まず結論から
- まとめて読むなら、国民生活センターの月刊誌『国民生活』2025年12月号の特集です。墓を継ぐ決まり、寺と檀家、墓じまいの手続きの3本が載り、ウェブ版をPDFで読めます。
- 墓を誰が継ぐか、墓地の権利、遺骨は誰のものかまで読むなら、『月報司法書士』2015年6月号です。早稲田大学・愛媛大学などの教授(肩書きは当時)が書いています。
- 証明書が出ないときの代わりの書面は、市町村で判断・対応に違いがあります。全日本墓園協会の横田睦氏は、改葬(遺骨をほかの墓などへ移すこと)の許可証を出す窓口に、前もって相談するよう勧めています。
- 戸籍謄本は、国の省令が改葬許可の申請に添える書類として名前を挙げていません。確かめた案内で求めていたのは、名義人が亡くなって名義を変えるとき(名古屋市・横浜市・北九州市)や、代わりの人が墓を返すとき(神戸市)です。
墓じまいを、まとめて読める本や雑誌はあるのか
墓じまいを頼まれた人は、何から読めばよいのか。地域のお年寄りの支援で独立した人も、初めて墓じまいを手伝ったときは手探りでした。
地域のお年寄りの支援で独立し、墓じまいを三回手伝ってきた支援者(note)
どこに依頼するかにより、費用が10万円単位で変わってきます。
墓じまいに行うこと、それぞれ相場があるようでないのが実状です。
葬儀や墓じまい、人生で何度も行うことではありません。
また、お金のことは言いにくかったりします。
初めての支援は、墓のある寺の住職への連絡から始め、AIやネットでも調べたそうです。国民生活センターの月刊誌の特集は、手続きから離檀料、撤去、移し先の費用までを1つの号で扱っています。
出典: 高齢者の支援 ~墓じまい~(note)(台帳: V0044)
その特集は、『国民生活』2025年12月号の「『家』を継げない時代の埋葬と祭祀を考える」です。国民生活センターのサイトに、ウェブ版がPDFで載っています。3本の中身は次のとおりです。
| 記事 | 書き手 | 読めること |
|---|---|---|
| 特集1「祭祀継承制度の限界と墓地埋葬法の現代的課題」 | 森謙二(茨城キリスト教大学 名誉教授) | 墓を継ぐ決まり(民法の祭祀の条項)と、墓地の法律の課題 |
| 特集2「檀家制度の歴史と変遷」 | 佐々木閑(花園大学文学部 特別教授)。取材を編集部がまとめ、本人が加筆・確認 | 寺と檀家が結びついた由来と、お布施の意味。布施の額は布施する側が決めるとしています |
| 特集3「墓じまい(廃墓)をする場合の留意点」 | 横田睦(全日本墓園協会 専務理事) | 改葬の手続き、証明書が出ないときの代わりの書面、離檀料、墓石の撤去、移し先の費用 |
問芝志保氏の2022年の論文によると、終活の本が次々と出るなかで「墓じまい」という語が登場しました。2014年には『週刊東洋経済』や『週刊朝日』が記事を載せています。言葉が広まった経緯は墓じまいブームの記事にまとめました。
特集3の横田睦氏は、残った墓石の撤去は「現状回復義務」として使用者の義務だと書いています。見積もりの単位(面積・重さ・一式など)は、店によって違います。複数の石材店から見積もりを取り、項目をそろえて額と内訳を比べましょう。北九州市も市立霊園の案内で、複数の業者からの見積りを勧めています。
石材店の選び方は墓じまい業者の記事に、撤去の費用は墓じまい費用の記事に、お布施の額は墓じまいのお布施の記事にまとめました。
墓を誰が継ぐのか、法律の話まで読むには
墓じまいを調べていくと、相続や法律の話に行き当たります。父から将来の墓じまいを頼まれた人も、調べた法律をメモに残していました。
父から将来の墓じまいを頼まれ、両親が存命のうちに準備を進める子(個人ブログ・note)
墓じまいや改葬については、主に墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)、祭祀財産の承継については民法897条が関係することになる。
今回のケースでは、将来的に僕が墓じまいをすることについて、すでに父から意思を伝えられている。
とはいえ、父が亡くなった後に「誰が墓を承継するのか」が曖昧になれば、思わぬところで話がややこしくなる可能性もある。
このあと父に、祭祀を主宰する者として自分を指定し、遺言書などに残すよう頼んでいます。民法897条は、墓を相続とは別に、祖先の祭祀を主宰する人が継ぐと定めています。
出典: 僕の「墓じまい」(note)(台帳: V0005)
この条文を詳しく読むなら、『月報司法書士』2015年6月号(No.520)があります。墓地・葬送の問題を取り上げた号で、そのうち5本を紹介します。
| 記事 | 書き手(肩書きは当時) | 読めること |
|---|---|---|
| 「墓地、埋葬等に関する法律の解説とその役割」 | 横田睦(全日本墓園協会 主任研究員) | 墓地の法律の組み立て。目的と定義、埋葬や改葬の手続き、管理者の義務の順 |
| 「祭祀財産承継にまつわる法律問題」 | 浦川道太郎(早稲田大学法学学術院 教授) | 墓は相続とは別に、祭祀を主宰する人が継ぐこと(民法897条)と、継ぐ人の決め方 |
| 「〈家〉なき時代の墓地埋葬法」 | 森謙二(茨城キリスト教大学文学部 教授) | 改葬は、原則として墓地の使用者が申請するものと、継ぐ人のいない墓のものの2種類しかないこと |
| 「墓地所有権・墓地使用権にまつわる法的諸問題」 | 竹内康博(愛媛大学法文学部 教授) | 墓地を買っても、一部を除いて土地の所有権ではなく、墓地として使う権利を得るにすぎないこと |
| 「葬儀と法律」 | 石川美明(大東文化大学大学院法務研究科 教授) | 遺骨は誰のものか。最高裁の1989年の判決は、祭祀を主宰する人に帰属するとしました |
浦川氏は、継ぐ人は亡くなった人の指定、慣習、家庭裁判所の順で決まると説明します。ただ実際は、親族の話し合いで決まるのが通常だとしています。指定は口頭でもよいものの、自筆で署名した書面で指定しておくのが望ましいと書いています。2025年の『国民生活』で特集1を書いた森謙二氏も、この号に書いています。
名義人が亡くなっているときの進め方は祭祀承継者の記事に、相続放棄との関係は相続放棄と墓じまいの記事に、改葬の種類は墓じまいと改葬の違いの記事にまとめました。
戸籍謄本・除籍謄本は、墓じまいのどの場面で要るのか
役所や霊園で戸籍謄本を求められ、何に使うのか迷う方もいるでしょう。祖父名義の墓をしまった孫も、名義を自分に変えるときに戸籍を何度も取り、簡単な家系図も書きました。
祖父名義の市営墓地の墓を自分の名義に変え、墓じまいを終えた孫(個人ブログ・note)
前回の記事にも記載しましたが、戸籍法の改正当時の法令の保管年限が満了していて、戸籍が廃棄されているということがあったので、どこから別れたのか次第では、ものすごく面倒くさいんだろうなとは感じました。
親の代で片をつけておいてよとも思いましたが、自分の父は祖母より先に亡くなったので、それは無理な話だとも思いました。
※家系図はその自治体に申請するときに書かされたので、他の自治体はわかりません。自治体の申請様式に従ってください。
名義を変えたのは、見積もりを取る段階です。祖父の名義のままでは、業者が墓の詳細図を取れなかったと書いています。名古屋市営霊園も、名義人が亡くなったままでは墓じまいできないと答えています。
出典: 墓じまいをしてみた(完結)(note)(台帳: V0125)
名古屋市は、名義の変更(承継)と墓地の返還を同時に申請する「承継返還」を案内しています。確かめた案内で戸籍謄本を求めていたのは、名義人が亡くなって名義を変えるときが中心でした。場面ごとに並べます。
| 場面 | 案内 |
|---|---|
| 改葬許可を申請する | 国の省令が添付に挙げるのは、管理者の証明と、名義人以外が申請するときの承諾書です。ほかは「市町村長が特に必要と認める書類」です。柏市は、関係が分かる戸籍謄本などを窓口の持ち物に挙げつつ、郵送なら同封不要としています。 |
| 名義人が亡くなり、名義を変える | 名古屋市営霊園は、名義人の死亡が載った戸籍か除籍と、継ぐ子の戸籍などを挙げます。横浜市営墓地は、今の使用者との関係が分かる承継者の戸籍謄本など、北九州市立霊園は続柄の分かる戸籍・除籍の謄本です。 |
| 孫・甥・姪が継ぐ | 札幌市営霊園は、続柄が分からなければ間の戸籍が要るとし、法務局の法定相続情報証明があれば不要としています。 |
| 寺院の墓所の名義を変える | 大谷本廟は、名義人と承継者の戸籍謄本(名義人が亡くなっていれば除籍謄本)に、念書と祭祀承継者指定書も求めます。 |
| 名義を変えずに代わりの人が返す | 神戸市立墓園は、名義人が亡くなっていれば代理人が届け出るとし、死亡記載のある戸籍謄本と、続柄・関係を証明する戸籍謄本などを求めます。 |
| 管理者の証明が出ない | 横田睦氏は、代わりの書面の例に、故人と申請者の関係が分かる戸籍謄本(除籍の記録も含めたもの)を挙げています。 |
| 自宅の敷地にある墓 | 八王子市は、墓地の経営者と申請者が違えば、親族関係がわかる戸籍謄本の写しが要るとしています。 |
住民票の扱いも案内で違います。札幌市の合同納骨塚は、市営霊園の墓じまいに伴う使用なら住民票は不要です。北九州市立霊園の名義変更では、本籍の載った住民票を求めています。
改葬許可証の申請先と出るまでの日数は改葬許可証の記事に、申請書と添える書類は墓じまいに必要な書類の記事にまとめました。墓に誰が何人眠っているかの確かめ方は、遺骨の数の記事にあります。
墓が公営の霊園なら、その霊園の手引きを開く
公営の霊園には、承継から返還までを1冊にまとめた手引きを出している所があります。墓が公営の霊園にあるなら、まずその霊園の手引きを開きます。確かめた4つの手引きで、墓じまいのときに開く所です。
| 手引き | 墓じまいで開く所 |
|---|---|
| 吹田市環境部「市有墓地ご使用の手引き」 | 承継(使用権を引き継ぐ)、改葬、返還の章と、墓石を撤去するときの申請 |
| 福岡市「福岡市立霊園 利用の手引(一般墓所)」 | 墓所が不用になったとき。利用者が亡くなっていれば、利用権を承継してから返還の手続きをします |
| 松戸市「松戸市営白井聖地公園 墓地の使い方(2025年度版)」 | 別の墓へ遺骨を移す5つのステップと、承継の書類 |
| 尼崎市「改葬許可申請の手引き」 | 弥生ケ丘墓園・西難波墓園の墓じまいは、申請書を弥生ケ丘斎場管理事務所へ郵送します |
移し先の永代供養墓を選ぶときも、横田睦氏は、パンフレットだけでなく使用規則や料金表を見るよう書いています。移し先の選び方は墓じまいして永代供養にする記事に、ほかの市の案内は地域ごとの墓じまいの記事にまとめました。
まとめ
墓じまいをまとめて読むなら、国民生活センターの『国民生活』2025年12月号の特集です。墓を継ぐ決まりや墓地の権利まで読むなら、『月報司法書士』2015年6月号の論考があります。
細かな書類は、遺骨がある市区町村と霊園の案内で確かめます。確かめた案内では、戸籍謄本は名義を変えるときや、代わりの人が墓を返すときに求められていました。撤去は、複数の石材店から見積もりを取って比べましょう。
霊園の案内と戸籍をたどった3人の口コミ
最後に、霊園の案内を読み、戸籍をたどった3人の記録から、一節ずつ紹介します。
父が亡くなったあと、父名義の霊園の墓をしまい、同じ霊園の永代供養合祀墓へ移した子(個人ブログ・アメブロ)
実は、父の遺品の中からお墓を管理している霊園のパンフレットがあった
そこには、墓じまいのフローについての説明書と料金表が一緒に添付されていた
ーーそっか、父は墓じまいを考えていたんだな
出典: 墓じまいをした(アメブロ)(台帳: V0009)
都立八柱霊園にある母方の祖父母の墓を改葬することになり、管理事務所から手引などの書類を郵送してもらった孫(個人ブログ・note)
何度も何度も書類を読み返し、なんとなく申請の流れが把握できた。
まずは、申請に必要な書類などを揃えるところから始めていく。
出典: 墓じまいのはなし ③(note)(台帳: V0058)
寺の境内にある父方の墓に誰の骨が納められているか分からず、墓誌の拓本をとった子(個人ブログ・アメブロ)
ちなみに、市役所で「可能な限り、戸籍をさかのぼってください」と、依頼済み。こちらは数ヶ月かかるんだって
出典: 墓じまい①(アメブロ)(台帳: V0029)
