まず結論から
- 遺骨を移す許可(改葬許可)は、今お墓がある区市町村に申請します。新宿区の本庁舎1階9番窓口と特別出張所で申請できるのは、お墓が新宿区内にあるときだけです。
- お墓が区の外にあれば、申請先はその墓のある区市町村です。都立霊園も同じで、青山霊園は港区、雑司ケ谷霊園は豊島区にあります。
- 新宿区に出す書類は、遺骨1体に1枚の申請書、移し先の墓地の使用許可証の原本、埋葬証明の3つです。移し先の使用許可証は、最初にもらいます。
- 寺の墓は、寺に申請書へ埋葬の証明をしてもらいます。日蓮宗は、墓石を処分する前に必ず御霊抜きの法要を営むと答えています。
- 撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取って比べます。見積もりの単位が店ごとに違うからです。
申請はどこへ?お墓が地方なら、その墓のある市区町村
墓じまいで役所に出すのは、遺骨を別の墓へ移すための許可(改葬許可)の申請です。法律は、この許可を出すのを、遺骨が今ある地の市町村長と定めています。新宿区の案内も、手続きできる場所を、今お墓がある市区町村の役所としています。
新宿区に住んでいても、申請先は家の墓がある市区町村です。全日本仏教会と大和証券は、2024年12月に全国の20〜79歳にネットで調査しました。都心に住み菩提寺がある60代以上では、45.6%が、家の墓は住まいと別の都道府県にあると答えています。調査の都心は、一都三県・二府二県と愛知です。
地方の菩提寺にあった先祖代々の墓を、都心の集合墓へ移した当事者(個人ブログ・note)
私の場合、遠方だったため役所から申請書類を郵送してもらい、やり取りを行いました。書類が受理され、1週間ほどで「改葬許可証」が届いたときは、法的な手続きが無事に終わった安堵感がありました。 墓石の撤去と遺骨の洗浄・搬送は、専門の業者に依頼しました。
墓は江戸時代の文政年間から地方の菩提寺にあり、本人は県外へ移り住み、子どもたちは都心で暮らしていました。最初に住職へ電話で相談しています。東京都の案内も、詳しいことは今お墓がある区市町村に問い合わせるよう求めています。
出典: 「改葬」という選択の体験記(note)(台帳: V0018)
お墓の場所ごとに、申請先と、役所のほかにやりとりする相手をまとめます。
| お墓の場所 | 申請先 | 役所のほかの相手 |
|---|---|---|
| 新宿区内の寺など | 新宿区の本庁舎1階9番窓口か特別出張所です。 | 墓の管理者です。申請書に埋葬の証明をもらいます。 |
| 都立霊園 | 霊園のある区や市です。青山霊園は港区、雑司ケ谷霊園と染井霊園は豊島区、谷中霊園は台東区にあります。 | 使っている霊園の事務所です。改葬許可証を出し、墓所を返す手続きもそこでします。使わなくなった墓所は元の状態に戻します。 |
| 地方など区の外の墓 | その墓のある市区町村です。 | 墓の管理者です。寺や霊園、自治体などが埋葬の証明を作ります。 |
都立霊園の8か所に、新宿区にあるものはありません。都立八王子霊園の墓は、八王子市の墓じまいの記事で手続きを整理しました。改葬という言葉の意味は、墓じまいと改葬の違いの記事にまとめています。
新宿区内の寺の墓は、寺の証明をもらって9番窓口へ
お墓が新宿区内にあれば、申請先は新宿区です。東京都の条例は、墓地を経営できるのを、地方公共団体と、都内などに事務所のある宗教法人、公益法人に限っています。寺の墓なら、申請書に埋葬の証明をするのは寺です。
新宿区の案内にある申請の決まりを、表にまとめます。申請書は、遺骨1体につき1枚要ります。
| 項目 | 新宿区の案内 |
|---|---|
| 窓口 | 本庁舎1階9番窓口と特別出張所です。お墓が新宿区内にある場合だけ申請できます。 |
| 出す書類 | 改葬許可申請書、移し先の墓地の使用許可証の原本、埋葬証明の3つです。 |
| 申請書の入手 | 区の案内のページから印刷するか、区役所か特別出張所でもらえます。 |
| 埋葬証明 | 申請書の下段に、寺や霊園の管理者が証明します。別の用紙でも構いません。 |
| 手数料と郵送 | 案内のページに記載がありません。戸籍住民課戸籍係で確かめます。 |
| 問い合わせ | 地域振興部戸籍住民課戸籍係です。電話は03-5273-3506です。 |
夫と両親の骨壺3体を寺の墓から出し、築地本願寺の合同墓へ移した妻(個人ブログ・note)
お寺を離檀する際は、「最後の法要」をしていただく必要があり、そうなると「骨出し」と「法要」を同じ日にしないとなりません。そのため、お寺と石材店と私と子供達二人の全員が都合の良い日を調整しなくてはなりませんでした。
区役所で改葬許可証を受け取ったあとの記録です。法要の日、墓の前では石材店が墓石をどかし、骨壺を取り上げていました。日蓮宗の公式Q&Aも、墓石を処分するときは必ず御霊抜きの法要を営むと答えています。
出典: "ゴースト夫"に会いたくて〜墓じまい(納骨と法要)〜第36話(最終話)(note)(台帳: V0026)
法要の段取りは、住職に相談するとよいと日蓮宗は答えています。法要のお布施は、墓じまいのお布施の記事にまとめました。
区内の寺については、首都大学東京大学院の辻井敦大氏が2018年に発表した研究があります。新宿区の都心部にある、檀家約200世帯の曹洞宗の寺を調べたものです。この寺の檀家は、寺の近くではなく首都圏に散らばって住んでいました。境内の永代供養墓を使えるのは、継承者のいない檀家などに限られていました。同じ寺の永代供養墓へ移すときの順番は、墓じまいして永代供養にする記事で整理しました。
寺が改葬を承諾せず、埋葬証明が出ないという相談もあります。東京都消費生活総合センターは、その場合は区市町村長が認める書類で申請できる場合があると説明しています。経緯をまとめ、区市町村の担当窓口に相談するよう勧めています。
移し先を先に決める・都内の納骨堂は遺骨の数も確かめる
新宿区の手順では、最初に移し先の管理者から使用許可証をもらいます。移し先の使用者が申請する人と違うときは、その使用者の承諾書か同意書も要ります。
次は、地方の墓を東京近辺へ移そうとした人の記録です。
金沢の奥にある父の家の墓を、東京近辺へ移そうとして断念した当事者(個人ブログ・note)
いわゆるそういう都心のマンション形式の ミニお墓みたいなのって
お骨は一体か二体ぐらいしか 入らないようですね
それよりも多く入れる場合は お骨を粉砕して小さくして入れたりしなければならず
それでも3〜4体が限界とのこと
我が家の場合はお墓の引っ越しをしたとはいえ 先祖代々のお骨が大量に入っているようなので
全部移すなんてことは絶対無理のようです
10年ほど前、父が、金沢駅から1時間ほど奥にある墓を東京近辺へ移そうと言い出した記録です。本人と親戚は東京で暮らしていました。国民生活センターの月刊誌も、永代供養墓などは遺骨の管理方法や期限が一様でないとしています。
出典: お墓じまいに挫折(note)(台帳: V0025)
同じ記事で全日本墓園協会の横田睦氏は、パンフレットだけでなく、使用規則と料金表を見るよう勧めています。
都内の納骨堂は、2024年度末で463施設ありました。そのうち437施設は、宗教法人の経営です。都立霊園の募集は年1回で、詳しい内容は広報東京都に載ります。2025年度の都立霊園の公募倍率は、合葬埋蔵施設で6.8倍でした。
決まった移し先には、改葬許可証を渡します。墓地や納骨堂の管理者は、許可証を受け取るまで遺骨を納めさせてはならない決まりです。遺骨の行き先の比べ方は、墓じまいで骨はどうなるかの記事にまとめました。
新宿区で墓じまいを進める順番
ここまでの手続きを、順番に並べます。役所の手続きの順番は、新宿区の案内によります。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。
見積もりを最初に置くのは、石材店によって見積もりの物差しが違うからです。日本石材産業協会は、2023年度に石材店へ積算の単位を聞きました。184件の回答は、面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれています。複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べてください。頼み先の選び方は、墓じまい業者の記事にまとめました。
2段目の親族との話し合いについて、横田氏は、墓じまいの前になるべく多くの親族と相談すべきだと述べています。改葬許可を申請できるのは墓地の使用者が原則で、ほかの人なら使用者の承諾書が要るとも説明しています。書類の全体は、墓じまいに必要な書類の記事で確かめられます。
迷ったときは、どこに聞けばいいか
聞きたいことによって、問い合わせる先が分かれます。
| 聞きたいこと | 問い合わせる先 |
|---|---|
| 新宿区内の墓の改葬許可 | 新宿区地域振興部戸籍住民課戸籍係です。 |
| 区の外にある墓の改葬許可 | 今お墓がある区市町村です。 |
| 都立霊園の墓所の返還・名義の変更 | 使っている霊園の事務所です。名義の変更は、ほかの都立霊園の事務所や東京都公園協会霊園課でもできます。 |
| 寺が埋葬証明を出さない | 申請先の区市町村の担当窓口です。困ったときは消費生活センターにも相談できます。 |
| 墓地の許可 | 23区では、各区の保健所が墓地の許可をしています。 |
| 撤去の費用と補助金 | 撤去は複数の石材店に見積もりを頼みます。費用の目安は墓じまい費用の記事、補助金の仕組みは墓じまい補助金の記事にまとめました。 |
東京都保健医療局の墓地のよくある質問と、都立霊園のよくある質問には、墓じまいの助成は載っていません。
墓が東京都内のほかの区市町村にあるときの聞く先と、東京都の助成のことは、東京都の墓じまい補助金の記事にまとめました。
まとめ
新宿区で墓じまいをするとき、改葬許可の申請先は今お墓がある区市町村です。お墓が新宿区内にあるときだけ、本庁舎1階9番窓口か特別出張所に申請します。
地方の墓や都立霊園の墓は、その墓のある区市町村へ申請します。移し先を先に決め、寺の墓なら寺に埋葬の証明をもらいます。撤去工事の見積もりは、複数の石材店から取って比べてください。見積もりの単位は店によって違います。
