まず結論から
- 高野山の奥之院が預かるのは、基本的に小さい方の遺骨(喉仏)で、全骨は預かりません。宗旨・宗派は問わないと、総本山金剛峯寺は答えています。
- 金剛峯寺は永代供養を受け付けていません。読経供養・灯明供養は最長1年までで、永代供養は最寄りの寺院か高野山内の各寺院に、費用を含めて相談するよう案内しています。
- 奥之院は、納骨に火葬証明書などの書類を「現在のところ」求めていません。それでも、今の墓から遺骨をほかの墓や納骨堂へ移すには、遺骨がいまある市区町村の許可(改葬許可)が要ります。
- 喉仏のほかの遺骨は、奥之院とは別の先へ移します。全日本仏教会と大和証券の2024年12月の調査で、墓を移したい526人が望む先は、公営・民営の墓地14.4%、寺院にある永代供養墓11.4%などでした。
- 撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取ります。北九州市も市立霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。
墓じまいの遺骨を、全部奥之院に納められるのか
墓じまいは、墓に納められている遺骨を納骨堂や合葬墓へ移し、墓を撤去して更地にすることだと、大津市は説明しています。高野山真言宗の総本山金剛峯寺は、奥之院への納骨について、宗旨や宗派を問わないと答えています。故人の遺志を尊重したうえで、家族でよく相談して決めるよう添えています。
本山に納める遺骨の大きさは、口コミにも出てきます。母の遺骨を、京都の大谷本廟へ納めた人の記録です。
17年間ひとりで自宅介護した母の遺骨を、三回忌のあと京都の大谷本廟へ一人で納めた娘(本人の記録・note。家の墓の墓じまいはまだしていない)
誰にも言わず、一人で行きました。 納骨のとき、小さいお骨だけでなく、大きいお骨も一緒に納めてきました。
ふつうは、小さいほうを納めて、大きいほうはお墓に入れるのだと思います。
でも、そうしませんでした。
家の墓には、祖父と祖母と父が入っています。家族のいない自分の代でその墓を処分するとき、母の骨をまた動かさずに済むよう、全部を納めました。高野山の奥之院は、基本的に小さい方(喉仏)を預かり、全骨(大きい方)は預からないと答えています。
出典: 母だけがいないお墓に、手を合わせてきました(note)(台帳: V0065)
遺骨を分けて納めることを、どう感じる人が多いのか。全日本仏教会と大和証券は2024年12月、全国の20〜79歳6,192人に、分骨をどう思うかを聞いています。「かなり」「やや」抵抗感がある人は合わせて52.2%、「まったく抵抗感がない」人は47.8%で、ほぼ半々でした。
受ける遺骨と添える書類は、納め先で違います。
| 納め先 | 受ける遺骨 | 添える書類 |
|---|---|---|
| 高野山の奥之院(高野山真言宗) | 基本的に小さい方(喉仏)。全骨は預からない。宗旨・宗派は問わない | 火葬証明書や埋葬証明書などは、現在のところ要らない |
| 京都の大谷本廟(浄土真宗本願寺派) | 遺骨の一部も全ても受ける。納骨届に所属寺の住職の署名・捺印が要り、所属寺がなければ大谷本廟に問い合わせる | 一部は納骨届。全ては火葬許可証、ほかの墓所からの改葬は改葬許可証も添える |
| 北九州市の市立霊園 | のど仏(分骨)での申し込みはできない | 故郷の市町村が出す改葬許可証で受け付ける |
奥之院に納める喉仏と、残りの遺骨を移す先は、分けて決めます。全日本仏教会と大和証券の同じ調査で、墓を移したい526人が望む先は、公営・民営の墓地が14.4%、寺院にある永代供養墓が11.4%でした。本山にある墓地・納骨堂は0.3%です。残りの遺骨の行き先は墓じまいで骨はどうなるかの記事で、費用は同じ記事の行き先ごとの費用の節で比べられます。
高野山で永代供養をしてもらうには、どこに頼むのか
奥之院に喉仏を納めたあと、供養をいつまで続けてもらえるのかも気になります。金剛峯寺の公式Q&Aによると、供養は奥之院で受けていて、大まかに読経供養と灯明供養の2種類に分かれます。
墓じまいを控えて、先に両親の遺骨を寺の永代供養に納めた人の記録です。
父方の祖父母が眠る墓の墓じまいを控え、先に両親の遺骨を大阪の大きな寺の永代供養に納めた人(本人の記録・note)
そのお寺では、何年単位かで、 ひとつのお墓に沢山のお骨が入る仕組みに なっています いっぱいになると、隣に新しいお墓が建ちます それを見た姉が、 「私もこのお寺に、永代供養してほしいな」 と言いました
祖父母の墓は、車で1時間ほどの山頂の霊園にあります。両親とは生前から墓じまいを話し合っていましたが、その前に二人とも亡くなりました。金剛峯寺は永代供養を受け付けず、最寄りの寺院か高野山内の各寺院に相談するよう答えています。
出典: 【墓じまいのこと】両親の納骨と、まさかの「骨つぼ手作り」(note)(台帳: V0023)
金剛峯寺は、読経供養と灯明供養を最長1年まで受け、永代供養は受け付けていません。永代供養を望むなら、最寄りの寺院か高野山内の各寺院に、費用を含めて相談するよう案内しています。近くの寺院の紹介も金剛峯寺は直接しておらず、まず菩提寺(付き合いのある寺)で紹介を受けるようすすめています。
金剛峯寺の公式Q&Aにあることを、頼みたいことごとにまとめます。
| 頼みたいこと | 頼む先 | 金剛峯寺の公式Q&Aにあること |
|---|---|---|
| 喉仏の納骨 | 奥之院 | 予約は要らない。受付は午前8時30分〜午後2時40分で、最終受付は午後3時。午後3時以降の受付は翌日の供養になる。正月三が日は受付だけ |
| 納骨の当日 | 奥之院 | 申込み用紙に施主の氏名・住所・連絡先と、戒名・俗名・命日・行年を書く。施主が立ち会って読経供養(約1時間)をし、僧侶が納骨堂へ納める |
| 読経供養・灯明供養 | 奥之院 | 最長1年まで。現金書留でも申し込める。オンラインでは受け付けていない |
| 永代供養 | 高野山内の各寺院か、最寄りの寺院 | 金剛峯寺は受け付けていない。費用を含めて相談する |
| 近くの寺院を探す | 菩提寺 | 金剛峯寺は所属寺院を直接紹介していない |
| 位牌・仏像のお焚き上げ | 奥之院 | 1基(1体)につき10,000円の供養料。お性根抜きが要るものは、別に撥遣供養料(1体10,000円)が要る |
永代供養を寺に尋ねるときは、費用の数え方まで確かめます。全日本墓園協会の専務理事の横田睦さんは、骨壺で一定期間管理する施設に、骨壺1つごとに料金を決めているところがあると書いています。先祖代々の墓から出す骨壺は、相当な数になる場合もあるといいます。預け先の選び方は永代供養の記事にまとめました。
奥之院が書類を求めなくても、役所の手続きは要るのか
金剛峯寺の公式Q&Aは、奥之院への納骨に、火葬証明書や埋葬証明書などの書類は「現在のところ」必要ないと答えています。この問答は、今の墓から遺骨を出すときの役所の手続きには触れていません。
墓じまいで奥之院に喉仏を納めても、残りの遺骨はほかの墓や納骨堂へ移します。遺骨をほかの墓や納骨堂へ移すこと(改葬)には、遺骨がいまある地の市町村長の許可が要ります。寺の墓から3人の骨壺を出し、築地本願寺の合同墓へ移した人の記録です。
寺の墓から父・母・夫の骨壺3つを出し、築地本願寺の合同墓へ納めた妻(本人の記録・note)
さて、当日、親切な石材店さんが築地本願寺の待合室まで三体のお骨を運んでくださったので、本当に助かりました。
まずは法要の前に納骨の受付手続きをしました。サービスカウンターにお骨をのせて、書類と照合してもらいます。
先に区役所で改葬許可証を取り、寺で骨出しと最後の法要を同じ日にしました。この合同墓は、2026年7月1日で募集を終えています。墓地や納骨堂の管理者は、許可証を受け取ってからでなければ遺骨を納めさせてはならないとされています。
出典: "ゴースト夫"に会いたくて〜墓じまい(納骨と法要)〜第36話(最終話)(note)(台帳: V0026)
改葬の許可の申請書には、改葬の場所を書きます。今の墓の管理者が作る、遺骨が納まっていることの証明も付けます。遺骨の一部を分けてほかの墓などに納める分骨では、今の墓の管理者が出す証明書を、分骨先に出します。大津市は、分骨に改葬許可は要らないと答えています。
喉仏を奥之院へ、残りを別の先へ移すときに申請書にどう書くかは、墓のある市区町村の窓口に尋ねます。大津市も、手続きは市区町村で違うことがあるとして、改葬元の市区町村の担当課に問い合わせるよう案内しています。分骨と改葬の違いは改葬の記事に、書類をそろえる順番は書類の記事にまとめました。
高野山の奥之院は、和歌山県伊都郡高野町にあります。高野山にある墓をしまうときも、許可を出すのは遺骨がいまある市町村の長です。和歌山県で申請する先は和歌山県の墓じまいの記事にまとめました。
高野山へ遺骨を納める墓じまいで、誰に何を頼むかを順番に並べます。見積もりの単位(積算の仕方)は、石材店によって違います。最初に複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて額と内訳を比べます。北九州市も、市立霊園の工事で複数の業者からの見積りを勧めています。
| 順番・頼む相手 | 頼むこと |
|---|---|
| 1 複数の石材店 | 墓石の撤去の見積もりを頼む。見積もりの単位は店で違う |
| 2 家族・親族 | 残りの遺骨の移し先を決める。申請書に改葬の場所を書くため |
| 3 今の墓の管理者 | 遺骨が納まっていることの証明を受ける |
| 4 遺骨のある市区町村 | 証明を付けて改葬の許可を申請し、許可証を受ける |
| 5 菩提寺など | 遺骨を出す前に、墓から霊を抜く法要を頼む。呼び名は宗派でいろいろ。遺骨を出し、墓石を撤去する |
| 6 高野山の奥之院 | 喉仏を、申込み用紙に書いて納める。書類は現在のところ要らない |
| 7 残りの遺骨の移し先 | 改葬許可証を渡して納める |
まとめ
高野山の奥之院が預かるのは基本的に喉仏で、全骨は預かりません。金剛峯寺は永代供養を受け付けていないので、永代供養は高野山内の各寺院か最寄りの寺院に、費用を含めて相談します。奥之院が書類を求めなくても、今の墓から遺骨をほかの墓や納骨堂へ移すには、遺骨のある市区町村の改葬許可が要ります。撤去は、複数の石材店から見積もりを取ってから頼みます。
真言宗の家の墓じまいで変わることは真言宗の墓じまいの記事に、墓じまい全体の流れは墓じまいとは何かをまとめた記事にまとめました。
本山や遠くの寺へ遺骨を納める3人の口コミ
最後に、本山や遠くの寺へ遺骨を納める3人の記録から、一節ずつ紹介します。
義実家の墓じまいを夫が手配し、義母の遺骨を総本山へ納めに行くと書いた妻(本人の記録・アメブロ。どの宗派の総本山かは書かれていない)
日曜日にお墓とお仏壇の閉眼供養です。
来月初旬に義母の遺骨を出して頂き
その後に総本山に納めに行こうと思います。
出典: 墓じまい(石材店見積り)(アメブロ)(台帳: V0123)
母が生前に墓じまいと永代供養を済ませていた北大阪の寺へ、東京から母の遺骨を納めに行った子(本人の記録・アメブロ)
寺男の方が骨壺から骨を永代供養墓に納め、僧侶が供養のお経を読んで終わりです。
最後に戒名を書いた竹皮のお札を寺の手洗いのような石桶に浸します。
出典: 亡き母の納骨を済ませました(アメブロ)(台帳: V0089)
祖父母の墓をしまい、先に分骨を納めてあった京都の大谷本廟へ祖父母を納めた孫(本人の記録・note)
祖父母の分骨はすでにこちらに納められていましたが、これでいよいよ、大谷本廟が家族の本当のお墓となったわけです。
出典: お墓じまい⑧納骨へ(note)(台帳: V0064)
