まず結論から
- 墓じまいをした人・考えている人で最も多いのは、70代の男性、次いで60代の男性です。全石協が2023年12月、40代以上の経験者41人と検討者141人に聞いた結果です。
- 関心が最も高いのは60代です。全石協が2026年4月に40〜70代の500人に聞くと、経験・検討中・将来検討の人は60代で53.2%でした。経験した人の割合は70代以上が最も高くなっています。
- 若い世代にも、墓を移したい人はいます。菩提寺(代々付き合ってきた寺)がある20〜50代では、18.5〜21.4%が墓を移したいと答えました。全日本仏教会と大和証券の2024年12月の調査です。
- 改葬(遺骨を別の墓へ移すこと)の許可の決まりに、年齢の条件は書かれていません。条件があるのは移す先の一部です。大阪市の瓜破霊園の合葬式墓地(ほかの人の遺骨と一緒に納める墓)は、生前予約を満65歳以上としています。
- 親が動けなくなっても、名義人でない子が、名義人の承諾書を添えて申請できます。撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取ります。北九州市も市営霊園の案内で勧めています。
墓じまいは何歳ぐらいでする人が多いのか
墓じまいは、定年や還暦を過ぎてから考えるものなのでしょうか。まず、60歳を目前にして、墓じまいを「やること」に挙げた人の記録です。
60歳を目前に、両親が入る墓など3つの墓をどうするか考え始めた人(個人ブログ・note)。子は成人した娘が1人
60歳を目の前にして、これはやろう(やらねば)と思った「自分的5大事業」。
親の葬式と相続
身の丈に合った生活への移行
墓じまい ←今回はこれ
残りの人生のための収支計画
子供の結婚
今回は、墓じまいです。
やりたいことは、はっきりしています。
「今後は、墓参りを含む法事や管理が求められない状態」にすること。
墓は、父母が入る墓のほか、弟と妻の両親が入る予定の墓の3つです。墓じまいは、今の父が亡くなったあとに進めるつもりだといいます。全石協の2026年の調査でも、関心が最も高い年代は60代でした。
出典: 自分的5大事業③ 墓じまい(note)(台帳: V0110)
墓じまいと年代の関係がわかる調査を、3つ並べます。聞いた相手がそれぞれ違うので、時期と対象を添えます。
| 調査(時期・対象) | 年代についての結果 |
|---|---|
| 全石協(2023年12月・全国の40代以上で、墓じまいをした41人と検討中の141人) | どちらも、最も多いのは70代の男性で、次が60代の男性です。 |
| 全石協(2026年4月・全国の40〜70代の500人。男性が76.6%) | 経験・検討中・将来検討の人は、合わせて42.8%です。60代は53.2%で、年代で最も高い割合でした。70代以上は経験した人の割合が最も高く、「将来もするつもりはない」も60.0%です。 |
| マクロミル(2018年10月・全国の20〜79歳の2,000人) | 墓に限らない終活をしている人は11%で、上の年代ほど高い傾向です。60代の女性は23%、70代の女性は30%でした。 |
全石協は、70代以上が、すでに決めた人と関心の薄い人に分かれている可能性があると書いています。関心が最も高いのは60代、経験した人の割合が最も高いのは70代以上です。どんなきっかけで決めたかは、墓じまいをした人の記事にまとめました。
30代・40代で考えるのは早すぎるのか
墓のことを考えるのは、親の世代だけではありません。20代で母方の祖父を見送り、母と一緒に手続きを手伝った人の記録です。
20代で母方の祖父を見送り、母と書類を手伝った30代の孫(個人ブログ・note)
墓も、作ったら終了ではありません。
管理する人がいる。お寺と話す人がいる。お金を払う人がいる。 私は自分の代で終わる可能性が高いので、自分は樹木葬など、 後の人が管理し続けなくていい形 で十分です。
祖父が生前に用意した永代供養には、後から毎年お寺への支払いがあると分かりました。母からも、保険で墓まで済ませてほしいと頼まれています。墓を移したい人は、20〜50代にもいます。
出典: 災害、葬式、負動産。アラサー、人生から終活教材を配布された話(note)(台帳: V0028)
全日本仏教会と大和証券は2024年12月、全国の20〜79歳にインターネットで聞きました。継ぐ墓がある人(集計3,292人)に、墓を今の場所からほかへ移したいかを尋ねています。設問の言葉は「墓じまい」ではなく、墓の移動です。
菩提寺がある人では、20・30代と40・50代の18.5〜21.4%が、移したいと答えました。60代以上は、都心に住む人で17.6%、地方に住む人で11.7%です。
報告書は、菩提寺の有無にかかわらず、60代以上では「移したくない」の割合が高まる傾向があるとまとめています。菩提寺があって地方に住む60代以上では、47.5%が「移したくない」でした。
終活を始める時期も、年齢だけでは決まりません。マクロミルの2018年の調査では、今後終活をしたい人の22%が、結婚や子・孫の誕生など「ライフステージに合わせて」始めたいと答えました。自分の代で墓を終えるときの入る先は、一人っ子・独身の墓じまいの記事で扱っています。墓を移したい理由の並びは、墓じまいが増えている理由の記事にまとめました。
親が高齢で墓へ通えなくなったら、誰が進めるのか
年齢で気になるのは、本人がいつまで自分で動けるかです。90代の親の一言から、子の世代が墓じまいを調べ始めた記録です。
94歳の妻の父が、兵庫にある墓を東京へ移したいと言い出した娘婿(個人ブログ・note)。妻と妻の姉の家族で調べ始めた
しかも、当事者は94歳と91歳。 結局、実際に調べたり、連絡を取ったり、手続きをしたりするのは、妻とその姉の世代になりそうです。 特に関西に住んでいる妻の姉には、どうしても負担がかかります。
91歳は義父の弟です。義父が建てた墓に納めた妻の遺骨を、妻の実家の墓へ移したいと言い出しました。墓の名義人でない子が申請するときは、名義人の承諾書を添えます。
出典: 墓じまい編①94歳の義父が突然、「墓を東京に持ってくる」と言い出しました。(note)(台帳: V0042)
本人が動けなくなったときに、代わりに動く人と仕組みを並べます。
| 誰が・どの仕組みで | 確かめられたこと |
|---|---|
| 子や家族が申請する | 墓の名義人(墓地使用者)でない人が改葬を申請するときは、名義人の承諾書を添えます。書類は墓じまいの書類の記事にあります。 |
| 親に成年後見人がいる | 町田市と府中市は、後見人が申請するときに、成年後見の登記事項証明書と、後見人の本人確認書類などを求めています。進め方は祭祀承継者の記事で扱っています。 |
| 判断能力が落ちる前に備える | 判断能力が低下したときに備えて、任意後見制度を使ったり、遺言を用意したりする方法があると、参議院の調査資料(2008年)は挙げています。 |
| 亡くなったあとの納骨を頼む | 生前契約にもとづき、遺骨の引取りや納骨などを家族に代わって行う市民団体などのサービスも出てきたと、同じ資料は書いています。死後の事務を、信頼する身近な他人に頼みたい人が増えていると、月報司法書士(2015年)の石川美明氏の解説は書いています。 |
代わりに動く人が決まったら、撤去工事は複数の石材店から見積もりを取ります。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。市営霊園の手続きは北九州市の墓じまいの記事にあります。
石材店や代行に頼める範囲は墓じまい業者の記事に、費用は墓じまい費用の記事にまとめました。費用が払えないときはお金がないときの墓じまいの記事を、名義人の親が元気なうちに決めておくことは義母の墓じまいの記事を見てください。
墓じまいに年齢の決まりはあるのか
墓地、埋葬等に関する法律は、改葬をする人に、市町村長の許可を受けるよう定めています。法律と施行規則の改葬の定めに、年齢の条件は書かれていません。
年齢の条件があるのは、移す先の一部です。決まりと、よく言われてきた言葉を並べます。
| どこで | 年齢について |
|---|---|
| 墓地、埋葬等に関する法律と施行規則 | 改葬の許可の定めに、年齢の条件は書かれていません。 |
| 大阪市設瓜破霊園の合葬式墓地(2026年度の募集) | 生前予約は、大阪市に住民登録が3か月以上ある、満65歳以上の人です。本人が直接申請しにくければ、代理人が申請できます。 |
| 札幌市の合同納骨塚 | 生前予約は受け付けていません。札幌市営の霊園・墓地を返す人は、札幌市民でなくても使えます。 |
| 2018年の週刊誌の記事 | 「墓じまいをする適齢期は75歳でしょう」。問芝志保氏の2022年の論文が、報道の語り口の例として記録しています。 |
生前に申し込める公営の墓の条件は、市ごとに違います。前橋市や宇都宮市の例は一人っ子・独身の墓じまいの記事に、報道の言い方は墓じまいブームの記事にまとめました。大阪市と札幌市の手続きは、大阪市の記事と札幌市の記事で確かめられます。
年齢のほかに、日取りや暦を気にする人もいます。墓じまいに良い日の記事と六曜の記事にまとめました。
まとめ
全石協の2023年の調査では、墓じまいをした人・考えている人で最も多いのは70代の男性、次いで60代の男性でした。関心が最も高いのは60代で、菩提寺がある20〜50代にも墓を移したい人がいます。改葬の許可の決まりに年齢の条件は書かれておらず、条件があるのは大阪市のような移す先の一部です。
親が動けなくなっても、子が名義人の承諾書を添えて申請できます。撤去工事は、複数の石材店に見積もりを頼みます。北九州市も市営霊園の案内で勧めています。手続きの全体は、墓じまいと改葬の違いの記事と墓じまいとはの記事で確かめられます。
年を重ねて墓じまいに向き合った人と、支えた人の口コミ
最後に、50代で建てた墓を返した夫婦を見送った人、息子のすすめで決めた人、本人の代わりに立ち会う人の記録から、一節ずつ紹介します。
50代半ばの夫婦が20年前に求めた区画の返還を受け、工事に立ち会った青森の霊園で働く人(note)
20年前には、「子どもに迷惑をかけないため」に建てたお墓を、20年後には、「子どもに迷惑をかけないため」に解体することになった。
願っていることは、たぶん何も変わっていない。 ただ、そのために選ぶ方法が、20年の間に正反対になった。
出典: 一度も使われなかったお墓を、今日、解体した。(note)(台帳: V0049)
夫が車を手放したあと、息子に墓じまいをすすめられて決めた人(アメブロ)。墓は夫が建てたもの
「 新しいお墓は用意する から
墓じまいをして」
この時
「墓じまい」 がストンと腑に落ちて
歳を重ねるということは
こういうことかと思い知る
出典: お盆と墓じまい(アメブロ)(台帳: V0077)
地域のお年寄りの支援で独立し、墓じまいの支援を重ねてきた人(note)
・墓じまいの立ち合い ※ご本人がいけないことが多く、代わりに現地に行き立ち会わせていただきます。
出典: 高齢者の支援 ~墓じまい~(note)(台帳: V0044)
