墓じまいは後悔する?満足は約9割・失敗3つと遺骨が戻らない境目

墓じまいは後悔する?満足は約9割・失敗3つと遺骨が戻らない境目
目次

墓じまいをしたあとで、後悔しないか。墓をなくしたら、もう元に戻せないのではないか。決める前に、した人がどう感じているのかを知りたい方もいるでしょう。

この記事では、墓じまいの経験者に聞いた調査と6人の口コミから、後悔として挙がることと、遺骨が戻らなくなる地点を整理します。遺骨の扱いは、浄土宗と真宗大谷派の公式の案内、札幌市の案内、茨城キリスト教大学の森謙二教授(当時)の解説を出典にしました。

まず結論から

  • 墓じまいをした人の多くは、満足していると答えています。ライフドットは2019年12月、家族の墓の管理を考える立場の20〜70代764人に聞きました。墓じまいをしたことがある人のうち、満足している人は86.8%でした。株式会社フーフーが2026年3月、檀家(寺を支える家)をやめた100人に聞いた調査でも、97%が後悔はないと答えています。
  • 心配と、した人の実際はずれています。全国石製品協同組合は2023年12月、40代以上の経験者41人と検討中の141人に聞きました。検討中の人の心配で最も多いのは「高額な離檀料を請求される」、した人の答えで最も多いのは「困ったことはない」でした。
  • した人が後悔として挙げたことは、主に3つにまとまります。フーフーが2026年2月に経験者100人に聞いた自由回答では、親族との話し合い、費用の下調べ、代行サービスを使うかどうかでした。
  • 取り返しがつかないのは、遺骨をほかの人の遺骨と一緒に納めたり、撒いたりしたあとです。浄土宗の公式Q&Aは、合祀墓(ほかの人と一緒に納める墓)や散骨では、遺骨を再び集めることは困難だと答えています。真宗大谷派の大谷祖廟も、納めた遺骨は返せないとしています。
  • 次の一歩は、先に話すことと、見積もりを比べることです。浄土宗は、移す先を決めて手続きを終えてから伝えるのではなく、はじめに菩提寺(先祖の墓がある寺)へ相談するよう勧めています。撤去は複数の石材店から見積もりを取って頼みます。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。

墓じまいをした人は、後悔しているのか

決める前にいちばん気になるのは、した人のその後でしょう。まず、両親の墓を閉じた人の記録です。

父の介護と手続きを一人で担い、両親の墓を閉じた娘(個人ブログ・note)

お墓という形はなくなってしまったけれど、お父さんが作ってくれたあの場所への感謝は消えない。

お父さん、お誕生日おめでとう。一人で寂しくないように、お墓は私がちゃんと守って、心の中に引き取ったよ。これからは私の心の中で、お母さんと二人仲良く、寄り添って過ごしてね。

記録は、亡くなった父の誕生日に書かれました。介護も役所の手続きも一人で担い、娘たちには同じ負担をかけたくないと考えて、墓を閉じると決めたといいます。経験者の調査でも、多くの人が満足と答えています。

出典: 私が「お墓」を閉じた本当の理由(わけ)〜父の内に秘めた愛と、私の覚悟〜(note)(台帳: V0108)

満足している人の理由も、ライフドットは紹介しています。「お墓参りが出来なくて感じていた罪悪感がなくなった」「未来への心配がなくなった」「気持ちが楽になった」などです。

2026年の調査もあります。墓じまいの代行会社の株式会社フーフーは2026年3月11日、檀家をやめた経験がある男女100人にインターネットで聞きました。自社の利用者に限らない調査です。「全くない」57%と「どちらかといえばない」40%で、97%が後悔はないと答えました。

檀家をやめた経験がある100人に、檀家をやめて後悔はあるかを聞いた円グラフ。全くない57%、どちらかといえばない40%、どちらかといえばある3%、ある0%。後悔はないは合わせて97%。株式会社フーフーの2026年3月11日のインターネット調査
図1: 檀家をやめて、後悔はあるか。出典: 株式会社フーフー「わたしたちの墓じまい」(2026)・檀家をやめた経験がある男女100人

心配と実際のずれも分かっています。全国石製品協同組合の2023年12月の調査では、検討中の人は離檀料や親族間のトラブルを心配して、検討が長引く傾向がありました。一方、した人が困ったことの最多は「困ったことはない」、次いで「改葬先のお墓を見つけるのが大変だった」です。離檀料の実際の額は離檀料の記事にまとめました。

墓じまいの後悔・失敗として挙がるのは何か

後悔はゼロではありません。経験者の後悔には、家族との話し合いが挙がっています。祖父母の墓じまいをきっかけに、親と話し始めた娘の記録です。

父が祖父母の墓じまいを考えるなか、両親の、遺骨を残さないでほしいという希望に揺れる娘(個人ブログ・note)

どちらが正しいという話ではないのですが、 親の死後のことを考えるとき、 「親がこうしてほしいと言っているから、それでいい」 それだけでは、残される私の気持ちは置いていかれてしまいます。

父は祖父母の墓を永代供養にしようと考え、両親は自分たちの遺骨を残さないでほしいと話しています。本人は、親が元気なうちに話し合いたいと書いています。経験者の後悔にも「親族ともっと話し合うべきだった」がありました。

出典: 答えが出ない、親の希望と残される私のきもち(note)(台帳: V0043)

フーフーは2026年2月6日、墓じまいの経験がある男女100人に「墓じまいで後悔したこと」を自由に書いてもらいました。答えは主に3つにまとまっています。

後悔したこと経験者の回答の例次にできること
親族との話し合い「親族間の話し合いは早めに始めたほうがよかった。」移す先を決める前に、家族と菩提寺に話します。浄土宗も、手続きを終えてから伝えるのではなく、はじめに相談するよう勧めています。反対されたときは反対されたときの記事へ。
費用の下調べ「費用の相場ももっと調べておけばよかったです。」見積もりの単位は、石材店によって違います。複数の店から見積もりを取り、項目をそろえて比べます。北九州市も、複数の業者からの見積りを勧めています。総額の目安は費用の記事、助成は補助金の記事にあります。
代行サービスを使うか「墓じまいの代行サービスを利用すれば良かった。」墓が遠方で、時間・労力・お金がかかったという回答もありました。頼める範囲は業者に頼めるかの記事、代行の総額はパックの記事にあります。

同じ調査で最も大変だった工程を聞くと、最多は親族との話し合い・合意形成の45%でした(複数回答可)。ほかの調査と並べた表は、墓じまいした人の記事にあります。

取り返しがつかないのは、どこから先か

墓じまいのあと、遺骨は何なら移せて、何が戻らないのか。夫の遺骨を、散骨の準備のあとで永代供養の墓へ納めた人の記録です。

夫を亡くし、湖への散骨を準備したあと、夫の遺骨を永代供養の墓に納めた妻(個人ブログ・アメブロ)

もしここで散骨を選んでしまえば、義両親に一生後悔が残るかもしれない。

そう思い、もう少し義両親の気持ちに配慮するべきだったかと考えて最終的には永代供養墓への納骨を受け入れた。

将来、子どもに負担を残さないという点でも、その選択は納得できるものだった。

散骨の日が迫った数日前、義父が永代供養の墓を見つけてきたといいます。浄土宗も、合祀墓や散骨では、後年「遺骨を返してほしい」といわれるケースがあると書いています。

出典: 《墓じまい問題 その1》(アメブロ)(台帳: V0031)

遺骨が戻らなくなるかは、納め方で分かれます。法律と、森謙二氏の2015年の解説、宗派と市の案内を並べます。

遺骨の納め方あとから移せるか原典の言い方
一般の墓や納骨堂に、骨壺のまま移せる法律は、墓や納骨堂の遺骨をほかの墓や納骨堂へ移すことを改葬と定めています。
一定の期間は骨壺のまま置き、のちにほかの遺骨と一緒にする施設個別に置く期間は移せる森氏は、この形には改葬できる期間が設けられると述べています。
はじめからほかの遺骨と一緒に納める(合祀)戻らない大谷祖廟は、納めた遺骨は「お返しできません」と案内しています。札幌市の合同納骨塚も、納骨後の引き取りは「一切できません」としています。
骨壺に入れず土に埋める・撒く集め直すのは困難森氏は、樹林墓地・樹木葬墓地などの区画型は、一度埋蔵すると改葬が困難と述べています。浄土宗も、撒いた遺骨を再び集めることは困難としています。

施設ごとに、合祀までの年数と取り出せるかを並べた表は合祀の記事にあります。

迷うなら、遺骨の一部を分けて残す道もあります。大谷祖廟の案内には、遺骨の一部を真宗本廟で桐箱に収め、残りを大谷祖廟へ納める人もいるとあります。浄土宗も、移すか分骨するかを十二分に話し合うよう勧めています。行き先ごとの選び方は遺骨はどうなるかの記事、海への散骨は海の散骨の記事にあります。

「親不孝では」と迷うとき

墓をしまうのは親不孝ではないか、と迷う人もいます。親の世代の側から語られた言葉があります。

内田安紀氏の2017年の論文は、千葉県いすみ市の寺の樹木葬を申し込んだ人たちに、2015年に聞き取りをしています。77歳の女性は「『墓参りこないなんて親不幸だ』なんて、全然思わない。」と語りました。

論文は、数を数えた調査ではないと断ったうえで、申込者の多くは墓参りなどの慣習に否定的だったと述べます。子に墓参りを求めない意識は、残された者の生活を慮り、迷惑をかけたくないという事情から達した結論だとも論じています。

罰や祟りが気になるときは、罰当たりかの記事と不幸になるかの記事に宗派の答えをまとめました。墓を残す道を考えるなら、墓じまいしないとどうなるかの記事へ。

まとめ

墓じまいをした人の多くは、満足と答えています。2019年の調査では86.8%でした。後悔として挙がったのは、親族との話し合い、費用の下調べ、代行を使うかどうかの3つです。

遺骨が戻らなくなるのは、ほかの遺骨と一緒に納めたときと、撒いたときです。移す先を決める前に、家族と菩提寺に話します。見積もりの単位は店によって違います。撤去は複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて比べます。北九州市も、複数の業者からの見積りを勧めています。

墓じまいを終えたあとの気持ちを書いた3人の口コミ

最後に、墓じまいを終えた3人の記録から、そのあとの気持ちを一節ずつ紹介します。

夫を亡くしたあと、義父母の墓の閉眼供養(魂抜きの法要)と改葬を終えた妻(個人ブログ・アメブロ)

今更ですが、この選択は正しかったのかなと思うこともあります。でも、こうするしか仕方なかったよね…と、夫の遺影に話しかけています。

出典: 墓じまい。閉眼供養が終わりました。(アメブロ)(台帳: V0095)

父を散骨で見送り、墓じまいと実家の解体を終えた息子(個人ブログ・note)

ひいお婆ちゃんだったらきっと、死んだ人が入った墓より、誰も住んでないボロボロの家より、今生きてる人を、自分を支えてくれる人を優先しなさいって言うと思う。会ったことないけど。

出典: 実家隣人(note)(台帳: V0112)

父を見送ったあと、石川県の山にある父の実家の墓じまいに、母ときょうだいと立ち会った娘(個人ブログ・note)

そして、父が亡くなり一番、辛い想いをしている母と、それぞれ家族をもった兄、私、妹とで、久々に子供なしで、昔のように旅行して(墓じまいだけど)、父が育った町を見て、夜は金沢で、 お酒が好きだった父の写真を立ててみんなでお酒を飲めて、父が導いてくれた旅のように思えた。

出典: 墓じまいを見届けてきた(note)(台帳: V0069)

参考文献

  1. 日本石材産業協会 (2023)「お墓じまいに関する業界内意識調査」結果(2023年度お墓じまいアンケート). 回答者は石材店.
  2. 全国石製品協同組合(全石協)(2024)「墓じまい」に関してのアンケート調査(2023年12月調査・全国40才代以上の男女182名。うち墓じまいをしたことがある41名・検討している141名).
  3. 内田安紀 (2017)「現代日本における葬送と自然―「自然に還る」というイメージをめぐって―」宗教と社会 23, 15-29.
  4. 株式会社フーフー「わたしたちの墓じまい」(2026)「離檀に関する実態調査」. 檀家をやめた経験がある男女100人へのインターネット調査(2026年3月11日実施).
  5. 株式会社フーフー「わたしたちの墓じまい」(2026)「墓じまいの流れに関する実態調査」. 墓じまいの経験がある男女100人へのインターネット調査(2026年2月6日実施).
  6. ライフドット (2019)「墓じまい」に関する意識・実態調査. 家族の墓があり、墓の管理を考える立場にある全国の20代〜70代の男女764人へのインターネット調査(2019年12月).
  7. 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号). e-Gov 法令検索.
  8. 北九州市「諸手続きについて(市営霊園)」.
  9. 真宗大谷派(東本願寺)「納骨する(収骨・納骨)」よくあるご質問.
  10. 森謙二 (2015)「〈家〉なき時代の墓地埋葬法-現行法の問題とこれからの課題」『月報司法書士』2015年6月号(No.520)特集「墓地・葬送の問題」. 著者は茨城キリスト教大学文学部教授.
  11. 浄土宗「よくあるご質問」Q お墓はどのようなものがありますか?/Q お墓のお引越しはできますか?.
  12. 札幌市「合同納骨塚について」(2026年4月2日更新).

当事者の口コミの出典: V0108(note)/V0043(note)/V0031(アメブロ)/V0095(アメブロ)/V0112(note)/V0069(note)。いずれも本人が公開している記録で、引用は原文のままです。

更新履歴: 2026-10-08 公開