まず結論から
- 相談相手で最も多いのは、夫や妻です。全国石製品協同組合(全石協)が2026年4月、全国の40〜70代500人に複数回答で聞くと、「夫・妻」が33.2%でした。専門の相談先の中では寺院・霊園が21.0%で最多で、石材店・役所・葬儀社を上回りました。八王子市も、手続きの前に今の墓地の管理者へ伝えるよう案内しています。
- そのほかの相談先は、用件で使い分けます。改葬(遺骨をほかの墓へ移すこと)の許可を出すのは、遺骨がいまある市区町村です。離檀料などの額に納得できないときは、消費生活センターか消費者ホットライン188が相談先です。
- 業者を紹介しない役所もあります。尼崎市は寺・宗教者・石材業者の紹介をしておらず、神戸市は墓の撤去をしていません。墓石の撤去は、複数の石材店から見積もりを取って頼みます。北九州市も、市営霊園の案内でそう勧めています。
- 寺や親族との交渉を任せる相手は、弁護士です。法テラスの無料法律相談は、収入と資産が一定の基準以下の人が対象で、1回30分です。
まだ誰にも話していない。最初は誰に話せばいいのか
墓じまいが頭にあっても、口に出すのは簡単ではありません。全石協の2026年の調査では、相談先に「誰にも相談しない」を選んだ人が32.8%いました。「将来もするつもりはない」と答えた人に限ると、46.5%です。「検討中」と答えた人では、夫・妻、寺院・霊園、石材店を選ぶ割合が高くなっていました。調査はインターネットで行われ、回答者の76.6%は男性です。
次は、寺の墓地を掃除した帰りに、友達と墓じまいの話になった人の記録です。
お盆の読経を済ませたあと、寺の墓地にある家の墓を掃除しに行った人(note)
墓掃除のあと、友達の家に寄った。 彼女も「墓じまいをやらなきゃいけない」と言っていた。
もう自分たちの代で終わりにしなくては、と。 「子どもたちには負担をかけられないし、出来ないから」
親の代は、墓や仏事は子どもが引き継ぐのが当たり前だった。
ところが私たちは違う。 親の墓をどうするかを考えながら、自分の終わり方まで決めなければならない。
この日、書き手は荒れた墓地と、墓石が抜けた区画を目にしていました。国民生活センターは、墓じまいは家族や親族を交えるなどして、よく話し合うよう助言しています。
出典: 「墓じまい」を考えた日。超前倒しのお盆と荒れた墓地で(note)(台帳: V0053)
相談するタイミングを同じ調査で聞くと、「誰にも相談しないのでわからない」が37.0%で最多でした。具体的な時期と区切りは墓じまいのタイミングの記事にまとめました。
最初に話す相手は、家族です。東京都消費生活総合センターの広報誌は、墓への考え方は家族の中でも違うことがあるとして、事前に十分話し合うよう勧めています。
家族の次は、今の墓地の管理者です。八王子市は、手続きを始める前に、今の墓地の管理者へ改葬する旨を伝えるよう案内しています。築地本願寺の仏事相談は、地元の寺と疎遠だが東京で葬式をしてよいか、という問いに答えています。今まで疎遠でも、遠慮なく地元の寺に相談しようという答えです。
相談先の割合の図は墓じまい業者の記事に、親族への話し方は親族の同意の記事と反対されたときの記事に、寺への切り出し方はお寺との交渉の記事にまとめました。
何を、どこに聞けばいいのか。用件ごとの相談先
墓じまいの相談窓口が、一つあるわけではありません。墓のこと、移し先、役所の許可、工事と、聞く相手は用件ごとに変わります。どこへ行く前にも、手元で整理しておくことがあります。
後見人として関わる人の墓の始末を進めてきた支援者の記録(note)
まず、お墓の基本情報を整理します。どこの霊園・お寺か、管理費の支払い状況はどうか、墓地委員やお寺の連絡先はどこか。 遺骨が誰の分か確認することも大切です。複数の方の遺骨が入っている場合、後の手続きに影響します。
書き手は、墓じまいを進める手順の1段目にこれを置いています。改葬の申請書には、墓地の管理者が作る、遺骨を納めた事実の証明を添えると国の省令が定めています。
出典: 「無縁仏にしたくない」——後見人として墓じまいに向き合ってきた話(note)(台帳: V0062)
用件ごとの相談先を並べます。
| 用件 | 聞く相手 | 知っておくこと |
|---|---|---|
| 墓のこと(遺骨の数・区画の返し方) | 今の墓地の管理者(寺の墓地なら住職など) | 八王子市は、遺骨が何体あるか、火葬骨か土葬骨かを管理者に確かめるよう案内します。曹洞宗は、寺の墓地の使用規則は住職等に尋ねるよう案内しています。 |
| 名義人が亡くなっている・分からない | 今の墓地の管理者 | 八王子市は、名義人が亡くなっていれば名義の変更が要る場合があるとして、親族が管理者に相談してから手続きするよう案内します。名義人が分からないときも、管理者に確かめます。 |
| 撤去の見積もり | 複数の石材店 | 北九州市は、市営霊園の案内で複数の業者からの見積りを勧めています。 |
| 遺骨の移し先 | 移す先の寺・霊園 | 八王子市は、移す先の管理者から使用許可証か遺骨の受入証明書をもらうよう案内します。 |
| 改葬の許可 | 遺骨がいまある市区町村 | 許可を出すのは、遺骨がいまある地の市町村長です。 |
| 補助金があるか | 墓のある市町村の担当課 | 京都府のFAQは、府(京都市を除く)では墓じまいの補助制度はないと答え、詳しくは墓のある市町村の担当課に聞くよう案内しています。 |
| 申請書づくりを人に頼む | 行政書士 | 名古屋市は、行政書士でない人が業として依頼を受け、報酬を得て役所への書類を作ると、法律に別段の定めがある場合を除き違反になると注意しています。 |
東京都消費生活総合センターの広報誌によると、改葬許可証は、墓地の管理者が作った埋葬証明書などを申請書に添えると発行されます。管理者は、寺院・霊園・自治体などです。全石協の同じ調査で、参考にするメディアを3つまで選んでもらうと、首位は「霊園寺院のホームページ」の27.8%でした。
名義人や継ぐ人の決まり方は祭祀承継者の記事に、集落の墓地の相談相手は田舎の墓じまいの記事にあります。移し先の選び方は墓じまいで骨はどうなるかの記事、見積もりの比べ方は墓じまい費用の記事、補助金は墓じまい補助金の記事にあります。申請書の書き方は墓じまいの書類の記事、行政書士に頼める範囲は行政書士の記事で確かめられます。
「無料相談」「相談センター」は、誰がやっているのか
無料で相談を受ける墓じまいのサイトもあります。次は、そうしたサイトの2社に電話で相談した人の記録です。
寺の墓をしまうため、墓じまいの相談サイトに電話した人(note)
今日℡した2社はとても親切で 知恵を与えられたことで、少しも不安が消えた。
相談無料って怖い気がしていたけれど、 本当に親切で親身になって話を聞いてくれて、回答してくれて ほんと℡してよかった。
前の日に、書き手は寺へ管理費の未納分を払い、近いうちに墓じまいをすると伝えていました。電話の前は、引っ越しのサイトのように一斉に電話がかかってくるのでは、と心配していたそうです。北九州市も、市営霊園の工事では複数の業者から見積りを取るよう勧めています。
出典: 墓じまいサイトに相談してみた(note)(台帳: V0068)
運営する側と、受ける相談の範囲が案内に書かれている窓口を並べます。
| 窓口 | 案内している所 | 聞けること・条件 |
|---|---|---|
| 消費生活センター・消費者ホットライン(188) | 国民生活センター(小山市が転載) | 離檀料などの額に納得できないときの相談先です。離檀料に明確な基準はなく、基本は寺などと話し合うとしたうえでの案内です。 |
| 無料法律相談 | 日本司法支援センター(法テラス) | 弁護士か司法書士に相談できます。収入と資産が一定基準以下の人が対象で、1回30分、同じ問題で3回までです。 |
| お墓なんでも相談室 | 日本石材産業協会(石材店の業界団体) | 協会のガイドラインに従うと誓った登録店は、相談室から苦情の相談があれば、速やかに解決に取り組む決まりです。 |
| 寺院のための無料法律相談 | 全日本仏教会 | 対象は「加盟団体所属のご寺院」です。 |
日本石材産業協会は、墓石業を直接規制する法律が無いことを挙げて、このガイドラインを定めています。名古屋市みどりが丘公園は、石材店や工事業者の斡旋や仲介はしていないと答えています。高槻市は公園墓地の募集の案内で、石材店などに募集事務の代行を頼むことは一切ないとしています。そのうえで、「市の指定を受けた」などの紛らわしい勧誘に注意を呼びかけています。
事業者の無料相談で概算を聞いたあとも、見積もりは複数の石材店から取って比べます。高額な請求を受けたときの窓口とその先は行政書士の記事の表に、離檀料の額は離檀料の記事にあります。代行サービスに任せられる範囲は墓じまい業者の記事で確かめられます。
まとめ
墓じまいの相談相手で最も多いのは夫や妻で、専門の相談先では寺院・霊園が最多です。手続きの前には、今の墓地の管理者へ伝えます。役所の許可は遺骨がいまある市区町村が出します。額に納得できないお金の話は、消費生活センターか188が相談先です。
尼崎市のように業者を紹介しない役所もあるので、石材店は自分で探し、複数から見積もりを取ります。交渉を任せるなら弁護士で、入口には法テラスの無料法律相談があります。費用の全体は墓じまい費用の記事で確かめられます。
墓じまいの最初の相談と、その先を書いた3人の口コミ
最後に、墓じまいで誰に何を頼むか、最初に誰へ相談したかを書いた3人の記録から、一節ずつ紹介します。
地域のお年寄りの支援で独立し、墓じまいを支援してきた人(note)
また、御骨を移すにあたり、事前に行政への届け出が必要となります。 ※家族が行うか、行政書士へ依頼するかになります。依頼する場合は費用が掛かります。
出典: 高齢者の支援 ~墓じまい~(note)(台帳: V0044)
母の眠る霊園を管理する別の県の寺が廃寺と分かり、父を亡くしたあと墓じまいを進めた一人っ子(note)
父と母の位牌を作りに行った仏具店に「墓じまい」の幟が出ていたので、相談した。 すると最近はそういう相談が多いという。
出典: 実家じまい(三) 墓(note)(台帳: V0127)
母の17回忌の法事の折に住職へ永代供養を相談し、約5か月で実家の墓じまいを終えた60代(アメブロ)
自分の終活をすすめる前に実家の墓じまいと永代供養をしなければ
元気なうちに
出典: 終活の始まり◆墓じまいと永代供養(アメブロ)(台帳: V0081)
