まず結論から
- 株式会社フーフーが2026年2月、墓じまいの経験がある100人に聞いた調査で、きっかけの最多は「お墓の遠方管理が負担になった」の66%でした。次いで「墓の継承者がいない(子供がいない)」31%、「親族が亡くなった」22%です。
- 経験者の年代と性別を見た調査もあります。全国石製品協同組合が2023年12月に聞いた経験者41人では、70代の男性が最も多く、次いで60代の男性でした。
- 進め方は、経験者100人のうち63人が、代行を使わずすべて自分(親族)で行っていました。撤去は、複数の石材店から見積もりを取って頼みます。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。
- 八王子市の案内では、役所への申請は墓地の使用者(名義人)がするのが原則です。ほかの人が申請するなら、名義人の承諾が要ります。墓を継ぐ人は、実際は親族の話し合いで決まるのが通常だと、浦川道太郎氏は解説しています。
- 大変だったことの最多は、調査によって分かれます。フーフーの調査では親族との話し合い(45%)でした。墓じまいパートナーズではお寺とのやり取り(38.5%)、鎌倉新書では遺骨を移す先選び(38.8%)です。
墓じまいをした人は、どんな人で、なぜ決めたのか
墓じまいは、特別な事情のある家の決断に見えるかもしれません。まず、墓の傷みと身内の死をきっかけに動いた人の記録です。
山の中に並ぶ父の墓と先祖の墓、2基をしまうと決めた一人娘(個人ブログ・note)
数年前から、足元の土がやわらかくなってきていて、お墓参りのたびに「そろそろ墓じまいを考えないと」と思っていました。
以前から母も希望していたこと、そして父の弟が亡くなったことをきっかけに、ようやく重い腰を上げることにしました。
父は長男で、本人は一人娘です。墓は山の中にあり、写真と案内図を用意して5社に見積もりを頼みました。経験者100人の調査でも、きっかけの3番目は「親族が亡くなった」でした。
出典: 墓じまいを決めるまでの話【5社見積もりを取って分かったこと】(note)(台帳: V0001)
その調査は、檀家をやめる手続き(離檀)や墓じまいを代行する「わたしたちの墓じまい」の株式会社フーフーが行いました。2026年2月6日、墓じまいの経験がある男女100人にインターネットで聞いています。同社の利用者に限らない調査です。
きっかけは複数回答で、最も多いのは「お墓の遠方管理が負担になった」の66人でした。同社は、物理的な距離による管理の負担が、決める最大の要因になっているとまとめています。
鎌倉新書が2026年1月に、「いいお墓」の利用者で改葬(遺骨を別の墓などへ移すこと)・墓じまいを検討・実施した人に聞いた調査もあります。検討した理由の最多は「お墓が遠方にある」の52.0%、次いで「お墓の継承者がいない」の44.1%でした。調査ごとの理由の並びは墓じまいが増えている理由の記事にまとめました。
どんな年代の人がしているかは、全国石製品協同組合(全石協)の調査が示しています。全石協は、全国の石材会社などが集まった団体です。2023年12月に40代以上の男女に聞き、墓じまいをしたことがある41人の内訳を出しました。最も多いのは70代の男性、次いで60代の男性です。
全石協が2026年4月に全国の40〜70代500人に聞いた調査でも、墓じまいの経験者の比率は70代以上が最も高くなっています。この調査の回答者は、男性が76.6%を占めていました。
墓じまいは誰がするのか、した人はどう進めたのか
墓じまいは、家を継いだ長男がするものだと思っていないでしょうか。次は、親の姓を継がずに嫁いだ娘が、実家の墓をしまった記録です。
親の姓を継がずに嫁いだ姉妹の姉で、公営霊園にある実家の墓をしまった当事者(個人ブログ・note)
亡くなった父に聞くこともできません。 だけど、私が突然早く死んでしまう運命だったとしたら、母は怖がりの世間知らず主人はこういった手続きは全くできない人なので、きっと我が子たちがやることになるか、最悪の場合ほったらかしになる可能性も考えられました。なのでこういう決断をするのは私しかいないんですよね。
母が膝を悪くしてからは、墓参りは本人が一人でしていました。墓じまいは、母に切り出して了承を得てから始めています。八王子市の案内では、改葬の申請は、原則として墓地の名義人がします。
出典: 2年前に実家の墓じまいをしました(note)(台帳: V0113)
八王子市は、名義人本人以外が申請するときは、名義人の承諾が要るとしています。名義人が亡くなっていれば、名義の変更が必要な場合もあります。
墓を継ぐ人(祭祀承継者)は、民法897条では、亡くなった人の指定、慣習、家庭裁判所の指定の順で決まります。それでも実際は、親族の話し合いで決まるのが通常だと、早稲田大学の浦川道太郎教授(当時)は解説しています。家庭裁判所へ持ち込まれるのはまれだとも書いています。
名義人と承諾書の関係は墓じまいとは何かの記事に、名義人が亡くなっているときの進め方は祭祀承継者の記事にまとめました。
どう進めたかは、先の経験者100人の調査が聞いています。代行を使わず「すべて自分(親族)で行った」人が63人でした。「一部の手続きのみ代行を利用した」は27人、「すべて代行サービスに任せた」は10人です。
完了までの期間は、進め方にかかわらず「3ヶ月〜半年未満」が最多でした。総額の最多は、自分で進めた人で「30万円〜50万円未満」、代行を使った人は「50万円〜100万円未満」です。進め方別の総額は墓じまいパックの記事に図でまとめています。
撤去は、複数の石材店から見積もりを取って頼みます。北九州市も市営霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。見積もりが店で違う理由は墓じまい費用の記事に、代行に任せられる範囲は墓じまい業者の記事にまとめました。
墓じまいをしてみて、何が大変だったのか
終えた人は、どこで手間取ったのか。最後は、祖父母の墓をいとこ9人でしまった人の記録です。
母方の祖父母の墓を、いとこ9人で話し合ってしまった孫(個人ブログ・note)
誰かひとりでも、お金を払いたくない。Sさんに任せればいい、と言う人がいたら…。いとこ関係にもわだかまりが残ったはず。
祖父亡きあと墓の管理費を納め続け、弁護士さんを頼って遺言や遺書をしっかりと残して旅立った伯父とYちゃん。伯父たちを支え、さまざまな始末をしてくれたSさん。同じ気持ちを共有できるいとこたち。
ワタシは本当によい親戚に恵まれて幸せ者だわ。
始まりは、弁護士から届いた、墓じまいの了承を求める手紙でした。9人は話し合って自分たちでしまうと決め、遺骨はほかの人と一緒に納める寺の墓(合祀墓)へ移しました。経験者100人の調査でも、最も大変だった工程の最多は親族との話し合いでした。
出典: いとこ9人で墓じまい。きっかけ、しまい方、費用。そして墓参りは続く…(note)(台帳: V0071)
墓じまいの経験者に、大変だったことや困ったことを聞いた4つの調査を並べます。聞いた相手と聞き方が違うので、最も多かった答えも分かれました。
| 調査(実施・時期) | 聞いた相手 | 最も多かった答え |
|---|---|---|
| 株式会社フーフー(2026年2月) | 墓じまいの経験がある100人(最も大変だった工程・複数回答可) | 親族との話し合い・合意形成 45%。次いで、お寺への相談(離檀の交渉など)28% |
| 墓じまいパートナーズ(2026年3月) | 墓じまいの経験者52人 | お寺(住職)とのやり取り 38.5%。次いで、手続き・書類 23.1% |
| 鎌倉新書(2026年1月) | 「いいお墓」の利用者で、改葬・墓じまいを検討・実施した人(この設問の人数は公表文に無い) | 遺骨の引っ越し(改葬)先選び 38.8%。次いで、役所の手続き 32.3% |
| 全国石製品協同組合(2023年12月) | 墓じまいをしたことがある41人 | 困ったことはない。次いで、改葬先のお墓を見つけるのが大変だった(割合の記載なし) |
フーフーは、作業や工事よりも、人との調整が負担の中心になりやすいとまとめています。お寺との話し方はお寺との交渉の記事に、役所の書類は墓じまいの書類の記事に、移す先は遺骨の行き先の記事にまとめました。
終えた人の受け止めを聞いた調査もあります。ライフドットは2019年12月、家族の墓の管理を考える立場にある20〜70代の764人に聞きました。墓じまいをしたことがある人のうち、満足している人は86.8%でした。
まとめ
墓じまいの経験者100人に聞いた調査では、きっかけの最多は「お墓の遠方管理が負担になった」の66%でした。経験者は70代と60代の男性が多いという調査もあります。
経験者の6割を超える人が、代行を使わず自分(親族)で進めていました。八王子市の案内では、申請は墓地の名義人が原則で、ほかの人なら名義人の承諾が要ります。撤去は、複数の石材店から見積もりを取って頼みます。
大変だったことは、親族との話し合い、お寺とのやり取り、移す先選びに分かれます。墓じまいの全体の流れは墓じまいとは何かの記事にまとめています。
墓じまいを決めた理由と、終えた日を書いた3人の口コミ
最後に、墓じまいを決めた理由と、終えた日を書いた3人の記録から、一節ずつ紹介します。
山の中にある祖父母の墓をしまうため、墓前で読経してもらう法要(閉眼供養)まで進めた孫(個人ブログ・note)
以前、祖母の納骨のため京都に行った時、母は70代中頃でした。
その時の母の様子を見て、私は、自分が70代に入ってからこういうことを果たしてできるのだろうか、と思いました。
出典: お墓じまい⑥閉眼供養(note)(台帳: V0063)
電車とバスを乗り継ぐ遠い市営霊園の墓を、現地へ行かずにしまった一人暮らしの当事者(個人ブログ・note)
自分が年を取って体力が落ちたとき、働きながら一人で暮らしていて、こんな遠いお墓の管理なんてできるのだろうか。 ずっとそんなことを考えていた。
出典: 墓じまい 費用と手続き期間の記録(note)(台帳: V0002)
母が守ってきた祖母と叔母の2つの墓を、母と一緒にしまった当事者(個人ブログ・アメブロ)
ついに!
令和5年8月20日に
祖母と叔母の2つのお墓の
墓じまいを迎えることが
出来ました
出典: 母と一緒に終活 ついに墓じまい!それまでの道のりを振り返って(アメブロ)(台帳: V0096)
