まず結論から
- 改葬とは、墓や納骨堂に納めた遺骨を、別の墓や納骨堂へ移すことです。神戸市は、遺骨を移したうえで元の墓を撤去することを墓じまいと呼び、移す部分を「改葬」としています。
- 墓じまいでも、取り出した遺骨を自宅に置く場合や散骨する場合は、改葬の許可は要りません。総務省行政評価局の報告書に載った厚生労働省の見解です。
- 墓じまいをしなくても、改葬になる場面があります。同じ墓地の中で別の区画へ移すときも、改葬の許可が要るという見解です。
- 改葬の許可は、遺骨がいまある市区町村が出します。受け取った改葬許可証は、移した先の墓地や納骨堂の管理者に渡します。
- 元の墓の撤去は、墓の使用者(名義人)が石材業者などに頼みます。複数の石材店に見積もりを頼み、額と内訳を比べましょう。北九州市も市立霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。
「改葬」と「墓じまい」は、同じものなのか
二つの言葉は重なる部分がありますが、同じものではありません。まずは、墓じまいを進め始めた人の記録です。
亡くなった父が入る墓をしまうことにした、38歳の当事者(個人ブログ・アメブロ)
母はまだ60代ですがお墓参りが遠方ですでに辛いとぼやいてきて。。。
父の三回忌まではいいかな〜と思ってた墓じまい、前倒しで進んでいます。
墓じまいと同時に、墓の引っ越しです。
墓は祖父が建てたもので、電車で片道2時間ほどかかります。本人は、永代供養のある墓へ移して終わりにするつもりです。神戸市も、遺骨を別の墓や納骨堂へ移す部分を「改葬」と呼び、元の墓の撤去と合わせて墓じまいと説明しています。
出典: 墓じまい(アメブロ)(台帳: V0080)
法律(墓地、埋葬等に関する法律)が定めているのは、改葬のほうです。土葬した遺体や、墓・納骨堂に納めた遺骨を、ほかの墓や納骨堂へ移すことを改葬といいます。「墓じまい」という言葉は、この法律にも、細かな決まりを定めた施行規則にも出てきません。
日本石材産業協会が2023年度に会員の石材店に行った調査のまとめには、「墓じまい」を「お墓の解体処分」に言い換える意見も載っています。二つの言葉の重なり方を、表にしました。
| 重なり方 | たとえば | 改葬の許可 |
|---|---|---|
| 墓じまいで、改葬でもある | 遺骨を別の墓や納骨堂へ移し、元の墓を撤去する | 要る |
| 墓じまいだが、改葬ではない | 取り出した遺骨を自宅に置く、散骨する | 要らない |
| 改葬だが、墓じまいではない | 墓を使い続けたまま、納めた遺骨の一部を、ほかの人の遺骨と一緒に納める市の墓(合葬式墓地)へ移す。浦安市にこの制度があります | 要る。浦安市は、市民課での改葬許可証の手続きを案内しています |
墓じまいで残る墓石の撤去は、改葬の許可とは別の話です。大津市も、骨を別の区画や墓地へ移さないなら、墓石を撤去するだけでは改葬許可は要らないとしています。
撤去は、複数の石材店に見積もりを頼んで比べましょう。見積もりの単位(面積・重さ・一式など)は、店によって違います。額と内訳を並べて見てください。北九州市も市立霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。石材店の選び方は墓じまい業者の記事に、撤去の費用は墓じまい費用の記事にまとめました。
改葬した遺骨は、移した先でどう納めるのか
改葬は、移した先に遺骨を納めて終わります。鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」の利用者のうち、改葬や墓じまいを検討・実施した人に調査をしました。遺骨の引っ越し(改葬)先で最も多かったのは、永代供養の合祀・合葬墓(ほかの人の遺骨と一緒に納める墓)で43.2%です。
神奈川県の実家近くにあった先祖の墓をしまい、都内の合祀墓へ移した長男(個人ブログ)
事前に、ご遺骨の受け入れ先(新しい納骨先の住職)に、納骨日程について相談しておき、必要に応じて、住職に法要を依頼しておきます。
私の場合は、自宅に置いておくお位牌に魂入れをしてもらいました。
法要に要した費用は10万円くらい。寺院によって異なります。
納骨時に、あたらしい墓地管理者(住職)に「改葬許可証」を提出します。
移した先は、都内の駅から近い建物の中にある合祀墓です。元の墓では、魂抜き(閉眼供養)にも立ち会いました。法律は、墓地や納骨堂の管理者が改葬許可証を受け取るまで、遺骨を納めさせてはならないと定めています。
出典: 後悔しない! 墓じまい こうすればうまくいく(ヒロブログ 歳刻を愉しむ)(台帳: V0016)
改葬許可証は、役所で受け取ったあと、移した先の管理者に渡す書類です。移した先ですることを、自治体などの案内から並べました。
| 移した先ですること | 案内・資料 |
|---|---|
| 納骨の日を伝え、改葬許可証を出す | 太田市(群馬県)の公園墓地は、納骨日・墓所・墓地の利用者名を前もって担当課に伝え、火葬許可証か改葬許可証を出すよう案内しています。 |
| 新しい墓に魂を入れる法要 | 小林市(宮崎県)は、改葬許可証があれば、魂抜きも、受入先での開眼供養(魂入れ)もできるとしています。浄土真宗本願寺派は、墓ができたときの法要を建碑式と呼び、「お性根入れとは申しません」としています。 |
| 移す先を変えたくなったとき | 小林市は、新しい受入先が認めれば、変更前の改葬許可証を使えるとしています。 |
| これからの家族の納骨 | 浦安市は、墓を返す人が、自分と配偶者の分も市の合葬式墓地に生前予約できるようにしています。使用料は1人35,000円です。市川市も、墓地を返すことを条件に、遺骨と生前の分をあわせて2体まで合葬式墓地を申し込めます。 |
移した先の種類ごとの選び方と費用は、墓じまいの遺骨の行き先の記事にまとめました。
どこからが改葬になるのか
散骨、分骨、同じ墓地の中での移動。改葬に当たるかどうかで、役所の許可が要るかが決まります。まずは、墓じまいのあとに散骨を選んだ人の記録です。
実家の菩提寺(家が代々付き合ってきた寺)にあった父の墓をしまい、遺骨を散骨した当事者(個人ブログ・note)
墓じまいを調べていると、改葬という言葉がでてくる。これは簡単にいうとお墓のお引越し(遺骨の移動)だ。
それに対して、散骨はパウダー状にしたお骨を沖合などに撒くもので、遺骨は残らない。なので、お墓の引っ越しにはならず、従って役所に出す「改葬届」も要らない。
2014年7月の墓じまいを振り返った記録です。3人分の遺骨は、東京湾の沖合に撒かれました。本人は、役所にも確かめています。厚生労働省も、散骨する場合と自宅に置く場合は、改葬許可は要らないという見解です。
出典: 汚実家片付け番外編 『墓じまい〜散骨』② 具体的な流れ(note)(台帳: V0003)
八王子市は、散骨について市に届出や許可申請の制度はないとしています。移す先を決めずに遺骨を自宅へ引き取る場合も、改葬には当たらないとしています。あとで納骨するときに備え、墓地の管理者から埋蔵証明書などをもらっておくよう勧めています。自宅に置く場合と散骨の扱いは、墓じまいの遺骨の行き先の記事でも確かめられます。
反対に、墓をしまわなくても改葬になる場面があります。同じ墓地の中で別の区画へ移すだけでも、改葬です。法律が改葬を、遺骨を「他の墓地」ではなく「他の墳墓」(墓)へ移すことと定めているためだと、厚生労働省は説明しています。迷いやすい場面を表にしました。
| 場面 | 改葬か | 案内・資料 |
|---|---|---|
| 土葬した遺体を、別の墓へ移す | 当たる | 法律の改葬の定義に入っています。全日本墓園協会の横田睦氏は、国民生活センターの月刊誌で、いったん火葬場で火葬しなければならないと受けとめておくよう説明しています。 |
| 同じ墓地の中で、別の区画へ移す | 当たる | 名古屋市も、墓地の中での遺骨の移動は改葬だと案内しています。大津市では、申請書の「埋葬又は火葬の場所」と「改葬の場所」が同じ場所になります。 |
| 亡くなった人の遺骨を分けて、別々の場所に納める(分骨) | 当たらない | 分骨の意味は堺公園墓地の案内による。大津市は、改葬許可は要らず、今の墓の管理者にもらう分骨証明書を分骨先の管理者に出すと案内しています。郡山市も改葬許可は不要としています。 |
| 同じ区画の中で、墓を建て替える | 当たらない | 大津市は、別の区画や墓地へ骨が動かなければ許可は不要と答えています。八王子市も、墓の立て直しは改葬に当たらないとしています。 |
| 骨が土に還り、もう残っていない | 当たらない | 1957年の厚生省の通知は、遺体や火葬した遺骨がもう無ければ改葬に当たらないとしました。大津市も同じ考え方です。 |
| 火葬のあと、はじめて墓に納める | 当たらない | 八王子市の案内による。 |
名古屋市は、納骨や墓じまいが改葬の手続きに当たるか分からないときの確認先を、案内に載せています。
まとめ
改葬は、墓や納骨堂に納めた遺骨を、別の墓や納骨堂へ移すことです。墓じまいのうち、遺骨を移す部分が改葬に当たります。散骨や自宅に置く場合は改葬ではなく、同じ墓地の中で移す場合は改葬です。
改葬許可証は、移した先の管理者に渡します。墓石の撤去は、複数の石材店から見積もりを取って比べましょう。撤去にかかるお金は、墓じまい費用の記事で確かめられます。当たるかどうか迷ったら、遺骨がいまある市区町村の案内で確かめてください。
遺骨を移した先のことを書いた3人の口コミ
最後に、遺骨を取り出してから、移した先で手を合わせるまでの記録から、一節ずつ紹介します。
文政年間から菩提寺にあった先祖代々の墓を、都心の集合墓へ移した当事者(note)
両親より前の先祖の遺骨も混じっているのかもしれませんが、昔々の遺骨は土にかえっていましたので、結果、2人分なのでした。
出典: 「改葬」という選択の体験記(note)(台帳: V0018)
墓じまいを終えたあと、一時帰国して母と新しい墓の寺へ出向いた当事者(アメブロ)
今回の一時帰国でようやく、新しいお墓(永代供養)の開眼供養をしました。
出典: 番外編 ”墓じまい(お墓の引っ越し)のその後”(アメブロ)(台帳: V0082)
亡き母の遺骨を、母が墓じまいと永代供養をしていた寺へ納めた息子(アメブロ)
宗派は違えど以前には先祖代々の墓があり、亡き母が墓じまいと永代供養をしている寺院です。
出典: 亡き母の納骨を済ませました(アメブロ)(台帳: V0089)
