まず結論から
- 旭川市・姫路市・高松市の公営の合葬墓や納骨堂には、位牌を納められません。遺骨と一緒には納まらないので、位牌の行き先は別に決めます。
- 墓じまいのあとは、家の中に位牌を置く方法と、継ぐ人がいなければ位牌そのものを寺に納める方法があります。
- 手放すときの料金の例では、高野山真言宗の総本山金剛峯寺が、位牌のお焚き上げに1体1万円の供養料を案内しています。お性根を抜く撥遣(はっけん)供養が要るものは、別に1体1万円です。
- 浄土真宗本願寺派では位牌を用いず、過去帳(先祖の記録帳)を使います。
遺骨を合祀墓や永代供養に移したら、位牌はどうなるのか
鎌倉新書は2026年1月、同社サイト「いいお墓」の利用者のうち、墓じまいを検討・実施した人に調査をしました。墓じまいのあとの遺骨の行き先は、ほかの人の遺骨と一緒に納める永代供養の合祀・合葬墓が、43.2%で最多でした。行き先の内訳は遺骨の行き先の記事で見られます。
では、仏壇の位牌も遺骨と一緒に納まるのでしょうか。公営の霊園にあった実家の墓をしまった人の記録です。
公営の霊園にあった実家の墓を、母の同意を得てしまった娘(個人ブログ・note)
お骨は二体分でしたが、位牌が我が家には6体ぶんありました。この6体分を永代供養しないといけません。
これが一番お金がかかることでした。
一体につき10万円✖️6=60万円
ですね。ずっと永代供養することなく曽祖父の曽祖母から始まっているので仕方ありません。位牌が多かったのが料金がかかった点でした。
遺骨は、霊園の合同墓地に納めることもできました。母の希望で、霊園より近いお寺の合同墓地を選んでいます。位牌を継ぐ人がいなければ、位牌そのものを寺に納める方法もあると、花園大学の佐々木閑さんは書いています。
出典: 2年前に実家の墓じまいをしました(note)(台帳: V0113)
公営の合葬墓や納骨堂には、位牌を入れられないと案内している所があります。位牌の行き先は、遺骨とは別に決めます。
| 遺骨の納め先 | 位牌について案内にあること |
|---|---|
| 旭川市の共同墓 | 納骨袋に、位牌や写真などの副葬品は入れられない。副葬品は市では処分できない |
| 姫路市の名古山霊苑の納骨堂 | 納骨できるのは焼骨(火葬した遺骨)だけ。位牌は納骨できない |
| 高松市の平和公園の合葬式墓地 | 納骨壇に入れられるのは骨壺だけ。位牌などの副葬品は入れられない |
| 扉付きの個別の納骨壇(川口市の霊園の計画) | 2023年の計画の比較表は「位牌等を一緒に置いておくことも可能」と説明。計画が採ったのは扉のない移動棚 |
| 菩提寺(付き合いのある寺)の位牌堂 | 大きさなどの規格が決まっている場合もあるので、菩提寺に相談する(臨済宗妙心寺派の回答) |
位牌を寺に納めることを、佐々木閑さんは「ある種、永遠に供養してもらう1つの方法」と書いています。寺の納骨堂に、位牌を置いている家もあります。全日本仏教会と大和証券は2024年12月、お墓を移した人(集計174人)に、移した元を聞きました。「寺院の納骨堂にある位牌などを、他の場所に移した」は12.7%でした。今の墓がある寺で永代供養にするときの話は、永代供養の記事にまとめています。
位牌は、家に残してもいいのか
墓をしまうなら、位牌も手放さなければいけないのでしょうか。遺骨を合祀墓へ移し、位牌は自宅の仏壇に残した長男の記録です。
神奈川県西方の実家と同じ市内にあった先祖の墓をしまい、都内の合祀墓へ移した長男(個人ブログ)
親類からは「やや合理的過ぎないか」と言われたこともありました。
しかし、自宅の仏壇にあるお位牌に毎朝夕、焼香するたびに感謝を伝えることで、以前なんとなく感じた、「墓が遠くてなかなか参拝できない」という何か負い目みたいなものがなくなり、今では大変満足しています。
移した先は、都内の駅に近い建物の中の合祀墓です。納骨のときは、移した先の住職に、自宅に置く位牌の魂入れをしてもらっています。位牌は墓と同じく、先祖をまつるための財産(祭祀財産)だと、法テラスは説明しています。
出典: 後悔しない! 墓じまい こうすればうまくいく(ヒロブログ 歳刻を愉しむ)(台帳: V0016)
佐々木閑さんは、墓じまいのあとの道の一つに、墓の代わりに家の中に位牌を置く方法を挙げています。家へ移す前に確かめておくことを、表にまとめます。
| 確かめること | 資料にあること |
|---|---|
| 誰が守るか | 墓・家系図・位牌などの祭祀財産は、相続財産とは別に継ぐ人が決まる。決め方は、亡くなった人の指定、慣習、家庭裁判所の手続き。祭祀承継者の記事 |
| 置く場所 | 天台宗の公式Q&Aは、仏壇の位置のしきたりにこだわりすぎる必要はないと答えている。毎日お参りしやすく、家族がよく集まる場所がよいとしている |
| 姓の違う位牌 | 天台宗の公式Q&Aは、他姓の位牌を同じ仏壇に祀ることについて、生前の姓が異なっても「何の支障もありません」と答えている |
| 運び方 | ヤマト運輸は、宅急便で送れないものに遺骨・位牌・仏壇を挙げている。佐川急便も約款で、引受けを拒絶することがある荷物に挙げている |
位牌を手放すなら、どこに頼み、何をするのか
位牌を継ぐ人がいないなら、位牌そのものを寺に納める方法があります。霊園が引き取るとは限りません。旭川市は共同墓の案内で、位牌などの副葬品は市では処分できないとしています。義父母の墓をしまった日に、古い位牌も寺へ持って行った人の記録です。
夫を亡くしたあと、義父母の墓をしまった人(個人ブログ・アメブロ)
骨壷はサラシと風呂敷でしっかりと包んでもらい、改葬先のお寺に運びました。
お焚き上げをお願いしていた古いお位牌といっしょに、若いお坊さんがお経をあげてくださいました。
これで閉眼供養と改葬は終わりました。
古い位牌は、白いタオルに包んで持って行きました。義父母の遺骨は、翌日に集合墓へ納める予定でした。位牌などのお性根を抜く儀式を、浄土宗の辞典は撥遣式(はっけんしき)と呼んでいます。
出典: 墓じまい。閉眼供養が終わりました。(アメブロ)(台帳: V0095)
新纂浄土宗大辞典は、撥遣には二つの意味があると書いています。一つは、修理のために一時的に撥遣し、直したあと再び開眼する(お性根を入れる)場合です。もう一つが、古くなり傷んだ位牌などを、最後の供養をして浄焚(お焚き上げ)する場合です。
料金を公式に示している例に、高野山真言宗の総本山金剛峯寺のQ&Aがあります。位牌や仏像のお焚き上げには、1基(1体)につき10,000円の供養料が要ります。お性根抜きが必要なものは、別に撥遣供養料が1体につき10,000円かかります。金属製や石のものなど、焼却が難しいものは断る場合があるとしています。
菩提寺に頼むなら、額は寺に尋ねます。臨済宗妙心寺派は、お布施に本山の規定や指定は一切なく、各寺院や地域の判断に任されていると答えています。墓の閉眼の法要に包むお布施の額はお布施の記事で、包み方は表書きの記事で確かめられます。
浄土真宗本願寺派の家では、位牌はどうなるのか
家の宗派が浄土真宗本願寺派なら、仏壇に位牌が無いことがあります。築地本願寺は仏事相談で、一般的に本願寺派では位牌を用いず、過去帳を使うよう答えています。
理由は、西本願寺の公式FAQが説明しています。位牌はもともと中国の儒家で使われた、亡き人の官位と姓名を記した牌でした。そこに神霊が宿ると信じられ、のちに仏教にも転用されました。根底に「霊の宿る所」という意識が残っている、というのが用いない理由です。
代わりに使う過去帳は、先祖の記録帳のようなものです。亡き人の法名・俗名・死亡年月日などを記します。命日や法事のときは台に載せて開き、本尊の妨げにならないよう仏壇の中脇壇か下段に置きます。過去帳の前には、水や食物を供えません。本願寺派の家では、位牌の代わりに過去帳を使います。
まとめ
旭川市・姫路市・高松市の公営の合葬墓や納骨堂には、位牌を納められません。位牌は遺骨とは別に、家の中に置くか、継ぐ人がいなければ寺に納めます。手放すときの料金の例では、金剛峯寺がお焚き上げと撥遣供養を、それぞれ1体1万円と案内しています。本願寺派の家は、位牌の代わりに過去帳を使います。
墓石の撤去は、複数の石材店から見積もりを取ってから頼みます。北九州市も、市立霊園の工事で複数の業者からの見積りを勧めています。選び方は業者の記事で、撤去の見積もりが店で違う理由は費用の記事で確かめられます。墓じまいのあとのお参りの場所は、墓じまいとは何かをまとめた記事で整理しています。
家の位牌と、寺に置かれていた位牌をめぐる3人の口コミ
最後に、位牌の行き先に向き合った3人の記録から、一節ずつ紹介します。
母の納骨を終え、父を見送ったあとの墓じまいを考えている人(個人ブログ・アメブロ)
先祖代々の位牌と祖父の位牌、そして母の位牌の三つの位牌の処分方法もお聞きしておかねば。
父の場合は白木の位牌だけでいいんじゃ?
出典: 四十九日法要から納骨までがトライアスロンだった件 その2(アメブロ)(台帳: V0117)
父方の墓をしまうため、菩提寺(浄土真宗)に先祖の記録を尋ねた人(個人ブログ・アメブロ)
すると菩提寺の住職から再度電話があり「納骨堂の奥から位牌の木札が見つかりました!」
出典: 墓じまい①(アメブロ)(台帳: V0029)
愛知県新城市にあった先祖の墓をしまい、寺の永代供養に切り替えた人(個人ブログ・note)
お寺に挨拶と永代供養をはじめるにあたり、家にある位牌も精抜き処分してもらえるということで持参して行ったのが本日です。
出典: 墓じまいからの永代供養98万円也(note)(台帳: V0121)
