墓じまいの魂抜き(閉眼供養)は必要?役所の申請に無く宗派で違う

墓じまいの魂抜き(閉眼供養)は必要?役所の申請に無く宗派で違う
目次

墓じまいの前に「魂抜きを」と言われたが、何をする法要なのか。しないと墓じまいはできないのか。頼めるお寺が無いときはどうするのか。そんな迷いに答える記事です。

宗派ごとの呼び名と考え方は、日蓮宗・浄土宗(新纂浄土宗大辞典)・浄土真宗本願寺派など7宗派の公式の説明から整理しました。全国優良石材店の会の案内と、墓じまいをした人・手伝った人の口コミ6本も紹介します。

まず結論から

  • 日蓮宗は、改葬(遺骨を別の墓へ移すこと)で墓石を処分するときは、必ず「御霊抜き」の法要を営むと答えています。法要は、菩提寺(先祖の墓や法事を任せてきた寺)の住職に相談するよう書いています。
  • 役所に出す改葬の申請書は、書く項目も添える書類も国の省令で決まっていて、法要は入っていません。日蓮宗の公式も、法律の手続きと御霊抜きを別の問いで答えています。
  • 呼び名は宗派で違います。浄土宗の辞典は撥遣式(はっけんしき)と書き、「お性根を抜く」ともいうと説明しています。浄土真宗本願寺派は、墓が完成したときの法要を建碑式と呼び、「お性根入れとは申しません」としています。
  • 仏事のしきたりは地域や寺で様ざまで、全国で統一できる状況にないと曹洞宗は書いています。要るか、何と呼ぶかは、墓のある寺の住職に尋ねます。

墓じまいの魂抜きでは、何をするのか

墓じまいでは、墓石を撤去する前に、僧侶に頼んで法要を営むことがあります。経験した人の口コミでは「閉眼供養(へいがんくよう)」とも呼ばれています。

父と墓じまいを進め、同じ寺の中の永代供養墓へ遺骨を移した当事者(約5年前の回想・個人ブログ・はてなブログ)

その作業をしてもらう前に墓石に込められている仏様の魂を抜いてもらう「閉眼供養のおつとめ」をしてもらう必要があります。

これは住職さんにお願いして閉眼供養の読経をしていただきました。

そうすると墓石が普通の石に戻るようです。

住職さんが業者に「もう魂は抜けたので怖くないよ~作業をしていいですよ~」とおっしゃっていました。

直接こう言われると業者さんも安心して墓石の撤去作業をすることが出来たのでは?と思いました。

移す先の永代供養墓を先に用意してから、墓じまいに進んでいます。全国優良石材店の会は、建て替えで古い墓を処分するときの順番を答えています。菩提寺の僧侶に魂抜きの法要を頼むのが一般的で、済ませた墓石は石材店に相談して処分します。

出典: 【終活】墓じまいをして新たに永代供養墓を購入したお話です。(りかさんのぼっちブログ)(台帳: V0012)

日蓮宗が「必ず」とする理由に挙げるのは、それまでの墓石を処分することです。墓石が古くなって建て替えるときも、丁寧な法要を営んでから処分するよう書いています。浄土宗の辞典も、お性根を抜くものとして、仏像・位牌と並べて石塔を挙げています。

手続きとの順番は、宮崎県小林市の案内が手がかりになります。小林市は、改葬許可証があれば、魂抜きも、移す先での開眼供養(魂入れ)もできると案内しています。

法要のあとの撤去は、石材店の仕事です。北九州市の案内も勧めるとおり、撤去を頼む石材店は、複数の店から見積もりを取って選びます。見積もりの比べ方は墓じまい費用の記事、石材店に頼むことは墓じまい業者の記事にまとめました。当日の段取りは墓じまいの立ち会いの記事、移す先での納骨は改葬の記事で確かめられます。

魂抜きは、しないといけないのか

この問いには、答えが2つあります。役所の手続きとして要るのか。宗派の作法として要るのか。どちらを聞いているかで、答えが変わります。

高齢者の相談を受け、墓じまいを手伝ってきた支援者(当事者ではない・福祉職・個人ブログ・note)

お寺の場合は、住職さんの言われる方法になることが基本となり、調整の余地は少ないです。

霊園やその他の場合は、

・閉眼供養を行うか

・御骨は何体あるか

・石材屋の費用

・御骨はどうするか。

他のお墓に移すのか、永代供養するのか

※費用の調整の余地があります。

同じ記事は、寺の墓なら住職に連絡し、閉眼供養から進めるのが基本の流れだと書いています。一方で改葬は、市町村長の許可を受けて行うと法律が定めています。

出典: 高齢者の支援 ~墓じまい~(note)(台帳: V0044)

役所に出す改葬の申請書に何を書き、何を添えるかは、省令が決めています。

改葬許可の申請省令が定めるもの
申請書に書くこと亡くなった人の本籍・住所・氏名・性別、死亡年月日、埋葬か火葬の場所と年月日、改葬の理由、改葬の場所、申請者と亡くなった人・墓の使用者との関係
添える書類墓地の管理者が書いた埋葬(埋蔵)の事実の証明、申請者が墓の使用者でないときは使用者の承諾書、その他市町村長が特に必要と認める書類

申請書に書く項目にも、添える書類にも、法要は入っていません。日蓮宗の公式Q&Aも、改葬の手続きは法律に基づくもので必ず行うと答え、御霊抜きは別の問いで答えています。書類の書き方は墓じまいに必要な書類の記事にまとめました。

宗派の作法としてはどうか。宗派の公式の案内を並べました。墓ではなく、仏壇・位牌・仏像の問いへの答えも含みます。

宗派呼び名・言い方書いている場面
日蓮宗御霊抜き改葬でそれまでの墓石を処分するときは、必ず営む。法要は菩提寺の住職に相談する
浄土宗撥遣式(はっけんしき)。仏像・石塔・位牌などの「お性根(しょうね)を抜く」ともいう新纂浄土宗大辞典の項目。招き迎えた仏・菩薩に「本国へ還り給え」と念じて行う法会
高野山真言宗お性根抜き・撥遣供養総本山金剛峯寺が、お焚き上げの問いで位牌や仏像について答えた中にある。真言宗の墓じまいの記事も参照
浄土真宗本願寺派「お性根入れ」とは言わない。墓が完成したときの法要は建碑式西本願寺のFAQ。築地本願寺は、仏壇を引き払う前の法要を遷仏法要と呼ぶ。改葬の手順の答えで法要に触れているのは、納骨のときだけ
臨済宗妙心寺派遷座(仏像を新しい場所へ遷すこと)引っ越しのときの仏様の問いへの答え。妙心寺派としての規定はない
曹洞宗墓から霊を抜く法要の項目はない仏事のしきたりは、菩提寺に直接尋ねて指示を受けるよう求める
天台宗墓から霊を抜く法要の項目はない仏壇は菩提寺に依頼して開眼法要をする。天台宗の墓じまいの記事も参照

「魂抜き」の語は、宮崎県小林市と全国優良石材店の会の案内が使っています。祟りや体調の心配は墓じまいで不幸になるかの記事、墓にいた魂の行方は墓じまいとスピリチュアルの記事、神道の墓は神道の墓じまいの記事にまとめました。

頼むお寺の当てが無いとき、どうするのか

株式会社huhu(墓じまいの代行業者)は2026年2月6日、墓じまいの経験がある100人にインターネットで調査をしました。離檀料(檀家をやめるときに寺へ納めるお布施)を払ったかを聞くと、「離檀する必要がなかった」と答えた人が11人いました。調査をした会社は、公営墓地や寺に属さない霊園など、離檀の手続きが要らない場合があると書いています。

父が買った霊園の墓から母の遺骨を取り出し、父の遺骨とともに別の寺の永代供養塔へ納めた息子(個人ブログ・note)

幸い父は、母の葬儀をお願いした別の地元のお寺に毎月念仏を唱えに通っていた。母の死後月に何度もその寺に通い、ご縁ができたのである。

その住職から、お墓が無縁墓のようになるのなら、母のお骨も含めてうちで永代供養をしますよと言っていただいた。

霊園を管理していた別の県の寺は、廃寺になっていました。息子は自治体に事情を説明して改葬許可証を受け、ご縁のできた寺に墓の閉眼供養を頼んでいます。宮崎県小林市は、改葬元の管理者が分からないとき、墓碑や墓誌の写真を申請書に添えるよう案内しています。

出典: 実家じまい(三) 墓(note)(台帳: V0127)

曹洞宗・臨済宗妙心寺派・浄土真宗本願寺派は、公式の案内で近くの寺の探し方を示しています。頼む寺の当てが無いときの手がかりを並べました。

こんなとき手がかり
菩提寺がある日蓮宗は、法要を菩提寺の住職に相談するよう書いています。曹洞宗も、しきたりは菩提寺に直接尋ねるよう求めています。
妙心寺派・曹洞宗の家で、近くに寺が無い妙心寺は、近くで供養を頼む寺を探す問いに、妙心寺派の寺は「臨黄ネット」で確かめられると答えています。本山からの直接の紹介はしていません。曹洞宗の公式サイトも、個別の寺の紹介はせず、「お寺を探す」のページを案内しています。
浄土真宗本願寺派の家築地本願寺は、改葬の手順の問いで、納骨のときの法要を近くの本願寺派の寺に頼むよう案内し、寺院紹介サイトを示しています。
移す先が札幌市の合同納骨塚供養などの宗教的な行事を行わず、納骨後にお坊さんを呼んでお経をあげることも遠慮を求めています。

菩提寺が遠いときの相談の仕方は菩提寺がある家の墓じまいの記事、寺の墓で住職に頼むことは寺の墓の記事にあります。小林市を含む宮崎県の手続きは宮崎県の記事、札幌市は札幌市の記事、遺骨の行き先は墓じまいで骨はどうなるかの記事で確かめられます。

まとめ

魂抜きは、墓石を処分する前に営む法要です。日蓮宗は改葬のとき必ず営むと答え、呼び名は宗派で違います。役所に出す改葬の申請書の項目と添える書類に、法要は入っていません。

要るか、何と呼ぶかは、墓のある寺の住職に尋ねます。撤去を頼む石材店は、北九州市の案内のとおり、複数の店から見積もりを取って選びます。お布施の額は墓じまいのお布施の記事、包み方はお布施の表書きの記事、全体の流れは墓じまいとは何かの記事で確かめられます。

魂抜き(閉眼供養)を経験した3人の口コミ

最後に、魂抜きの段取りを決めた人、当日に読経を頼んだ人、終えた人の記録から、一節ずつ紹介します。

息子にすすめられ、夫が建てた菩提寺の墓をしまうことにした妻(個人ブログ・アメブロ)

あれよあれよという間に

話が進み

今月末に閉眼供養

9月初めに納骨式

と段取りが決まりました

出典: お盆と墓じまい(アメブロ)(台帳: V0077)

遠方にあった菩提寺の墓をしまい、両親の遺骨を東京の集合墓へ移した子(個人ブログ・note)

長年の感謝を込めてお布施と仏花をお供えし、閉眼供養(魂抜き)の読経を執り行いました。業者の方も作業の手を止め、一緒に手を合わせてくださったのが印象的でした。

出典: 「改葬」という選択の体験記(note)(台帳: V0018)

夫を亡くしたあと、義父母の墓の閉眼供養を済ませ、遺骨を集合墓へ移した妻(個人ブログ・アメブロ)

これで閉眼供養と改葬は終わりました。

義父母の遺骨は、明日集合墓に納骨されるそうです。

残っているのは、墓石の撤去だけ。

出典: 墓じまい。閉眼供養が終わりました。(アメブロ)(台帳: V0095)

参考文献

  1. 株式会社フーフー「わたしたちの墓じまい」(2026)「離檀料(お布施)に関する実態調査」. 墓じまいの経験がある男女100人へのインターネット調査(2026年2月6日実施).
  2. 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第5条. e-Gov 法令検索.
  3. 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年厚生省令第24号)第2条. e-Gov 法令検索.
  4. 北九州市「諸手続きについて(市営霊園)」.
  5. 浄土真宗本願寺派(西本願寺)「よくあるご質問」.
  6. 築地本願寺「悩み・仏事相談」よくあるご質問.
  7. 高野山真言宗 総本山金剛峯寺「お問い合わせ(よくあるお問い合わせ)」(公式サイト).
  8. 日蓮宗ポータルサイト「仏教・仏事のQ&A お墓・お墓参りについて」.
  9. 浄土宗「撥遣式」WEB版 新纂浄土宗大辞典.
  10. 曹洞宗 曹洞禅ネット SOTOZEN-NET「よくあるご質問(FAQ)」.
  11. 大本山妙心寺(臨済宗妙心寺派)「仏事・法要について」.
  12. 小林市(宮崎県)「墓じまい(市営墓地の返還)について」(2026年4月28日更新).
  13. 札幌市「合同納骨塚について」(2026年4月2日更新).
  14. 天台宗「天台宗について Q&A」(天台宗公式サイト).
  15. 全優石(一般社団法人 全国優良石材店の会)「よくある質問(お墓の引越し・墓じまい)」.

当事者の口コミの出典: V0012(はてなブログ)/V0044(note)/V0127(note)/V0077(アメブロ)/V0018(note)/V0095(アメブロ)。いずれも本人が公開している記録で、引用は原文のままです。

更新履歴: 2026-10-08 公開