まず結論から
- 墓じまいと永代供養は、どちらかを選ぶものではなく、続けて行う手順です。先に永代供養の預け先を決めてから、今の墓がある市区町村に、遺骨を移す許可(改葬許可)を申請します。大津市は、預け先が遺骨を受け入れると証明する書類(受入証明書)を、申請に添えるよう求めています。
- 墓石の撤去は、複数の石材店から見積もりを取って比べます。北九州市も、市営霊園の案内で複数の業者からの見積もりを勧めています。
- 骨壺のまま何年置くか、何体分として数えるか、ほかの人の遺骨と一緒に納めたあと(合祀)取り出せるかは、預け先ごとに違います。国民生活センターの月刊誌は、使用規則と料金表を見るよう勧めています。
- 今のお寺の永代供養墓へ移すときも、改葬許可は要ります。大津市と盛岡市は、同じ墓地の中で区画を移すときも許可が必要と案内しています。
- 預けたあとのお金は、預け先で違います。札幌市の合同納骨塚は1体9,100円の一括払いで、以後の管理料はかかりません。お寺では、年忌法要など仏事の費用が残ることがあります。
墓じまいと永代供養は、何が違うのか
墓じまいは、今のお墓の側で行うことです。神戸市は墓じまいを、遺骨を別のお墓や納骨堂に移したうえで、今のお墓を撤去することと説明しています。遺骨を別のお墓や納骨堂に移すことを、法律では「改葬」と呼びます。
永代供養は、取り出した遺骨の預け先の話です。厚生省(当時)が2000年に示した墓地経営・管理の指針は、将来にわたって墓の管理(供養)を経営者に任せる墓を「永代供養墓」と呼んでいます。寺院の永代供養墓を調べた2018年の論文は、たくさんの人の遺骨を1か所にまとめて納め、お寺が供養を続ける墓と定義しています。
墓じまいは今のお墓を片付けて返すこと、永代供養はその遺骨の預け先です。二つは順番につながっています。言葉の使い方は、宗派でも違います。浄土真宗本願寺派の大谷本廟は、永代供養という考え方は浄土真宗にはないと説明し、永代経という法要を毎日勤めています。
順番は次のとおりです。撤去の見積もりは、複数の石材店に頼みます。北九州市も、市営霊園の工事について、複数の業者から見積もりを取るよう勧めています。日本石材産業協会が2023年度に会員の石材店に尋ねた調査では、見積もりを積算する単位が、面積、体積、重量、一式などに分かれました。単位が店で違うので、額と内訳を並べて比べます。石材店の選び方は、墓じまい業者の記事にまとめました。
大津市の案内では、親族で話し合い、移す先を決めてから、今の墓地の管理者と打ち合わせます。受入証明書は、移動先の墓地の管理者が、遺骨を受け入れると証明する書類です。市役所から提出を求められる場合がある、と大谷本廟は案内しています。申請先は、移す先ではなく、今の墓がある市区町村です。許可証を移す先の管理者に出して納め、今のお墓は撤去して更地にし、返します。
大津市が「必要書類」に挙げるのは、次の3つです。
| 書類 | どこでもらうか(大津市の案内) |
|---|---|
| 改葬許可の申請書 | 市のページから取れます。遺骨1体に1枚要るので、複数なら人数分です。 |
| 埋蔵証明(遺骨が今の墓に納められている証明) | 今の墓地の管理者に、申請書の欄へ記入押印してもらうか、管理者が出す証明書をもらいます。 |
| 受入証明書 | 移す先の墓地の管理者からもらいます。使用許可証の写しなどでもよいとしています。 |
永代供養の預け先は、何を確かめて選ぶのか
鎌倉新書は2026年1月、お墓の情報サイト「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人のうち、改葬や墓じまいを検討・実施した人に調査をしました。墓じまいのあとの遺骨の移し先は、永代供養(合祀・合葬墓)が43.2%で最も多い回答でした。行き先ごとの割合は、墓じまいで骨はどうなるかの記事にまとめました。
同じ調査で大変だったことを尋ねると、38.8%が「遺骨の引っ越し(改葬)先選び」を挙げ、役所の手続きが続きました。市営霊園の墓をしまい、お寺の永代供養墓に移した人の記録です。
父を見送ったあと、姉と話し合い、市営霊園の墓の遺骨をお寺の永代供養墓に移した当事者(個人ブログ)
私がお願いしたお寺では、お墓から永代供養墓に移した場合の費用は骨壺1つに対して年間1万円でした。
30年供養してもらう場合は、30万円を最初に一括で支払います。
我が家のお墓には、3人の遺骨が入っていますので、30万円×3人で90万円になります。
父親を入れたら120万円です。
予想以上にかかるなと思ったら、住職から「親子は一緒の骨壺に入れるのもありですよ」と言われました。
父の病状が悪くなったころから、住職に相談していた墓じまいでした。4人分の遺骨は1つの骨壺に納まり、30年後には合祀になります。国民生活センターの月刊誌も、骨壺ごとに管理する施設では、料金が骨壺の数だけ積み上がると指摘しています。
出典: 墓じまい:費用とやり方を解説!私たちの選んだ永代供養の詳細(Rinのシンプルライフ)(台帳: V0013)
骨壺のまま置く年数や、何体分として数えるかは、預け先ごとに違います。参議院の調査室が2008年にまとめた資料は、永代供養には法的な基準がなく、供養の期間は墓地の経営主体で違うとしています。契約のときは、期間だけでなく、管理費の中身なども示してもらう必要があると述べています。
| 契約の前に確かめること | 資料にある例 |
|---|---|
| 骨壺のまま何年置くか | 2020年の家族社会学の論文は、永代供養を、30年や50年と期間を決めて任せる契約と説明しています。期間のあとは、ほかの人の遺骨と一緒に別の墓へ納められます。 |
| 何体分として数えるか | 骨壺ごとに管理する施設では、骨壺1つで30〜50万円という設定があるとされます。札幌市の合同納骨塚は、1体ごとに9,100円です。 |
| 合祀のあと、取り出せるか | 札幌市の合同納骨塚は、骨壺から出してほかの人の遺骨と一緒に納めるので、納骨後の引き取りは一切できないとしています。 |
国民生活センターの月刊誌「国民生活」の特集は、永代供養墓などの運用や、遺骨の管理の方法、期限は一様ではないと書いています。そのうえで、パンフレットだけでなく、使用規則や料金表を見るよう勧めています。
今のお墓があるお寺で、そのまま永代供養にできるのか
先祖のお墓が、お寺の墓地にある人も多いはずです。全日本仏教会と大和証券が2024年12月に行った調査では、お墓を移した174人のうち33.2%が、寺院墓地にあるお墓を移していました。移した人と移したい人の計700人に理由を聞くと、上位は家族の負担、遠さ、継ぐ人がいないことでした。今の寺院や住職に不満がある、は7.1%です。
お寺の境内に永代供養墓があれば、同じお寺に預ける道もあります。実家の墓を、同じお寺の永代供養塔に移した人の記録です。
弟を亡くしてから22年、八王子の菩提寺にある実家の墓を守ってきた当事者(個人ブログ・アメブロ)
実家のお墓は同じお寺さんの境内の中にある永代供養塔に移しただけです。
離檀(檀家から外れること)はしていません。
年に2回のお知らせは続きます。
でも、今まで届けていた檀家費用などは免除となります。
母の十三回忌を機に、お寺と相談して始めた墓じまいでした。読経や塔婆を頼んだときは、その都度払うと書いています。同じ墓地の中で移すときも、改葬許可は省けません。
出典: 備忘録 墓じまい(ふーみんのブログ)(台帳: V0008)
総務省行政評価局の2023年の報告書は、市町村から出た疑問への厚生労働省の見解を載せています。同じ墓地の中で別の区画に移す場合も、改葬許可が要るという見解です。改葬は遺骨を「他の墳墓」に移すことで、「他の墓地」に移すこととはされていないためです。
| 同じお寺の中で移すとき | 自治体などの案内 |
|---|---|
| 改葬許可は要るか | 大津市と盛岡市は、同じ墓地内で区画を移すときも、お骨の場所が動くので必要と答えています。名古屋市も、墓地内での遺骨の移動は改葬になると案内しています。 |
| 申請書の書き方 | 大津市と盛岡市では、申請書の「埋葬又は火葬の場所」と「改葬の場所」が同じ場所になります。 |
| 証明をもらう先 | 埋蔵証明も受入証明も、今使っている墓地の管理者からもらいます。 |
| 誰でも入れるか | 東京都区部の寺を調べた論文には、永代供養墓の利用者を、そのお寺の檀家(お寺を支え、法要を頼んできた家)に限ると考える寺が出てきます。 |
同じ論文では、継ぐ人のいない檀家が増えたため、永代供養墓を建てた寺も紹介されています。お寺に包むお金の考え方は、墓じまい費用の記事にまとめました。
永代供養にしたら、もうお金はかからないのか
永代供養の施設なら、手間も費用もかからない。国民生活センターの月刊誌の特集は、そうしたイメージばかりが先に立っているようだと書いています。祖父が生前に永代供養を用意していた家の記録です。
母方の祖父を20代で見送り、母と金額の計算や書類を手伝った30代の当事者・孫の立場(個人ブログ・note)
祖父は仏式で、お寺との付き合いがあり、生前に、
永代供養として約100万円を用意していました。
これは本当に助かりました。
亡くなった直後にこちらが100万円を作らなくて済んだからです。
祖父、えらい。
ところが後になって聞くと、永代供養なのに毎年お寺への支払いが発生していた。最終的には親族が掛け合って、なくしてもらいました。
永代とは????
話し手自身は、自分の代で墓じまいになりそうだと書いています。厚生省(当時)の2000年の指針は、永代供養料を、管理料の一括前払いと使用料を一緒に払うものとみる見解に触れています。
出典: 災害、葬式、負動産。アラサー、人生から終活教材を配布された話(note)(台帳: V0028)
2020年の家族社会学の論文は、永代供養は寺院による永遠の供養ではなく、残る人にとって寺との関係が全くなくなるわけでもないと指摘しています。年忌法要やお盆など、仏事にかかわる時間や費用が、隠れた負担になりかねないとも書いています。
| 預け先の例 | 払い方 |
|---|---|
| 札幌市の合同納骨塚 | 使えるのは札幌市民や、市営霊園の墓を返す人などです。1体につき9,100円を、申請のときに現金で一括して払い、以後の管理料はかかりません。 |
| 都立霊園の合葬式墓地(施設変更制度) | 都立霊園の使用者で、継ぐ人がいない人が対象です。移したあとは、使用料も年間管理料も要りません。今の墓を更地にする費用は、使用者の負担です。 |
| 骨壺ごとに管理する施設 | 骨壺1つで30〜50万円という設定があり、2つ目から半額にする施設もあるようです。 |
申し込む前に、何に、いつ払うのかを料金表で確かめておきます。撤去を含む墓じまい全体の費用は墓じまい費用の記事に、公営墓地の撤去費の助成は墓じまい補助金の記事にまとめました。
まとめ
墓じまいは今のお墓を片付けて返すこと、永代供養はその遺骨の預け先です。先に預け先を決め、今の墓がある市区町村に改葬許可を申請します。同じお寺の永代供養墓へ移すときも、改葬許可は要ります。
預け先は、何年骨壺のまま置くか、何体分で数えるか、合祀のあと取り出せるかを確かめて選びます。撤去の工事は、複数の石材店の見積もりを比べます。迷ったら、今の墓がある市区町村の窓口と、墓地の管理者に尋ねましょう。
永代供養を頼んだ3人の口コミ
最後に、お墓の遺骨を永代供養に託した3人の記録から、一節ずつ紹介します。
父の七回忌を機に、お墓の永代管理を申し込んだ姉妹の姉(個人ブログ・note)
墓地は33年後には平地になり、お骨は合祀供養となる契約、それまで33年間お墓を管理してくれる約束です
出典: 実家の整理と墓仕舞い、お陰様で少し前に終わりました(note)(台帳: V0072)
三姉妹の長女。真ん中の妹が施主となり、遺骨を寺内の永代供養墓に納めた当事者(個人ブログ・note)
そして最後に出てきたのが「永代供養について」と題された用紙だった。
それには、
本日の法要ののち墓石は撤去されること。
お骨は寺内の永代供養墓に合祀されること。
その後の取り出しなどはできないことなどが記されており、施主の署名・押印の上、後日郵送してほしいとのことだった。
出典: 墓じまい③ 〜無理ゲーと思われた壁に、自動ドアがついていた件〜(note)(台帳: V0060)
母が遺したお金で墓をしまい、遺骨を菩提寺の合同墓に納めた当事者(個人ブログ・アメブロ)
納骨にかかる費用
菩提寺での合同墓永代供養は1柱10万円
3柱、納めました
出典: 【墓じまい】かかった費用まとめ(アメブロ)(台帳: V0010)
