まず結論から
- 県内で確かめた静岡市・浜松市・富士市・沼津市の案内には、墓じまいの助成は載っていません。県の2017年の計画では、墓地の許可などの事務は県内の35市町すべてに移されています。
- 改葬で市営の墓地を返すと使用料の50%を還付すると案内しているのは、磐田市です。富士市は、区画を返すのと同時に市の合葬式墓所を申し込むと、使用料が1体5万円(通常は10万円)です。
- 浜松市は永代使用料を還付できないと明記し、富士市も森林墓園の使用料を原則として還付しません。静岡市と沼津市の案内には、返したときの使用料の扱いが載っていません。
- 改葬の許可は、県内のどこでも墓がある市町に申請します。小山町の冨士霊園は、使用権を手放しても、納めた使用料と管理料を返さないと規定しています。
- 市の合葬の施設の使用料は1体あたり、静岡市の愛宕霊堂が106,790円、浜松市納骨堂が123,610円、富士市の合葬式墓所が10万円です。撤去の工事は、見積もりの単位が石材店で違うので、複数の店の額と内訳を比べます。
静岡市・浜松市・磐田市・富士市・沼津市のお金の決まりを比べる
5市の墓じまいのお金に関わる決まりを、市の公式案内から抜き出しました。どれも市営の墓地の決まりです。
| 市 | 墓じまいの助成 | 市営の墓地を返したときの使用料 |
|---|---|---|
| 静岡市 | 市営墓地・納骨堂、返還届出書、改葬の手続の案内に、載っていません。 | 市営墓地の案内と返還届出書のページに、扱いが載っていません。 |
| 浜松市 | 市営墓所・納骨堂・改葬の案内に、載っていません。 | 永代使用料は還付できないと明記しています。 |
| 磐田市 | 市営墓地のページに載っているのは、隣の列の使用料の還付です。 | 2016年4月から、改葬などで返すと、使用期間に関係なく使用料の50%を還付しています。 |
| 富士市 | 市の補助・助成の一覧に、墓の項目は載っていません。 | 森林墓園に納めた使用料と管理料は還付しません。使用の承認から2年以内に、墓石も遺骨も入れずに返したときだけ、使用料の半額を還付します。 |
| 沼津市 | 補助金の一覧と、埋火葬・市営墓地のページに載っていません。 | 埋火葬・市営墓地のページに、扱いが載っていません。 |
静岡市は沼上・愛宕・沓谷・清水大平山の4霊園、富士市は森林墓園、沼津市は天神洞墓地の決まりです。
静岡市の手続きは静岡市の墓じまい手続きの記事に、お金は静岡市の墓じまい補助金の記事にまとめました。浜松市は浜松市の墓じまい手続きの記事と浜松市の墓じまい補助金の記事です。
静岡県に墓じまいの補助金はあるのか
墓じまいで役所に出す手続きは、県ではなく市町が受け付けます。遺骨を別の墓へ移す許可(改葬許可)は、遺骨がある場所の市町村長が出すからです。法律では、町村にある墓地の経営の許可は県知事の仕事です。
県が2017年にまとめた権限移譲の計画では、この事務も町へ移されています。墓地の経営の許可と立入検査は、23市が法律で、12町が県の条例で受け持つ形です。
補助金を探すときも、見るのは墓がある市町村の案内です。実家の墓をしまった人も、同じ順番を勧めています。
神奈川県西部の実家近くにあった先祖の墓を、都内の合祀墓へ移した長男(個人ブログ)
② 改葬に必要な手続きや書類を確認する
自治体によって改葬の手続きが異なるため、現在の墓地所在地の役所で改葬に必要な手続きや書類を確認します。一度、事前にお墓のある自治体とお墓を新たに移す場所の自治体のホームページを確認することをお勧めします。
補助金制度を整備している自治体もあるようです。各区市区町村の窓口に事前に問い合わせをしておくことをお勧めします。
本人は50歳ころに東京へ移り、遠い墓の維持で子どもに負担をかけたくないと考えました。静岡県内で確かめた市でも、お金の決まりは、市が市営の墓地について定めています。
出典: 後悔しない! 墓じまい こうすればうまくいく(ヒロブログ 歳刻を愉しむ)(台帳: V0016)
確かめた5市のうち、改葬で市営の墓地を返すと使用料の一部を還付すると案内しているのは磐田市です。2016年4月から、改葬や使う見込みがないなどの理由で市営霊園の墓地を返すと、使った期間に関係なく50%を還付しています。
工事の費用を補う制度ではなく、先に納めた使用料の一部を返す決まりです。
富士市は、森林墓園の区画を返すのと同時に市の合葬式墓所を申し込むと、使用料が通常の半額の1体5万円です。
工事の費用を助成する例には、千葉県の市川市や群馬県の太田市があります。対象は、その市の墓地の区画を返す人です。全国の制度は墓じまい補助金の記事で比べています。
富士市・沼津市など、静岡市と浜松市の外に墓があるとき
静岡県の改葬は、2024年度に6,526件で、2年続けて増えました。
2024年度の6,526件のうち、静岡市は1,386件、浜松市は416件です。県内の改葬の多くは、静岡市と浜松市の外の市町村が許可しています。遠くの市の霊園にある墓をしまい始めた人の記録です。
熊本の市の霊園にある実家の墓を、檀家になっている寺の合祀墓へ移すことにした当事者(個人ブログ・アメブロ)
墓じまいの流れとしては
1. 現在納骨されている遺骨の行き先を決める
⬇️
2. 役所に ❶改葬許可申請届 ❷墓地使用廃止届 を申請
⬇️
3. 役所から ❶改葬許可証 ❷墓地使用廃止届 に許可印をもらう
本人は2024年10月末に、墓のある熊本へ出向いて、檀家になっている寺の住職に相談しました。改葬の許可を出すのは、遺骨がある場所の市町村長です。
出典: 墓じまい①(アメブロ)(台帳: V0034)
申請の窓口は、住んでいる市町村ではありません。浜松市と富士市も、申請先は今の遺骨がある市区町村だと案内しています。
5市の改葬許可の窓口と手数料、市営の墓地を返すときの届出は、次のとおりです。
| 市 | 改葬許可の窓口と手数料 | 市営の墓地を返すとき |
|---|---|---|
| 静岡市 | 戸籍管理課か清水区地域総務課に申請します。手数料は遺骨1体につき300円です。 | 返還届出書を出し、墓石などを撤去して元の状態に戻します。届出は撤去工事の予定日が決まってからです。 |
| 浜松市 | 区民生活課や行政センターなどに出し、許可証は即日発行です。市営墓所から移すときは1通350円です。 | 碑石(墓石など)を撤去する前に、墓所返還届を出します。届出は無料です。 |
| 磐田市 | 問い合わせ先は環境課で、手数料は1件につき300円です。 | 返還の届出と使用料の還付の請求を、1枚の様式で出します。 |
| 富士市 | 市民課の窓口に出します。郵送でも出せます。 | 返還を届け出て、墓所を元の状態に戻します。5月末に遺骨か墓石が残っていると、その年度の管理料がかかります。 |
| 沼津市 | 市民課3番窓口に出し、手続きは無料です。今の墓地と移し先の管理者の押印が要ります。 | 墓地返還届に、使用許可証と返還後の墓地の写真を付けます。 |
表にない市町村なら、この2つに加えて、助成があるか、墓地を返したら使用料は戻るかを、墓のある役所に聞きます。使用料の扱いが5市で分かれたように、決まりは市ごとに違います。
寺・民営の霊園・集落の墓地にある墓は
ここまでの還付や助成は、どれも市が経営する墓地を返す人に向けた決まりです。市が経営していない霊園では、霊園の規定を見ます。
小山町の冨士霊園は、公益財団法人が運営する霊園です。一般規格墓所の使用規定では、使用権を手放すときは書面で届け、遺骨があれば改葬した後に届けます。墓石などの撤去処分の料金がかかり、納めた使用料と管理料は返さないと定めています。改葬の許可は、霊園のある小山町役場に申請します。霊園が出す埋蔵証明は1人1,100円です。
静岡県の墓地は、2024年度末で18,687区域でした。個人の墓地が11,640区域で最も多く、集落の墓地などの「その他」が3,697区域、宗教法人の墓地が2,267区域です。
数えているのは墓地の区域で、墓の数ではありません。厚生労働科学研究の報告書は、「その他」を集落の墓地などとしています。畑の中の墓じまいを手伝った人の記録です。
地域の高齢者の相談を受けて、墓じまいを支援してきた福祉職(個人ブログ・note)
➂その他、私が支援した中で、畑の中にお墓が10基ほどあるところがありました。
この場合は、所有者や管理者が誰かを確認する必要があります。 ※御骨を移すために、行政へ届け出をします。 そこに管理者等を記載する必要があります。
本人は地域の高齢者の支援をしようと独立し、墓じまいの支援は3回を数えます。寺の墓なら住職、霊園なら管理事務所に最初に連絡すると書いています。改葬の申請には、墓地の管理者が作った埋葬などの事実を証する書面が要ります。
出典: 高齢者の支援 ~墓じまい~(note)(台帳: V0044)
管理者が分からない墓地では、この書面が作れません。そのときは、市町村長が必要と認める代わりの書面で申請できます。
集落の墓地では、市が廃止を手伝う例もあります。総務省が2023年の報告書で紹介した浜松市の取組です。市の土地にあって集落が管理する共同墓地について、浜松市は相談を受けると、墓地の廃止を勧めています。
縁故者のいない墓(無縁墳墓)の疑いがあれば、官報に載せて知らせる手続や、撤去のときに遺骨を掘り起こす費用を市が負担します。個人の墓じまいへの助成ではなく、集落の共同墓地を廃止するための取組です。
移し先の選び方と、見積もりの取り方
助成の案内が見当たらないときに、自分で選べるのは移し先と工事の頼み先です。静岡市・浜松市・富士市には、ほかの人の遺骨と一緒に納める(合葬する)市の施設があります。
| 市の合葬の施設 | 使用料と、使える人 |
|---|---|
| 静岡市 愛宕霊堂(永年収蔵) | 遺骨1体106,790円です。絹の袋に移して合葬し、遺骨は返せません。静岡市に住民登録のある人か、亡くなったときに静岡市民だった人の遺骨が対象です。 |
| 浜松市納骨堂(永年納骨) | 1体123,610円です(令和元年10月1日現在)。納骨袋に入れて合葬し、遺骨は返せません。浜松市民で焼骨(火葬した遺骨)を持つ人か、亡くなった当時に浜松市民だった人の焼骨を持つ人が使えます。 |
| 富士市森林墓園 合葬式墓所 | 1体10万円で、森林墓園の区画を返すのと同時に申し込むと5万円です。骨袋に移して一緒に埋蔵し、遺骨と使用料は返せません。申請する人か遺骨の人のどちらかが、富士市民(申請時に続けて1年以上)であることが条件です。 |
愛宕霊堂の申込の資格には「静岡市内に墓地を持っていない方」も挙がっています。市内の墓をしまって移す人は、先に戸籍管理課へ相談します。
合葬を選ぶ人は増えています。鎌倉新書は2026年1月に、「いいお墓」の利用者で墓じまいを検討・実施した人に調査を行いました。墓じまい後の遺骨の引っ越し先で最も多かったのは、「永代供養(合祀・合葬墓)」の43.2%です。実施した人に費用を聞くと、「31万円~70万円」が31.3%で最多でした。移し先の比べ方は、遺骨の行き先の記事にまとめました。
散骨場の経営を許可制にする条例は、県内では御殿場市・熱海市・伊東市・三島市にあります。地方自治研究機構の整理では、規制の対象は散骨場で、散骨の行為そのものではありません。
撤去の工事の額は、石材店の見積もりで決まります。日本石材産業協会が2023年度に石材店に尋ねると、見積もりの単位は面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。単位が店で違うので、工事を頼む前に複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べてください。費用の内訳は墓じまい費用の記事に、石材店の選び方は墓じまい業者の記事にまとめました。
まとめ
県内で確かめた静岡市・浜松市・富士市・沼津市の案内には、墓じまいの助成は載っていません。県の2017年の計画では、墓地の許可などの事務は35市町すべてに移されています。
墓を返したときの使用料は、磐田市が50%を還付し、浜松市は還付できない、富士市は原則として還付しないと定めています。
改葬の許可は、住んでいる所ではなく、墓のある市町に申請します。撤去の工事は、見積もりの単位が店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べてから決めてください。墓が隣の県にあるなら、神奈川県・山梨県・長野県・愛知県の記事もあります。
