まず結論から
- 離檀料(りだんりょう。檀家をやめるときに寺へ払うお礼)は、10万円未満が約7割という調査があります。離檀と墓じまいの代行業者の株式会社huhuが、2026年3月に檀家をやめた100人に総額を聞きました。最多は「5万〜10万円未満」の32人で、0円(払っていない)の20人を含め、10万円未満が69人でした。
- 区切り方の違う調査では、最多の区分も変わります。同じ会社が2026年2月に墓じまい経験者100人に聞くと、離檀料を払ったのは76人でした。その額は「10万〜50万円未満」の38人が最多です。
- 離檀料は、寺へのお礼として慣習的に払うお布施の一種です。神奈川県は2025年の注意情報で、「特に妥当な目安といったものはありません」としています。
- 墓地、埋葬等に関する法律と施行規則には、離檀料の定めがありません。曹洞宗も2023年、宗門として離檀料の取り決めはなく、もらうようにという指導もしていないと公表しました。
- 額に納得がいかないときは、基本的に寺などと話し合うことになります。わからないことは、消費者ホットライン188などに相談できます。
離檀料は、実際にいくら払われているのか
離檀料は、檀家(寺を支え、法事を頼んできた家)をやめるときに寺へ包むお金です。高い額の話を見聞きして、身構える人もいるでしょう。次は、実家の菩提寺(付き合いのある寺)にあった墓をしまった人の記録です。
実家の菩提寺にあった墓を2014年にしまい、遺骨を散骨した人(note・12年後の振り返り)
菩提寺があって墓じまいをするということは、そのお寺との付き合いを断つということだが、ここのお寺は「離檀料」がなかった。ネットの記事など見ると100万〜数百万円という法外な金額をふっかけるところもあるらしい。お寺も人口減少で檀家が減り、死活問題だ。
墓じまいの当日は、朝に閉眼供養(墓から魂を抜く法要)をし、そのお布施に7万円を包みました。夕方には墓の解体が終わっています。離檀料の額は、離檀と墓じまいの代行業者が2026年に2つの調査で聞いています。
出典: 汚実家片付け番外編 『墓じまい〜散骨』② 具体的な流れ(note)(台帳: V0003)
株式会社huhuは2026年3月、檀家をやめた100人に、払った離檀料の総額を聞きました。2月には、墓じまいの経験者100人に、払ったかどうかと額を聞いています。どちらもインターネット調査です。2つの答えを人数で並べたのが図1です。
区切りの幅が違うと、最多の区分も変わります。墓じまい経験者の調査では、払った76人のうち100万円以上は0人でした。墓じまいの手続きを手伝う事業者「墓じまいパートナーズ」の調査も合わせて、聞いた相手と数えたお金を表にまとめます。
| 調査(実施・時期) | 誰の、どのお金を数えたか | 最も多かった額 |
|---|---|---|
| 株式会社huhu(2026年3月) | 檀家をやめた100人が払った、離檀料の総額 | 5万〜10万円未満(32人) |
| 株式会社huhu(2026年2月) | 墓じまい経験者100人のうち、離檀料(お布施)を払った76人の額 | 10万〜50万円未満(38人) |
| 墓じまいパートナーズ(2026年3月) | 経験者と検討者230人のうち、お布施を払った経験者42人。墓じまいでお寺に納めた額の全体 | 5万〜10万円(23.8%) |
墓じまいパートナーズの調査のお布施には、離檀料という名目で求められたお金も含まれます。お布施全体の目安はお布施の記事に、墓じまいの総額は墓じまい費用の記事にまとめています。
高い額を求められた例もあります。国民生活センターは、墓じまいや離檀を申し出て、300万円ほど、700万円を求められたという相談を紹介しています。80歳代と70歳代の女性、1人ずつの相談です。
「りだんりょう」は料金なのか、お礼なのか
「料」の字から、寺が決めた料金を思い浮かべる人もいるでしょう。曹洞宗は2023年、「離檀料は一般的に〇〇万円」のように相場があるかのような報道で、誤った認識が広がることを懸念すると表明しました。
次は、菩提寺に毎年の管理料を払い続けている人が、寺に渡すお金の違いを書いた一節です。
菩提寺の檀家の名簿に載ったまま、年1万円の管理料を払い続けている人(note)
管理料にはハガキが来る。お布施には何も来ない。渡した回数は数え切れないのに、手元に一枚も残っていない。
管理料は何に対する金か説明できる。参道の清掃、水場、ゴミ処理、共用部の維持。金額も固定されている。だから請求できるし、督促もできる。
お布施は説明できない。対価だと言った瞬間に建て付けが崩れる。金額を示さず、受け取っても書面を出さないのは、そのためだろう。
昔は盆に住職が家に来て経を上げ、そのたびに包みを渡していました。遠くへ引っ越して、その習慣は途切れたそうです。厚生省(当時)の指針も、管理料を墓地の共用部分の支出を補う料金と説明しています。
出典: 七十年前から抜いてあった〜墓じまい200万円請求の正体〜(note)(台帳: V0041)
では、離檀料は何のお金なのか。公的な機関や宗派などの説明を表にまとめます。
| 説明しているのは | 離檀料について書いていること |
|---|---|
| 国民生活センター(見守り新鮮情報) | 檀家をやめるときに、寺へのお礼として慣習的に支払うお布施です。明確な基準はありません。 |
| 神奈川県(2025年の消費生活の注意情報) | 寺へお礼として慣習的に支払うお布施の一種で、特に妥当な目安はありません。 |
| 曹洞宗(2023年の宗門の見解) | 宗門公式の取り決めはありません。感謝の気持ちとして布施を納める場合はあり、地域の慣行や寺との関係の中で、当事者の話し合いで決まるとしています。 |
| 佐々木閑氏(花園大学・国民生活センターの月刊誌2025年12月号) | どの僧侶に布施するか、金額をいくらにするかは、すべて布施をする側に選択権があるとしています。 |
| 厚生省(当時)の墓地の指針(2000年) | 墓地の料金として挙げるのは、使用料と管理料、永代供養墓の永代供養料です。離檀料の語は出てきません。 |
浄土宗は、檀家とは寺に「檀那」(布施)をする家のことだと説明しています。墓じまいの経験者100人のうち11人は、「離檀する必要がなかった」と答えています。株式会社huhuは、公営墓地や寺院に属さない霊園など、離檀の手続きが要らない場合があると説明しています。
寺に包むお金は、離檀料だけではありません。墓石を撤去する前には、墓から霊を抜く法要(抜魂式・お霊抜き)を行います。法要のお布施の目安はお布施の記事に、寺に払うお金の全体は墓じまい費用の記事にまとめています。
撤去の工事は、石材店に頼みます。見積もりの単位(積算の仕方)は店によって違うので、複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて比べます。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積り取得を勧めています。比べ方は同じ記事の見積もりの節へ。
離檀料は、払わなければいけないのか
法律を見ると、墓地、埋葬等に関する法律と施行規則には、離檀料の定めがありません。改葬(遺骨を別の墓へ移すこと)の許可の申請に添えるのは、墓地の管理者が作る、遺骨を納めた事実の証明などです。
次は、仏教の電話相談に寄せられる離檀料の相談と、それへの答えを書いた僧侶の記事です。
仏教の電話相談を20年担当してきた、浄土真宗本願寺派の寺の僧侶(寺のサイト・2023年)
たとえば、「家を引っ越したので、墓地を移動しようと、檀家をやめたいと菩提寺に報告したら、多額のお布施を請求された」というご相談です。
私は「お寺側から多額のお布施を請求する権利はないので、無料の法律相談所に相談してください」と返答しておりました。
この記事は、曹洞宗が離檀料の見解を公表した日に書かれ、その見解も紹介しています。東京都の消費生活相談のQ&Aも、使用者は基本的には自由に改葬できると答えています。
出典: 離檀料・墓じまいに関する報道について(寺のサイト)(台帳: V0036)
同じQ&Aによると、墓の管理者から「納骨事実証明書」が出ないと、原則として改葬許可書は出ません。神奈川県も、離檀料で寺と折り合えず、改葬に要る埋蔵(埋葬)証明書をもらえず困ったケースがあると案内しています。
払わなかった人もいます。株式会社huhuの2026年2月の調査で、払っていない13人の理由は「お寺から一切請求されなかった」が8人で最多でした。
一方で、寺の側にも事情があります。茨城キリスト教大学の森謙二氏が研究代表者を務めた2019年の報告書は、寺院の経営が収入源としての墓地に頼る構造ができてきたと指摘しています。東京都のQ&Aも、檀家が減る一方の寺では、高額の費用を求めて離檀を拒む場合もあるようだと書いています。
全日本墓園協会の横田睦氏は、国民生活センターの月刊誌で、寺と檀家の両方の事情を書いています。お世話になったお礼として払う気持ちがあるなら、ある程度の金額は支払うべきだと考えるそうです。法律論ばかりで寺との関係を外して改葬すると、親族が寺の檀家として残る場合などに、新たな問題が起こりうるとも述べています。
額に納得がいかなければ、根拠と額を寺に尋ね、納得がいくまで話し合います。困ったときは、消費生活センターに相談できます。
証明が出ないときの書類の順番は必要な書類の記事に、こじれたときの相談先はお寺との交渉の記事にまとめています。交渉を人に任せられる範囲は墓じまい業者の記事へ。
まとめ
離檀料は、檀家をやめた100人の調査で、10万円未満が69人でした。墓じまい経験者の調査では、払った76人の最多が「10万〜50万円未満」で、100万円以上は0人です。
離檀料は、寺へのお礼として慣習的に払うお布施の一種で、明確な基準はありません。法律に定めはなく、曹洞宗も宗門の取り決めはないとしています。額に納得がいかなければ寺と話し合い、わからないことは消費者ホットライン188などに相談できます。
お寺への切り出し方はお寺との交渉の記事に、檀家をやめるかどうかは寺の墓の墓じまいの記事に、墓じまい全体の流れは墓じまいとはの記事にまとめています。
離檀料を前に考えた2人の口コミ
最後に、離檀料について書いた人の記録から、一節ずつ紹介します。
60歳を前に、父母が入る墓など3つの墓のこれからを考え始めた人(note)
国民生活センターによると、離檀料はお礼として支払うお布施という位置づけで、明確な料金基準はなく、基本的には当事者同士で話し合うものだそうです。
……「明確な基準がない」「話し合い」。もう、その言葉だけで少し身構えます。
出典: 自分的5大事業③ 墓じまい(note)(台帳: V0110)
父と2人で、墓を同じ寺の永代供養墓へ移した人(はてなブログ)
それから私達の墓じまいは同じお寺の中での移動だったので「離檀料」というお布施は致しませんでした。(そもそも檀家になっていませんでした)
出典: 【終活】墓じまいをして新たに永代供養墓を購入したお話です。(りかさんのぼっちブログ)(台帳: V0012)
