まず結論から
- 墓石の撤去工事は石材店がして、終わったら写真を付けた届を霊園に出します。北九州市・神戸市・松戸市・新居浜市の案内です。
- この4市の案内に、工事の日に施主が現地にいるよう求める記載はありません。松戸市は、業者に頼むなら完成後に現地を確かめるよう書いています。
- 墓石は、霊を抜く法要を営んでから撤去します。全日本墓園協会の横田睦氏は、この法要を「抜魂式」と書いています。遺骨を取り出すときは、改葬許可証を今の墓地の管理者に見せると、横浜市は案内しています。
- 確かめた案内で立ち会いを定めていたのは、霊園の側です。川崎市営霊園は、返す区画を掘り下げて、事務所職員の立ち会いのもとで遺留物が無いか確かめます。
- 移す先の合葬墓は、札幌市・神戸市・鹿児島市・呉市などが、納骨には立ち会えないと案内しています。
当日、施主はどの場面に立ち会うのか
墓じまいでは、墓の前で行うことがいくつかあります。お経をあげる閉眼供養と、墓を開けて片づける作業です。この2つが、同じ日に済むとは限りません。
母を見送ったあと、菩提寺の境内にある実家の墓(家から片道2時間ほど)をしまった当事者(個人ブログ・note)
業者立ち会いのもと閉眼供養も無事すますことができた。 当日、業者が墓地の納骨スペースを確認したところ、案の定骨壺は三体分しかなくて、遺骨一体は土葬されているようだ。その日は生憎の雨であったため、遺骨の取り出しや墓石撤去等の作業は後日行うこととなり、あとはすべて業者に委ねることで、ようやくほっと一息つくことができたのだった。
はじめは母の四十九日の法要の日に、閉眼供養も営む予定でした。石材業者の立ち会いが要るとのことで、閉眼供養だけ日を改めています。全日本墓園協会の横田睦氏は、改葬の手続きが終わった墓は「抜魂式」を行ったうえで墓石を撤去すると書いています。
出典: 墓じまいの話(note)(台帳: V0021)
墓じまいで墓の前に人が行く場面を、誰がするかで並べました。
| 場面 | 誰がするか | 施主が知っておくこと |
|---|---|---|
| 見積もり | 石材店 | 見積もりの単位(積算の仕方)は、店によって違います。北九州市の案内も、複数の業者からの見積り取得を勧めています。複数の石材店に見積もりを頼み、項目をそろえて比べます。 |
| 閉眼供養(魂抜き) | 僧侶 | 墓から霊を抜く法要です。全日本墓園協会の解説は「抜魂式」と書き、法事の一つに挙げています。当日の服装は墓じまいの服装の記事、お布施は墓じまいのお布施の記事にまとめました。 |
| 遺骨の取り出し | 石材店 | 川崎市営霊園では、カロート(遺骨を納める所)の上の拝石は、利用者かその代理の方が開け閉めするよう求めています。 |
| 墓石の撤去工事 | 石材店 | 神戸市立墓園では、施工の7日前までに施工届書を管理事務所に出します。終わったあとの届けは3つめの節で見ます。 |
| 区画の返還 | 霊園の管理者 | 宮崎県小林市の市営墓地は、工事の完了から7日以内に、工事完了届と墓地返還届を出します。 |
| 移す先への納骨 | 移す先の管理者 | 札幌市の合同納骨塚は、職員が納骨するので立ち会えません。ほかの例は最後の節に並べました。 |
見積もりの比べ方は墓じまい費用の記事、石材店に頼むことは墓じまい業者の記事にまとめました。返したあとの区画の扱いは墓じまいした後の土地の記事で確かめられます。
遺骨を取り出す日、施主は何をするのか
閉眼供養が済むと、墓を開けて遺骨を取り出します。この日に要るものと、霊園が決めていることを見ます。
父と墓じまいを進め、寺の墓地にあった墓から、同じ寺の永代供養墓へ遺骨を移した人(約5年前の回想・個人ブログ・はてなブログ)
閉眼供養が終わりましたら遺骨を取り出すのですが、父がお墓に遺骨を納める時に骨壺から出して直に骨をまいていました。
なので、事前に遺骨を取り出すことができなかったので墓石を撤去してもらった後に下にある土と一緒に遺骨らしい白い小さな骨を専用の袋に入れていただきました。
読経を終えた住職が、業者に作業を始めてよいと声をかけてからのことです。遺骨のほとんどは土にかえっていて、形の残る骨は姉の娘に手渡しました。北九州市は、土の中に骨壺が埋まったままのケースが散見されるとして、十分に掘り返すよう求めています。
出典: 【終活】墓じまいをして新たに永代供養墓を購入したお話です。(はてなブログ)(台帳: V0012)
取り出す日に要るのは、改葬許可証です。横浜市は、改葬許可証を今の墓地の管理者に見せてから遺骨を取り出すよう案内しています。許可証はそこで渡さず、新しい墓地で使います。
遺骨を出すときの決まりは、霊園によって違います。職員や係員が立ち会うと定めている所もあります。
| 霊園・納骨堂 | 遺骨を出すとき・返すときの決まり |
|---|---|
| 川崎市営霊園 | 返還の手続きの日から1か月以内に、区画を元に戻します。カロートの底から30cm掘り下げ、事務所職員の立ち会いのもとで、遺留物が無いことを確かめます。 |
| 北九州市の市立霊園 | コンクリート基礎の撤去など、使う前と同じ更地にして返します。 |
| 千葉市の桜木霊堂(納骨堂) | 遺骨を収める・改葬する・分骨するときは、指定管理者の立会いを求めなければなりません。 |
| さいたま市の納骨堂 | 遺骨を引き取るときは、係員の立会いを受けなければなりません。 |
開けたら何が出てくるか、骨壺が思ったより多いときの申請は墓じまいで骨はどうなるかの記事にまとめました。許可証を誰に見せて誰に渡すかは改葬許可証の記事にあります。市ごとの手続きは、川崎市・北九州市・千葉市・さいたま市・横浜市の記事で確かめられます。
立ち会えないとき、何を任せ、どう終わりを確かめるのか
工事の日に現地へ行かずに済ませる人もいます。株式会社huhu(墓じまいの代行業者)は2026年2月、墓じまいを経験した100人に、最も大変だった工程を聞きました(複数回答可)。「石材店の選定・撤去工事の立ち会い」を挙げたのは4人で、最多は「親族との話し合い・合意形成」の45人でした。
市営墓地にあった祖父名義の墓を、自分の名義に変えてしまった孫(個人ブログ・note)
11月某日、墓石工事の日を迎えました。 特に立ち会い等必要なことはないので、現地へ行くことはしませんでしたが、なにもないことを願いつつも、なにかあっても嫌なので、連絡だけは取れるように仕事は休みを取り、ただ待ってるだけなのも癪なので、競馬場で連絡きてないよなとスマートフォンを確認しつつ過ごしていました。
工事の翌日、業者からのメールで、遺骨は出てこなかったと知りました。返還の手続きも業者が済ませていて、施主が動くことは残っていませんでした。神戸市立墓園は、返還の手続きを業者に任せるなら、実印を押した委任状を出すよう定めています。
出典: 墓じまいをしてみた(完結)(note)(台帳: V0125)
工事の終わりを、写真で確かめる霊園があります。撤去のあとの届に、写真を付けるよう求めています。
| 霊園 | 撤去のあとに出すもの |
|---|---|
| 北九州市の市立霊園 | 墓石の撤去を含む工事が終わったら、竣工届に写真を付けて出します。 |
| 神戸市立墓園 | 工事完成届書と完成写真台紙を出します。工事の前の施工場所確認書にも、写真を付けます。 |
| 松戸市営白井聖地公園 | 墓碑等工事完了届に、工事の前・中(普通墓地だけ)・後の写真を付けます。墓石を建てる工事でも、解体する工事でも要ります。 |
| 新居浜市の市営墓地 | 返還届と一緒に、墓石の撤去が終わったと分かる写真を出します。 |
| 市川市霊園 | 返還を促す事業を使うときは、返還届や助成金の申請書とあわせて、原状回復工事の前後の写真と見積書・領収書を出します。申請は管理事務所の窓口だけです。 |
松戸市は、工事を業者に頼むなら、前もって施行内容を確かめ、完成後に現地を確認するよう書いています。代行に任せられる範囲は墓じまい業者の記事、更地にする範囲は市営墓地の墓じまいの記事にまとめました。市川市の助成は墓じまい補助金の記事で扱っています。
移す先の納骨には、立ち会えるのか
墓じまいの最後は、取り出した遺骨を移す先に納める日です。市の合葬墓(ほかの人の遺骨と一緒に納める墓)では、遺骨を預けて、職員が納める形があります。
| 合葬墓 | 納骨の立ち会い |
|---|---|
| 札幌市の合同納骨塚 | 申請の日に遺骨を預けます。原則として当日か翌営業日に職員が納めるので、立ち会えません。 |
| 神戸市の鵯越合葬墓 | 受付のあと、係員が納めます。納骨の立会いはできません。 |
| 鹿児島市営合葬墓 | 納骨は市が行うので、立ち会えません。納骨には事前の予約が要ります。 |
| 呉市の合葬式墓地 | 受付で係員に遺骨を預け、係員が後日収めます。収蔵には立ち会えず、お別れは自宅などで済ませてから来るよう案内しています。 |
| 富士市の森林墓園(2023年の案内) | 遺族は立ち会えないと案内しています。納骨法要をしたいときは、遺骨を引き渡す前に、合葬墓の拝礼壇で行うよう求めています。 |
| 岡山市の上道墓園(2021年の案内) | 埋蔵は職員が行い、立ち会うことはできると案内しています。遺族が直接埋蔵することはできません。 |
千葉市の平和公園の合葬式樹木葬墓地、前橋市の嶺公園の樹林墓地、いわき市の樹木葬型合葬墓地も、埋蔵に立ち会えないと案内しています。鹿児島市の合葬墓の参拝所では、読経などの宗教的な儀式ができません。
立ち会えない合葬墓に移すなら、お別れや読経は、遺骨を預ける前に済ませます。移す先の選び方は永代供養の記事、遺骨の行き先で多いものは骨はどうなるかの記事にまとめました。市の合葬墓は、札幌市・神戸市・鹿児島市・呉市・岡山市・前橋市・いわき市の記事でも扱っています。
まとめ
墓石の撤去は石材店がします。北九州市や神戸市などは、撤去のあとに写真を付けた届を求めています。工事の日に施主が現地にいるよう求める記載は、確かめた4市の案内にありません。業者に手続きを任せるときは、委任状が要る霊園があります。
抜魂式を行ってから墓石を撤去し、遺骨は改葬許可証を管理者に見せて取り出します。移す先が合葬墓なら、納骨に立ち会えるかを先に確かめます。見積もりの単位は店で違います。北九州市の案内のとおり、複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて比べます。墓じまいの全体の流れは、墓じまいとは何かの記事で確かめられます。
墓じまいの当日を書いた3人の口コミ
最後に、墓じまいの当日を書いた3人の記録から、一節ずつ紹介します。立ち会った人、立ち会わなかった人、霊園の側で見届けた人です。
金沢市の山の墓地にある父の実家の墓じまいに、母・兄・妹と立ち会った娘(個人ブログ・note)
だけど、この墓じまいに立ち会えてよかった。 墓じまいしてよかった。 おじいちゃんが一生懸命建てたお墓を見ることができたこと、またご先祖様のお骨に会えて、 彼らは確かに生きていたんだって思った。
出典: 墓じまいを見届けてきた(note)(台帳: V0069)
公営の霊園にあった、父が建てた実家の墓をしまった娘(個人ブログ・note)
この2ヶ月の間に魂抜きをしてもらっておくためにお寺の方に連絡を入れます。 2ヶ月の間にお墓の方に行くので終わり次第、連絡をくれることになっています。 これに関しては立会することも可能だと思います。我が家では立会はしませんでした。
出典: 2年前に実家の墓じまいをしました(note)(台帳: V0113)
青森の霊園で、夫婦から区画の返還を受け付け、工事に立ち会った霊園で働く書き手(個人ブログ・note)
わたしにできることは、ほとんどない。
だからせめて、最後の工事くらいは、きちんと見届けようと思った。
出典: 一度も使われなかったお墓を、今日、解体した。(note)(台帳: V0049)
