まず結論から
- 県内で案内を確かめた新居浜市は墓じまいの補助金や助成金の制度を設けておらず、松山市の市営墓地と改葬の案内にも助成は載っていません。
- 墓じまいで遺骨を移す許可(改葬許可)を出すのは、県ではなく墓のある市町村長です。県で墓地の法律を受け持つ薬務衛生課の業務の一覧にも、墓じまいの助成の項目はありません。
- 新居浜市は、墓じまいのあとの遺骨の受け皿として、平尾墓園に合葬式納骨施設を整えています。総務省の2023年の報告書の時点で、市営墓地の区画を返して市の合葬式施設を使う人は、使用料が全額免除でした。
- 愛媛県の墓地12,517か所(区域の数)で最も多いのは、個人の墓地の8,877か所です。管理者の証明が取れない墓は、代わりの書面を墓のある市町に先に相談します。
- 見積もりの単位(積算の仕方)は店によって違うので、撤去の工事は複数の石材店に見積もりを頼み、額と内訳を比べます。
愛媛県に墓じまいの補助金はあるのか
墓じまいで遺骨を別の墓へ移すことを、法律では「改葬」と呼びます。改葬の許可を出すのは県ではなく、遺骨がいまある場所の市町村長です。
県で墓地の法律を受け持つのは、薬務衛生課の環境衛生係です。業務の一覧に「墓地、埋葬等に関する法律に関すること」とあります。同じ一覧に、墓じまいの助成の項目はありません。補助が無いとき、撤去の費用はどれくらいか。市営墓地にある父方の墓の見積もりを取った人の記録です。
京都府の市営墓地にある、疎遠だった父方の明治の墓2基を引き受けた孫(個人ブログ・note)
さて、見積もりは 2基で55万円 でした。 明細については割愛します。先方の営業上の秘密に触れるのかはわかりませんけど、細かくぶっちゃけるもんでもないと思いますので。 ちなみに、この金額は散骨費用を含まない、墓石撤去の費用です…
祖母の管理料の滞納をきっかけに墓を知り、3年前から管理料を払ってきた人です。祖母の相続を放棄した年に、墓じまいを決めました。新居浜市も、墓石の撤去は市では行わず、使用者が石材業者などに頼むよう案内しています。
出典: 墓じまいをしてみた(途中)(note)(台帳: V0017)
県内で案内を確かめた2市の答えを、表にまとめました。
| 市 | 墓じまいの助成 | 改葬の許可の窓口 |
|---|---|---|
| 松山市 | 市営墓地と改葬の案内2ページに、載っていません。 | 公園管理課です。郵送なら110円切手を貼った返信用封筒を同封し、代わりの人が出すなら委任状を添えます。手数料は案内のページに記載なし → 公園管理課で確かめます。 |
| 新居浜市 | 「補助金や助成金の制度は設けていません」と答えています。 | 市営墓地も市営以外の墓地も、新居浜市で申請します。ページの問い合わせ先は環境政策課です。手数料はこのページに記載なし → 環境政策課で確かめます。 |
| 今治市・西条市・四国中央市・宇和島市など | 墓のある市町の窓口で確かめます。 | 墓のある市町です。 |
今治市・西条市・四国中央市・宇和島市などに墓があれば、その市町に申請します。新居浜市も、市外や県外の墓は、その墓がある市町村で申請するよう案内しています。松山市の窓口と書類の順番は、松山市の墓じまい手続きの記事にまとめました。
全国には、墓じまいを後押しする自治体の制度もあります。その型は墓じまい補助金の記事で比べ、費用の内訳は墓じまい費用の記事にまとめました。隣の高知市の答えは、高知市の墓じまい補助金の記事にあります。
補助金の代わりに。新居浜市の合葬式納骨施設と使用料の免除
新居浜市は、墓じまいのあとに市で遺骨を納められるかという問いに、平尾墓園の合葬式納骨施設を挙げています。補助金は無くても、墓じまいのあとの遺骨の受け皿を市が案内しています。
総務省が2023年にまとめた報告書は、新居浜市の制度を例に挙げています。市営墓地の使用者が区画を返し、引き続き合葬式施設を使う場合に、その使用料を全額免除する制度です。
条例で定めた制度で、2010年度に始まり、2021年度までに計466柱の利用実績がありました。少子化や核家族化で、墓を受け継いで管理し続けるのが難しい例が増えたことを、導入の目的に挙げています。公営の墓地から、同じ自治体の合葬の施設へ移す手続きをした人の記録です。
都立八柱霊園にある母方の祖父母の墓を、都立霊園の合葬施設へ移す手続きをした孫(個人ブログ・note)
先日、八柱霊園の管理事務所に電話で問い合わせをし、手続きに必要な書類を郵送してもらうことになっていた。
その書類が早速届いた。
「施設変更制度に関するお知らせ」 「施設変更申請に必要な申請書類」 「都立霊園合葬埋葬施設使用の手引(施設変更)」
2023年6月、母に代わって手続きを進めた孫の記録です。遠方で、墓参りになかなか行けない墓でした。必要な書類には、使用終了届と施設変更申請書も挙がっていました。新居浜市の市営墓地も、返すときは返還届を出します。
出典: 墓じまいのはなし ③(note)(台帳: V0058)
新居浜市の市営墓地は、平尾墓園・黒岩墓地・土ヶ谷墓地・真光寺墓地の4か所です。市営墓地を返すときは、返還届を作って市に出し、墓石の撤去が終わったと分かる写真も出します。
撤去は原則として、基礎を含めて墓石をすべて取り除き、更地にします。市の施工事例では、平尾墓園は上の墓石や霊標などを撤去し、ほかの市営墓地は基礎ごと撤去しています。2市の市営墓地を返すときの手続きと、移し先を表にしました。
| 市 | 市営墓地を返すとき | 移し先の公営の合葬墓 |
|---|---|---|
| 松山市 | 撤去の前に墓石設置等許可申請、工事のあとに完成届を出し、使用許可証を添えて墓地返還届を出します。 | 市営墓地と改葬の案内2ページには、出てきません → 公園管理課で確かめます。 |
| 新居浜市 | 返還届に、墓石の撤去が終わったと分かる写真を添えます。 | 平尾墓園に合葬式納骨施設があります。2023年の報告書の時点では、区画を返して市の合葬式施設を使う人の使用料は全額免除でした。 |
合葬の墓を選ぶ人は増えています。鎌倉新書が2026年1月に「いいお墓」の利用者に行った調査では、墓じまい後の移し先の最多は「永代供養(合祀・合葬墓)」の43.2%でした。2024年の前回は30.9%でした。
移し先の比べ方は遺骨の行き先の記事に、永代供養への移し方は永代供養の記事にまとめました。隣の香川県の合葬墓は、香川県の墓じまいの記事で紹介しています。
個人や集落の墓地の墓は、管理者の確認から
愛媛県の墓地は、2024年度末で12,517か所です。これは墓地の区域の数で、墓の数ではありません。最も多いのは個人の墓地で8,877か所、次が集落の墓地などの「その他」で1,744か所です。
寺などの宗教法人の墓地は1,136か所、市町などの地方公共団体の墓地は760か所です。全国の統計で自治体の墓地とされるものの約8割は、実態は集落の墓地と変わらないと、厚生労働科学研究の報告書はみています。県の行で8,877か所ある個人の墓地は、松山市の行では「-」です。地域の人が持ち回りで管理する墓地にある、先祖代々の墓の記録です。
大阪・門真にある先祖代々の墓の扱いを、弟と話し合っている本家の長男(個人ブログ・note)
Q.管理人て何者?
果たして ・お墓が建ってる裏のお寺の仏教関係者なのか
・宗教法人?なのか
・町内会の持ち回り組長レベル的な役割なのか
A. 単にお墓をそこに建てる人たちの間で持ち回りで管理人代表をやってるだけでした。
毎年お盆前の掃除に出ない人は2,000円を払う決まりがあり、その請求が今年、急に本家へ届きました。管理人からは、亡き父の名前が載った名簿の写真も届きました。改葬の申請には、墓地の管理者が作った埋蔵の証明を添えます。
出典: (雑記170日目) 続・墓じまい(note)(台帳: V0109)
国の規則は、改葬許可の申請書に、墓地の管理者が作った埋蔵の事実の証明を添えるよう定めています。それが難しい特別の事情があれば、市町村長が必要と認める、これに準ずる書面で代えられます。
国民生活センターの「国民生活」2025年12月号に、全日本墓園協会の横田睦氏が特集を寄せています。個人墓地や共同・集落墓地では、証明を出す管理者がいないことがあるといいます。寺の境内の墓でも、寺から出してもらえないことが考えられるとしています。
何が準ずる書面になるかは、市町村で判断が違います。何を添えればよいかは、墓のある市町の窓口に先に聞きます。総務省は2023年の報告書のために、松山市・新居浜市を含む88市町村を実地で調べました。管理者が分からない墓地からの改葬で、代わりの書面を求める市町村は47.7%(42市町村)でした。求める書面は、死体埋火葬許可証や戸籍の謄本、申請者の申立書などが多かったとしています。
寺の墓では、墓石を処分する前に法要も営みます。日蓮宗の仏事のQ&Aは、改葬で墓石を処分するときは必ず「御霊抜き」の法要を営むと答え、法要は菩提寺の住職に相談するよう勧めています。包む額は墓じまいのお布施の記事に、隣の県の個人や集落の墓地の進め方は香川県の墓じまいの記事にまとめました。
県内の改葬の数と、進める順番
愛媛県の改葬は、2022年度の2,052件から、2024年度には2,575件に増えました。2023年度は2,553件です。2024年度の2,575件のうち、松山市が許可したのは329件です。松山市の外の市町の許可も多く出ています。
鎌倉新書が2026年1月に「いいお墓」の利用者733人に聞いた調査では、墓じまいを検討した理由の最多は「お墓が遠方にある」で52.0%でした。答えたのは、検討したか実施したことがある人です。遠くに住んでいても、松山市なら郵送で改葬許可を申請できます。
ここまでの段取りを順に並べます。3と7は、新居浜市と松山市の案内によります。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。
| 順番 | すること |
|---|---|
| 1 複数の石材店に見積もりを頼む | 見積もりの単位は、店によって違います。 |
| 2 親族と話し合う | 横田睦氏は、なるべく多くの親族と相談するよう勧めています。新居浜市も、事前に確かめることに親族間の話し合いを挙げています。 |
| 3 遺骨を確かめ、移し先を決める | 新居浜市は、納骨室を開けて遺骨の数と状態(土葬の有無など)を確かめ、移し先を決めるよう求めています。 |
| 4 改葬許可を申請する | 申請先は墓のある市町です。管理者の証明を添えます。 |
| 5 閉眼供養(御霊抜き) | 寺の墓は、菩提寺の住職に相談します。 |
| 6 遺骨を取り出し、移し先に納める | 許可証は移し先の管理者に出し、管理者は受け取ってから納めさせます。 |
| 7 墓石を撤去し、区画を返す | 新居浜市の市営墓地は、返還届に撤去完了の写真を添えます。松山市の市営墓地は、撤去の前に墓石設置等許可申請が要ります。 |
見積もりを最初に置くのは、石材店によって見積もりの物差しが違うからです。日本石材産業協会が2023年度に石材店に積算の単位を聞いた調査では、184件の回答が面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べてください。
頼み先の選び方は墓じまい業者の記事に、改葬と墓じまいの違いは改葬の記事に、書類の全体は墓じまいに必要な書類の記事にまとめました。
まとめ
愛媛県内で案内を確かめた新居浜市は、墓じまいの補助金や助成金の制度を設けていません。松山市の市営墓地と改葬の案内にも、助成は載っていません。改葬の許可を出すのは県ではなく、墓のある市町です。
新居浜市には、平尾墓園の合葬式納骨施設があります。個人や集落の墓地なら、管理者の証明をもらえるかを先に確かめます。見積もりの単位は店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べてください。墓が隣の県にあるなら、徳島県・香川県・高知県の記事もあります。
