墓じまいの遺骨は自宅に置ける?証明書の備えと自分の土地の決まり

墓じまいの遺骨は自宅に置ける?証明書の備えと自分の土地の決まり
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墓じまいで取り出した遺骨を、納め先が決まるまで家に置きたい。火葬のあと、一度も墓に納めていない親の遺骨が、もう家にある。家に遺骨を置くのに許可は要るのか、あとで納めるときに困らないか。迷う方は少なくありません。

この記事では、家に遺骨を置くときの決まりと、あとで納めるときに要る書類を整理します。出典は、総務省行政評価局の報告書に載った厚生労働省の見解と、東京都・八王子市・下関市の案内です。東京弁護士会のコラムと、大東文化大学大学院の石川美明教授の解説も使いました。遺骨を家に置いた人の口コミも紹介します。

まず結論から

  • 墓じまいで取り出した遺骨は、家に置けます。東京都は、墓地埋葬法に自宅での遺骨の保管の規定はないと答えています。厚生労働省の見解でも、自宅に安置するなら改葬許可(遺骨を別の墓へ移す許可)は要りません。
  • あとで納めるなら、遺骨を引き取るときに、今の墓地の管理者から、遺骨を納めていたことの証明書(埋蔵証明書など)をもらっておきます。札幌市・八王子市・下関市が勧めています。
  • 火葬のあと一度も墓に納めていない遺骨は、納めるときに改葬許可が要りません。福岡市は、火葬のときの埋火葬許可証を管理者に出して納めるよう案内しています。
  • 遺骨が誰のものかについて、1989年の最高裁判決は、祭祀を主宰する人(墓や仏壇を受け継ぐ人)に帰属するとしました。
  • 庭や自分の土地に埋めることはできません。墓地埋葬法4条は、墓地以外の区域に焼骨を埋めることを禁じています。

遺骨を家に置いたまま、墓をしまってもいいのか

納骨の時期に決まりはなく、四十九日の法要に合わせることが多いと、大東文化大学大学院の石川美明教授は2015年の解説に書いています。家にある遺骨を墓に納めずに、墓をしまいたいと寺に相談した人の記録です。

名字を継ぎ、義実家の墓じまいの話を進める役になった人(本人の記録・note。寺に相談した段階)

こちらが望んでいたのは、単純なことだった。納骨をせずに、そのまま墓じまいにする。お金のこともあって、そう考えていた。

返ってきたのは、こうだ。

一度、納骨をする。戒名をつける。しばらく、みなさん一緒にしてさしあげる。そのうえで、墓じまいをする。

義実家の空き家を売る前に、墓の片づけが要ることになりました。遺骨は、いまきょうだいの家にあります。石川教授は、納骨は法律上必ずしも必要ではなく、いつまでも自宅で保管しても法的には問題ないとしています。

出典: お坊さんは、私を見なかった|義実家の墓じまいで言われたこと(note)(台帳: V0004)

国や自治体は、家に遺骨を置くことをどう言っているのか。4つの案内を並べます。

どこが何と言っているか
東京都墓地埋葬法には、自宅での焼骨(火葬した遺骨)の保管について、特に規定はないと答えています。
厚生労働省墓じまいで取り出した焼骨を自宅に安置するなら、改葬許可は要らないとの見解です。総務省行政評価局の2023年の報告書に載っています。
下関市取り出した遺骨を、ずっと自宅で供養するなら、行き先が墓や納骨堂でないので改葬に当たらないとしています。
高知市自宅は改葬先ではないので、改葬許可の対象外としています。そのうえで、自身の責任で適切に対応するよう求めています。

石川教授は、法律が禁じているのは、遺骨を墓地以外の場所に埋めることと、他人に頼まれて遺骨を預かることだと整理しています。埋めることの決まりは、自分の土地に埋めてよいかの節で扱います。

どこからが改葬になるかは、墓じまいと改葬の違いの記事にまとめました。遺骨を捨てることの扱いは、墓じまいで骨はどうなるかの記事で扱っています。

家に置いた遺骨を、あとで納めるとき何が要るのか

横浜市は2022年10月、20歳以上の市民5,000人に墓地の調査をしました(回収1,822件)。墓を持ちたい理由に「遺骨がある」を挙げた32人のうち、18人(56.3%)が遺骨を自宅に保管していました。

寺院などに一時的に預けている人は10人(31.3%)です。報告書は、自宅に保管する割合が年々増えていると書いています。火葬のあと墓に納めないまま、母の遺骨を家に置いていた人の記録です。

両親が生前に買った遠い墓を返し、母の遺骨を都内の納骨堂に納めた息子(個人ブログ・note)

次に母の遺骨をどうするか。和室に置いて、花を絶やさないようにしていた。無宗教なので仏壇はないし、位牌もない。白いカバーのかかった骨壺と埋葬許可の入った木箱があるだけだ。

とはいえ、人間というものは不思議なもので、それだけで和室はなんだか使いづらくなってしまった。そこに寝泊まりする気にはなれない。

父親は遺骨を見ると「泣けちゃうんだ」と、あまり見ないようにしているらしい。

このままいつまでも放置はしておけない。

母が亡くなった年に、両親が生前に買っていた遠い墓は、誰も納めないまま返しました。遺骨は、都内の納骨堂に納めています。福岡市は、火葬のあと自宅に置いていた遺骨を納めるときは、改葬許可は要らないとしています。

出典: 399 お墓の話(note)(台帳: V0126)

あとで納めるときに要るものは、その遺骨がどこから来たかで変わります。

家にある遺骨納めるときに要るもの
火葬のあと、一度も墓に納めていない改葬許可は要りません。火葬のときの埋火葬許可証を、納め先の管理者に出します(福岡市)。許可証は、骨壺を収める木箱に入っていることがあります(福山市)。堺市は、骨壺の中や遺影の裏に保管している場合があると案内しています。
墓から出して、ずっと家で供養する取り出すときの改葬許可は要りません。下関市は、将来困らないよう、遺骨の情報が書かれた書類を今の管理者からもらうよう勧めています。
墓から出して、納め先が決まるまで置く下関市は、自宅を改葬先として申請し、納め先が決まったら許可証の修正を申請します。八王子市は、引き取りは改葬に当たらないとし、あとで遺骨がある自宅の市区町村に申請します。そのとき、引き取りの際にもらった埋蔵証明書か遺骨引き渡し証明書が要ります。

扱いは市で違いますが、遺骨を引き取るときに、今の墓地の管理者から証明書をもらっておきます。下関市・八王子市・札幌市が、そろって勧めています。札幌市は、埋蔵・収蔵証明書を遺骨と一緒に保管しておくのが望ましいとしています。

寺が証明書を出してくれないこともあると、全日本墓園協会の横田睦専務理事は書いています。そのときは、市町村長が必要と認める「これに準ずる書面」で代えられます。何が認められるかは市町村で違うので、窓口への事前の相談を勧めています。

墓から出した遺骨を家に置き、あとで納めるまでの流れを5段で示した図。1 複数の石材店に見積もりを頼む(遺骨の取り出しと、墓石の撤去の工事)。2 今の墓地の管理者に証明書を頼む(埋蔵証明書か、遺骨引き渡し証明書)。3 遺骨を取り出して家に置く(証明書は、遺骨と一緒にしまっておく)。4 納め先が決まったら改葬許可を申請する(申請先は、遺骨がいまある自宅の市区町村)。5 改葬許可証を出して納める(納め先の墓地や納骨堂の管理者に出す)。証明書と申請の順番は八王子市・札幌市の案内による
図1: 遺骨を家に置き、あとで納めるまで。出典: 北九州市「諸手続きについて(市営霊園)」/八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」/札幌市「改葬」/墓地、埋葬等に関する法律 第14条

取り出しと撤去の工事は、複数の石材店に見積もりを頼みます。北九州市も、市営霊園の工事は複数の業者から見積りを取るよう勧めています。日本石材産業協会が2023年度に石材店に尋ねた調査では、見積もりの単位は面積・重さ・一式などに分かれていました。項目をそろえて、額と内訳を比べます。

石材店の選び方は墓じまい業者の記事に、見積もりが店で違う理由は墓じまい費用の記事にまとめました。下関市の手続きは下関市の墓じまいの記事に、札幌市の窓口は札幌市の墓じまいの記事にあります。書類の呼び名は、墓じまいの書類の記事で確かめられます。

ずっと家に置くなら、その先はどうなるのか

家に置いた遺骨は、置いた人が亡くなったら誰のものになるのか。1989年の最高裁判決は、遺骨は祭祀を主宰する人(墓や仏壇を受け継ぎ、供養を担う人)に帰属するとしました。石川教授は、この判決には帰属の理由など判然としない点があるとも書いています。家族で遺骨を分けて、手元に置くことを考えた人もいます。

神奈川県西部の実家近くにあった先祖の墓をしまい、都内の合祀墓へ移した長男(個人ブログ)

私の場合、最愛の母が長く闘病生活を送ったことから、姉妹から、何か残るものがほしいとの相談を受け、お骨の一部を取り分け、専用のお洒落な陶磁器の容器に入れ配ることも検討しました。

最終的には断念しましたが、お骨の一部を装飾品等に加工して身近においておくといった選択肢もあるようです。

姉妹が3人いる長男で、移した先は駅に近い建物の中の合祀墓です。位牌は、自宅の小さな仏壇に置いています。石川教授によれば、遺骨を分ける分骨に市町村長の許可は要りませんが、遺骨の所有権者の承諾が要ります。

出典: 後悔しない! 墓じまい こうすればうまくいく(ヒロブログ 歳刻を愉しむ)(台帳: V0016)

祭祀を主宰する人は、亡くなった人の指定、慣習、家庭裁判所が定めた人の順で決まります。指定が無ければ、遺族の話し合いでも決められます。東京弁護士会は、託したい人を、自分で指定しておくことがトラブルを防ぐと勧めています。指定の方法は、祭祀承継者の記事にまとめました。

自分の遺骨を家に置いてほしいと望む人は、多くありません。横浜市の同じ調査で、1,822人に自分の遺骨をどうしてほしいかを聞くと、自宅供養は1.3%でした。

横浜市の20歳以上の市民1,822人に、自分の遺骨をどうしてほしいかを聞いた2022年10月の調査の内訳を示した円グラフ。納骨(お墓や納骨堂に納める)が63.5%、散骨(粉状にして海や山にまく)が25.5%、自宅供養(自宅に保管)が1.3%、その他が7.3%、無回答が2.5%。自分の遺骨を自宅に置いてほしい人は1.3%
図2: 自分の遺骨をどうしてほしいか(横浜市民)。出典: 横浜市「令和4年度 横浜市墓地に関する市民アンケート調査 報告書」Q7-1

終活協議会が2026年6月、終活ガイドの資格を持つ860人にインターネットで聞いた調査があります。自分が供養先を選ぶなら、手元供養(自宅で遺骨を保管)とした人は3.3%でした。

家に置けなくなったときに、家にある遺骨を受け入れる公営の施設もあります。沼津市の市営天神洞墓地は、前回の募集で、焼骨を自宅で保管しているか、寺院や親戚の墓に預けていることを要件の1つにしました。

川口市の安行霊園の納骨堂は、一度も墓地などに納めていない遺骨を自宅に保管している市民が使えます。3年で9,350円の、一時的な保管施設です。行き先の選び方は、墓じまいで骨はどうなるかの記事と、永代供養の預け先の選び方にまとめました。

自分の土地や庭に、遺骨を埋めてもよいのか

庭や畑など、墓地でない場所に遺骨を埋めることはできません。墓地埋葬法4条は、焼骨の埋蔵を墓地以外の区域で行うことを禁じています。違反には、21条が2万円以下の罰金または拘留・科料を定めています。

自分の土地でしたいこと決まり
新しく墓地にする墓地埋葬法10条は、墓地の経営に都道府県知事の許可を求めています。東京都は条例で、墓地を経営できるのを地方公共団体・宗教法人・公益法人としています。
もともとある墓から遺骨を出す改葬許可が要ります。八王子市は、その墓地が経営の許可を受けていることを前提に、許可書の写しを求めています。
もともとある墓地をやめる墓地を廃止するときも、10条で都道府県知事の許可が要ります。手順は、墓じまいした後の土地の記事にまとめました。

家や集落の墓地のしまい方は、長野市の墓じまいの記事と島根県の墓じまいの記事にもまとめました。

まとめ

墓じまいで取り出した遺骨は、家に置けます。東京都は墓地埋葬法に自宅での保管の規定はないと答え、厚生労働省も改葬許可は要らないとしています。あとで納めるなら、引き取るときに今の管理者から証明書をもらい、遺骨と一緒にしまっておきます。

火葬のあと一度も納めていない遺骨は、埋火葬許可証で納められます。託す人は、自分で指定しておけます。庭や自分の土地には埋められません。取り出しと撤去の工事は、複数の石材店に見積もりを頼みます。遺骨の行き先の全体は、墓じまいで骨はどうなるかの記事で確かめてください。

遺骨を家に置いた人、置きたい人の3人の口コミ

最後に、遺骨を家に置いた人と、置きたいと考える人の記録から、一節ずつ紹介します。

1月に母を見送り、8月に北大阪の寺の永代供養墓へ納めた人(個人ブログ・アメブロ)

1月の葬儀から持ち帰った骨壺は、自分のデスク脇に置いて、妻が毎朝、お茶を供えてくれていました。

出典: 亡き母の納骨を済ませました(アメブロ)(台帳: V0089)

父を見送り、父名義の墓をしまって同じ霊園の合祀墓へ移した喪主(個人ブログ・アメブロ)

そうそう、父のお骨はしばらく実家の仏壇に置いていたが、四十九日に自宅へ引き取った

約1週間のあいだ、我が家の私の寝室に置いていたのだが、なんだか、父がそこにいる感じがして、時々話しかけていた

出典: 墓じまいをした(アメブロ)(台帳: V0009)

父が祖父母の墓じまいを進めるなか、両親の遺骨のことを考える51歳の娘(個人ブログ・note)

ただ、両親が生きていた証として、 どこかに少しだけでも残っていてほしい。 「ここにいる」と思える場所が、あってほしい。

出典: 答えが出ない、親の希望と残される私のきもち(note)(台帳: V0043)

参考文献

  1. 総務省行政評価局 (2023)「墓地行政に関する調査 -公営墓地における無縁墳墓を中心として- 結果報告書」. 表4「法に照らした運用上の疑義に対する厚生労働省の見解」.
  2. 日本石材産業協会 (2023)「お墓じまいに関する業界内意識調査」結果(2023年度お墓じまいアンケート). 回答者は会員の石材店.
  3. 一般社団法人 終活協議会 (2026)「墓じまいと供養先の再選択に関する実態調査」プレスリリース. 終活ガイド資格検定3級・2級の取得者860人へのインターネット調査(2026年6月).
  4. 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第4条・第10条・第14条・第21条. e-Gov 法令検索.
  5. 横浜市 (2023)「令和4年度 横浜市墓地に関する市民アンケート調査 報告書」. 20歳以上の市民5,000人を無作為抽出(2022年10月・回収1,822件).
  6. 東京都保健医療局「墓地・納骨堂・火葬場 よくある質問」.
  7. 福岡市「改葬許可申請の手続きについて」(2026).
  8. 札幌市(保健福祉局施設管理課)「改葬(納骨済みのご遺骨を他の場所に移すとき)」.
  9. 北九州市「諸手続きについて(市営霊園)」.
  10. 下関市「納骨・分骨・改葬について(よくある質問)」.
  11. 国民生活センター (2025)「国民生活」2025年12月号(No.160)特集「『家』を継げない時代の埋葬と祭祀を考える」特集3(横田睦).
  12. 東京弁護士会「終活コラム(11)祭祀承継者」.
  13. 石川美明 (2015) 葬儀と法律. 月報司法書士 2015年6月号 特集「墓地・葬送の問題」.
  14. 八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」.
  15. 川口市「川口市安行霊園」(2026年4月21日更新).
  16. 堺市(健康福祉局 健康部 斎場)「納骨や改葬、斎場利用などのよくある質問」(2026年3月11日更新).
  17. 高知市(環境保全課)「墓地に関するよくある質問」.
  18. 福山市 市民生活課「墓苑墓地に関する申請書の詳細」(2025年10月1日更新).
  19. 沼津市「埋火葬・市営墓地・墓地」(2025年10月31日更新). 市民福祉部市民課.

当事者の口コミの出典: V0004(note)/V0126(note)/V0016(個人ブログ)/V0089(アメブロ)/V0009(アメブロ)/V0043(note)。いずれも本人が公開している記録で、引用は原文のままです。

更新履歴: 2026-10-06 公開