墓じまいとは?遺骨を移し墓石を撤去して返すこと・流れとその後

墓じまいとは?遺骨を移し墓石を撤去して返すこと・流れとその後
目次

「墓じまい」という言葉は聞いたことがあっても、何をどこまですることなのかははっきりしない——親から急に切り出されて、調べ始めたところではないでしょうか。

この記事では、神戸市・新居浜市の案内と法律の条文から、墓じまいの意味を整理します。件数は厚生労働省の統計で確かめ、流れと終えたあとの供養は、全日本墓園協会の横田睦氏の解説と当事者の口コミを添えて説明します。

まず結論から

  • 墓じまいとは、墓の遺骨を別の墓や納骨堂へ移し、墓石を撤去して、区画を墓地に返すことです。神戸市と新居浜市も、案内でこう説明しています。
  • 役所では、遺骨を移すことを「改葬」と呼びます。許可を出すのは、今の墓がある市区町村です。厚生労働省の統計では、改葬は2024年度に全国で176,105件ありました。
  • 始めるなら、まず複数の石材店に見積もりを頼みます。北九州市も市立霊園の案内で勧めています。全国石製品協同組合の調査では、経験者41人の8割以上が、検討から3年以内に終えていました。
  • 鎌倉新書の2026年の調査では、移し先は永代供養の合祀・合葬墓(ほかの人の遺骨と一緒に納める墓)が43.2%で最多でした。移した先が、新しいお参りの場所になります。

墓じまいとは、何をすることなのか

親の一言をきっかけに、家族で言葉の意味から調べ始めた人の記録があります。

94歳の義父が「墓を東京に持ってくる」と言い出した家族の一人(娘婿・note)

そもそも墓じまいって、何をどうすればいいのか。

妻も姉も分かりません。

もちろん、私も分かりません。

そこで、妻とその姉だけではなく、それぞれの夫である私たちも加わり、家族みんなで墓じまいについて調べることになりました。

調べ始めて、まず分かったことがあります。

墓じまいというのは、単純に墓石を撤去して終わり、という話ではありませんでした。

まず、お墓の中にある遺骨をどうするのかを決めなければなりません。

義父は、兵庫の墓を、テレビで見た東京の納骨堂へ移すつもりでした。機械で遺骨が参拝の場所まで運ばれてくる施設です。新居浜市も、墓じまいの前に遺骨の移し先を決めるよう案内しています。

出典: 墓じまい編①94歳の義父が突然、「墓を東京に持ってくる」と言い出しました。(note)(台帳: V0042)

神戸市は墓じまいを、今の墓の遺骨を別の墓や納骨堂に移したうえで、元の墓を撤去することだと説明しています。新居浜市は、更地にして、墓地の管理者に区画を使う権利(使用権)を返すところまで挙げています。することは、次の3つです。

すること役所・資料での言い方どこで・誰に
遺骨を別の墓や納骨堂へ移す改葬。市区町村長の許可が要ります。今の墓がある市区町村の窓口。
墓石を撤去して更地にする墓地の使用者の「現状回復義務」とされています。石材店。神戸市は、使用者が自分で石材業者などに頼むよう案内しています。
区画を墓地に返す使用権の返還。墓地の管理者。

墓地や埋葬について定めた法律と、その施行規則には、「墓じまい」という言葉は出てきません。役所での呼び名は改葬です。法律は改葬を、墓や納骨堂に納めた遺骨を、ほかの墓や納骨堂に移すことと定めています。

国民生活センターの月刊誌で、全日本墓園協会の横田睦氏も、墓じまいは法律と施行規則に基づく「改葬」だと説明しています。役所に出す申請書も、改葬の許可を求める書類です。

改葬の件数は、厚生労働省の統計(衛生行政報告例)で数えられています。2024年度は全国で176,105件でした。2022年度の151,076件、2023年度の166,886件から増えています。

全国の改葬の件数を年度ごとに示した縦棒グラフ。2022年度が約15.1万件、2023年度が約16.7万件、2024年度が約17.6万件で、年度を追うごとに増えている。厚生労働省の衛生行政報告例による
図1: 全国の改葬の件数。出典: 厚生労働省「衛生行政報告例」令和4〜6年度 第6表

何から始めて、どこで終わるのか

やりとりする相手は、石材店、今の墓地、役所、移す先と変わっていきます。まずは、始める前から準備を進めている人の記録です。

父から、将来の墓じまいを頼まれた人(note)

今回の僕たちの方針としては、今すぐ墓じまいをするのではなく、両親が存命のうちに、できるところまで準備しておく。

このため「親族間で確認」「新しい納骨先を決める」「改装許可」といったところまでを事前に整理しておく。

父は、自分の代ではなく本人の代で墓をしまってほしいと考えました。本人は市役所に出向き、火葬の日付が分からないときの書き方まで確かめています。改葬の許可を出すのは、遺骨が今ある場所の市町村長です。

出典: 僕の「墓じまい」(note)(台帳: V0005)

流れを図にしました。最初の段は、複数の石材店に見積もりを頼むことです。北九州市は市立霊園の案内で、施工業者はどこでも構わないとし、複数の業者から見積りを取るよう勧めています。

次に、墓の中の遺骨の数と状態を確かめ、移す先を決めます。新居浜市は、墓じまいを決めたら必ず納骨室を開けて確かめるよう案内しています。改葬の申請書には、今の墓地の管理者が作る、遺骨が納められていることの証明を添えます。

墓を移すときは、墓から霊を抜く儀礼(お霊抜き。呼び名は宗派でさまざま)を行います。改葬許可証は移す先の管理者に渡し、受け取ってもらってから納骨します。最後に墓石を撤去して更地にし、墓地に返します。

墓じまいの流れを6つの段で示した図。1 複数の石材店に見積もりを頼む(北九州市も複数の業者からの見積りを勧める)。2 遺骨の数と状態を確かめる(新居浜市は納骨室を開けて確かめるよう案内)。3 遺骨を移す先を決める。4 今の墓がある市区町村で改葬許可を受ける(申請書に今の墓地の管理者の証明を添える)。5 法要をして遺骨を取り出し、移す先へ納める(改葬許可証を移す先の管理者に渡す)。6 墓石を撤去して更地にし、区画を返す。2から6の順番は新居浜市と神戸市の案内による
図2: 墓じまいの流れ。出典: 北九州市「諸手続きについて(市営霊園)」/新居浜市「墓じまいについて」/神戸市「墓じまい」/墓地、埋葬等に関する法律/同施行規則/国民生活センター「国民生活」2025年12月号

時間の目安もあります。全国石製品協同組合は2023年12月、全国の40代以上で、墓じまいを経験した41人と検討中の141人に聞きました。経験者の約4割は、検討から1年以内に終えていました。3年以内までの合計は8割以上です。

一方、検討中の141人では、約6割が検討を始めて4年以上たっていました。

石材店の選び方は墓じまい業者の記事に、段ごとにかかるお金は墓じまい費用の記事にまとめました。市や町の助成は、墓じまい補助金の記事で確かめられます。

今の墓地の管理者がお寺なら、いつ、どう切り出すかはお寺との交渉の記事にまとめました。檀家をやめるときにお寺へ納めるお礼(離檀料)の額は、離檀料の記事で確かめられます。親族への切り出し方は、墓じまいに反対されたときの記事にあります。

墓じまいのあと、どこで手を合わせるのか

墓をしまったあと、お参りはどこでするのでしょうか。鎌倉新書は2026年1月、同社のお墓の情報サイト「いいお墓」の利用者のうち、改葬や墓じまいを検討・実施した人に聞きました。移し先で最も多かったのは、永代供養の合祀・合葬墓で43.2%です。

夫と両親の遺骨を寺の墓から出し、築地本願寺の合同墓へ納めた妻(note)

こんな形で、夫が急逝したのち、葬儀から法要、そして墓じまいまで慌ただしくすませたのですが、お陰でお墓参りはぐっと近くなり、散歩がてらしょっちゅう合同墓にお参りに行けるようになりとても便利になりました。またお寺はすばらしい建築を観に参拝に訪れる観光客やインバウンドの方、またカフェ利用者も大勢来訪するので、常に賑わっており、寂しい感じがなくて、夫たちも喜んでいるような気がします。

寺での最後の法要のあと、骨壺3つを石材店に預け、空いていた日に納骨しました。遺骨は粉にされ、合同墓の地下に納められています。継ぐ人の要らない移し先を選んだ人は、同じ調査で約8割でした。

出典: "ゴースト夫"に会いたくて〜墓じまい(納骨と法要)〜第36話(最終話)(note)(台帳: V0026)

移した先が、新しいお参りの場所になります。花園大学の佐々木閑氏は、墓を移すときは霊を抜き、新しい場所に霊を入れることで新たな墓になると説明しています。終えたあとの暮らしは、次のように変わります。

気になること墓じまいのあと
お参りする場所遺骨を移した先の墓や納骨堂です。
墓の管理移した先が管理する形があります。神戸市の合葬墓は、市が永続的に管理します。
法事菩提寺(家が代々付き合ってきた寺)が遠く、住まいの近くで親の法事をしたいという相談に、曹洞宗の公式のよくある質問は、まず菩提寺に相談するよう答えています。遠方でも出向いて法事を営む住職もいるとしています。
位牌墓じまいのあと、位牌を家に置く方法があります。継ぐ人がいなければ、位牌を寺に納める方法もあります。

名城大学の安藤喜代美氏は2020年の論文で、永代供養を選んでも、寺との関係が全くなくなるわけではないと指摘しています。年忌法要(一周忌や三回忌など)やお盆を続けるなら、仏事にかかわる時間や費用が想定されるとしています。

移し先ごとの費用と選び方は、墓じまいの遺骨の行き先の記事にまとめました。

墓じまいは、誰がするものなのか

改葬の許可を申請できるのは、墓地の使用者(名義人)が原則だと、横田睦氏は説明しています。使用者以外の人が申請するときは、使用者の承諾書を添えます。厚生労働省の資料にも、使用者以外が申請するときは使用者の承諾が要ると注記されています。

状況必要になること
使用者(名義人)本人が申請する本人が申請します。
家族など、使用者以外が申請する使用者の承諾書を、申請書に添えます。
使用者がもう亡くなっている横浜市の市営墓地(久保山・三ツ沢・日野公園)では、別の人が使用権を引き継ぐ手続き(承継)をします。関係によって書類が違うので、事前に管理事務所へ相談するよう案内しています。

横浜市は同じ案内で、使用者と違う姓でも承継できるとしています。

墓を誰が継ぐかは、民法が定めています。墓は相続財産とは別に、慣習に従って先祖のまつりごと(祭祀)を主宰する人が引き継ぎます。亡くなった人が指定していれば、その人です。慣習が明らかでないときは、家庭裁判所が決めます。

まとめ

墓じまいは、墓の遺骨を別の墓や納骨堂へ移し、墓石を撤去して区画を返すことです。遺骨を移す部分は役所で「改葬」と呼ばれ、今の墓がある市区町村の許可が要ります。

始めるなら、まず複数の石材店に見積もりを頼みましょう。移した先が新しいお参りの場所になり、位牌は家に置くことも、寺に納めることもできます。墓をしまわずに残すとどうなるかは、墓じまいをしないとどうなるかの記事で確かめられます。

墓じまいを進めた3人の口コミ

最後に、墓じまいを進めた3人の記録から、一節ずつ紹介します。

熊本の市の霊園にある実家の墓じまいを進めた人(アメブロ)

お墓を管理している事務所に電話すると
とても丁寧に教えてくださって
ぼんやりとしていた墓じまいが
現実的になりました

出典: 墓じまい①(アメブロ)(台帳: V0034)

祖父母の遺骨を京都の大谷本廟へ納めた孫(note)

これで仮に私やきょうだいがどこかで野垂れ死んでも、祖父母の墓を無縁墓にする心配はありません。

出典: お墓じまい⑧納骨へ(note)(台帳: V0064)

実家の墓をしまい、菩提寺の永代供養塔へ移した一人娘(アメブロ)

本山の西本願寺さんによると、墓じまいと同時に仏壇を納めなくてもよいそうですので。

ですから、今年も例年と同じくお盆はしようと思っています。

出典: 全て完了しましたー墓じまいー(アメブロ)(台帳: V0118)

参考文献

  1. 全国石製品協同組合(全石協)(2024)「墓じまい」に関してのアンケート調査(2023年12月調査・全国40才代以上の男女182名).
  2. 安藤喜代美 (2020) 多様化する家族と新しい墓制・葬送のカタチ. 家族社会学研究, 32(1), 83–98.
  3. 鎌倉新書 (2026)【第4回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)全文版. 回答者は同社サイト「いいお墓」経由で資料請求・霊園見学をした人(有効回答733件).
  4. 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第2条・第5条・第14条. e-Gov 法令検索.
  5. 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年厚生省令第24号)第2条. e-Gov 法令検索.
  6. 民法(明治29年法律第89号)第897条 祭祀に関する権利の承継. e-Gov 法令検索.
  7. 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律に係る行政の仕組み(技術的助言)」.
  8. 厚生労働省 (2025)「衛生行政報告例 令和6年度」第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数(全国の行). e-Stat.
  9. 厚生労働省「衛生行政報告例 令和5年度」第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数(全国の行). e-Stat.
  10. 厚生労働省「衛生行政報告例 令和4年度」第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数(全国の行). e-Stat.
  11. 横浜市「諸手続一覧表(久保山・三ツ沢・日野公園墓地用)」(2021).
  12. 北九州市「諸手続きについて(市営霊園)」.
  13. 神戸市「墓じまい」(2026年1月16日更新).
  14. 国民生活センター「国民生活」2025年12月号(No.160)特集「『家』を継げない時代の埋葬と祭祀を考える」. 特集2 佐々木閑(花園大学)・特集3 横田睦(全日本墓園協会)ほか.
  15. 新居浜市「墓じまいについて」.
  16. 曹洞宗「よくあるご質問(FAQ)」曹洞禅ネット SOTOZEN-NET 公式ページ.

当事者の口コミの出典: V0042(note)/V0005(note)/V0026(note)/V0034(アメブロ)/V0064(note)/V0118(アメブロ)。いずれも本人が公開している記録で、引用は原文のままです。

更新履歴: 2026-09-29 公開/2026-10-11 お寺への切り出し方・離檀料・親族への話し方の記事へのリンクを足した