まず結論から
- 墓前の儀式は、これまで葬儀を頼んできた金光教の教会に尋ねます。遺骨を移す許可を役所で取る手続きは、仏式の家と同じです。
- 許可を出すのは、遺骨がいまある市区町村長です。墓石の撤去は墓地を使う人の義務とされ、北九州市も市立霊園の案内で複数の業者からの見積りを勧めています。
- 移し先は、宗派を問わない墓地から選べます。日蓮宗の公式Q&Aは、公営墓地は宗派を特定せず、民営墓地もほとんどが宗派を問わないと説明しています。
- 寺の墓地(寺を支える檀家のための墓地)に納めるときは、寺の承認がない限り寺の儀式に従う、と法学者の竹内康博さんは解説しています。
- 青森市や鹿児島市の合葬墓は宗教を問わずに受け入れますが、儀式の扱いは違います。鹿児島市の合葬墓では、読経など宗教的儀式はできません。
金光教の家の墓じまいで、変わるのはどの段か
墓じまいは、法律の上では改葬(遺骨をほかの墓へ移すこと)にあたると、全日本墓園協会の横田睦さんは書いています。改葬の許可を出すのは、遺骨がいまある地の市町村長です。この許可の定めに、宗教による違いはありません。
仏教では、墓を移すときに霊を抜く儀礼をし、その呼び名は宗派によっていろいろだと、花園大学の佐々木閑さんは書いています。これは仏教の儀礼の話です。金光教の家で墓前に何をするかは、これまで葬儀を頼んできた教会に尋ねます。
撤去の見積もりの単位(積算の仕方)は、石材店によって違います。最初に複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて額と内訳を比べます。段ごとに、金光教の家で変わるかどうかを並べました。
| 段 | 金光教の家では | 知っておくこと |
|---|---|---|
| 1 撤去の見積もりを、複数の石材店に頼む | 変わらない | 北九州市は、市立霊園の工事について複数の業者からの見積りを勧めている |
| 2 今の墓地の管理者に、遺骨が納まっていることの証明をもらう | 変わらない | 証明を出す管理者がいない墓地は、改葬許可の窓口に前もって相談する |
| 3 市区町村で改葬許可証を受け取る | 変わらない | 許可は、遺骨がいまある地の市町村長が出す |
| 4 墓前の儀式をして、遺骨を取り出す | 変わる | 頼む先は教会。何をするかも教会に尋ねる |
| 5 移した先に許可証を渡して納める | 移し先の決まりで変わる | 管理者は、許可証を受け取ってから納めさせる。儀式の決まりは移し先で違う(下の3つの節) |
| 6 墓石を撤去して、区画を返す | 変わらない | 撤去は、墓地を使う人の義務とされている |
役所に出す書類のそろえ方は墓じまいの書類の記事に、改葬という言葉の意味は改葬の記事にまとめています。撤去の費用は費用の記事で、業者に頼める範囲は業者の記事で整理しました。神道の家の場合の言葉と包み方は、神道の墓じまいの記事に並べています。
宗派を問わない墓なら、仏式でない家でも入れるのか
移し先が、金光教の家の遺骨を受け入れてくれるのか。最初に気になるのはここです。宗派を問わない墓を条件にして、母の遺骨の納め先を探した人の記録です。
母を亡くし、両親が生前に買っていた墓を返したあと、母の遺骨の納め先を探した息子(個人ブログ・note)。家は無宗教
都内の霊園をいろいろ検討する。いま住んでいる場所からタクシーで1500円以内ぐらいの距離で、鉄道を使っても行ける場所を探すとそれなりに候補はあった。無宗教なので、檀家になる必要なく宗派を問わない墓がよい。
そうやって絞り込んでいくと2ヵ所、見つかった。
それまで遺骨は和室に置き、両親が買っていた遠い墓は霊園に返していました。選んだ納骨堂では、納骨のときに、運営する寺の住職が読経しています。宗派を問わない墓は、公営にも民営にもあります。
出典: 399 お墓の話(note)(台帳: V0126)
日蓮宗の公式Q&Aは、墓地を経営の形で、寺院墓地・公営墓地・民営墓地に分けています。寺院墓地は、もともとその寺の檀家のためのものです。公営墓地は宗派を特定せず、民営墓地も宗派を問わないところがほとんどです。
寺が営む墓地にも2つあると、茨城キリスト教大学の森謙二教授は2015年の解説で書いています。檀家のための寺院墓地と、原則として宗派を問わない墓地です。民営の冨士霊園は、使用規定で墓所を宗旨宗派を問わずに使えるとし、区域に天理教墓所も挙げています。
| 移し先 | 宗教の条件 | 例・知っておくこと |
|---|---|---|
| 公営墓地 | 宗派を特定しない | 函館市の市営共同墓地は、宗教宗派を問わない墓地 |
| 民営墓地 | 宗派を問わないところがほとんど | 冨士霊園は宗旨宗派を問わず、区域に天理教墓所・立正佼成会墓所もある |
| 寺が営む、宗派を問わない墓地 | 原則として宗派を問わない | 寺の宗教活動ではなく、公益の活動として営む墓地とされる |
| 寺院墓地 | もともと檀家のための墓地 | 竹内康博さんは、自分の宗派の檀信徒(檀家と信者)にだけ使わせる慣習や規則がある墓地を「寺院営墓地」とし、宗旨宗派を問わない「霊園営墓地」と分けている |
函館市の市営共同墓地での手続きは函館市の記事に、移し先の選び方は遺骨の行き先の記事にまとめています。今の墓が寺院墓地にあるときの段取りは、寺の墓の記事で整理しました。
寺の永代供養墓に移すと、儀式は誰のやり方になるのか
宗教を問わずに受け入れる、寺の永代供養墓(寺が供養と管理を引き受ける墓)もあります。ただ、受け入れる条件と、納めたあとの儀式の決まりは、別に書かれていることがあります。寺の永代供養墓の使用規則をまとめた人の記録です。
父と2人で、父が建てた墓をしまい、同じ寺が建てた永代供養墓を契約した子(個人ブログ・はてなブログ)。墓は寺の墓地にあり、檀家にはなっていなかった
墓所は承継者の有無、宗教の有無、宗旨、宗派、国籍の過去は問わず所定の手続きを経て永代使用することが出来る
使用許可を受けた後はお寺の作法によって使用すること
お骨の追加は許可願書を提出して許可を受けてから埋葬できるが1体に付き定められた懇志を志納しなければなりません
同じ規則には、葬儀も年忌法要もすべて寺の作法で管理者が行い、ほかの寺のおつとめは一切認めない、という項目もありました。寺の墓地での儀式の決まりには、法学者の解説があります。
出典: 【終活】墓じまいをして新たに永代供養墓を購入したお話です。(りかさんのぼっちブログ)(台帳: V0012)
寺院墓地を使う権利について、愛媛大学法文学部教授の竹内康博さんは2015年の解説で、檀家をやめたり宗教を変えたりしても消える権利ではないと書いています。そのうえで、寺の承認がない限り、納めるときは寺の行う儀式に従うという負担の付いた権利だと説明しています。この点は、1963年の津地方裁判所の判決を参照しています。
永代供養を選んでも、残る人と寺の関係がすべてなくなるわけではないと、安藤喜代美さんの2020年の論文は書いています。金光教の家が寺の墓地や永代供養墓に移すなら、契約の前に使用規則の法要の欄を読みます。教会に頼む儀式をしてよいかも、寺に尋ねておきます。
市の合葬墓に移すなら、儀式はどうなるのか
市の合葬墓(ほかの人の遺骨と一緒に納める墓)も、宗教を問わない移し先です。青森市・鹿児島市・呉市の合葬墓は、宗教や宗派を問わずに受け入れています。富士市も、2023年の案内書で、森林墓園の合葬式墓所は宗教・宗旨を問わないとしています。
違うのは、儀式の扱いです。鹿児島市の合葬墓では、読経など宗教的儀式はできません。参拝所でできるのは焼香と献花で、市も供養行事をしません。青森市の月見野霊園の合葬墓は、個人で儀式をするときは予約するよう案内しています。
| 市の合葬墓 | 宗教の条件 | 儀式と供養 |
|---|---|---|
| 青森市(月見野霊園) | 宗教、宗派を問わない | 市や施設管理者は、供養祭などの儀式をしない。個人で儀式をするときは予約する |
| 富士市(森林墓園。2023年の案内書) | 宗教・宗旨を問わない | 市は供養・法要などの宗教行為をしない。読経・法要・追悼が要るなら個別に手配する |
| 鹿児島市(市営合葬墓) | 宗教や宗派を問わない | 参拝所では焼香と献花ができる。読経など宗教的儀式はできず、市も供養行事をしない |
| 呉市(合葬式墓地。2026年度の募集) | 宗教・宗派を問わない | 市は宗教的活動ができないため、供養をしない |
教会に墓前の儀式を頼むなら、移し先が市の合葬墓のときは、儀式ができるかを市の窓口に先に尋ねます。各市の墓じまいの手続きは、青森市・鹿児島市・呉市の記事にまとめています。
まとめ
金光教の家でも、遺骨を移す許可を役所で取る手続きは、仏式の家と同じです。墓前の儀式は、これまで葬儀を頼んできた教会に尋ねます。移し先は、宗派を問わない公営・民営の墓地からも選べます。寺の墓地では寺の承認がない限り寺の儀式に従うと解説されており、市の合葬墓には宗教的儀式ができない市もあります。撤去は、複数の石材店の見積もりを比べてから頼みます。
