まず結論から
- 義母が元気なうちに、義母本人に決めてもらいます。名古屋市の市営霊園(八事霊園・愛宕霊園)は、墓じまいができるのは名義人で、名義人が亡くなったままではできないと案内しています。
- 話は親の側から出ることもあります。終活協議会が2026年6月に終活ガイド資格の取得者860人に聞くと、親から墓や供養の相談・話を持ちかけられた人は38.8%でした。
- 存命中に名義を移せる市営霊園もあります。札幌市は双方の合意など4つの条件で「譲渡」を認め、名古屋市は健康状況などで管理できないと認めれば、存命中の承継(名義を継ぐこと)を認める場合があります。
- 自分の実家の墓もあるなら、2つの家の墓を夫婦で並べて考えます。夫婦1組で両家の墓を継ぐ事態が生じていると、参議院の調査資料(2008年)は書いています。
- 撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取ります。北九州市も市立霊園の案内で勧めています。
義母が「墓じまいする」と言ったら、夫婦で何を決める?
改葬(遺骨を別の墓へ移すこと)を申請できるのは、原則として墓の名義人だと八王子市は案内しています。義母が名義人なら、決めるのは義母です。そのうえで、夫婦で話しておくことが残ります。嫁の立場でできることは、墓じまいは嫁がするものかの記事で扱っています。
夫は長男で、地元を離れて暮らす嫁(アメブロ)。義実家の墓は、急な斜面を登り降りする市営墓地にある
墓じまいの日程は義弟が調整してくれるので今のところ未定ですが翌日、お墓参りの際にお墓に眠る義父にその旨を報告してきました。
義父は理解のある人だったので、きっとわかってくれることでしょう。
帰省中、孫たちがそろった会食の席で、義母のほうから墓じまいを決めたと口にしました。費用は長男の夫が持ち、遺骨は筆者の両親も眠る寺の納骨堂へ移すと決まりました。名古屋市の市営霊園も、遺骨の移動先は名義人が決めると案内しています。
出典: 帰省と墓じまいのこと(アメブロ)(台帳: V0104)
終活協議会は2026年6月、終活ガイド資格(3級・2級)の取得者860人にインターネットで聞きました。両親から墓や供養の具体的な相談を受けた人は12.9%、それとなく話題に出された人は25.9%で、合わせて38.8%でした。親がすでに亡くなっている・話せる状況にない人は8.5%です。
huhuの「わたしたちの墓じまい」は2026年2月、墓じまいの経験者100人に聞いています。最も大変だった工程は「親族との話し合い・合意形成」で、45人が挙げました(複数回答)。親戚への伝え方は、墓じまいの挨拶状の記事にあります。義母が決めたら、夫婦で次の4つを話しておきます。
| 決めること | 確かめられたこと |
|---|---|
| 撤去工事の見積もり | 日本石材産業協会が2023年に会員の石材店に聞いた調査では、見積もりの単位(積算の仕方)が店によって違いました。複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて比べます。北九州市も市立霊園の案内で勧めています。比べ方は墓じまい費用の記事にあります。 |
| 誰の名前で申請するか | 名義人の義母が申請するか、夫などが申請して名義人の承諾書を添えます。町田市は、承諾書を名義人の直筆で求めています。書類は墓じまいの書類の記事で扱っています。 |
| 遺骨を移す先 | 名古屋市の市営霊園の案内も、墓じまいですることの1つ目に、遺骨の移動先を決めることを挙げています。選び方は墓じまいで骨はどうなるかの記事にあります。 |
| 費用を誰が持つか | 名古屋市の市営霊園は、撤去工事の費用を名義人の負担と案内しています。身内での分け方は親戚が包むお金の記事に、総額は墓じまい費用の記事にあります。 |
義母が元気なうちに、何を決めておけばいい?
義母から話が出ないときは、どうするか。同じ終活協議会の調査では、家族に話を切り出したいのに、まだ切り出せていないと感じる人が25.0%いました(強く感じる5.3%・ときどき感じる19.7%)。
長男として、墓参りの帰りに父へ墓じまいのつもりを伝えた人(note)。実の父との会話の記録
お墓に関することって、年を取ればとるほど近づいてくる、誰にでもある問題だと思う。差し迫ってから話をするのでも遅いので、元気なうち、冗談が交わせるぐらいのうちに、8割方具体的な行動も含めて固めておきたい。
墓参りのあと、父と2人でそばを食べながら墓の話になりました。父は好きにしてよいという考えで、樹木葬でやってほしいとも口にしています。切り出しにくい理由に「きっかけ・タイミングがない」を挙げた人は21.6%でした。
出典: 墓じまいをするつもり(note)(台帳: V0114)
切り出しにくい一番の理由を860人全員に聞くと、「特に切り出しにくいと感じていない」が35.5%で最多でした。理由では「きっかけ・タイミングがない」21.6%、「自分の中でも考えがまとまっていない」18.5%が続きます。切り出したいのに切り出せない人に絞ると、「考えがまとまっていない」が最多だったと終活協議会は書いています。
名義人が亡くなると、先に名義を継ぐ手続きが要る墓地があります。府中市は、使用者が亡くなっていれば、墓地で使用者を変えてから改葬を申請するよう求めています。義母が元気なうちなら、義母の承諾書を添えて夫が申請できます。義母の様子ごとに、市の案内を並べます。
| 義母の様子 | 名義と申請(市の案内) |
|---|---|
| 元気で、自分で決められる | 名義はそのままで、義母が申請するか、承諾書を書きます。 |
| 元気だが、墓の管理が難しくなった | 札幌市の市営霊園は、双方の合意、墓碑が建っていること、納骨済みであること、基本的に親族への譲渡であることをすべて満たせば、存命中の名義の「譲渡」を認めます。名古屋市の市営霊園は、健康状況などで適正に管理できないと認めれば、存命中の承継を認める場合があります。「生前で承継しておきたい」だけでは理由にならないとしています。札幌市の墓じまいの記事もあります。 |
| 認知症などで、自分で手続きできない | 町田市と府中市は、成年後見人が改葬を申請するときの書類を案内しています。進め方は祭祀承継者の記事で扱っています。 |
| 亡くなった(名義が義母か亡き義父のまま) | 名古屋市の市営霊園は、親族で話し合って決めた人が、名義の変更と返還を同時に申請します。府中市は、先に使用者を変えてから改葬を申請します。名古屋市の墓じまいの記事と、祭祀承継者の記事の表にまとめました。 |
自分の実家の墓もある。2つの家の墓をどう考える?
参議院の『立法と調査』(2008年)は、少子化で子どもが1人か2人になったと書いています。結婚した夫婦1組で両家の墓を継がなくてはならない事態も生じているといいます。
夫の家の墓を見てきた嫁(note)。墓は義父母の出身地の北陸にあり、夫婦も義父母も関東で暮らす
私の実家では、父の仕事の関係で、郷里のお墓を閉じ、両親が暮らしている場所へお墓を移した経験がある。
祖母が健在なうちに、「息子たちに迷惑をかけたくない」と、祖母が中心になってお墓の移動をした。
その経験があったからこそ、私はずっと、「いつかは、嫁ぎ先でもしなければならないこと」だと感じていた。
義母は生前、あの墓に入れないでほしいと話していましたが、義父は義母を北陸の墓に納め、墓を移すことを拒んでいます。名城大学の安藤喜代美氏の論文(2020年)は、夫方と妻方の両方をまつる「両家墓」が1980年代後半に現れたという整理を紹介しています。
出典: 【嫁の記録】墓じまいから見えてきたこと(note)(台帳: V0024)
安藤氏が紹介する整理では、1990年代以降に「墓の脱継承」が現れました。子孫が墓を管理し、祭祀(先祖をまつること)を営むことを前提としない葬り方です。終活協議会の調査では、「自分の代でお墓を終わらせてもよい」という考えに共感する人が61.1%でした。
2つの家の墓には、1つにまとめる道と、継ぐ人を前提としない形へ移す道があります。
| 形 | どんな形か |
|---|---|
| 両家墓 | 夫方と妻方の両方を対象にした墓です。1980年代後半に現れたと整理されています。 |
| 継ぐ人を前提としない永代供養 | 多くの寺院が、檀家関係を求めず、宗派を問わない永代供養を勧めています。供養の期間を限って預ける形です。選び方は墓じまいと永代供養の記事にあります。 |
| 樹木葬・散骨 | 墓碑や墓地の形を残さない葬り方です。扱いは墓じまいで骨はどうなるかの記事にあります。 |
自分たち夫婦の入る先まで一緒に考えるなら、一人っ子・独身の墓じまいの記事も参考になります。
まとめ
義実家の墓をしまうかは、義母が元気なうちに、義母本人に決めてもらいます。名古屋市の市営霊園は、名義人が亡くなったままでは墓じまいできないと案内しています。義母が元気なら、義母の承諾書を添えて夫が申請することもできます。自分の実家の墓もあるなら、両家の墓を夫婦で並べて考えます。
撤去工事は、複数の石材店に見積もりを頼みます。北九州市も市立霊園の案内で勧めています。比べ方は墓じまい費用の記事に、頼む先の種類は墓じまい業者の記事にまとめました。
義実家の墓をめぐる3人の口コミ
最後に、墓じまいを頼まれた親、義母の入る先を考えた嫁、妻の父の墓を調べ始めた娘婿の記録から、一節ずつ紹介します。
息子から墓じまいを頼まれ、一度は断ったのちに決めた母(アメブロ)。墓は夫が建てたもの
何年か前に息子から「うちは一人娘でゆくゆくお墓は継げないから墓じまい を考えて欲しい」と言われたのですが
出典: お盆と墓じまい(アメブロ)(台帳: V0077)
義父の遺骨を、義実家の墓から永代合祀墓へ移すことにした嫁(アメブロ)
義母もできれば同じところに入れたいよねー
生前予約する?とまでなったのですが、まだまだ空きは十分ありますということで今回は義父だけを契約してきました
出典: 永代合祀墓の見学(アメブロ)(台帳: V0092)
94歳の妻の父が兵庫の墓を東京へ移したいと言い出し、妻と妻の姉の家族で調べ始めた娘婿(note)。自分の墓も兵庫にある
実は、お墓の問題は私にとっても他人事ではありません。 私も今は東京で暮らしていますが、私自身のお墓は兵庫県にあります。 今はまだそのままですが、これから年齢を重ねていけば、いつかは私自身も「このお墓をどうするのか」を考えなければならない時が来ると思っています。
出典: 墓じまい編①94歳の義父が突然、「墓を東京に持ってくる」と言い出しました。(note)(台帳: V0042)
