まず結論から
- 挨拶状に書くのは、墓じまいをしたこと、遺骨を移した先、移した理由の3つです。移した先と理由は、遺骨を移す許可(改葬許可)の申請書に書く項目でもあります。
- 事前の相談やお願いは、封書で送ります。日本郵便は、頼みごとの手紙は、はがきに書ける長さでも封書にするほうがよいとしています。
- 挨拶状を、親戚への最初の知らせにしないようにします。株式会社フーフーが2026年2月に墓じまいの経験者100人に聞いた調査では、最も大変だった工程は「親族との話し合い・合意形成」が45%で最多でした。
- お寺には、決めてから伝えるのではなく、はじめに相談します。浄土宗の公式サイトは、そう勧めています。
挨拶状に書く3つと、報告の作例
挨拶状の中身は、役所に出す書類と重なります。墓地埋葬法の施行規則は、改葬許可の申請書に「改葬の理由」と「改葬の場所」を書くよう定めています。許可を申請した人は、この2つを一度書いています。
| 書くこと | 書き方の手がかり |
|---|---|
| 墓じまいをしたこと | どこにあった、誰の墓を、いつしまったか。 |
| 遺骨を移した先 | 新しい納骨先の名前と所在地です。申請書の「改葬の場所」にあたります。 |
| 移した理由 | 申請書の「改葬の理由」にあたります。長く書く必要はありません。 |
理由の書き方は、調査の数字が手がかりになります。鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」を通じて資料請求や霊園見学をした人のうち、改葬や墓じまいを検討・実施した人に聞きました。有効回答は733件です。検討した理由は「お墓が遠方にある」が52.0%で最も多く、「お墓の継承者がいない」が44.1%で続きました。移す先がまだ決まっていないなら、墓じまいで骨はどうなるかの記事が先です。
次の作例は、工事と支払いを終えたあとに、親戚へ送る報告です。〇〇の所を、ご自分の事情に置き換えてください。過去帳は、亡くなった人の戒名や命日を書き留めた帳面です。
| 作例1 墓じまいを終えたあとの報告(親戚へ) |
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拝啓 皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。 さて、〇〇寺にありました〇〇家の墓を、〇月に墓じまいいたしました。 墓が遠方にあり、この先のお参りと管理が難しくなったためです。 遺骨は、〇〇寺の永代供養塔に納めていただきました。 所在地は〇〇県〇〇市〇〇町です。お近くにお越しの際は、お参りいただければ幸いです。 過去帳の写しを同封いたします。 長いあいだ墓を気にかけてくださり、ありがとうございました。 敬具 〇年〇月〇日 〇〇〇〇 |
墓じまいを終えたら、誰に、何で知らせるのか
報告は、手紙にするか、はがきにするか、メールで済ませてよいのか。次は、墓じまいを終えた人が、親戚に知らせた場面です。
本家の一人娘で、実家の墓をしまい、遺骨を代々のお寺に託した当事者(個人ブログ・アメブロ)
93歳の叔母(最後の)に報告の手紙を書き、いとこ達にはLINEやメールを。ついでに過去帳の写真も撮って送りました。彼らにとってもご先祖様。
石材店から更地の写真が届き、残金を振り込んで、すべて終えたあとの報告です。翌週には、付き合いのないはとこにも知らせるつもりだと書いています。日本郵便は、手紙のほかに同封する物があれば、便せんは1枚でもかまわないとしています。
出典: 全て完了しましたー墓じまいー(アメブロ)(台帳: V0118)
手段は、伝える中身で選びます。日本郵便と曹洞宗の案内を、場面ごとに並べます。
| 伝えること | 手段の手がかり |
|---|---|
| 事前の相談・お願い | 日本郵便は、頼みごとの手紙や他人に見られたくない手紙は、はがきに書ける長さでも封書にするほうがよいとしています。 |
| 法要への案内 | 曹洞宗は、近親者だけの法事なら電話連絡だけでもすむとしています。故人に縁の深い人を招くなら、案内状を出すのが丁寧だとしています。場所までの案内図も書き添えるとよいそうです。 |
| お礼 | 日本郵便は、礼状も手紙のほうが丁寧だとしつつ、場合によってはがきと使い分けるよう勧めています。 |
曹洞宗は、法事の案内状に定型はないとも書いています。作例は、言い回しの目安として使ってください。
挨拶状の前に、親戚に話しておく
報告の挨拶状が、親戚にとって最初の知らせになることがあります。次は、実家の父の墓をしまった人が、自分の進め方を振り返った一節です。
実家の代々のお寺にあった父の墓をしまい、遺骨を散骨した当事者(個人ブログ・note)
本来ならここで、親戚筋に話すべきだけど、わたしは省略した。もう、父方の親戚との付き合いはないし、母方のほうも父の墓に墓参りするひとは誰もいなかったからだ。わたしの一存で決めた。
これから墓じまいを考えてる方は、親戚との話し合いもしましょう。
母と姉に墓じまいを切り出し、反発されながらも納得してもらった直後の判断です。墓じまいは2014年7月でした。横浜市も、手続きを始める前に親族内で話し合うことが必要だとしています。
出典: 汚実家片付け番外編 『墓じまい〜散骨』② 具体的な流れ(note)(台帳: V0003)
経験者への調査でも、話し合いは最も大変な工程に挙がりました。株式会社フーフーは2026年2月、墓じまいの経験がある100人にインターネットで聞きました。最も大変だった工程(複数回答可)は、「親族との話し合い・合意形成」が45%で最多でした。「お寺への相談」が28%で続きます。
東京都の消費生活の情報誌「東京くらしねっと」も、墓への考え方は家族の中でも違いうるとして、家族や親族間で事前に十分話し合うよう勧めています。国民生活センターの月刊誌「国民生活」の特集も、墓じまいに臨む前に、なるべく多くの親族と相談するよう書いています。
ですから、最初の手紙は、決めたことの報告ではなく、相談にします。頼みごとの手紙なので、封書で送ります。
| 作例2 墓じまいを考え始めたときの相談(叔父・叔母へ) |
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拝啓 皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。 さて、〇〇にある〇〇家の墓のことで、ご相談があり筆をとりました。 私どもは〇〇に住んでおり、墓参りと管理を続けることが難しくなってきました。 そこで、墓じまいをして、遺骨を〇〇へ移すことを考えています。 まだ何も決めてはおりません。叔父様のお考えを、ぜひお聞かせください。 近いうちにお電話をして、ご都合をうかがいます。 敬具 〇年〇月〇日 〇〇〇〇 |
お寺には、手紙で切り出してよいのか
先祖を弔ってもらっているお寺は「菩提寺」と呼ばれます。菩提寺があると、住職にどう切り出すかで迷います。次は、檀家をやめるときに包むお金(離檀料)を心配しながら、住職に連絡した人の記録です。
文政年間から地方の菩提寺にあった先祖代々の墓を、都心の集合墓へ移した当事者(個人ブログ・note)
まずは長年お世話になった菩提寺の住職へ、墓じまいをしたい旨を電話で相談しました。メディアで耳にする高額な「離檀料」を巡るトラブルが不安でしたが、住職は私たちの事情を深く理解してくださいました。
家族は県外に移り住み、子どもたちも都心で暮らしていました。200年近く続いた墓を動かす、最初の一歩です。浄土宗の公式サイトも、移す先を決めて手続きを終えてから結論を伝えるのではなく、はじめに相談するよう勧めています。
出典: 「改葬」という選択の体験記(note)(台帳: V0018)
切り出し方で苦労した人は、調査でも最も多くいました。株式会社フーフーは2026年3月、檀家をやめた(離檀した)経験がある100人に聞きました。離檀の手続きで最も苦労したことは、「お寺(住職)への切り出し方」が39%で最多でした。
困りごとが無かった人も少なくありません。同社が墓じまいの経験者100人に聞いた2026年2月の調査では、離檀をめぐって困ったことは「とくにない」が58%で最多でした。「離檀そのものを強く引き止められた」は24%でした。お寺に包むお金の額は、墓じまい費用の記事にまとめました。
手紙で切り出すなら、相談の時間をいただきたいという一通にします。浄土宗が勧めるとおり、結論を伝える文面にはしません。
| 作例3 お寺への相談のお願い(住職へ) |
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拝啓 日頃より〇〇家の墓をお守りいただき、ありがとうございます。 私どもは〇〇に住んでおり、墓参りに通うことが難しくなってまいりました。 つきましては、墓の今後について、ご住職にご相談させていただけないでしょうか。 あらためてお電話をさしあげ、お伺いする日をご相談いたします。 敬具 〇年〇月〇日 〇〇〇〇 |
まとめ
墓じまいの挨拶状に書くのは、墓じまいをしたこと、遺骨を移した先、移した理由です。移した先と理由は、改葬許可の申請書にも書く項目です。相談やお願いを含む手紙は、はがきに書ける長さでも封書にします。
挨拶状を最初の知らせにせず、親戚とは手続きの前に話し合い、お寺にははじめに相談します。墓じまいの経験者100人への調査で、最も大変だった工程の1位は親族との話し合いでした。作例の〇〇を置き換えて、報告・相談・お願いの場面に使ってください。
墓じまいの前後に、書面をやり取りした3人の口コミ
最後に、親戚やお寺と書面をやり取りした3人の記録から、一節ずつ紹介します。
菩提寺に墓じまいと離檀を申し出た当事者(個人ブログ・note)
「墓じまいのお願い」 と言った書類を書いてもらうように言われていた。
こちらで書類を作って、墓じまいのお願いと言うようなものを作り
母に署名捺印してもらい、持って行った。
出典: 菩提寺でついに「離檀」。墓じまいの費用と本音、全部書く(note)(台帳: V0067)
三姉妹で寺の墓をしまい、墓じまいの法要に出た当事者(個人ブログ・note。引用の中のかぎかっこは住職の奥様の言葉)
すると、再び住職の奥様。手にはパソコンからのプリントアウトと思しき用紙を持っている。
「過去帳をお調べして、13柱分のわかる限りの戒名と俗名の一覧です。大正時代のものもありまして、手書き文字が解読できなかったところもあり、不完全ではあるのですが…」
見ると、命日と俗名、戒名が印字されている。
出典: 墓じまい③ 〜無理ゲーと思われた壁に、自動ドアがついていた件〜(note)(台帳: V0060)
