まず結論から
- 多磨・八柱・小平・八王子・青山・谷中・雑司ケ谷・染井の8霊園とも、使っている霊園の管理事務所に使用終了届を出し、更地に戻して都へ返します。
- 遺骨を移す許可(改葬許可)は、霊園のある区や市に申請します。八柱霊園なら千葉県松戸市です。
- 墓所は使う人が更地に戻して返し、施設変更でもその費用は使う人の負担です。納めた使用料と管理料は原則として戻らず、使用料は許可から3年以内に全部を返したときだけ半額が戻ります。
- 継ぐ人がいなければ、「施設変更」で都の合葬式墓地(ほかの人の遺骨と一緒に納める墓)へ移せます。移した先の使用料と年間管理料は要りません。
- 見積もりの単位(積算の仕方)は店で違います。撤去工事は複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。
都立霊園の墓じまいは、どこに何を出すのか
都立霊園は8か所あります。どの霊園も、同じ東京都霊園条例と施行規則が決まりを定めています。施設変更の案内は、まず使っている都立霊園に相談するよう求めています。
墓所を返す使用終了届には、霊園の使用許可証を添えます。都立多磨霊園の墓をしまう準備を始めた人の記録です。
都立多磨霊園にある母方の祖父母の墓を、従妹と一緒にしまおうとしている孫(個人ブログ・note)
LINEで従妹のお姉ちゃんが「48㎡もあるよ」と言ったのだけれど
「ええーそんなに広くないでしょ?間違いじゃない?」
「ほら、この書類に48㎡って書いてあるよ!」
おお、確かにお墓の使用許可証に「48㎡」と記載されている。
何度も墓参りに来ていたのに、広さには気づかなかったといいます。従妹とは、別の都立霊園の合同埋葬墓へ移す方向で話がまとまりました。改葬許可証を霊園に出すときも、この使用許可証を見せます。
出典: 墓じまい〜おじいちゃんってカッコイイ〜(note)(台帳: V0048)
都立霊園の手続きには、使っている霊園でしかできないものと、ほかの都立霊園の事務所でもできるもの(どこでも窓口)があります。名義の変更や管理料の支払いは、どの都立霊園の事務所でもできます。
| 手続き | 出す先 |
|---|---|
| 墓所の返還・墓所の工事・納骨や遺骨を移す手続き・施設変更 | 使っている霊園だけです。 |
| 名義の変更・住所や本籍、氏名の変更・使用許可証の再交付・管理料の支払い | どの都立霊園の事務所でも、東京都公園協会霊園課でもできます。 |
| 遺骨を移す許可(改葬許可) | 遺骨がある場所の区や市の長が出します。 |
東京都公園協会のよくある質問は、移し先が決まったら改葬の手続きをとり、遺骨を移してから墓所を都に返す、と答えています。改葬許可の申請先になる霊園の位置は、条例の別表のとおりです。電話は施設変更の案内に載っています。
| 都立霊園 | 霊園の位置(改葬許可の申請先) | 霊園の電話 |
|---|---|---|
| 多磨霊園 | 府中市・小金井市 | 042-365-2079 |
| 八柱霊園 | 千葉県松戸市 | 047-387-2181 |
| 小平霊園 | 小平市・東村山市・東久留米市 | 042-341-0050 |
| 八王子霊園 | 八王子市 | 042-663-1533 |
| 青山霊園 | 港区 | 03-3401-3652 |
| 谷中霊園 | 台東区 | 03-3821-4456 |
| 雑司ケ谷霊園 | 豊島区 | 03-3971-6868 |
| 染井霊園 | 豊島区 | 03-3918-3502 |
多磨霊園と小平霊園は、2つ以上の市にまたがります。区画がどの市にあるかを霊園で確かめてから申請します。八王子霊園の手続きは八王子市の墓じまいの記事に、区の窓口の例は新宿区の墓じまいの記事に、申請書の書き方は墓じまいに必要な書類の記事にまとめました。
いくらかかるのか。更地に戻す費用と、戻らないお金
墓を返したら、納めてきた管理料は戻るのでしょうか。公営の墓地の墓をしまった人も、同じことを考えていました。
市営墓地にある祖父名義の墓を、自分の名義に変えてしまった孫(個人ブログ・note)
さて、管理料の方どうしてくれようかのう(イラッ)
エラい広い範囲の区画面積になっとったけど、解体範囲はエラく小さく済むのは、見逃してやるとして、ごっちゃになって、他家の墓まで立っとるとかだったら、さすがに文句の1つや2つは言いたくなるんですけど?
それに、支払った管理料返せと言いたくなるんですけど、認めてくれるのかな?となりました。
区画の中に、別の人の墓も立っていると分かった場面です。工事はそのまま行われ、管理料のことは棚上げにしたといいます。東京都の霊園条例は、納めた使用料と管理料を原則として還付しないと定めています。
出典: 墓じまいをしてみた(完結)(note)(台帳: V0125)
都立霊園の墓じまいにかかわるお金の決まりは、次のとおりです。
| お金 | 都立霊園の決まり |
|---|---|
| 更地に戻す工事の費用 | 条例は、使わなくなった墓所を使用者が元の状態に戻すよう定めています。施設変更で移すときも、更地にする費用は使用者の負担です。 |
| 納めた使用料 | 原則として戻りません。許可から3年以内に墓所の全部を届け出て元に戻したときだけ、半額が戻ります。施設変更の許可を受けたときは対象外です。 |
| 年間の管理料 | 年度ごとに納めます。一般の墓(一般埋蔵施設)は1平方メートルにつき年810円、芝生・小型芝生は1平方メートルにつき年1,040円、壁型は1か所につき年3,350円です。納めた分は原則として戻りません。 |
| 管理料の減額 | 4月1日に生活保護を受けていれば、申請でその年度の管理料が半額になります。申請は毎年度要ります。 |
撤去の費用を助ける制度は、東京都保健医療局と都立霊園のよくある質問には載っていません。代わりに取れる手は、継ぐ人がいないときの施設変更(次の節)と、生活保護を受けているときの管理料の減額です。区や市の助成の確かめ方は東京都の墓じまい補助金の記事に、減額の申請は生活保護と墓じまいの記事にまとめました。
工事の額は、店によって変わります。日本石材産業協会が2023年度に石材業界で行った調査では、見積もりの単位は184件の回答で、面積・体積・重さ・一式などに分かれました。撤去する範囲をそろえて、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。相場は墓じまい費用の記事に、頼み先の選び方は墓じまい業者の記事にあります。
継ぐ人がいないなら施設変更。要らなくなるお金と、残る費用
自分の代で墓を継ぐ人がいなくなる使用者には、「施設変更」という制度があります。今の墓所を都に返し、遺骨を都の合葬式墓地(ほかの人の遺骨と一緒に納める墓)へ移すものです。都立八柱霊園の墓で、この申請に取りかかった人の記録です。
都立八柱霊園にある母方の祖父母の墓を、施設変更で移す手続きを始めた孫(個人ブログ・note)
どんなものが必要になるのかを確認。
〈施設変更申請に必要な書類等〉
住民票1通(発行から3ヶ月以内で、本籍記載のもの。使用者と配偶者の両名の記載と、かつ続柄記載のもの)
印鑑登録証明書1通(発行から3ヶ月以内のもの)
2023年6月、霊園の管理事務所から郵送で届いた書類を読み、書き出した一覧です。書類には蛍光マーカーと手書きの注意書きが添えてあったといいます。施設変更では、使用者本人と配偶者も、亡くなったあと移した先に納骨できます。
出典: 墓じまいのはなし ③(note)(台帳: V0058)
2023年3月の都議会の委員会で、都の公園緑地部長は施設変更の年間の利用件数を答えています。2021年度が730件、2022年度が802件です。
| 項目 | 施設変更の決まり |
|---|---|
| 使える人 | 都立霊園の使用者で、墓を継ぐ人がいない人です。条例では、使用者が亡くなったとき地位を継ぐ人がいないと知事が認める場合です。 |
| 移せる墓 | 一般・芝生・小型芝生・壁型の墓と、みたま堂(長期収蔵施設)です。 |
| 要らなくなるもの | 移した先の使用料と年間管理料、自分での管理です。 |
| 残る費用 | 今の墓を更地にする費用は使用者の負担です。使用料の半額の還付も受けられません。 |
| あとから納められる人 | 使用者本人と配偶者(事実婚を含む)、東京都パートナーシップ宣誓制度のパートナーです。 |
| 戻せないこと | 移した遺骨は、ほかの遺骨と一緒に直接納めます。合葬埋蔵施設でほかの遺骨と共に納めた遺骨は返還しない、と規則は定めています。変更のあとは、納める遺骨を変えられません。本人や配偶者が自分は入らないと申し出る場合は別です。 |
移す先は、規則では多磨・八柱・小平の合葬埋蔵施設(合葬式墓地)です。案内に載る受け入れ先は小平霊園と八柱霊園で、実施の有無や受付期間は年度で変わります。申し込みは、使っている霊園の窓口で、年3回の募集に合わせます。毎年4月以降に、その霊園へ問い合わせます。
ほかの移し先は墓じまいして永代供養にする記事と墓じまいの遺骨の行き先の記事にまとめました。
名義人が亡くなっている墓は、先に名義を変える
墓所を返す届も、施設変更の申し出も、使用者(名義人)が出します。名義人が亡くなっていれば、先に名義を変えます。必要な書類は、変更の理由と継ぐ人で違います。霊園の事務所か東京都公園協会霊園課に、先に確かめます。名義の書き換えには2か月程度かかります。
| 場合 | すること |
|---|---|
| 名義人が亡くなっている | 先祖の祭祀を中心になって行う人(祭祀の主宰者)が名義を継ぎ、知事の許可を受けます。申請書に、使用許可証・継ぐ理由を証明する書類・続柄を証明する書類などを付けます。 |
| 名義人は存命だが、墓を守るのが難しい | 使用者が祭祀を行うのが難しくなり、名義を移すことに同意すれば、継げる場合があります。 |
| 自分のあとに継ぐ人がいない | 施設変更を申し込めます。管理料を5年以上納めないと、使用許可の取消しの対象になります。 |
取消しの手続きを経ると、最終的には都が墓所を更地にし、遺骨は「無縁塚」に移されます。放置した墓の流れは墓じまいしないとどうなるかの記事に、家族の誰が継ぐかの決め方は祭祀承継者と墓じまいの記事にまとめました。
都立霊園の墓じまいの順番
ここまでの手続きを順番に並べます。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。2つ目から先は、条例・規則と東京都公園協会の案内に沿っています。
まとめ
都立の8霊園は、同じ条例と規則で動きます。墓所の返還と施設変更は使っている霊園で、改葬許可は霊園のある区や市で手続きします。八柱霊園の墓なら、申請先は千葉県松戸市です。
墓所は使う人が更地に戻して返し、納めた使用料と管理料は原則として戻りません。継ぐ人がいなければ、施設変更で移した先の使用料と管理料が要らなくなります。撤去工事は、範囲をそろえて複数の石材店の見積もりを比べてから決めます。八柱霊園のある千葉県の話は千葉県の墓じまいの記事に、東京都の助成の確かめ方は東京都の墓じまいの記事にまとめました。
