まず結論から
- 徳島県の届出・申請の案内にも、県内で確かめた徳島市の改葬の案内と墓地条例にも、墓じまいの助成は載っていません。
- 墓じまいで遺骨を移す許可を出すのは、県ではなく、遺骨がある場所の市町村長です。鳴門市や阿南市など徳島市の外に墓があれば、助成の有無もその役所に聞きます。
- 徳島市の市営墓地は、返しても納めた使用料は戻りません。例外は、利用の承諾から1年以内に要らなくなった場合だけです。
- 徳島県は、寺など宗教法人の墓地が6,013区域あり、個人の墓地の6,121区域と同じくらいあります(2024年度末・区域の数)。寺の墓は、閉眼供養も含めてまず住職に相談します。
- 見積もりの単位(積算の仕方)は店で違うので、撤去の工事は複数の石材店に見積もりを頼み、額と内訳を比べます。
徳島県に墓じまいの補助金はある?県と徳島市の案内で確かめた
墓じまいで遺骨を別の墓へ移すことを、法律では「改葬」と呼びます。改葬の許可を出すのは県ではなく、遺骨がいまある場所の市町村長です。補助が無ければ、費用は家族で工面することになります。市設の霊園にあった墓を、手続きを自分でこなしてしまった人の記録です。
市設の霊園にあった父と先祖の墓を、臨月にしまった30歳の女性(個人ブログ・note)
費用はかけられない我が陣営なので、手続き類はすべて自分でやって極小予算に抑えた。お墓を解体して中の遺骨を移動させるには、お役所の手続きも必要だった。幸いわたしはペーパーワーク系は苦にならないタイプ。
役所や霊園とは郵便でもやり取りしながら、聞き慣れない書類を6人分取り寄せなんとか進めた。
里帰り出産で、墓や寺に近い実家へ戻っていた時期でした。わずかな関係者と話し合い、遺骨は永代供養をしてくれる寺の納骨堂へ移しています。徳島県と徳島市の案内にも、墓じまいの助成は載っていません。
出典: 先祖の遺骨と、妊婦のわたし〜30歳の墓じまい(note)(台帳: V0057)
確かめたのは、徳島県の届出・申請の案内、徳島市の改葬の案内、徳島市墓地条例の3つです。どれにも、墓じまいの助成は載っていません。県の案内は、墓地を経営・所有する人が県に出す届出・申請の窓口を示すもので、窓口は県内6か所の保健所です。
墓のある役所に聞くことを、徳島市で確かめた答えと並べました。
| 聞くこと | 徳島市で確かめた答え |
|---|---|
| 墓じまいの助成 | 改葬の案内にも墓地条例にも、載っていません。 |
| 改葬許可の窓口 | 環境政策課 衛生係(本館9階)です。今の墓地の管理者が出す「埋(収)蔵証明書」を、改葬許可申請書に添えます。 |
| 改葬許可の手数料・郵送 | 案内のページに記載なし → 環境政策課 衛生係で確かめます。 |
| 市営墓地を返したときの使用料 | 納めた使用料は返しません。利用の承諾から1年以内に要らなくなった場合は例外です(第7条)。 |
| 市営墓地を返すときの決まり | 要らなくなったら市長に届け出て、届出の日から3か月以内に元の状態に戻して返します(第11条・第13条)。 |
徳島市の外に墓があれば、この表の項目を墓のある役所に聞きます。徳島市の窓口と書類の順番は徳島市の墓じまい手続きの記事に、お金の決まりは徳島市の墓じまい補助金の記事にまとめました。
墓じまいを後押しする市は、全国にはあります。総務省が2023年にまとめた報告書は、愛媛県新居浜市と北海道苫小牧市の取組を挙げています。新居浜市は、市営墓地の区画を返して合葬式の施設を使う人の使用料を、全額免除する制度を条例で定めていました。新居浜市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。苫小牧市は、墓じまいの費用を指定の金融機関から借りた市民に、利息と信用保証料を最大5万円助成していました。ほかの自治体の制度は、墓じまい補助金の記事で比べています。
寺の墓が多い徳島県。まず住職に相談する
徳島県の墓地は、2024年度末で16,537区域です。区域の数で、墓の数ではありません。経営する主体で分けると、個人が6,121区域、寺など宗教法人が6,013区域、市町村などの地方公共団体が3,210区域です。
全国では、876,042区域のうち個人の墓地が721,647区域、宗教法人の墓地は58,700区域です。徳島県は、寺の墓地が個人の墓地と同じくらいある県です。県内の納骨堂59施設のうち、53施設も宗教法人が経営しています。菩提寺の墓を移した人は、最初に住職へ電話をかけています。
江戸時代後期から地方の菩提寺にあった先祖代々の墓を、都心の集合墓へ移した人(個人ブログ・note)
まずは長年お世話になった菩提寺の住職へ、墓じまいをしたい旨を電話で相談しました。メディアで耳にする高額な「離檀料」を巡るトラブルが不安でしたが、住職は私たちの事情を深く理解してくださいました。「お墓が荒れてしまうのが一番悲しいことです。近くで供養されるならそれが一番です」と温かい言葉をいただき、離檀料も「お気持ちで」とのお申し出により、円満に進めることができました。
本人は県外へ移り住み、子どもたちも都心で暮らしています。地方の墓を守り続けるのは難しいと考え、数年前に改葬しました。寺の境内の墓では、申請に添える埋蔵の証明を、墓地を管理する寺に作ってもらいます。
出典: 「改葬」という選択の体験記(note)(台帳: V0018)
全日本墓園協会の横田睦氏は「国民生活」2025年12月号で、寺の境内の墓でも、寺から証明を交付してもらえないことが考えられると書いています。その場合は、市町村長が必要と認める書面で代えられます。何が認められるかは市町村で違うので、窓口に事前に相談します。
墓石を処分する前には、閉眼供養(御霊抜き)の法要を営みます。日蓮宗のQ&Aは、改葬では必ず「御霊抜き」の法要を営み、法要は菩提寺の住職に相談するよう勧めています。寺の墓は、役所の手続きの前に住職に相談します。
横田氏によると、離檀料をめぐるもめごとは、寺の側の感情的な軋轢から起きることも珍しくないようです。長く連絡のなかった墓を寺が手入れし続けてきたところへ、突然墓じまいを申し込まれた場合です。払えないような額なら、寺との話し合いで根拠と額を尋ねることも必要かもしれない、とも述べています。お布施の考え方は墓じまいのお布施の記事に、移し先は永代供養の記事にまとめました。
個人や集落の墓地にある墓は、管理者の確認から
徳島県には、個人の墓地が6,121区域、集落の墓地などの「その他」が1,193区域あります。厚生労働科学研究の報告書は、統計で「その他」に分けられているのが集落墓地(共同墓地とも)だと説明しています。同じ報告書は、全国の統計で自治体の墓地とされるものの約8割は、実態は集落の墓地と変わらないとみています。地域の墓地にある家の墓をしまった人の記録です。
祖父の四十九日に、山口の地域の墓地にある家の墓をしまった孫(個人ブログ・note)
そこは山口の元町村のお墓なのですが、聞けば地域の墓場で管理の大元としては自治会らしい。ただ、市役所に聞いても誰が管理しちょるのかもわからないほどに少子高齢化の煽りを受けていました。
墓は山の入り口のような所にあり、近くに寺もありませんでした。骨壺は大きな壺にまとめ、寺の永代供養へ移しています。改葬の申請には、墓地の管理者が作った、遺骨が納まっていることの証明を添えます。
出典: 墓仕舞いをした話(note)(台帳: V0039)
管理者がいない・分からない墓地では、この証明が作れません。その場合は、市町村長が必要と認める、証明に代わる書面で申請できます。
総務省は2023年の報告書のために88市町村を実地で調べ、県内の阿波市と美馬市も入っています。管理者が分からない公営以外の墓地からの改葬で、代わりの書面を求める市町村は47.7%でした。申請書の記載で許可する市町村が19.3%、確かめられないとして許可しない市町村が8.0%です。前例がなく、対応が未定の市町村も25.0%ありました。
何を添えればよいかを、墓のある市町村に先に聞きます。書類の全体は墓じまいに必要な書類の記事にまとめました。墓地そのものを廃止するときは、改葬の許可とは別に、墓地を廃止する許可が要ります。
鳴門市・阿南市や県外から。申請は墓のある市町村へ
徳島県の改葬は、2022年度が584件、2023年度が712件、2024年度が667件でした。このうち、縁故者のいない墓(無縁墳墓等)の改葬は、順に5件・6件・5件です。2024年度の全国の改葬は176,105件でした。この統計には、徳島市だけの行はありません。
墓じまいを考える理由で多いのは、墓が遠いことです。鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」で資料請求や見学をした人のうち、墓じまいを検討・実施した733人に調査しました。理由は「お墓が遠方にある」が52.0%で最多でした。
申請先は、住んでいる市町村ではなく、墓のある市町村です。県外に住んでいても、墓が徳島県内にあれば、その市町村に申請します。移し先の墓地の管理者は、改葬許可証を受け取ってからでないと遺骨を納めさせません。
鳴門市・小松島市・阿南市・吉野川市・阿波市・美馬市・三好市や町村に墓がある人も、上の表の項目をその役所に聞きます。改葬の手続きの全体は改葬の記事にまとめました。香川県に墓がある人は、香川県の墓じまい補助金の記事と高松市の墓じまい手続きの記事も参考になります。
徳島県で墓じまいを進める順番と、費用の比べ方
日本石材産業協会が2023年度に石材店に尋ねた調査(184件の回答)では、見積もりを積算する単位が、面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。進める順番を表にしました。
| 段 | すること |
|---|---|
| 1 | 複数の石材店に見積もりを頼み、額と内訳を比べます。見積もりの単位は店によって違います。 |
| 2 | 親族と話し合って決めます。横田氏は、なるべく多くの親族と相談するよう勧めています。 |
| 3 | 移し先を決めます。改葬許可証は、移し先の管理者に出す書類です。 |
| 4 | 今の墓地の管理者(寺なら住職)に、埋蔵の証明を頼みます。 |
| 5 | 墓のある市町村に改葬許可を申請します。徳島市は環境政策課 衛生係です。 |
| 6 | 寺の墓なら、閉眼供養(御霊抜き)を住職に相談します。 |
| 7 | 遺骨を取り出し、移し先の管理者に改葬許可証を出して納めます。 |
| 8 | 墓石を撤去して区画を返します。徳島市の市営墓地は、届出の日から3か月以内に元の状態に戻します。 |
役所の手続きと市営墓地の返し方(4・5・7・8)は、法令と徳島市の案内・条例によります。1の見積もりは、このサイトのすすめとして先頭に置いています。
鎌倉新書の2026年の調査では、墓じまいをした(している)人の費用は「31万〜70万円」が31.3%で最多でした。移し先は「永代供養(合祀・合葬墓)」が43.2%で最多です。価格帯と移し先の割合は、徳島市の墓じまい補助金の記事に図で載せています。
費用の内訳は墓じまい費用の記事に、石材店の選び方は墓じまい業者の記事に、遺骨の行き先は遺骨の行き先の記事にまとめました。
まとめ
徳島県の届出・申請の案内にも、徳島市の改葬の案内と墓地条例にも、墓じまいの助成は載っていません。改葬の許可を出すのは、遺骨がある場所の市町村長です。徳島市の市営墓地の使用料は、承諾から1年以内に要らなくなった場合を除いて戻りません。
寺の墓は住職への相談から、個人や集落の墓地は管理者の確認から始めます。見積もりの単位は店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べてください。墓が隣の県にあるなら、香川県・愛媛県・高知県の記事もあります。
