まず結論から
- 神奈川県の墓地のページにも、県内4市(横浜・川崎・相模原・横須賀)の案内にも、墓じまいの助成は載っていません。横浜市は「補助金制度はありません」と明記しています。
- 返すと使用料の一部が戻ると案内にあるのは、川崎市営霊園(許可から3年以内なら半額)と、横須賀市の公園墓地(使用者の都合で10年以内なら5割)です。横浜市の条例は、納めた使用料を原則返しません。相模原市の市営霊園は、届出の案内に戻るかどうかの記載がありません。
- 市の合葬墓の1体の使用料は、横須賀市が16,000円、川崎市が70,000円、横浜市の日野こもれび納骨堂が74,800円です。峰山霊園の樹林型合葬式墓所は、ほかの墓に納めてある遺骨の改葬では申し込めません。
- 遺骨を移す許可(改葬許可)を出すのは、住所ではなく墓のある市町村です。2022年の横浜市の調査では、墓を持つか使える市民の42.9%が、墓は神奈川県の外にあると答えました。
- 撤去工事は、見積もりの単位が店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べます。
神奈川県に墓じまいの補助金はある?県と4市の案内で確かめた
墓じまいの費用に、県や市の補助金は使えるのでしょうか。神奈川県の実家の近くにあった墓をしまった人は、撤去の費用をこう書いています。
神奈川県西部の実家の近くにあった先祖の墓をしまい、都内の合祀墓へ移した長男(個人ブログ)
基本的には、墓石の撤去だけではなく、お墓の基礎(土台)も解体し、区画を更地に戻してから墓地管理者に返還するので、結構な手間と費用がかかります。さらに墓地に至る通路の幅が狭い場合や、傾斜地にある等の場合には、相当な人件費もかかることを承知しておく必要があります。
私の場合は、平場の墓地で一般的な大きさのお墓であったため、トータルで40万円ほどでした。
墓は、実家と同じ市内にありました。50歳ころ東京に住まいを移し、遠い墓の世話を子どもに残さないと決めた人の記録です。こうした撤去の費用への助成は、神奈川県の「墓地、納骨堂及び火葬場のページ」には載っていません。
出典: 後悔しない! 墓じまい こうすればうまくいく(ヒロブログ 歳刻を愉しむ)(台帳: V0016)
県のページが案内しているのは、墓地の経営許可の手続きなどです。町村の区域で墓地を設けたり廃止したりするときは、県の保健福祉事務所(センター)に相談します。市の区域では、墓地の経営許可などの権限が各市長にあります。遺骨を移す許可(改葬許可)も、遺骨が今ある地の市町村長が出します。
県内4市で確かめた、お金にかかわる決まりです。
| 市 | 墓じまいの助成 | 市営の墓を返したときの使用料 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 市のページが「補助金制度はありません」と明記 | 条例は、納めた使用料と管理料を原則返さない。規則が返す場合に挙げる施設に、久保山・三ツ沢・日野公園の墳墓地は入っていない |
| 川崎市 | 改葬許可・市営霊園・募集の案内に載っていない | 緑ヶ丘霊園・早野聖地公園の案内では、利用許可の日から3年以内に返すと半額が戻る |
| 相模原市 | 改葬許可・市営霊園の案内と、峰山霊園の公募のしおりに載っていない | 市営霊園の届出の案内に記載なし。公園課で確かめる。峰山霊園の令和8年度の公募の当選者が納める分は、返還できないとされる |
| 横須賀市 | 公園墓地と改葬許可の案内に載っていない | 公園墓地は、使用者の都合で許可から10年以内に返すと5割が戻る |
表のうち、墓を返すと使用料の一部が戻ると案内にあるのは、川崎市営霊園と横須賀市の公園墓地です。どちらも、許可から決まった年数のうちに返す場合です。
補助金を使って墓じまいをした人は、多くありません。株式会社huhuが2026年5月、墓じまいを経験した男女100人にネットで聞いた調査では、補助金を知っていたのは24人、使ったのは2人でした。補助金のほかに負担を抑えるためにしたことは、親族での費用の分担の相談が40人、複数の石材店からの相見積もりが38人でした(複数回答)。
墓が県外にあるなら、その市町村の制度を見ます。千葉県の市川市・浦安市や群馬県の太田市には、墓を返す人への助成があります。どれも、その市の霊園や墓地の使用者が対象です。
全国の例は墓じまい補助金の記事に、墓が静岡県なら静岡県の墓じまい補助金の記事、東京都の八王子市なら八王子市の墓じまいの記事にまとめました。
市の合葬墓へ移すなら、いくら?誰が使える?
撤去のほかに、遺骨の移し先にも費用がかかります。公営の霊園の墓から、合葬の施設へ移す手続きをした人の記録です。
母方の祖父母が眠る都立霊園の墓を、母の代わりに手続きした孫(個人ブログ・note)
先日、八柱霊園の管理事務所に電話で問い合わせをし、手続きに必要な書類を郵送してもらうことになっていた。
その書類が早速届いた。
「施設変更制度に関するお知らせ」 「施設変更申請に必要な申請書類」 「都立霊園合葬埋葬施設使用の手引(施設変更)」
2023年6月の記録です。都立霊園の墓をしまい、都立霊園の合葬の施設へ移す「施設変更」の手続きでした。川崎市でも、市営墓地の使用者は、墓じまいなら市営霊園の合葬型墓所に随時申し込めます。
出典: 墓じまいのはなし ③(note)(台帳: V0058)
4市の合葬墓を、料金と、墓じまいの遺骨を移せるかで並べます。
| 市 | 施設と1体の料金 | 墓じまいの遺骨を移せるか |
|---|---|---|
| 横須賀市 | 合祀型合葬墓。使用料16,000円。粉骨は自費 | 公園墓地の使用者の墓じまい専用で、今の墓所は返す。予約制の事前相談が先 |
| 川崎市 | 合葬型墓所。令和7年度の募集で使用料70,000円、管理料30,550円 | 市営墓地の使用者は、墓じまいなら随時。ほかの墓地の遺骨は、市に1年以上住む人が募集で申し込む |
| 横浜市 | 日野こもれび納骨堂の合葬式(60年)。使用料74,800円、管理料46,200円 | 募集に「生前・改葬」の枠がある。申し込めるのは市に3か月以上住む人。令和8年度の受付は2026年9月30日で終わった |
| 相模原市 | 峰山霊園の樹林型合葬式墓所。1体用92,000円で、年間の管理料は無い | 公募のしおりでは、ほかの墓に納めてある遺骨の改葬では申し込めない |
墓じまいの遺骨を受けるかと受付の時期は、市ごとに違います。横浜市の令和8年度の募集では、使用の許可と納骨は2027年4月以降です。横浜市の条例では、合葬式納骨施設などの使用権は、名義を継ぐ(承継の)対象から外れています。
合葬を選ぶ人は、全国でも多くいます。鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」の利用者のうち改葬・墓じまいを検討・実施した人に調査をしました。墓じまい後の移し先は「永代供養(合祀・合葬墓)」が43.2%で最多でした。
行き先の選び方は墓じまいの遺骨の行き先の記事と永代供養の記事に、市ごとの申込みは表の各市の補助金の記事にまとめました。
藤沢・鎌倉・小田原など4市の外の墓、寺の墓は?
県内の改葬は増えています。厚生労働省の衛生行政報告例では、神奈川県で許可された改葬は2022年度が7,438件、2023年度が8,939件、2024年度が9,331件でした。
2024年度の9,331件のうち、横浜市が2,754件、川崎市が1,864件、横須賀市が708件、相模原市が177件を許可しました。残りは、4市の外の市町村が許可した分です。
藤沢市・鎌倉市・小田原市などに墓があるなら、改葬許可はその市町村に申請します。この記事の資料からは、4市の外の市町村の助成や合葬墓は確かめられませんでした。助成の有無も、墓のある市町村の窓口で聞きます。
寺の墓の人も少なくありません。2022年の横浜市の調査では、墓を持つか使える市民の48.8%が、墓は寺などの宗教法人墓地と答えました。県内の墓地17,956区域のうち、宗教法人の墓地は2,069区域です。区域の数で、墓の数ではありません。
文政年間から続く地方の菩提寺の墓を、都心の集合墓へ移した人(個人ブログ・note)
まずは長年お世話になった菩提寺の住職へ、墓じまいをしたい旨を電話で相談しました。メディアで耳にする高額な「離檀料」を巡るトラブルが不安でしたが、住職は私たちの事情を深く理解してくださいました。「お墓が荒れてしまうのが一番悲しいことです。近くで供養されるならそれが一番です」と温かい言葉をいただき、離檀料も「お気持ちで」とのお申し出により、円満に進めることができました。
本人は県外へ移り住み、子どもたちも都心で暮らしています。遠方のため、改葬許可の書類は役所と郵送でやり取りしました。神奈川県は、離檀料を寺へのお礼として慣習的に払うお布施の一種とし、妥当な目安は無いとしています。
出典: 「改葬」という選択の体験記(note)(台帳: V0018)
県は、寺と折り合えずに「埋蔵(埋葬)証明書」をもらえなかった例もあると書いています。同じトラブルは民間霊園の墓でも起こりうるとし、相談先に消費者ホットライン188を挙げています。
墓石を処分する前の「御霊抜き」の法要は、菩提寺の住職に相談します。お布施の目安は墓じまいのお布施の記事、申請書と証明は墓じまいに必要な書類の記事にまとめました。
霊園の名前から探す・墓じまいを進める順番
墓のある霊園の名前から、手続きの窓口をたどれます。
| 霊園の名前 | 手続きの窓口 |
|---|---|
| 久保山墓地・三ツ沢墓地・日野公園墓地(横浜市営) | 改葬許可は、墓地の管理事務所がある区の区役所戸籍課。遺骨の移動と返還の届出は、墓地の管理事務所 |
| 緑ヶ丘霊園・早野聖地公園(川崎市営) | 霊園の事務所で手続きし、渡された書類を霊園を所轄する区役所へ。改葬許可の申請は区役所区民課 |
| 峰山霊園・柴胡が原霊園(相模原市営) | 改葬許可は各区の区民課など。承継と返還は市役所の公園課、遺骨の持ち出しと撤去工事の届出は峰山霊園管理事務所 |
| 公園墓地(横須賀市営) | 改葬許可は窓口サービス課か、市内9か所の行政センター。返還届は公園墓地事務所 |
| 鎌倉霊園など、表にない霊園 | その霊園の管理者。決まり事は前もって調べるよう、横浜市の案内は勧めている。鎌倉霊園は、2021年の講演録で財団法人に移ったと紹介されている |
墓じまいを進める順番です。4・5・7の手続きは、法律と4市の案内によります。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。
| 順番 | すること |
|---|---|
| 1 | 複数の石材店に見積もりを頼む。見積もりの単位は店で違う |
| 2 | 親族と話し合って決める。なるべく多くの親族と相談する |
| 3 | 移し先を決める。市の合葬墓は、条件と受付の時期を確かめる |
| 4 | 今の墓の管理者(寺・霊園など)に、埋蔵の証明を書いてもらう |
| 5 | 墓のある市町村に、改葬許可を申請する |
| 6 | 墓石を処分する前に「御霊抜き」の法要を営む。菩提寺の住職に相談する |
| 7 | 遺骨を移し、墓石を撤去して返す。市営の墓は元の状態に戻して返す |
見積もりを最初に置くのは、見積もりの単位(積算の仕方)が店によって違うからです。日本石材産業協会が2023年度に石材店に聞いた設問では、184件の回答が面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。
撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を並べて比べてください。石材店の選び方は墓じまい業者の記事、費用の内訳は墓じまい費用の記事にまとめました。
まとめ
神奈川県の墓地のページにも、県内4市の案内にも、墓じまいの助成は載っていません。横浜市は、補助金制度は無いと明記しています。返すと使用料の一部が戻ると案内にあるのは、川崎市営霊園と横須賀市の公園墓地です。
市の合葬墓は、1体の使用料も、墓じまいの遺骨を受けるかも市ごとに違います。4市の外に墓があるなら、その市町村に改葬許可と墓地のことを聞きます。撤去工事は、見積もりの単位が店で違うので、複数の石材店を比べて頼みます。墓が隣の都県にあるなら、千葉県・東京都・山梨県・静岡県の記事もあります。
