まず結論から
- 大分県が墓地の許可の分担を説明した回答にも、県内で確かめた大分市の改葬・市営墓地・合葬室の案内にも、墓じまいの助成は載っていません。全国で確かめた助成は、市が経営する墓地の区画を返す人に向けた制度です。
- 改葬(遺骨を別の墓へ移すこと)の許可は、県ではなく、遺骨がある地の市町村長が出します。墓地の許可と監督の権限も、県から市へ、県の条例で町村へも移っています。
- 大分市の改葬許可(保健所衛生課か保健福祉センター・支所)も、市営墓地の墓地返還届も、無料です。返還の案内に、返した区画の使用料が戻るという記載はありません。
- 公営の移し先に、大分市営納骨堂の合葬室があります。申し込めるのは、申請の3か月前から続けて大分市内に住所がある人です。使用料は44,000円で、使用期間は永年です。
- 見積もりの単位(積算の仕方)は石材店で違います。撤去の工事は、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べて決めます。
大分県に墓じまいの補助金はあるのか
大分県は2019年10月、散骨の条例を求める県政への提言に回答しています。墓地の許可と監督の権限がどこにあるかを説明していますが、墓じまいの助成は出てきません。回答は、市町村を、墓地、埋葬等に関する法律に関する「業務の実施主体」と書いています。
大分市の改葬・市営墓地の返還・合葬室の案内にも、墓じまいの助成は出てきません。市営墓地にある父方の墓を引き受け、しまうと決めた人は、見積もりの額をこう書いています。
京都府の市営墓地にある父方の墓を引き受け、しまうことにした孫(個人ブログ・note)
さて、見積もりは2基で55万円でした。
明細については割愛します。先方の営業上の秘密に触れるのかはわかりませんけど、細かくぶっちゃけるもんでもないと思いますので。
ちなみに、この金額は散骨費用を含まない、墓石撤去の費用です…
市役所の記録では、明治時代の墓が2基ありました。祖母の管理料の滞納で墓があると知り、3年前から管理料を払ってきた人です。市が経営する墓地を返す人に、撤去の費用を助成する市もあります。
出典: 墓じまいをしてみた(途中)(note)(台帳: V0017)
墓じまいの窓口は、県ではなく市町村です。改葬の許可を出すのは、遺骨がある地の市町村長です。墓地の設置の許可と監督の権限も、2012年4月1日の法改正で県から市へ移りました。町村へも、県の事務処理の特例に関する条例で移っています。2026年4月1日現在の県の一覧でも、墓地・納骨堂・火葬場の経営許可等は、各町村へ移した事務に挙がっています。
大分県と大分市について、確かめた資料に書かれていることを並べました。
| 項目 | 確かめた資料に書かれていること |
|---|---|
| 大分県の助成 | 墓地の許可の分担を説明した2019年の回答に、載っていません。 |
| 墓地の許可と監督 | 県から市へ、町村へも県の条例で移っています。 |
| 大分市の助成 | 改葬・市営墓地の返還・合葬室の案内に、載っていません。 |
| 大分市の改葬許可 | 保健所衛生課か、保健福祉センター・支所で申請します。無料です。 |
| 大分市の市営墓地を返すとき | 墓石を撤去・整地し、貸し付け前の状態に戻して墓地返還届を出します。届は無料です。 |
| 返した区画の使用料 | 返還の案内のページに記載なし → 保健所衛生課で確かめます。 |
| 公営の合葬墓 | 大分市営納骨堂の合葬室があります。申請の3か月前から続けて大分市内に住所がある人が申し込めます。 |
墓じまいの助成を出す市は、全国にあります。市川市・浦安市・太田市は、市の墓地を返す人に、墓石の撤去など元に戻す費用を助成しています。浦安市の補助の上限は150,000円です。総務省の2023年の報告書の時点で、新居浜市は区画を返して合葬式施設を使う人の使用料を全額免除していました。新居浜市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。苫小牧市は、墓じまいの費用の融資の利息と信用保証料に、最大5万円を助成していました。
確かめた5市の制度は、どれもその市が経営する墓地の区画を返す人に向けた制度です。全国の制度は墓じまい補助金の記事で比べています。大分市の窓口と書類は大分市の墓じまい手続きの記事に、お金の決まりは大分市の墓じまい補助金の記事にまとめました。
別府市・中津市・佐伯市や県外から。窓口は墓のある市町村
大分県で許可された改葬は、2022年度が1,423件、2023年度が1,514件、2024年度が1,603件でした。大分市は、同じ3年で269件、237件、262件です。大分市の件数は、県の件数に含まれています。
県の件数には、大分市の外の市町村で許可された改葬も多く含まれます。鎌倉新書が2026年1月に「いいお墓」の利用者に行った調査で、墓じまいを考えた理由を聞くと、最多は「お墓が遠方にある」の52.0%でした。父母の遺骨を、住まいの近くの墓へ移す準備をした人の記録です。
進行性の神経難病がある当事者で、父母の遺骨を近くの墓へ移す準備をした人(個人ブログ・アメブロ)
改葬許可証を取るのはかなりややこしいと聞いていたが、元の墓地の管理者と自治体が親切で、必要書類は最小限、郵送で手続きが出来て、郵便が素早く届くなら2週間程度で改葬許可証がもらえるらしい。
墓地は2〜3か所を見て、電動車椅子で15分ほどの所に決めました。今の墓は叔父に任せ、父母の遺骨だけを移す計画です。大分市の改葬の案内には、郵送での申請の記載がありません。
出典: 終活 ~墓じまい~ その3(アメブロ)(台帳: V0098)
改葬の許可を申請する先は、住んでいる市町村ではなく、墓のある市町村です。大分市の案内も、遺骨がある墓地・納骨堂等の所在する市区町村長が発行すると説明しています。大分市に墓があって遠くに住む人は、郵送で出せるかを保健所衛生課(電話 097-536-2854)で確かめます。
別府市・中津市・佐伯市・臼杵市・宇佐市・日田市や町村に墓があるなら、窓口と手数料、郵送の可否を、その市町村に聞きます。墓が県外にあるなら、福岡県・熊本県・宮崎県のページや、北九州市の記事を見てください。
墓のある市町村で墓じまいを進める順番です。「大分市は」と書いた所は、大分市の案内によります。
| 段 | すること | 決まり・相手 |
|---|---|---|
| 1 | 複数の石材店に、撤去の見積もりを頼む | 見積もりの単位は、店によって分かれています。 |
| 2 | 親族と相談して決める | 墓じまいの前に、なるべく多くの親族と話し合うよう勧められています。 |
| 3 | 移し先を決め、受け入れの証明か使用契約書等をもらう | 大分市は、申請書に写しを添えます。 |
| 4 | 今の墓の管理者に、埋蔵の証明を頼む | 国の規則が、申請書に添えるよう定めています。 |
| 5 | 墓のある市町村で、改葬許可を受ける | 遺骨がある地の市町村長が許可します。大分市は無料です。 |
| 6 | 閉眼供養(御霊抜き)の法要をする | 法要は、菩提寺の住職に相談します。 |
| 7 | 墓石を撤去して区画を返し、許可証を移し先に渡す | 大分市は、市営墓地を貸し付け前の状態に戻して返します。許可証は移し先の管理者に必ず渡します。 |
書類の全体は墓じまいの書類の記事に、改葬と墓じまいの違いは改葬の記事にまとめました。
寺の墓や家の墓地の墓をしまうときは
大分県の墓地は、2024年度末で751区域でした。数えているのは墓地の区域で、墓の数ではありません。経営する主体で分けると、個人が271区域、宗教法人が223区域、「その他」が191区域です。地方公共団体は60区域、公益法人は6区域でした。
厚生労働科学研究の報告書は、統計の「その他」を、共同墓地やムラ墓地とも呼ばれる集落の墓地としています。県内の納骨堂299施設のうち、245施設は宗教法人の経営です。
家の敷地に墓がある家では、墓じまいを言い出すこと自体が難しいこともあります。大分の義実家の一族が営む先祖祭りに、初めて参加した人の記録です。
大分の義実家の一族が営む先祖祭りに初めて参加した、本家の嫁(個人ブログ・note)
それでなくてもタイミングが難しいと思っているのに、立派な由緒書きに新調したばかりという幟旗。
そんなの目の当りにしたら、義実家の敷地内にあるお墓も、自宅も田んぼも畑もビニールハウスも私たちには維持できないので手放します、なんて口が裂けても言い出せない。
夫婦には子どもがなく、義兄と義弟も大分の家を継ぐ気はありません。夫は、今考えることではないと取り合わないといいます。国民生活センターの「国民生活」の特集は、墓じまいの前になるべく多くの親族と相談するよう勧めています。
出典: 【エッセイ】墓じまいが言えなくて【先祖祭り】(note)(台帳: V0050)
国の規則は、改葬の申請書に、墓地の管理者が作った埋蔵の事実の証明を添えるよう定めています。難しい特別の事情があれば、市町村長が認めるこれに準ずる書面で代えられます。
個人墓地や集落の墓地では、証明を出す管理者がいないことがあります。寺の境内の墓でも、寺から出してもらえないことが考えられるとされています。何が認められるかは、墓地の様子や市町村で違います。総務省が2023年にまとめた報告書では、管理者が分からない墓地からの改葬で、実地調査した88市町村のうち47.7%が代わりの書面を求めていました。
証明を誰に頼むかを、申請の前に寺と墓のある役所に確かめます。日蓮宗の仏事のQ&Aは、改葬では必ず「御霊抜き」の法要を営むとし、法要は菩提寺の住職に相談するよう勧めています。お布施の目安はお布施の記事に、寺や親戚への伝え方は挨拶状の記事にまとめました。
助成の代わりに。合葬室の使用料と見積もりの比べ方
移し先の一つに、公営の合葬墓があります。2023年4月のしおりでは、大分市営納骨堂の合葬室は、使用料44,000円・使用期間は永年です。収蔵できる数は約4000体です。
墓にある遺骨を納めるなら、申請の3か月前から続けて大分市内に住所がある人が申し込めます。一度納めた使用料は、辞退も含め、どんな理由でも返さないとしています。ほかの市町村の墓から移すときは、その市町村で改葬許可を受け、収蔵届に許可書を添えます。
公営の合葬式の施設は、どの市町村にもあるわけではありません。総務省の調査では、公営の墓地や納骨堂を持つ765市町村のうち、合葬式の施設を持つのは25.5%でした。鎌倉新書の2026年の調査では、墓じまい後の移し先で最も多かったのは「永代供養(合祀・合葬墓)」の43.2%です。
総額にも幅があります。同じ調査で、墓じまいをした・している人の実施費用は「31万〜70万円」が31.3%で最多でした。日本石材産業協会が2023年度に石材店に尋ねると、184件の答えで、見積もりの単位は面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。工事を頼む前に、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。
費用の内訳は墓じまい費用の記事に、業者の選び方は墓じまい業者の記事に、手元のお金が足りないときの道はお金がないときの記事にまとめました。移し先の比べ方は遺骨の行き先の記事で確かめられます。
まとめ
大分県の回答と、大分市の改葬・市営墓地・合葬室の案内には、墓じまいの助成は載っていません。全国で確かめた助成も、市が経営する墓地の区画を返す人に向けた制度です。
改葬の許可は、住んでいる所ではなく、墓のある市町村に申請します。寺や家の墓地なら、管理者の証明を誰に頼むかを先に確かめます。見積もりの単位は店で違うので、合葬室の使用料と、複数の石材店の見積もりの額と内訳を比べてから決めてください。
