まず結論から
- 県内で確かめた福井市の改葬許可と市営墓地の案内、墓地公園の条例には、墓じまいの助成は載っていません。2013年に福井県議会で無縁墓が取り上げられたときの県の答弁も、助成にはふれていません。
- 改葬(遺骨を別の墓へ移すこと)の許可は、県ではなく、墓のある市や町が出します。2024年度に県内で許可された改葬242件のうち、福井市は62件でした。
- 福井市の改葬許可は市民課(証明係)が受け付け、郵送でもよく、手数料は無料です。市営墓地は更地にして返し、納めた使用料は戻りません。
- 県内の墓地1,891区域は、その他が653、宗教法人が457、個人が432、地方公共団体が349です。集落の墓は管理者の確認から、寺の墓は住職への相談から始めます。
- 撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。見積もりの単位が店で違うからです。
福井県に墓じまいの補助金はある?福井市の案内にはない
墓じまいで役所に出す改葬の許可は、県ではなく、遺骨がある場所の市町村長が出します。
福井県議会では2013年9月、集落の墓の管理と無縁墓について質問がありました。健康福祉部長は、県外の自治体の取組を調べ、無縁墓になりにくい仕組みづくりなどについて市町と情報交換の場を設けたいと答えています。この答弁は、墓じまいの助成にはふれていません。
墓じまいの費用を、どこから出すか。家のお金をやりくりしながら考えている人の記録です。
八王子に住み、89歳の母の暮らしをきょうだいで支える女性(個人ブログ・アメブロ)
余った150万円は従姉家の菩提寺に払う費用や、いづれやらなくてはならない墓じまい費用に残そうと考え
使っていなかった私の郵貯の通帳に入れて別にしてあります。
それを母の今後に使うことにしようと決めました。
母の年金は月4万円で、父が残したお金からの補填は年内に尽きる見込みでした。この使い道には、姉夫婦と兄も了承したといいます。福井市で確かめた3つの資料には、墓じまいの助成は載っていません。
出典: 89歳、母の年金は月4万円、貯蓄も尽きます(アメブロ)(台帳: V0107)
県内で確かめた資料と、お金について書いてあることは、次のとおりです。
| 確かめた資料 | お金について書いてあること |
|---|---|
| 福井県議会の会議録(2013年9月) | 無縁墓について、市町と情報交換の場を設けたいと答えています。墓じまいの助成にはふれていません。 |
| 福井市の改葬許可の案内(市民課) | 改葬許可証の交付手数料は無料です。 |
| 福井市の市営墓地の手続きの案内(公園課) | 返す前に霊地を更地にします。霊地返還届の手数料は、案内のページに記載なし → 公園課で確かめる。 |
| 福井市墓地公園の設置及び管理に関する条例 | 第9条は「既納の使用料は、還付しない。」と定めています。第8条の減額は、貧困などで使用料を納められない市民向けです。 |
福井市の市営墓地は、返しても納めた使用料が戻りません。西墓地・東山墓地・兎越山墓地の3か所が、この条例の墓地公園です。
ほかの市には、墓じまいを支える制度の例があります。総務省の2023年の報告書の時点で、愛媛県新居浜市は、市営墓地の区画を返して合葬式の施設を使う人の使用料を全額免除していました。新居浜市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。
同じ報告書は、北海道苫小牧市が2021年度に始めた事業も紹介しています。市営墓地の墓じまいの費用を指定の金融機関から借りた市民に、利息と信用保証料を最大5万円助成するものです。どちらも、その市の市営墓地の墓をしまう人に向けた制度です。
全国の制度の見分け方は墓じまい補助金の記事、福井市のお金の話は福井市の墓じまい補助金の記事にまとめました。
福井市の外や県外に墓があるなら?窓口は墓のある市や町
改葬の申請先は、住んでいる所ではなく、遺骨がいまある所の市町村長です。福井県で許可された改葬は、2022年度が235件、2023年度が269件、2024年度が242件でした。福井市は同じ3年で75件、34件、62件です。福井市の外の市や町が許可した改葬も多くあります。
遠くの墓をしまおうとして、申請の順番に驚いた人の記録です。
片道2時間かかる祖父の墓を、しまうことにした38歳の娘(個人ブログ・アメブロ)
墓じまいって面倒くさいんですね。
霊園だけのやりとりだけと思いきや、引っ越し先をまず決めて、その後、納骨されてる市区町村の役所に申請しないといけないなんて。
墓には去年亡くなった父が眠り、60代の母は墓参りの遠さをこぼしていました。三回忌まで待つつもりだった墓じまいを、前倒しで進めています。改葬許可の申請書には、移し先の場所も書きます。
出典: 墓じまい(アメブロ)(台帳: V0080)
鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人のうち、改葬・墓じまいを考えたか実施した733人に聞きました。考えた理由の最多は「お墓が遠方にある」の52.0%でした。大変だったことでは「役所の手続き」が32.3%でした。鎌倉新書は、旧墓地・新墓地・それぞれの役所との連携が要る仕組みの難しさを、その背景に挙げています。
申請先は、住んでいる所ではなく墓のある市や町です。墓のある場所ごとの聞く先は、次のとおりです。
| 墓のある場所 | 聞く先 |
|---|---|
| 福井市 | 市役所の市民課(証明係)です。窓口でも郵送でもよく、手数料は無料です。 |
| 敦賀市・小浜市・大野市・勝山市・鯖江市・あわら市・越前市・坂井市 | 墓のある市の役所です。 |
| 永平寺町・池田町・南越前町・越前町・美浜町・高浜町・おおい町・若狭町 | 墓のある町の役所です。 |
| 坂井市・あわら市の公営墓地 | 2016年の研究報告は、2市でつくる坂井地区広域連合が公営墓地を運営していると書いています。 |
| 石川県・岐阜県・京都府・滋賀県など県外 | 墓のある市区町村の役所です。 |
福井市の窓口と書類は福井市の墓じまいの記事にまとめました。隣の府県に墓があるなら、金沢市の墓じまいの記事、岐阜県の墓じまい補助金の記事、京都市の墓じまいの記事、滋賀県の墓じまい補助金の記事も見られます。
集落や家の墓地の墓は?管理者の確認から
福井県の墓地は、2024年度末で1,891区域あります。墓の数ではなく、墓地として区切られた区域の数です。経営する主体別では、その他が653、宗教法人が457、個人が432、地方公共団体が349です。
厚生労働科学研究の研究班の報告書は、全国の統計で「その他」に分けられている墓地を集落墓地だとしています。2013年の県議会の答弁は、2012年度末の県内の墓地を1,961か所としています。その約半数は地方公共団体・宗教法人・個人の設置で、それ以外はほとんどが地縁団体などの管理する集落墓地だと説明しました。
集落の墓では、だれが管理者なのかを確かめるところから始まります。墓の掃除の請求をきっかけに、管理人を調べた人の記録です。
大阪府内にある先祖代々の墓のことを、弟と調べている本家の長男(個人ブログ・note)
Q.管理人て何者?
果たして ・お墓が建ってる裏のお寺の仏教関係者なのか
・宗教法人?なのか
・町内会の持ち回り組長レベル的な役割なのか
A. 単にお墓をそこに建てる人たちの間で持ち回りで管理人代表をやってるだけでした。
お盆前の墓掃除に出ない人へ2,000円を求める請求が、今年は急に本家に届いたのが発端でした。管理人から届いた名簿には、亡くなった父の名前だけが書かれていました。改葬の申請書には、墓の管理者による埋葬の事実の証明を添えます。
出典: (雑記170日目) 続・墓じまい(note)(台帳: V0109)
個人の墓地や共同・集落の墓地では、この証明を出す管理者がいないことがあります。そのときは、市町村長が必要と認める「これに準ずる書面」で代えられます。総務省の2023年の報告書によると、実地調査した88市町村のうち、管理者が分からない墓地からの改葬で代わりの書面を求めるのは47.7%でした。
何を出せばよいかは、墓のある市や町の窓口に先に聞きます。福井市の案内は、管理者が分からない墓について地域保健課に問い合わせるよう書いています。
集落の墓地そのものをなくすときは、改葬とは別に、墓地を廃止する許可が要ります。市の墓地では市長が許可し、町の墓地は法律では知事の許可です。永平寺町・池田町・南越前町・越前町・おおい町・若狭町は、この事務を県から任されています。美浜町と高浜町は、2026年4月1日現在の県の一覧で任されていません。
証明の取り方は墓じまいに必要な書類の記事、しまわずに置いた墓がどうなるかは墓じまいをしないとどうなるかの記事にまとめました。
福井県で墓じまいを進める順番と、寺の墓・移し先・費用
手続きを順番に並べます。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。
| 順番 | すること | 資料に書いてあること |
|---|---|---|
| 1 | 複数の石材店に見積もりを頼む | 見積もりの単位は店で違います。 |
| 2 | 親族と話し合って決める | 墓じまいの前に、なるべく多くの親族と相談するよう勧められています。 |
| 3 | 移し先を決める | 改葬許可の申請書に、改葬の場所を書きます。 |
| 4 | 管理者に埋葬の証明を頼み、墓のある市や町に改葬許可を申請する | 許可を出すのは、遺骨がある場所の市町村長です。 |
| 5 | 閉眼供養(御霊抜き)をする | 日蓮宗の公式のQ&Aは、法要を菩提寺の住職に相談するよう勧めています。 |
| 6 | 遺骨を取り出して撤去し、移し先に納める | 福井市の市営墓地は、更地にして霊地返還届を出します。移し先の管理者は、改葬許可証を受け取ってから納めます。 |
見積もりを最初に置くのは、店によって見積もりの物差しが違うからです。日本石材産業協会が2023年度に石材店へ積算の単位を聞いた設問では、184件の回答が面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べてください。頼み先の選び方は墓じまい業者の記事にまとめました。
県内の宗教法人の墓地は457区域で、納骨堂170施設のうち149施設も宗教法人の経営です。改葬では墓石を処分するので必ず「御霊抜き」の法要を営む、と日蓮宗の公式のQ&Aは答えています。法要は菩提寺の住職に相談するとよい、としています。お布施の目安は墓じまいのお布施の記事にまとめました。
移し先は、鎌倉新書の同じ調査で「永代供養(合祀・合葬墓)」の43.2%が最多でした。福井市墓地公園の条例の使用料の表に、合葬墓の区分はありません。墓じまいをした人の実施費用は「31万円〜70万円」が31.3%で最多です。
まとめ
県内で確かめた福井市の案内と条例には、墓じまいの助成は載っていません。福井市の市営墓地は、返しても納めた使用料が戻りません。改葬の許可は墓のある市や町が出すので、敦賀市・越前市や町に墓があるなら、その役所に聞きます。
集落の墓は証明を出す管理者の確認から、寺の墓は住職への相談から始めます。撤去工事は見積もりの単位が店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べてください。墓が隣の府県にあるなら、石川県・岐阜県・滋賀県・京都府の記事もあります。
