まず結論から
- 石川県の資料にも、県内で確かめた金沢市の案内と条例にも、墓じまいの助成は載っていません。確かめた県の資料は、墓地を担当する薬事衛生課のページと、2026年度予算の主要事業です。
- 県の予算にある被災墓地の支援は、集落共有の墓地の通路や擁壁などの復旧と、共有部分に倒れた墓石の移設です。補助率は2分の1、1件1,200万円までで、市町が行う事業です。
- 改葬(遺骨を別の墓へ移すこと)の許可は、県ではなく、遺骨のある市や町が出します。金沢市は市民課 生活衛生室が受け付け、郵送でもよく、手数料は無料です。
- 金沢市営墓地は、返しても納めた使用料が原則として戻らず、元の状態に戻して返します。条例の使用料の表に、合葬墓の区分はありません。
- 撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。見積もりの単位が店で違うからです。
石川県に墓じまいの補助金はある?県と金沢市の資料には載っていない
石川県で墓地や埋葬のことを受け持つのは、健康福祉部の薬事衛生課です。課のページの主要な事務に「墓地、埋葬及び火葬に関すること」とあります。一方、改葬の許可を出すのは、遺骨がある場所の市町村長です。
2026年5月13日の石川県議会の委員会では、地震と豪雨で壊れた墓の修繕や建て直し、墓じまいへの経済的な支援を問う質問がありました。能登半島地震復旧・復興推進部長は、能登の一部の市町が復興基金の市町枠で、個人の墓の修繕に一定の支援をしていると答えています。この答弁は、墓じまいの費用の支援にはふれていません。
墓を直すか、しまうか。お金のかかる選択の前で、家族の考えが分かれた人の記録です。
北陸のある都市の寺にある家の墓を、関東から見てきた嫁(個人ブログ・note)
義父の言葉に 声をあらげてしまう 主人と義妹。
今年の夏、お墓を修繕し 義父は100万を支払った。 疲弊していく家族。
戦っても物事は動かない。
義父がなくなったあと 墓じまいをするしかないのかな と、、、思っている。
墓までは車で6時間かかり、認知症の義父は一人では参れません。それでも義父は、墓を移すことを拒んできました。墓じまいの助成は、県と金沢市で確かめた資料には載っていません。
出典: 【嫁の記録】墓じまいから見えてきたこと(note)(台帳: V0024)
県と金沢市で確かめた資料と、お金について書いてあることは、次のとおりです。
| 確かめた資料 | お金について書いてあること |
|---|---|
| 石川県 薬事衛生課のページ | 主要な事務に、墓地・埋葬・火葬があります。墓じまいの助成の案内はありません。 |
| 石川県の2026年度当初予算の主要事業 | 墓地の項目は「集落の共同墓地の復旧支援」の1つで、3,200万円です。 |
| 石川県議会の委員会の会議記録(2026年5月13日) | 一部の市町が復興基金の市町枠で、個人の墓の修繕に一定の支援をしていると答えています。 |
| 金沢市の改葬の案内・墓地返還届の案内・墓地条例 | 改葬許可も墓地返還届も、手数料はかかりません。納めた使用料は、原則として還付しません。 |
県は、市町ごとの実情に応じた対応がなされていると答えています。助成や支援があるかは、墓のある市町の窓口で確かめます。
金沢市のお金の話は金沢市の墓じまい補助金の記事、全国の制度の見分け方は墓じまい補助金の記事にまとめました。
能登や集落の墓地にある墓は?共同墓地の支援と管理者の証明
石川県の墓地は、2024年度末で10,296区域あります。墓の数ではなく、墓地として区切られた区域の数です。経営する主体別では、個人が8,355、その他が1,190、宗教法人が660、地方公共団体が90です。
厚生労働科学研究の研究班の報告書は、全国の統計で「その他」に分けられている墓地を集落墓地だとしています。同じ報告書は、全国の約88万か所の墓地のうち、個人墓地を71万か所としています。
能登半島地震と奥能登豪雨への対応として、県は復興基金で、集落の共同墓地の復旧を支えています。市町が行う事業で、中身は次のとおりです。
| 項目 | 共同墓地復旧支援事業 |
|---|---|
| 対象 | 集落共有の墓地です。 |
| 対象外 | 地方公共団体・宗教法人・公益財団法人・個人が経営する墓地です。 |
| 支援する経費 | 通路・外構・水道設備・建物など共有部分の復旧と、共有部分に倒れた墓石の移設工事です。 |
| 補助 | 補助率は2分の1で、1件1,200万円までです。 |
| 実績 | 2025年3月末の時点で、6件で実施されていました。 |
支援する経費は共有部分の復旧などで、墓じまいの費用は挙がっていません。県の2025年3月末時点の資料は、市町枠の活用例に、穴水町の墓石等復旧支援事業を挙げていました。被害を受けた世帯に「墓石等の復旧・移設等に要する費用の一部」を支援するものです。墓じまいが対象になるかは、この資料には書かれていません。
集落の墓では、だれが管理者かを確かめるところから始まります。共同墓地の墓じまいを、きょうだいで打ち合わせた人の記録です。
名古屋に住み、浜松の実家の共同墓地にある父の墓をしまう段取りを、きょうだいと打ち合わせた73歳の当事者(個人ブログ・はてなブログ)
実家の墓地は地域の共同管理で、自治会長に墓じまいの意向を伝え、埋葬証明書の発行をお願いすることになります。
墓じまいの手続きに入ったらすぐに動いてもらうよう、妹に手続きを頼んでおきました。
母の容体が悪くなり、父の命日の墓参りのあと、きょうだいで万一の備えを話し合った場面です。父の遺骨は、名古屋の樹木葬の墓に移す予定です。改葬の申請書には、墓の管理者による埋葬の事実の証明を添えます。
出典: 墓参りの後は母の万一に備えきょうだいで打合せ(はてなブログ)(台帳: V0033)
個人の墓地や共同・集落の墓地では、この証明を出す管理者がいないことがあります。そのときは、市町村長が必要と認める「これに準ずる書面」で代えられます。総務省の2023年の報告書では、実地調査した88市町村のうち、管理者が分からない墓地からの改葬で代わりの書面を求めるのは47.7%でした。
何を出せばよいかは、改葬許可証を出す窓口に前もって相談するよう勧められています。集落の墓地そのものをなくすときは、改葬とは別に、墓地を廃止する許可が要ります。市の墓地は市長が許可し、町の墓地は県の条例で各町が許可します。
証明の取り方は墓じまいに必要な書類の記事、しまわずに置いた墓がどうなるかは墓じまいをしないとどうなるかの記事にまとめました。
県外から石川の墓をしまうには?申請は墓のある市町へ
改葬の申請先は、住んでいる所ではなく、遺骨がいまある所の市町村長です。石川県で許可された改葬は、2022年度が1,283件、2023年度が1,259件、2024年度が2,199件でした。金沢市は同じ3年で310件、330件、520件です。金沢市の外の市や町が許可した改葬も多くあります。
鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人のうち、改葬・墓じまいを考えたか実施した733人に聞きました。考えた理由として最も多く挙がったのは「お墓が遠方にある」で、52.0%でした。
遠くの寺にある墓の墓じまいを、現地に行かずに任せた人の記録です。
姫路に住み、広島県尾道市の寺にある浄土真宗の墓2基の墓じまいを、現地に行かずに任せた当事者(個人ブログ・アメブロ)
以上の流れと費用で、私は姫路に居ながらにして墓じまい 永代納骨をお任せです。
これはとてもありがたい。
え?具体的な金額が気になる?
トータルで100万円以下で収まりました。
2基の墓の遺骨は合同塚へ移し、墓は更地にする段取りでした。やり取りは電話とLINEで、支払いは振り込みです。改葬の許可は、遺骨がいまある所の市町村長が出します。
出典: 墓じまいの流れと費用(アメブロ)(台帳: V0097)
申請先は、住んでいる所ではなく墓のある市や町です。墓のある場所ごとの聞く先は、次のとおりです。
| 墓のある場所 | 聞く先 |
|---|---|
| 金沢市 | 市役所の市民課 生活衛生室です。窓口でも郵送でもよく、手数料は無料です。 |
| 七尾市・小松市・輪島市・珠洲市・加賀市・羽咋市・かほく市・白山市・能美市・野々市市 | 墓のある市の役所です。 |
| 川北町・津幡町・内灘町・志賀町・宝達志水町・中能登町・穴水町・能登町 | 墓のある町の役所です。 |
| 富山県・福井県・岐阜県など県外 | 墓のある市区町村の役所です。 |
| 県の墓地・埋葬の担当 | 健康福祉部 薬事衛生課の生活衛生・動物愛護グループです。電話は076-225-1441です。 |
石川県の宗教法人の墓地は660区域で、納骨堂106施設のうち99施設も宗教法人の経営です。金沢市では、墓地696区域のうち279区域が宗教法人の経営です。寺の墓でも、申請書に添える埋葬の証明は、今の墓地の管理者に頼みます。
金沢市の窓口と書類は金沢市の墓じまいの記事にまとめました。隣の県に墓があるなら、富山県の墓じまい補助金の記事、福井県の墓じまい補助金の記事、岐阜県の墓じまい補助金の記事も見られます。
石川県で墓じまいを進める順番と、寺の墓・移し先・費用
手続きを順番に並べます。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。
| 順番 | すること | 資料に書いてあること |
|---|---|---|
| 1 | 複数の石材店に見積もりを頼む | 見積もりの単位は店で違います。 |
| 2 | 親族と話し合って決める | 墓じまいの前に、なるべく多くの親族と相談するよう勧められています。 |
| 3 | 移し先を決める | 改葬許可の申請書に、改葬の場所を書きます。 |
| 4 | 閉眼供養(御霊抜き)を住職に相談する | 日蓮宗の公式のQ&Aは、法要を菩提寺の住職に相談するよう勧めています。 |
| 5 | 管理者に埋葬の証明を頼み、墓のある市や町に改葬許可を申請する | 許可を出すのは、遺骨がある場所の市町村長です。金沢市営墓地からなら、管理者の署名は要りません。 |
| 6 | 遺骨を取り出して撤去し、移し先に納める | 金沢市営墓地は原則として元の状態に戻し、墓地返還届を出します。移し先の管理者は、改葬許可証を受け取ってから納めます。 |
見積もりを最初に置くのは、店によって見積もりの物差しが違うからです。日本石材産業協会が2023年度に石材店へ積算の単位を聞いた設問では、184件の回答が面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べてください。頼み先の選び方は墓じまい業者の記事にまとめました。
寺の墓をしまうなら、墓石を処分するので必ず「御霊抜き」の法要を営む、と日蓮宗の公式のQ&Aは答えています。お布施の目安は墓じまいのお布施の記事にまとめました。
移し先は、鎌倉新書の同じ調査で「永代供養(合祀・合葬墓)」の43.2%が最多でした。金沢市墓地条例の使用料の表に、合葬墓の区分はありません。総務省の調査では、公営の墓地・納骨堂を持つ765市町村のうち、合葬式の施設を持つのは195市町村です。
墓じまいをした人の実施費用は、同じ鎌倉新書の調査で「31万円〜70万円」の31.3%が最多でした。費用の内訳は墓じまい費用の記事、移し先は遺骨の行き先の記事と永代供養の記事にまとめました。
まとめ
石川県の資料にも、県内で確かめた金沢市の案内と条例にも、墓じまいの助成は載っていません。能登の被災墓地への県の支援は、集落共有の墓地の共有部分の復旧などです。改葬の許可は墓のある市や町が出すので、白山市・小松市や能登の市町に墓があるなら、その役所に聞きます。
集落の墓は証明を出す管理者の確認から、寺の墓は住職への相談から始めます。撤去工事は見積もりの単位が店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べてください。
