まず結論から
- 200万円は、墓じまいの総額としては高い側です。墓じまいを実施した人の総額は、「31万〜70万円」が31.3%で最多、151万円以上は14.0%でした。鎌倉新書が2026年1月、同社のサイト「いいお墓」の利用者に聞いた調査です。
- 寺から「離檀料として200万円」と告げられたという相談もあります。離檀料は、檀家をやめるときに寺へ払うお礼です。神奈川県は2025年の注意情報で、離檀料はお布施の一種で、「特に妥当な目安といったものはありません」と答えています。
- まず、何に対する額かを確かめます。寺へのお金なら、請求の根拠を確かめて住職と話し合います。撤去工事なら、「一式」に何が含まれるかを確かめます。見積もりの単位は店で違うので、複数の石材店から取って比べます。北九州市も、複数の業者からの見積りを勧めています。
- 払わないと証明書を出さないと言われても、道はあります。墓地の法律の施行規則(手続きを定めた国の省令)は、特別の事情があれば、市町村長が必要と認める書面で代えられると定めています。全日本墓園協会のFAQは、戸籍や経緯の説明書などを例に挙げています。
- 困ったときは、消費生活センターや消費者ホットライン188に相談できます。
200万円は、墓じまいの額として高いのか
鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした利用者に調査をしました。墓じまいを実施した(している)人に総額を聞くと、「31万〜70万円」が31.3%で最多、151万円以上は14.0%でした。価格帯の図は墓じまい費用の記事にあります。
200万円という額は、寺から告げられることもあります。次は、菩提寺(葬儀や法事を頼んできた付き合いのある寺)の檀家(寺を支えてきた家)の名簿に載ったままの人が、報道された例を書き出した一節です。
菩提寺の檀家名簿に載ったままの地方都市の外科医が、報道された東北地方の例を要約した冒頭の段(note)
東北地方の60代男性が菩提寺に墓じまいを申し出たところ、遺骨が四つあるので一人五十万円、計二百万円を納めてほしいと言われたという。離檀料かと問うと、離檀料ではない、あくまでもお気持ちとして納めてくれと説明された。高すぎると支払いを拒んだところ、埋蔵証明書の発行を断られた。
筆者は、この額を、年忌などで寺に入るはずだった将来の分の一括清算に近いと見ています。全日本墓園協会の横田睦氏も、自分が20年、30年連絡しないままの墓をしまうなら、100万円、200万円の離檀料を求められても驚かないと書いています。
出典: 七十年前から抜いてあった〜墓じまい200万円請求の正体〜(note)(台帳: V0041)
離檀料で高い額を求められたという相談は、消費生活の窓口に届いています。言われた額と、窓口の答えを表にまとめます。
| 窓口 | 言われた額・名目 | 窓口の答え |
|---|---|---|
| 神奈川県(2025年の注意情報) | 墓じまいのためには、離檀料として200万円かかる | 離檀料はお布施の一種で、特に妥当な目安はありません。納得がいかなければ、基本的には寺と話し合います。 |
| 国民生活センター(見守り新鮮情報第424号) | 300万円ほどの離檀料。払えないと言うと、ローンを組めると言われた/過去帳に8人の名前があるので700万円 | 離檀料に明確な基準はなく、納得がいかなければ、基本的に寺などと話し合います。 |
| 東京都の消費生活相談のQ&A(2018年) | 「離壇料」、境内修復費用、遺骨移動費、供養の費用など。承諾しないと、遺骨を移す(改葬の)書類に印鑑を押さない | 寺に請求の根拠を確かめたうえで、納得がいくまで住職と話し合います。 |
国民生活センターも2026年7月更新の相談のページで、規約などの定めがなく、請求の根拠が分からない高額な離檀料の相談を、最近の事例に挙げています。神奈川県は、寺の墓から遺骨を移すとき、離檀料などの名目でかなり高額な費用を求められることが少なくないとしています。墓を撤去して更地にする費用は、それとは別にかかります。離檀料の額の調査は離檀料の記事にまとめています。
200万円と言われたら、中身をどう確かめるのか
200万円が何に対する額かで、確かめる相手が変わります。鎌倉新書は、総額の幅は、解体する墓地の広さと、移す先の永代供養墓や納骨堂の等級で出るとまとめています。次は、寺に一括で頼んだときの撤去の額を聞いて、立ち止まった人の記録です。
名古屋で生まれ育ち、父の出身地の愛知県新城市にある先祖代々の墓をしまった人(note)
お寺に一括してお願いすれば、すべてスムーズに行きそうではありましたが、墓石の撤去に50万くらい必要とのこと。
よくわかりませんが、高くないですか? 墓石撤去するだけで、そんなに必要なもの?
確かに丘の中腹にありますし、墓も5つもありましたので、運び出しは大変かと思います。 でも半日あればできそうな作業じゃないですか、知らんけど。
このあと、父の墓碑を彫った地元の石材店を思い出して頼むと、撤去は26万円で、寺で聞いた額のほぼ半額でした。見積もりの単位(積算の仕方)は、店によって違います。
出典: 墓じまいからの永代供養98万円也(note)(台帳: V0121)
200万円の中身になりうるお金と、それぞれで確かめることを表にまとめます。
| 中身 | 確かめること | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 寺に納めるお金(離檀料・お布施など) | 請求の根拠を寺に確かめ、納得がいくまで住職と話し合います。寺の慣習として適正な額かを、檀家の代表(檀家総代)や、同じ寺の檀家の親族に確かめる方法もあります。 | お布施の記事・費用の記事の寺の節 |
| 墓石の撤去工事 | 「一式」の中身と、別途かかる費用を確かめます。複数の石材店の見積もりを、項目をそろえて比べます。 | 見積もりの節・石材店の選び方 |
| 遺骨を移す先 | 骨壺で一定期間預かる施設では、骨壺1つで30〜50万円のところもあります。2つめ以降を半額にする施設もありますが、取り出す遺骨が多い場合もあります。 | 永代供養の費用の節 |
| 新しい墓を建てる | 墓地の取得費用を除いた墓石だけで、平均169.5万円という調査があります。 | 下の図1 |
石材店の業界団体、日本石材産業協会は2023年改訂のガイドラインを持っています。登録した店には、「一式」の中身と、含まれないものは別途費用がかかる旨を書くよう求めています。見積もりの単位は店によって違うので、複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて比べます。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積り取得を勧めています。
移す先の費用が大きくなる例もあります。全日本墓園協会の横田睦氏は、骨壺6つを1つ30万円で預けると、総額180万円になる例を挙げています。
全国優良石材店の会(全優石)は2025年3〜5月、加盟する石材店で墓石を契約した818人に調査をしました。墓地の取得費用を除いた墓石の平均購入価格は、169.5万円でした。
ただ、墓じまいのあとに新しい墓を選ぶ人は多くありません。鎌倉新書の調査で、遺骨の移し先は「永代供養(合祀・合葬墓)」が43.2%で最多でした。別の墓石がある一般墓は14.3%です。
払わないと証明書を出さないと言われたら、どうするのか
改葬(遺骨を別の墓や納骨堂へ移すこと)には、市町村長の許可が要ります。申請には、墓地の管理者が作る、遺骨を納めた事実の証明(埋蔵証明書)を添えます。神奈川県は、離檀料で寺と折り合えず、この証明書をもらえずに困ったケースもあると案内しています。
次は、寺に高いお布施を示され、断った人の取材記事の一節です。
参る人のいなくなった墓をしまおうとして、父の戒名に院号を付けるお布施150万円を示され、断った49歳の人(仮名・日刊SPA!の取材記事)
断ると態度が一変。改葬には納骨時に寺に提出した埋葬許可書か、納骨の事実を証明できる書類が必要だが、それを「出せない」と言うのだ。
「書類がなければ遺骨は動かせない。でも、移す先の樹木葬にはもうカネを払っていて、途方に暮れています。
住職は、墓じまいの相談より先に、父の戒名の格の話を始めたといいます。施行規則は、管理者の証明によりがたい特別の事情があれば、市町村長が必要と認める書面でよいと定めています。
出典: 墓じまいを切り出したら「離檀料1000万円」、別の寺では「祟られる」と150万円要求…(日刊SPA!)(台帳: V0019)
この場面は、全日本墓園協会が2016年度の厚生労働科学研究に合わせてまとめたFAQにも出てきます。石材店から寄せられた質問で、寺は、離檀料を払わなければ埋蔵証明書を出さないと言いました。市に尋ねると、「とにかく、埋蔵証明書が無ければ改葬許可証の交付は出来ない」と答えられたそうです。
FAQは、この市の対応を「誤っております」と答えています。根拠は施行規則と、1955年の通達(衛環第22号)です。通達は、管理者は納骨の事実の証明を拒むべきではなく、拒んだ場合は代わりの立証の書面で扱って差し支えない、としています。代わりの書面として挙がっている例を表にまとめます。
| 代わりになりうる書類の例 | 挙げている資料 |
|---|---|
| 故人と申請者の関係が分かる戸籍 | 故人の死亡を示す除籍簿、関係を示す戸籍。除籍(亡くなった人などが抜けた記録)も含めた戸籍謄本 |
| 遺骨が納められていることを示すもの | その寺に埋蔵されていることを明らかにする書面。納骨時の写真や書類 |
| その墓の使用者であることを示す書面 | 横田睦氏(国民生活センターの月刊誌) |
| 故人の親族からの同意書・確認書 | 横田睦氏(同) |
| 経緯をまとめた説明書 | 住職とのやり取りの経緯を記した説明書。改葬せざるを得ない事情などをまとめた「事実経過説明書」(実印を押し、印鑑証明を添える) |
どの書面が認められるかは、墓地の状況や市町村によって判断が違います。東京都消費生活総合センターの情報誌も、管理者とのトラブルで証明書が手に入らないときは、経緯をまとめて区市町村の担当窓口に相談するよう勧めています。
最初に紹介した外科医の記事は、朝日新聞の報道にも触れています。厚生労働省が2026年1月、自治体に事務連絡を出したという報道です。管理者が正当な理由なく証明書を出さない場合、墓の写真や申述書などの代わりの書類で許可を出して差し支えない、という内容だそうです。
払う決まりがあるかは離檀料の記事、書類の順番は必要な書類の記事にあります。寺の外の相談先はお寺との交渉の記事、交渉を人に頼める範囲は墓じまい業者の記事へ。
まとめ
200万円は、墓じまいを実施した人の総額で見ると高い側です。「31万〜70万円」が最多で、151万円以上は14.0%でした。
言われたら、まず何に対する額かを確かめます。寺へのお金なら根拠を尋ね、撤去工事なら、北九州市も勧めるように複数の業者の見積もりを比べます。証明書を出してもらえなくても、市町村長が認める書面で申請できる場合があります。
困ったときは、消費者ホットライン188や消費生活センターに相談できます。費用の相談先の全体は墓じまい費用の記事にまとめています。
墓じまいの費用と高い額について書いた3人の口コミ
最後に、墓じまいの費用や、高い額について書いた人の記録から、一節ずつ紹介します。
子がなく、母の七回忌の2031年ごろに菩提寺の墓をしまうつもりの人(note)
とはいえ相場は100万円として、追加があっても200万円以下になるようしたいと思います。
出典: 墓じまいについて考える(note)(台帳: V0038)
墓じまいを3回支援し、4回目の支援をしている高齢者支援の福祉職(note)
費用は、大体の目安はありますが、たまにあまりにも高額を言われる場合もあります。その際は、住職と話しをして調整をすることになります。
出典: 高齢者の支援 ~墓じまい~(note)(台帳: V0044)
神奈川県厚木市の、浄土真宗本願寺派の寺の住職(寺のブログ・アメブロ)
離檀料を、お寺に請求されたと言うことを、私は実際聞いた事はありません。
出典: 骨は、人質(寺のブログ・アメブロ)(台帳: V0093)
