまい。きっかけ、しまい方、費用。そして墓参りは続く…(note)(台帳: V0071)
父と実家の墓をしまい、同じ寺の永代供養墓へ移した当事者(はてなブログ)
その区画に献花台は1つです。
なので「この前お供えした花がもう枯れてしまっただろうか?」と心配しなくても、その区画を契約しているどなたかがたえずお花を交換してくれます。
出典: 【終活】墓じまいをして新たに永代供養墓を購入したお話です。(はてなブログ)(台帳: V0012)
