まず結論から
- 墓じまいの経験者への調査では、お寺に納めたお布施は「5万〜10万円」が最多でした。払った42人のうち23.8%です。20万円以上の人も約3割います。
- 檀家(お寺を支える家)をやめた100人の調査でも、離檀料(やめるときのお礼)の総額は「5万〜10万円未満」が32%で最多でした。
- お布施を包む場面は、1回とは限りません。今の墓から霊を抜く法要と、移した先で霊を入れる法要があります。
- お布施の額について、真宗大谷派は本来決まりはないとし、臨済宗妙心寺派は本山の規定も指定もないとしています。真宗大谷派は、世話になるお寺の住職に事前に尋ねてはどうかと案内しています。
墓じまいのお布施は、いくら包めばいいのか
お布施の額で迷う人は少なくありません。全日本仏教会と大和証券が2024年12月に全国の20〜79歳に聞いた調査では、葬儀や法要の不安として「お布施の金額」を挙げた人が5割を超えました。
次の記録の人も、お寺に払う額を決めかねていました。お寺に払う項目は3つです。③の冥加金(寺に納めるお金の名目の一つ)と、④墓じまいに対する御布施、⑤合同塚(遺骨を一緒に納める塚)に納めるときの御布施でした。
広島県尾道市のお寺にある墓2基を、遠方から任せた当事者(個人ブログ・アメブロ)
③については 本来お骨一人分につき10万円という決まりになっていますが、依頼主側から まとめて◯十万円と提示すれば 相談の上応じてくれます。
④、⑤は いくらという決まりはなく、気持ち次第とのことです。
浄土真宗のお寺にある墓を、兵庫県姫路市に住んだまま任せた人の記録です。御布施は額の見当がつかず、ネットで目安を調べました。御布施の額に本来決まりがないことは、真宗大谷派も本山の案内で説明しています。
出典: 墓じまいの流れと費用(アメブロ)(台帳: V0097)
では、実際にはいくら納めたのか。墓じまいの手続きを手伝う「墓じまいパートナーズ」は、墓じまいを経験・検討した230人に聞き、「墓じまい実態調査2026」として公表しました。この調査のお布施は、離檀のあいさつとして渡したお金も含め、お寺に納めた額の全体です。
お布施を払った経験者42人の答えは、「5万〜10万円」が23.8%で最多でした。10万円以内が約4割を占める一方、20万円以上も約3割いました。
株式会社huhuは、離檀と墓じまいの代行業者です。2026年3月に、檀家をやめた100人へ離檀料の総額を聞きました。最多は「5万〜10万円未満」の32%です。0円(払っていない)の20%を含めると、10万円未満が69%でした。
同じ会社が2026年2月に墓じまい経験者100人に聞いた調査では、76人が離檀料(お布施)を払っていました。この調査は区切りを「10万〜50万円未満」と広く取っており、払った人の半数がこの区分に入ります。
お布施は、どの場面で・誰に包むのか
お布施を包む場面は、1回とは限りません。次の人は同じお寺の中で墓を移し、法要のたびに御布施を包みました。
実家の墓を、同じお寺の境内にある永代供養塔へ移した当事者(個人ブログ・アメブロ)
令和8年7月23日(木)
〈開眼式〉
御布施 50、000円
永代供養料 150、000円
石屋さん支払い 515、000円
茶湯料 3、000円
塔婆料(2本) 6、000円
〈開眼式合計〉724、000円
八王子のお寺にあった実家の墓です。6月には墓の前で閉眼式(先祖の魂抜きの儀式)を行い、御布施3万円を別に包んでいます。墓を移すときは霊を抜き、新たな場所で霊を入れると、仏教学者の佐々木閑氏も説明しています。
出典: 備忘録 墓じまい(アメブロ)(台帳: V0008)
2つの法要の呼び名は、宗派によってさまざまです。宮崎県小林市の案内は、今の墓の法要を「魂の供養(魂抜き)」、受入先の法要を「開眼供養(魂入れ)」と書いています。
仏事を勤めてもらったときにお寺や僧侶へ差し上げるものを、「御布施」と呼んでいるようだと真宗大谷派は説明しています。つまりお布施は、今の墓と移した先の2か所で包むことがあります。お寺に渡すお金と、そうでないお金を名前で分けると、次のとおりです。
| 場面 | 渡す相手 | お金の名前と中身 |
|---|---|---|
| 今の墓から霊を抜く法要 | 今のお寺 | お布施。日蓮宗は、墓を移す(改葬)ときは墓石を処分するので、必ず「御霊抜き」の法要を営むと答えています。 |
| 移した先で遺骨を納める法要 | 移し先のお寺 | お布施。浄土真宗本願寺派は、墓に納めるときは所属するお寺(手次ぎのお寺)に納骨のお勤めを頼むよう案内しています。 |
| 永代供養の申し込み | 移し先の墓地 | 永代供養料。将来の墓の管理(供養)を経営者に委ねる墓の料金です。 |
| 檀家をやめる | 今のお寺 | 離檀料。お礼として慣習的に支払うお金で、明確な基準はありません。 |
| 墓石の撤去工事 | 石材店 | 工事代で、お布施ではありません。北九州市は市立霊園の案内で、複数の業者から見積りを取るよう勧めています。 |
永代供養料を払ったら、お布施は別に要るのか
移した先がお寺の永代供養墓なら、もう一つ迷いが出ます。永代供養料とは別に、納骨の読経にお布施を包むのかどうかです。
愛知県新城市にあった先祖の墓をしまい、永代供養に切り替えた当事者(個人ブログ・note)
そこにウチの遺骨を入れ、納骨完了したというわけです。 御経も読んでもらってありがたったのですが、そういう流れとは知らず、お布施も用意していません。 恐る恐る御経があるとは知らず、お布施用意していませんでしたので、現金で支払ってもいいですか?(もしくはPayPayで・・・これは言えませんでした) すると、永代供養の費用に含まれているので結構です、と返事。 ほんとかどうかわかりませんが、ありがとうございましたということにしておきました。
父が檀家の役もしていたお寺に頼んだ永代供養で、代金は70万円でした。頼んだお寺は、今後一切の費用がかからない条件です。永代供養料は、将来の供養を経営者に委ねる料金だと、国の墓地経営・管理の指針は説明しています。
出典: 墓じまいからの永代供養98万円也(note)(台帳: V0121)
一方で、料金の外で納骨の費用を示された事案もあります。国民生活センターが裁判の外で話し合いを仲介する手続き(ADR)で扱い、2020年に概要を公表したものです。
申請人は、納骨壇の購入以外の費用は一切かからないと説明を受けて契約しました。数年後、墓じまいで取り出す遺骨を納めようと連絡すると、運営会社から「納骨法要供養料」などの名目で約22万円がかかると示されました。
宗教法人は、追加の請求は委託先の運営会社が許可なく行ったものだと述べました。そのうえで、納骨の際に法要を執り行う場合は費用が発生するが、この申請人の場合は発生しないとしています。
名城大学の安藤喜代美氏も論文で、永代供養を選んでも寺院との関係が全くなくなるわけではないと指摘しています。家として年忌法要やお盆を続けようとすれば、仏事にかかわる時間や費用は想定されるとしています。納骨の読経や年忌法要が料金に含まれるかは、申し込む前に確かめておきましょう。移し先ごとの費用は、墓じまいの遺骨の行き先の記事にまとめました。
額が分からないとき、誰に聞けばいいのか
お布施の額を、人はどう決めているのか。全日本仏教会と大和証券は2022年12月、全国の20〜79歳に尋ねました。人口の構成に合わせて補正した集計(ウェイトバック)で6,184人です。最も多い答えは「わからない」の39.1%でした。
具体的な決め方で最も多いのは、「自分以外の家族・親族の話を参考に」の28.3%です。「お寺からの明示を参考に」は11.2%でした。お寺が額を示すことを必要だと考える人は、53.5%いました。
真宗大谷派の本山は、額の決め方も案内しています。本来金額にも決まりはないとしたうえで、近所など地域の人に聞いて参考にしてはどうかと書いています。さらに、お世話になるお寺の住職に事前に尋ねてみてはどうかと案内しています。
臨済宗妙心寺派も、お布施について本山としての規定も指定も一切なく、各寺院や地域の判断に任されていると答えています。日蓮宗は、墓を移すときの法要について、菩提寺(先祖の墓があるお寺)の住職に相談するとよいとしています。
まとめ
墓じまいでお寺に納めたお布施は、2つの調査とも「5万〜10万円」の区分が最も多い答えでした。包む場面は、今の墓から霊を抜く法要と、移した先で霊を入れる法要の2つがあります。
永代供養料に納骨の読経が含まれるかは、申し込む前に確かめます。額に迷ったら、お寺の住職に尋ねてかまいません。真宗大谷派も、事前に尋ねてみてはどうかと案内しています。墓石の撤去は石材店への支払いで、北九州市も複数の業者からの見積りを勧めています。自治体の助成が使える墓かどうかは、墓じまい補助金の記事で確かめられます。
お布施をめぐる3人の口コミ
最後に、墓じまいや納骨でのお布施について書いた3人の記録から、一節ずつ紹介します。
神奈川県の実家近くにあった先祖の墓をしまい、都内の合祀墓(複数の遺骨を一緒に納める墓)へ移した長男(個人ブログ)
私は、お布施として普段の法要の際と同じ額をお渡ししましたが、 離壇料は特に催促がなかったため払いませんでした。
出典: 後悔しない! 墓じまい こうすればうまくいく(ヒロブログ 歳刻を愉しむ)(台帳: V0016)
母が墓じまいと永代供養を済ませていた北大阪のお寺へ、母の遺骨を納めた当事者(個人ブログ・アメブロ)
永代供養費用10万円、お布施3万円と49日法要をしていないので白木の位牌を納めるのに1千円を支払いました。
出典: 亡き母の納骨を済ませました(アメブロ)(台帳: V0089)
14代続いた実家の墓をしまい、住んでいる街の墓地公園へ移した当事者(個人ブログ・note)
お布施についても、いくら包めばいいのか悩むところだったが、今回は住職の方から金額を示してくれた。 金額も常識の範囲内だったので、ありがたかった。
出典: 墓じまいで一番心配だったこと(note)(台帳: V0022)
