まず結論から
- 県内で確かめた大津市には、墓じまいの補助金や助成金の制度がありません。市の改葬許可の案内が、そう明記しています。
- 改葬(遺骨を別の墓へ移すこと)の許可は、県ではなく、墓のある市や町が出します。2024年度に県内で許可された改葬1,542件のうち、大津市は488件でした。
- 助成の例として確かめた市川市・浦安市・太田市の制度は、いずれもその市の墓地の区画を返す人が対象です。大津市営の堅田霊園は、返しても使用料と管理料が原則として戻りません。
- 県内の墓地4,661区域のうち、836区域は宗教法人(寺など)の墓地です。寺の墓は住職への相談から、地域の墓地の墓は証明を出す管理者の確認から始めます。
- 撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取って比べます。見積もりの単位が店で違うからです。
滋賀県に墓じまいの補助金はある?大津市は「ありません」
墓じまいで役所に出す手続きは、市や町が受け持ちます。改葬の許可は、遺骨がある場所の市町村長が出します。墓地の経営や廃止の許可は、市なら市長の仕事です。町にある墓地のこうした許可は、滋賀県が条例で町に任せています。
助成があるかどうかも、墓のある市や町に聞くことになります。遠くの墓のことを、その市の市役所へ聞きに行った人の記録です。
祖母の管理料の滞納をきっかけに、京都府の市営墓地にある父方の墓をしまった孫(個人ブログ・note)
2年前に、墓地の現状確認と経緯を確認するために、市役所へ行ってみました。市民でもないのにw なにも手がかりがわからず、ふと行ってくるかで訪問した私に対して、懇切丁寧に教えていただき、地理不案内な私に行き方から、詳細の地図も渡していただいて、市役所のご対応に大変感謝しています。
祖母の管理料の滞納が3年前に分かり、それから管理料を払ってきた人です。市役所の記録では、墓は明治時代の2基でした。大津市は、墓じまいの補助金があるかという問いに、自分の案内で答えています。
出典: 墓じまいをしてみた(途中)(note)(台帳: V0017)
県内で案内を確かめた大津市の資料には、次のように書かれています。
| 確かめた大津市の資料 | 書いてあること |
|---|---|
| 墓じまい、改葬許可申請について(戸籍住民課の案内) | 補助金はあるかという問いに「ありません」と答え、「大津市では墓じまいに関する補助金や助成金の制度は設けておりません」としています。 |
| 大津市営霊園条例 | 市営霊園は堅田霊園の1か所です。納めた使用料と管理料は還付しません。例外は、許可から7年以内に墓を建てずに返したときの使用料の2分の1です。 |
ほかの自治体には、墓じまいの費用を助ける制度があります。確かめた3市の制度は、次のとおりです。
| 自治体 | 助成の中身 |
|---|---|
| 市川市(千葉県) | 市川市霊園の一般墓地を返すとき、更地に戻す費用の全部か一部を助成します。限度額は区画の種別と面積で決まります。 |
| 浦安市(千葉県) | 墓地公園の墓所を返したあと、墓石の撤去などの費用に補助金を出します。上限は150,000円です。 |
| 太田市(群馬県) | 八王子山公園墓地の無縁墓地対策として、返すときの墓石撤去の費用を助成します。 |
助成の例は、その市の墓地の区画を返す人に向けた制度です。手続きは市区町村で違うことがあるので、墓のある市区町村の担当課に聞くよう、大津市も書いています。
滋賀県で「墓地埋葬に関すること」を受け持つのは、県の生活衛生課 衛生営業・動物愛護係です。電話は077-528-3641です。全国の助成の例は墓じまい補助金の記事、大津市のお金の話は大津市の墓じまい補助金の記事にまとめました。
寺の墓をしまうなら?まず住職に相談
滋賀県の墓地は、2024年度末で4,661区域あります。墓の数ではなく、墓地として区切られた区域の数です。そのうち836区域が、宗教法人(寺など)の墓地です。
全国の墓地は876,042区域で、そのうち宗教法人の墓地は58,700区域です。
寺の墓をしまった人は、まず住職に電話で相談しています。
文政年間から地方の菩提寺にあった先祖代々の墓を、都心の集合墓へ移した当事者(個人ブログ・note)
メディアで耳にする高額な「離檀料」を巡るトラブルが不安でしたが、住職は私たちの事情を深く理解してくださいました。「お墓が荒れてしまうのが一番悲しいことです。近くで供養されるならそれが一番です」と温かい言葉をいただき、離檀料も「お気持ちで」とのお申し出により、円満に進めることができました。
県外へ移り、子どもたちも都心で暮らすなか、地方の墓を守り続けるのが難しくなって決めた改葬です。遠方のため、役所の書類は郵送でやり取りしました。日蓮宗の公式の問答も、法要は菩提寺の住職に相談するよう答えています。
出典: 「改葬」という選択の体験記(note)(台帳: V0018)
寺の墓で、寺に頼むことは次のとおりです。
| 頼むこと | 資料に書いてあること |
|---|---|
| 埋蔵(埋葬)の証明 | 今の墓地の管理者に証明してもらいます。墓じまいは勝手にできず、寺などが出す「埋葬証明書」などが要ります。 |
| 閉眼供養(御霊抜き) | 日蓮宗の公式の問答は、墓石を処分するので必ず「御霊抜き」の法要を営むと答えています。法要は菩提寺の住職への相談を勧めています。 |
| 離檀料 | 明確な基準はありません。金額に納得がいかなければ、基本は寺などと話し合います。 |
寺の墓は、まず住職に相談します。証明も法要も、寺に頼むことになるからです。国民生活センターには、規約などの定めもなく根拠の分からない高額の離檀料を求められた、という相談も寄せられています。困ったときは、消費者ホットライン188でも相談できます。
お布施の目安は墓じまいのお布施の記事、包み方はお布施の表書きの記事にまとめました。
個人や地域の墓地の墓は?管理者の確認から
県内の墓地4,661区域のうち、3,181区域は個人の墓地です。厚生労働科学研究の研究班の報告書は、全国の個人の墓地や集落の墓地を、法律の規定で許可を受けたとみなされた「みなし墓地」だとしています。集落の墓地には、経営する組織がはっきりしないものもあります。畑の中の墓をしまう手伝いをした人の記録です。
高齢者の相談支援の中で、墓じまいを手伝ってきた福祉職(個人ブログ・note)
私が支援した中で、畑の中にお墓が10基ほどあるところがありました。
この場合は、所有者や管理者が誰かを確認する必要があります。
※御骨を移すために、行政へ届け出をします。
そこに管理者等を記載する必要があります。
墓が寺にあるか、霊園にあるか、それ以外かで、対応が変わると書いています。墓じまいの支援は3回終え、4回目の途中だといいます。大津市の案内も、地域の風習や墓地の決まりは、管理者や墓地のある地域で前もって確かめるよう書いています。
出典: 高齢者の支援 ~墓じまい~(note)(台帳: V0044)
改葬の申請には、今の墓地の管理者による埋蔵の証明が要ります。個人の墓地や共同・集落の墓地では、証明を出す管理者がいないことがあります。そのときは、市町村長が必要と認める「これに準ずる書面」で代えられます。
総務省は2023年の報告書のために、大津市を含む88市町村を実地調査しました。管理者が分からない墓地からの改葬で、代わりの書面を求める市町村は47.7%(42市町村)でした。申請書の記載で許可するのが19.3%、不許可が8.0%、申請の例がなく未定が25.0%です。
何を出せばよいかは、墓のある市や町の窓口に先に聞きます。何が認められるかは市町村で違うと、国民生活センターの「国民生活」の特集で全日本墓園協会の横田睦氏が書いています。証明の取り方は墓じまいに必要な書類の記事、改葬の意味は改葬の記事にまとめました。
大津市の外や県外に墓があるなら?申請は墓のある市や町へ
滋賀県で許可された改葬は、2022年度が1,021件、2023年度が1,362件、2024年度が1,542件でした。大津市は同じ3年で325件、449件、488件です。大津市の外の市や町が許可した改葬も多くあります。
墓じまいを考える理由で最も多いのは、墓が遠いことです。鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人のうち、改葬・墓じまいを考えたか実施した733人に聞きました。考えた理由の最多は「お墓が遠方にある」の52.0%でした。大変だったことでは、改葬先選びの38.8%に次いで「役所の手続き」が32.3%です。
改葬の申請先は、住んでいる所ではなく墓のある市や町です。墓が大津市の外なら大津市では手続きできず、その市区町村で手続きするよう大津市の案内も書いています。墓のある役所には、次の5つを聞きます。右の列は、大津市の案内での答えです。
| 役所に聞くこと | 大津市の場合 |
|---|---|
| 改葬許可の窓口と郵送 | 市役所本館1階の戸籍住民課か各支所(市民センター)です。郵送でもでき、受付後1〜2日で発送されます。 |
| 手数料 | 無料です。 |
| 墓じまいの助成 | 制度は設けていません。 |
| 市営霊園を返すとき | 堅田霊園は元の状態に戻して返します。納めた使用料と管理料は戻りません(7年以内に墓を建てずに返したときは使用料の2分の1)。 |
| 誰の遺骨か分からないとき | 市は遺骨の記録を管理しておらず、答えられません。墓地の管理者に聞きます。 |
大津市の窓口と書類は大津市の墓じまいの記事にまとめました。隣の府県に墓があるなら、京都市の墓じまいの記事、福井市の墓じまいの記事、岐阜県の墓じまい補助金の記事、三重県の墓じまい補助金の記事も見られます。
進める順番と、費用の比べ方
手続きを順番に並べます。話し合い・移し先・申請・納骨の順は、大津市の案内によります。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。
| 順番 | すること | 資料に書いてあること |
|---|---|---|
| 1 | 複数の石材店に見積もりを頼む | 見積もりの単位は店で違います。 |
| 2 | 親族で話し合って決める | 親族間のトラブルの原因になることがあるので、改葬の前に話し合います。 |
| 3 | 移し先を決める | 移し先の管理者に受入証明をもらいます。 |
| 4 | 今の管理者に埋蔵の証明を頼む | 寺の墓なら寺などが出します。管理者がいなければ窓口に相談します。 |
| 5 | 墓のある市や町に改葬許可を申請する | 許可を出すのは、遺骨がある場所の市町村長です。 |
| 6 | 閉眼供養(御霊抜き)をする | 日蓮宗の公式の問答は、法要を菩提寺の住職に相談するよう勧めています。 |
| 7 | 遺骨を出して撤去し、移し先に納骨する | 移し先の管理者は、改葬許可証を受け取ってから納めます。 |
見積もりを最初に置くのは、店によって見積もりの物差しが違うからです。日本石材産業協会が2023年度に石材店へ積算の単位を聞いた設問では、184件の回答が面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べてください。頼み先の選び方は墓じまい業者の記事にまとめました。
鎌倉新書の同じ調査で、墓じまいをした人の実施費用は「31万円〜70万円」が31.3%で最多でした。移し先の最多は「永代供養(合祀・合葬墓)」の43.2%です。費用の内訳は墓じまい費用の記事、移し先は遺骨の行き先の記事と永代供養の記事にまとめました。
まとめ
県内で案内を確かめた大津市には、墓じまいの補助金や助成金の制度がありません。改葬の許可は墓のある市や町が出すので、草津市・彦根市や町に墓があるなら、その役所に聞きます。
寺の墓は住職への相談から、地域の墓地の墓は証明を出す管理者の確認から始めます。撤去工事は見積もりの単位が店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べてください。墓が隣の府県にあるなら、福井県・岐阜県・三重県・京都府の記事もあります。
