まず結論から
- 静岡市の市営納骨堂(愛宕霊堂)は、骨壺のまま預けると1体1年5,330円、骨壺から出して永年預けると1体106,790円です。浜松市の納骨堂も期限付と永年の2つで、両市とも永年に預けた遺骨は返しません。
- 民間やお寺の納骨堂の「永代供養」も、骨壺のまま置ける期間は契約で決まります。墓地の契約について厚生省(当時)が2000年に示した指針は、「永代使用」と表示しながら、管理料を払う間だけ続く契約もあるとしています。鎌倉新書が2026年1月、2025年に墓を買った1,267件に聞いた調査では、納骨堂の平均購入金額は81.5万円でした。
- 納骨堂へ移すのも改葬(遺骨を別の墓や納骨堂へ移すこと)で、遺骨がいまある市区町村の許可が要ります。納骨堂の管理者は、改葬許可証を受け取ってから遺骨を納めます。
- 申し込む前に、払う額に何が入っているかを確かめます。国民生活センターが2020年に公表した紛争解決の事案では、納骨壇の代金のほかに1人約5万円の納骨料などを示された、と申請した人が訴えました。
- 今の墓の撤去は、複数の石材店に見積もりを頼みます。見積もりの単位(積算の仕方)は店で違います。北九州市も、市営霊園の案内で複数の業者からの見積りを勧めています。
「永代供養」の納骨堂なら、ずっと骨壺のまま置いてもらえるのか
納骨堂は、預かった遺骨を建物の中に納める施設です。墓地埋葬法は、頼まれて焼骨(火葬した遺骨)を納めるため、都道府県知事(市では市長)の許可を受けた施設と定めています。寺が運営する室内納骨堂と契約した人の記録です。
両親が生前に買った墓を返し、母の遺骨を寺が運営する都内の室内納骨堂に納めた息子(個人ブログ・note)
当初にまとめて払う金額は80万円を超える。その後も毎年1万円ちょっとを払い続けることになる。ただし、この墓を維持する人がいなくれば、自動的に合祀、永代供養されることになっていた。
コンテナはちょっとしたロッカーというか引き出しぐらいの大きさ。「一般的な骨壺で2つ。3柱以上となったときは専用の袋に移して最大6人」とのこと。
両親が生前に買い、使わないまま遠くなった墓を返したあと、母の遺骨の納め先を都内で探した人です。料金の安いほうから見学しました。厚生省(当時)の墓地の指針は、使える期間をはっきりさせ、十分に説明して契約するよう求めています。
出典: 399 お墓の話(note)(台帳: V0126)
公営の納骨堂でも、骨壺のまま預ける形と、骨壺から出してほかの遺骨と一緒に納める形(合葬)を分けている所があります。3つの市の案内を並べます。
| 施設 | 骨壺のまま預ける | 骨壺から出して合葬する |
|---|---|---|
| 静岡市の愛宕霊堂(市営納骨堂) | 期限付収蔵。1年から30年の間で預け、更新もできます。1体1年5,330円です。 | 永年収蔵。骨壺から絹の袋に移して合葬します。1体106,790円で、遺骨は返還できません。 |
| 浜松市の納骨堂(三方原墓園) | 期限付納骨。墓地に埋めるまでの一時的な預かりで、1体1年7,220円です。 | 永年納骨。納骨袋に入れて合葬します。1体123,610円で、遺骨は返しません。 |
| 大阪市の瓜破霊園の合葬式墓地 | 納骨壇で10年か20年保管したあと、合葬します。1体10万円か15万円です。 | 直接合葬。骨壺から取り出して合葬室に納めます。1体5万円です。 |
大阪市の額は市内に住む人のもので、市外に住む人は1.5倍です。浜松市の額は、2019年10月1日現在として案内されています。永年の側に預けると、遺骨は骨壺から出して合葬され、返ってきません。合祀墓・合葬墓などの呼び名の違いは墓じまいの合祀の記事に、何年後に合祀される施設があるかは合祀の時期の節にまとめました。
納骨堂に移したあと、継ぐ人がいなくなったら、出せるのか
納骨堂に移しても、その先を誰が見るかという問いは残ります。義父が寺の納骨堂へ移した家の記録です。
義父が墓じまいをして寺の納骨堂へ移した家の、長男の妻(個人ブログ・アメブロ)
それに、私の方のお寺の納骨堂だって、抜ける時は1人50万円納めてって言われたよ。
義実家の納骨堂は先祖がたくさん入ってるから1人50万とすると幾らになるんだ!?
義弟は義両親の介護関係のキーパーソンになってくれて、思い入れがあるから、なるべく彼の思う通りにさせてあげたいけれど、そのために何十万円も使うのもなんだか違うかな?と思います。
10年ほど前、義父が前の寺を離檀し、車で5分の寺の納骨堂へ移した家です。義父もその納骨堂に入り、夫と義弟は60代になりました。継ぐ人がいない前提で、お盆に兄弟と話した日の記録です。納骨堂から別の墓へ移すのも改葬です。
出典: 義実家のお墓問題(認知症やっちゃんの日々・アメブロ)(台帳: V0088)
浜松市の納骨堂は、出せるかどうかを預け方で決めています。墓所などへの改葬と遺骨の引き取りは、期限付の納骨に限ります。納めた使用料は返さない、とも案内しています。
民間やお寺の納骨堂では、契約の中身で決まります。墓地の契約について厚生省(当時)が2000年に示した指針は、使用期限の定め方を、例として次の4つに挙げています。
| 指針が挙げる型 | 使える期間 | 期間のあと |
|---|---|---|
| 無期限制 | 期限の定めがありません。 | 無縁墓になったときの扱いが問題になるとして、どんな場合に合葬墓へ移すかを明確にするのが望ましいとしています。 |
| 管理料継続制 | 管理料を払っている間だけ続きます。 | 払われずに例えば3年たつと使う権利がなくなり、納骨堂や合葬墓へ移します。 |
| 有期限制 | 30年などの長い期限までです。 | 期限が過ぎたら、納骨堂や合葬墓へ移します。 |
| 有期限更新制 | 期限までです。 | 使う人が明らかで管理料が納められていれば、申し出で必ず更新します。 |
指針は、「永代使用」と表示しながら、実際は管理料を払う間だけ続く型や、更新する型のこともあると書いています。総務省行政評価局の2023年の報告書は、厚生労働省の見解を載せています。期限のある墓から合葬式施設などへ移すときも、改葬の許可が要るという見解です。申請者には、使用者のほか、墓地や納骨堂の経営者・管理者もなり得るとしています。
納骨堂へ移すには、何をどの順で進めるのか
移す先の納骨堂を決めたあとも、役所の手続きと今の墓の片づけが残ります。市設の霊園の墓から、お寺の納骨堂へ移した人の記録です。
市設の霊園にあった父と祖母の墓をしまい、先祖の遺骨をお寺の納骨堂へ移した30歳の女性(個人ブログ・note)
翌日、関係親族者で無事に納骨を終えた。陣痛が来る8日前のことである。
その納骨堂のあるお寺は明るく、参拝者も多くて賑やかな場所の一角に遺骨たちは移った。わたしたち親族にとっても以前よりもお参りがしやすい場所になった。
親族と話し合って決め、臨月に一気に進めた墓じまいです。石材店は、いくつか見積もりを取ってから決めました。役所の手続きは自分でしています。移す許可を出すのは、遺骨がいまある市区町村です。
出典: 先祖の遺骨と、妊婦のわたし〜30歳の墓じまい(note)(台帳: V0057)
最初の段は、今の墓の撤去の見積もりを、複数の石材店に頼むことです。北九州市も、市営霊園の案内で複数の業者からの見積りを勧めています。役所の手続き(2〜5)の順番は、大津市の案内によります。
| 順番 | すること | 知っておくこと |
|---|---|---|
| 1 | 複数の石材店に、今の墓の撤去の見積もりを頼む | 見積もりの単位(面積・重さ・一式など)は店で違います。項目をそろえて比べます。 |
| 2 | 移す先の納骨堂を決め、受入証明をもらう | 大津市は、移す先の管理者が受け入れを証明する書類を求めています。 |
| 3 | 今の墓の管理者から、埋蔵証明をもらう | いま遺骨が納められていることの証明です。大津市は、申請書の下段への記入でもよいとしています。 |
| 4 | 遺骨がいまある市区町村に、改葬許可を申請する | 許可は、遺骨が現にある地の市町村長が出します。大津市は、1体ごとに1枚の申請書を求めています。手数料は、京都市と下関市は無料、奈良市と富山市は1枚300円です。 |
| 5 | 遺骨を取り出し、改葬許可証を納骨堂に渡して納める | 納骨堂の管理者は、改葬許可証を受け取ってから納めます。静岡市の納骨堂は、申込の書類に改葬許可証などを挙げています。 |
| 6 | 墓石を撤去し、区画を返す | 北九州市は、墓石の撤去を含む工事のあと、写真を添えた竣工届を出すよう求めています。 |
今の墓が都立霊園で継ぐ人がいなければ、墓を返して都の合葬式墓地へ移す「施設変更」の制度があります。対象には、一般の墓所のほか、みたま堂(長期収蔵施設)も挙がっています。実施の有無や受付は年度で変わります。くわしくは都営霊園の墓じまいの記事にあります。
大阪市も、市設霊園の墓を返して移す人や、市立服部納骨堂から移す人なら、市外に住んでいても合葬式墓地に申し込めます。市ごとの決まりは市営墓地の墓じまいの記事に並べました。
今の墓があるお寺の納骨堂へ移すときも、墓から納骨堂へ移すので改葬にあたります。同じお寺の中で移す場合は永代供養にする記事に、同じ墓地の中で区画を移す場合は改葬の記事にまとめました。許可証が出るまでの日数は改葬許可証の記事にあります。
納骨堂の値段に、何が入っているのか
鎌倉新書は2026年1月、2025年に「いいお墓」経由で墓を買った人に調査しました(有効回答1,267件)。平均購入金額は、納骨堂が81.5万円、一般墓が152.0万円、樹木葬が71.7万円です。
厚生省(当時)の指針は、墓地の料金について、どの範囲にいくら払うのかを利用者に十分に認識してもらうことが重要だとしています。やむを得ない事情がない限り、ほかの名目で料金を足すようなことがあってはならない、とも書いています。
国民生活センターの紛争解決委員会が2020年12月に公表した事案があります。申請した人は、納骨壇の購入のほかに費用はかからないと説明を受け、約310万円を払いました。2019年、父が建てた墓をしまって遺骨を納めようとすると、1人約5万円の納骨料を示されたと訴えています。その後の返信では、納骨法要供養料など聞いたことのない名目で約22万円と書かれていたとしています。手続きは、和解が成立する見込みがないとして終わりました。
申し込む前に、納骨料や法要の費用、毎年の管理料が代金に入っているかを、書面で確かめます。指針も、契約書や重要な事項の書面を作り、それに沿って説明するよう求めています。
大阪地裁の2020年12月10日の判決(1件)は、使う前に解約した納骨壇の代金を扱いました。140万円を一括で払い、鍵も受け取らないまま解約した人が、返還を求めた事案です。判決は、遺骨を預かり供養する報酬の部分(7割・98万円)は返すべきだとしました。供養を受ける地位を得た対価の部分(3割・42万円)は、返さなくてよいとしています。払った額を一切返さないという規約の定めは、この事案では消費者契約法9条1号により全部無効とされました。使い始める前の解約では、事業者に平均的な損害は生じないという判断です。
まとめ
静岡市と浜松市の公営納骨堂は、骨壺のまま期限つきで預ける形と、骨壺から出して永年預ける形に分かれます。永年に預けた遺骨は返ってきません。民間やお寺の納骨堂の「永代供養」も、骨壺のまま置ける期間と毎年の支払いは契約で決まります。
移すのは改葬なので、遺骨がいまある市区町村の許可を取り、改葬許可証を納骨堂に渡します。申し込む前に、代金に何が入っているかを書面で確かめます。今の墓の撤去は、複数の石材店に見積もりを頼み、額と内訳を比べます。北九州市も、複数の業者からの見積りを勧めています。費用の全体は墓じまい費用の記事に、移した遺骨の行き先の割合は墓じまいで骨はどうなるかの記事にまとめました。
納骨堂を考えた・選んだ3人の口コミ
最後に、遺骨の納め先に納骨堂を考えた3人の記録から、一節ずつ紹介します。
兵庫の墓を東京の納骨堂へ移したいと言い出した94歳の義父の、娘婿(個人ブログ・note)
義父がたまたま見ていたテレビ番組で、「自動搬送式納骨堂」というものが紹介されていました。建物の中で受付をすると、普段は別の場所に収蔵されている遺骨が機械によって参拝スペースまで運ばれてくる。義父が見たのは、そういう施設だったようです。
出典: 墓じまい編①94歳の義父が突然、「墓を東京に持ってくる」と言い出しました。(note)(台帳: V0042)
檀家のお寺の納骨堂を、家族で1区画借りた人(個人ブログ・アメブロ)
お寺にはこちらの連絡先を伝えておき
その連絡先で、連絡とれなくなったら
自動的に合同墓に…という流れになっていた
出典: 墓じまい〜③(ぴーかんてんきのブログ・アメブロ)(台帳: V0079)
義母が墓じまいを決め、市営墓地の遺骨を、自分の両親も眠るお寺の納骨堂へ移すことにした長男の妻(個人ブログ・アメブロ)
納骨堂にお参りに行ってもうすぐ義父たちがここにやってくることを私の両親にも伝えてきました。
出典: 帰省と墓じまいのこと(ふつう。・アメブロ)(台帳: V0104)
