まず結論から
- 熊本県の墓地の経営許可の案内と、熊本市の墓地・納骨堂の案内と改葬許可申請書、八代市の改葬の案内には、墓じまいの助成は載っていません。熊本市の墓地を返しても、納めた使用料は戻りません。
- 改葬の許可は、県ではなく、遺骨がある場所の市町村長が出します。助成を出す市は全国にあり、確かめた市川市・太田市・新居浜市の制度は、どれもその市の墓地を返す人が対象でした。
- 熊本市の2つの案内に、市営の合葬墓は出てきません。市営の納骨堂として桃尾霊堂があり、家族納骨壇は10年で20万円です。
- 八代市なら、改葬許可の申請書を市民課か支所などに持って行くか、郵送します。人吉市・天草市などでも、墓のある役所で書類を確かめます。
- 見積もりの単位(積算の仕方)は石材店で違います。工事は複数の石材店の見積もりを、額と内訳で比べます。
熊本県に墓じまいの補助金はある?聞く先は墓のある市町村
熊本県の案内「墓地、納骨堂及び火葬場経営許可について」には、墓じまいの助成は載っていません。手続きの窓口も、県ではありません。遺骨を別の墓や納骨堂へ移す「改葬」の許可は、遺骨がある場所の市町村長が出します。
神奈川県の実家の近くにあった先祖の墓を、都内の建物の中の合祀墓(ほかの遺骨と一緒に納める墓)へ移した長男(個人ブログ)
自治体によって改葬の手続きが異なるため、現在の墓地所在地の役所で改葬に必要な手続きや書類を確認します。一度、事前にお墓のある自治体とお墓を新たに移す場所の自治体のホームページを確認することをお勧めします。
補助金制度を整備している自治体もあるようです。各区市区町村の窓口に事前に問い合わせをしておくことをお勧めします。
50歳のころ東京に住まいを構え、子どもに負担をかけないよう、自分の代で墓を整理すると決めた人の記録です。親戚には、相談ではなく提案の形で話を切り出しました。確かめた範囲でも、助成を出しているのは市です。
出典: 後悔しない! 墓じまい こうすればうまくいく(個人ブログ)(台帳: V0016)
法律で県が受け持つのは、町村にある墓地や納骨堂を開く許可です。市にある墓地なら、その許可も市長が出します。熊本県の案内が載せているのも、墓地や納骨堂を経営・変更・廃止する側の許可の手続きです。担当の窓口は、町村なら管轄の保健所、市なら市の担当課です。
墓じまいの助成を出している市の例です。千葉県市川市は、継ぐ親族がいない人などが市川市霊園の墓地を返すときに、元の更地に戻す費用を助成しています。群馬県太田市は、八王子山公園墓地を返すときの墓石の撤去費を助成しています。
総務省の2023年の報告書は、愛媛県新居浜市の例を挙げています。市営墓地の区画を返して市の合葬式施設(遺骨を一緒に納める施設)を使う人の使用料を、全額免除する制度を条例で定めていました。新居浜市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。確かめた3市の制度は、どれもその市の墓地を返す人が対象です。熊本市の案内での答えは、次のとおりです。
| 知りたいこと | 熊本市の案内での答え |
|---|---|
| 墓じまいの助成 | 桃尾墓園と市営納骨堂の案内、改葬許可申請書の記入例に、助成は載っていません。 |
| 市の墓地の使用料 | 熊本市墓地条例の抜粋に「既納の使用料は返還しません」(第8条)とあります。 |
| 市の墓地の返し方 | 使わなくなった墓地は、元の状態に戻して返します(第13条)。 |
| 公営の移し先 | 2つの案内に市営の合葬墓は出てきません。期間を区切って借りる市営納骨堂(桃尾霊堂)があり、桃尾墓園の案内には芝生墓地の使用者募集も載っています。 |
| 改葬許可の申請書 | 熊本市長あての用紙に、墓地の管理者の証明と、墓の使用者の承諾の欄があります。 |
熊本市に墓がある人の手続きは熊本市の墓じまい手続きの記事に、お金の話は熊本市の墓じまい補助金の記事にまとめました。全国の制度の見分け方は、墓じまい補助金の記事で比べています。
熊本は納骨堂の多い県。移し先は入る数と期間で選ぶ
遺骨の移し先の一つが、遺骨を預かって納める納骨堂です。厚生労働省の衛生行政報告例によると、熊本県の納骨堂は2024年度末で1,137施設でした。福岡県の2,988施設、北海道の1,846施設に次ぐ、全国で3番目の数です。
金沢駅からさらに奥にある父の家の墓を、東京の近くへ移そうとした当事者(個人ブログ・note)
いわゆるそういう都心のマンション形式の ミニお墓みたいなのって
お骨は一体か二体ぐらいしか 入らないようですね
それよりも多く入れる場合は お骨を粉砕して小さくして入れたりしなければならず
それでも3〜4体が限界とのこと
我が家の場合はお墓の引っ越しをしたとはいえ 先祖代々のお骨が大量に入っているようなので
全部移すなんてことは絶対無理のようです
10年ほど前、東京に住む本人が資料を取り寄せて調べた記録です。最後は、父が墓をそのままにすると決めました。熊本市の市営納骨堂の家族納骨壇は、遺骨が6体入る大きさです。
出典: お墓じまいに挫折(note)(台帳: V0025)
納骨堂は、入る遺骨の数と使える期間を先に確かめます。熊本市の桃尾霊堂は、先祖などをまつる場所を一定の期間貸す施設で、納骨壇(遺骨を納める棚)は2種類です。
| 納骨壇 | 入る遺骨 | 使用期間と使用料 |
|---|---|---|
| 家族納骨壇 | 6体 | 10年間で20万円 |
| 短期納骨壇 | 1体 | 1年間で5千円 |
使用期間は更新して使えます。申し込めるのは、熊本市内に住み、遺骨を持っている人です。県内の納骨堂のうち、市町村などが経営するのは21施設で、宗教法人が454施設、その他が661施設です。
鎌倉新書が2026年1月、「いいお墓」で資料請求や見学をした人のうち、墓じまいを検討・実施した人に聞いた調査があります。墓じまい後の移し先は「永代供養(合祀・合葬墓)」が43.2%で最多でした。納骨堂は13.3%です。散骨を考えるなら、場所の決まりも見ます。地方自治研究機構のまとめでは、南阿蘇村は環境美化条例で散骨を禁じています。移し先の比べ方は、墓じまいの遺骨の行き先の記事にまとめました。
八代・人吉・天草など、熊本市の外に墓があるとき
熊本県の改葬は、2024年度に1,812件でした。このうち熊本市は511件で、県内の改葬の多くは熊本市の外の市町村で行われています。2022年度は1,698件、2023年度は2,158件でした。
片道2時間かかる祖父の代からの墓を、永代供養(寺や霊園が供養を続ける形)のある所へ移すことにした38歳の当事者(個人ブログ・アメブロ)
霊園だけのやりとりだけと思いきや、引っ越し先をまず決めて、その後、納骨されてる市区町村の役所に申請しないといけないなんて。
これはとても娘には任せられません。。。
去年亡くなった父が入る墓です。60代の母が墓参りの遠さをこぼしたのを機に、三回忌を待たずに動き出しました。申請先は、住まいではなく遺骨がある市町村です。
出典: 墓じまい(アメブロ)(台帳: V0080)
八代市・人吉市・天草市などに墓があるなら、改葬の許可はその市町村に申請します。申請書には、墓地の管理者が作る、遺骨が納まっている事実の証明を添えます。申請する人が墓の使用者でなければ、使用者の承諾書も要ります。
八代市の案内では、申請書を市役所市民課か各支所の地域振興課、日奈久出張所に持って行くか、郵送します。郵送なら、切手を貼って宛名を書いた返信用封筒を同封します。熊本市の記入例と並べると、管理者のいない墓の扱いが違います。
| 申請書の欄 | 熊本市 | 八代市 |
|---|---|---|
| 管理者の証明 | 「墓地等の管理者」の欄に、遺骨が納まっていることを証明してもらいます。 | 用紙の右下の欄に、遺骨を管理する寺や納骨堂の管理者の証明をもらいます。 |
| 管理者がいない墓 | 別に申立書を出します。 | 証明欄は書かなくてよいとされています。 |
証明を頼む相手は、墓地によって違います。県内の墓地を区域の数で数えると4,097で、個人が2,316、その他が1,415、宗教法人が286、地方公共団体が72でした。数えているのは墓地の区域で、墓の数ではありません。「その他」には、集落の共同墓地などが入ります。
人吉市は、墓地の許可の権限が県から移ったのを受けて、市内の墓地を調べました。調べた人が明らかに無縁(継ぐ人がいない)と見た墓は、民間の土地の墓地で36%、市の土地を民間が管理する墓地で67%です。一橋大学の大学院の報告書(2016年)のまとめです。
管理者が分からないなどで証明が取れないときは、市町村長が必要と認める書面で代えられる場合があります。申請の前に、墓のある市町村の役所で、出す書類を確かめます。しまわずに置いた墓のその後は、墓じまいをしないとどうなるかの記事にまとめました。
費用の目安と、見積もりの比べ方
助成が見つからなくても、費用の目安は知っておけます。鎌倉新書の同じ調査で、墓じまいをした人の実施費用は「31万円〜70万円」が31.3%で最多でした。一方で151万円以上の人もいて、額は墓地の広さや移し先で変わります。
撤去の工事の見積もりは、石材店によって単位が違います。日本石材産業協会が2023年度に石材店へ尋ねた設問では、面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に答えが分かれました。複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べてください。費用の内訳は墓じまい費用の記事に、石材店の選び方は墓じまい業者の記事にまとめました。
まとめ
熊本県の墓地の経営許可の案内と、熊本市・八代市の案内には、墓じまいの助成は載っていません。改葬の許可を出すのは、県ではなく遺骨がある市町村です。
熊本市の市営納骨堂は、家族納骨壇が10年で20万円です。八代市なら、市民課や支所に申請書を持って行くか郵送します。人吉市・天草市などに墓があるなら、その役所で書類を確かめてください。見積もりの単位は店で違うので、工事は複数の石材店の見積もりを額と内訳で比べます。墓が隣の県にあるなら、福岡県・大分県・宮崎県・鹿児島県の記事もあります。
