まず結論から
- 総額は、宗派を分けずに聞いた調査で見ます。鎌倉新書が2026年1月に「いいお墓」の利用者に聞いた調査では、墓じまいをした・している人の費用は「31万円~70万円」が31.3%で最多でした。
- 浄土真宗に固有なのは、本山に遺骨を納めるときの額です。真宗大谷派の大谷祖廟は、墓じまいの遺骨なら通常の額に2万円を加えます。浄土真宗本願寺派の大谷本廟は、改葬(遺骨をほかの墓へ移すこと)の遺骨を大きい容器の扱いとし、5万円以上からです。
- 大谷本廟は、納骨届に所属寺(ふだん葬儀や法事を頼む寺)の住職の署名・捺印を求めます。大谷祖廟・大谷本廟・専修寺の3つとも、納めた遺骨は返してもらえません。
- 御布施(おふせ)の額について、真宗大谷派は、読経料のような対価ではなく、本来金額にも決まりはないと答えています。
- 撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取ります。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。
浄土真宗だと、墓じまいの費用は何が変わるのか
役所の手続きは、浄土真宗の家でも同じです。遺骨を移す許可(改葬許可)は、遺骨がいまある市町村の長が出します。申請の手数料は市で違い、京都市と下関市は無料、奈良市と富山市は1枚300円です。撤去工事は石材店に頼み、見積もりの単位(積算の仕方)は店によって違います。
迷いやすいのは、寺や本山に納めるお金の名前と額です。広島県尾道市にある浄土真宗の家の墓2基を、兵庫県姫路市から寺と石材店に任せた人の記録です。払うお金を5つに分け、撤去と届出の代行は石材店へ、冥加金と2つの御布施は寺へ払うと書いています。2つの御布施は「気持ち次第」とのことでした。
広島県尾道市にある浄土真宗の家の墓2基を、兵庫県姫路市から寺と石材店に任せた人(個人ブログ・アメブロ)
見当がつかないので、ネットで調べたところ、各3〜5万円と出ました。
①②の金額はお墓のサイズで決められているようです。わが家は中サイズと小サイズの2基で 合計20万円代の見積もりです。
遺骨は4体以上あり、すべて合同塚へ移して墓を更地にする段取りでした。この寺の冥加金は本来、遺骨1人分につき10万円の決まりで、まとめた額を示せば相談に応じてもらえたといいます。寺や本山に納めるお金は、浄土真宗の中でも呼び名が分かれます。
出典: 墓じまいの流れと費用(アメブロ)(台帳: V0097)
浄土真宗の本山や寺の公式の案内に出てくる、お金の名前を表にしました。
| お金の名前 | 公式の案内で使われている場面 |
|---|---|
| 御布施(おふせ) | 法要で僧侶に渡す。本願寺派は「御布施」と書き、「御礼」「御経料」「回向料」はふさわしくないとする。真宗大谷派は「御布施」「御法礼」が望ましいとする |
| 冥加金(みょうがきん) | 大谷本廟は、墓地や納骨所の名義変更に手続き冥加金10,000円を求める。専修寺は、本山に納める額を「納骨冥加金」と呼ぶ |
| 懇志(こんし)・志納(しのう) | 本山に遺骨を納めるとき。大谷本廟は「納骨懇志」、大谷祖廟は「志納額」と呼ぶ。額は3つ目の節の図1 |
| 永代経懇志(えいたいきょうこんし) | 大谷本廟が毎日勤める永代経(亡き人を偲ぶ法要)に加わるとき。1件30,000円以上 |
御布施の額について、真宗大谷派は「本来金額にも決まりはない」と答えています。迷うときは地域の人に聞いたり、世話になる寺の住職に前もって尋ねたりしてはどうかと案内しています。宗派を分けずに聞いた額の調査はお布施の記事に、包み方は表書きの記事にまとめています。
総額の目安も、宗派を分けない調査で見ます。鎌倉新書の2026年1月の調査は、同社サイト「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人が対象です。墓じまいをした・している人の費用は「31万円~70万円」が31.3%で最多でした。この調査に、宗派ごとの集計はありません。内訳と見積もりの比べ方は費用の記事で整理しています。
遺骨を出す前の法要は、浄土真宗では何と呼び、誰に頼むのか
花園大学の佐々木閑さんは、墓を移すときに霊を抜く「お霊抜き」を挙げ、その呼び名は宗派でさまざまだとしています。浄土真宗本願寺派の公式FAQは、亡き人はお墓の中にいるのではなく、浄土に生まれて仏さまになっておられると書いています。
地域の墓地にあった家の墓を、祖父の四十九日にしまった人の記録です。
父方の祖父の四十九日に、山口の地域の墓地(聞けば管理の大元は自治会)にある家の墓をしまった孫(個人ブログ・note)
その後は亡き祖父の四十九日と納めた骨壷の供養をしてその日は終わりとなりました。浄土真宗なので仏説阿弥陀経を読み上げるということでしたが、何事もちゃんと読み上げてみると良いものであります。
この日は僧侶が寺から墓まで来て経をあげ、墓石を動かして骨壺を取り出しました。遺骨は大きな骨壺にまとめ、寺に永代供養を頼んでいます。本願寺派は、法事は参拝者一人ひとりが「私のために」仏法を聞く行事だと説明しています。
出典: 墓仕舞いをした話(note)(台帳: V0039)
本願寺派と真宗大谷派の公式のQ&Aに、墓から遺骨を出す前の法要の呼び名は見当たりません。呼び名が示されているのは、次の場面です。
| 場面 | 浄土真宗での言い方 |
|---|---|
| 墓ができたとき | 建碑式(けんぴしき)という法要。本願寺派は「お性根入れとは申しません」とする |
| 墓に遺骨を納めるとき | 「手次ぎのお寺」に頼む、納骨のお勤め |
| 仏壇に本尊を迎えるとき | 入仏法要(にゅうぶつほうよう)・入仏式。「お魂入れ」「お性根入れ」とは言わない |
| 仏壇を移す・引き払う前 | 遷仏法要(せんぶつほうよう)。築地本願寺の仏事相談による |
| 墓から遺骨を出すとき | 公式のQ&Aに呼び名はない。所属寺の住職に尋ねる |
大谷本廟は、葬儀や法事は原則として所属寺に頼むよう案内しています。遺骨を出す日のお勤めも、まず所属寺の住職に尋ねます。宗派ごとの呼び名の違いは魂抜きの記事で、日取りと六曜は六曜の記事で整理しています。家の位牌や過去帳は、位牌の記事で扱います。
本山に遺骨を納めるなら、いくらかかり、何が要るのか
墓じまいのあとの移し先は、合祀・合葬の永代供養がいちばん多く、鎌倉新書の2026年1月の調査では43.2%でした。行き先ごとの費用は遺骨の行き先の記事で比べられます。浄土真宗の家には、本山に納める道もあります。大谷本廟の祖壇(親鸞聖人の遺骨を納めた所)には、年間約12,000件の納骨があるといいます。
本山への納骨と墓じまいが、ひと続きになった家の記録です。
祖父母の眠る山の中の墓をしまい、世話になっている寺の住職に閉眼供養を頼んだ孫(個人ブログ・note)
父が大谷本廟に直行することを選んでくれたことで、墓じまいが現実的になったと言えると思います。
まだ身体も動くし、経済的にもなんとか対応できる今だからこそ、将来どうなるか予測がつくことは、できるだけ対処することが大事だと思いました。
この家は以前、祖母の納骨のためにも京都を訪れています。墓じまいでは改葬の許可証を得たあと、閉眼供養の日を迎えました。大谷本廟は、ほかの墓からの改葬も受けると答えています。
出典: お墓じまい⑥閉眼供養(note)(台帳: V0063)
本山に納める額は、通常の納骨と墓じまい(改葬)の遺骨とで違います。大谷祖廟は、改葬なら容器の大小を問わず、通常の志納額に20,000円を加えると案内しています。大谷本廟は、改葬の遺骨を「小型容器より大きい場合」の扱いとしています。
大谷本廟では、複数体の遺骨を納めるなら、人数をかけた懇志が要ります。真宗大谷派には、東本願寺に納める「真宗本廟収骨」もあり、懇志金は12万円以上です。高田派の本山の専修寺は、2025年9月から本山納骨を3万円以上とし、分骨(遺骨の一部)に限っています。
申し込める人と書類も、本山ごとに違います。3つの本山とも、納めた遺骨は返してもらえません。
| 本山 | 申し込める人と書類 | 遺骨について |
|---|---|---|
| 大谷本廟(浄土真宗本願寺派) | 納骨届に所属寺の住職の署名・捺印。所属寺がなければ本廟に問い合わせる。改葬なら改葬許可証も持参 | 返せない。故人名(俗名)が不詳なら納骨できない |
| 大谷祖廟(真宗大谷派) | 所属寺のある人の納骨所。所属寺がなくても、教えを聞く関係を結べば申し込める。改葬なら改葬許可証を持参 | ほかの人と同じ所に納め、返せない。2体以上なら1人ずつ法名・俗名(生前の名前)・命日を書く。法名・俗名が一切不明なら改葬納骨志20万円以上 |
| 専修寺(高田派) | 高田派の檀信徒(高田派の寺に属する人)に限る。分骨に限る | 返却は行えない。本山の読経で、年忌の法事を勤めたことにはならない |
古い墓に名前の分からない遺骨があるなら、先に調べておきます。調べ方は先祖の遺骨の記事に、遺骨の数と費用は遺骨の数の記事にまとめています。
本山の墓地に、家の墓がある人もいます。大谷本廟は、墓地や納骨所を返すときは出骨(納めた遺骨を出すこと)の手続きのあと、元の状態に戻すよう案内しています。大谷墓地を返すなら、墓石の撤去が要ります。大谷墓地の出骨には使用名義人の出骨届が要り、改葬許可証が要るときは東山区役所で手続きします。真宗大谷派の東大谷墓地は、東大谷墓地事務所が窓口です。
継ぐ人がいなくても任せられる先は、本山のほかにもあります。真宗大谷派は、納骨堂や墓所を運営する寺もあるので、近くの寺に尋ねてはどうかと案内しています。真宗大谷派の真宗会館は、永代供養という扱いはないが、遺骨は永代にわたって管理すると答えています。築地本願寺の合同墓は2026年7月1日で募集を終え、2027年度から新しいお墓の募集を予定しています。移し方は永代供養の記事で、合祀の戻せなさは合祀の記事で確かめられます。
浄土真宗の家の墓じまいは、どの順番で進めるのか
見積もりの単位(積算の仕方)は、石材店によって違います。最初に複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて額と内訳を比べます。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。
本山に納めるなら、所属寺に相談したうえで各窓口に問い合わせるよう、真宗大谷派は案内しています。役所への申請書には改葬の場所を書くので、移し先を先に決めます。書類の順番は、築地本願寺の仏事相談が示しています。移し先の受け入れ証明と、今の墓地の管理者の埋葬(収蔵)証明をそろえ、役所で改葬の許可を受けます。手続きは自治体によって異なるとも書いています。
受入証明書は役所に求められる場合があり、大谷本廟と大谷祖廟は郵送で発行を受け付けています。許可を出すのは、遺骨がいまある市町村の長です。墓地の管理者は、改葬許可証を受け取ってからでなければ、遺骨を納めさせてはならないと法律は定めています。墓石の撤去は、墓を使う人の義務とされています。業者に頼める範囲は業者の記事で、遠くから任せる段取りは遠方の墓じまいの記事で確かめられます。
まとめ
浄土真宗の家でも、役所の手続きは同じです。総額は、宗派を分けない調査で「31万円~70万円」が最多でした。真宗大谷派は御布施の額に本来決まりはないとし、迷ったら世話になる寺の住職に前もって尋ねるよう勧めています。本山に納めるなら、墓じまいの遺骨は通常より高い額の扱いで、納めた遺骨は返せません。撤去は、複数の石材店の見積もりを比べてから頼みます。墓じまい全体の流れは墓じまいとは何かをまとめた記事で、ほかの宗派の家の例は真言宗の記事と天台宗の記事で確かめられます。
