まず結論から
- 熊本市にある墓の改葬許可は、熊本市長あての申請書1枚で申請します。今の墓の管理者の証明と、墓の使用者の承諾も、その用紙の欄にもらいます。
- 申請先は、住んでいる所ではなく、今の墓がある市区町村です。熊本市の改葬は、2024年度に511件でした。
- 熊本市墓地条例では、使わなくなった市の墓地は元の状態に戻して返し、納めた使用料は戻りません。墓地の届出の窓口は、市役所の健康福祉政策課です。
- 移し先に市営納骨堂(桃尾霊堂)を選ぶなら、改葬許可証を持って申し込みます。申し込めるのは、熊本市内に住む人です。
- 見積もりの単位(積算の仕方)は、石材店によって違います。撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。
改葬許可の申請書は1枚。管理者の証明と使用者の承諾をもらう
墓じまいで役所に出すのは、遺骨を別の墓や納骨堂へ移す「改葬」の許可の申請です。改葬には、今の墓がある区市町村長の許可が要ります。熊本市にある墓なら、申請書は熊本市長あてです。
熊本にある市の霊園の、実家の墓をしまうことにした当事者(個人ブログ・アメブロ)
あとは熊本を再訪するにあたって
必要な書類等の準備
改葬許可申請届等は
市役所のホームページからダウンロード出来ました
お墓の使用者が叔母(父の妹)になっていましたが
入院中の為
印鑑や委任状、身分証明書が必要
2024年10月末に熊本へ出向き、檀家になっている寺の住職に相談してから動き出した家族の記録です。遺骨は、その寺の合祀墓(ほかの遺骨と一緒に納める墓)に納めると決めました。熊本市の申請書でも、使用者が申請者と違うときは、使用者に承諾の欄を書いてもらいます。
出典: 墓じまい①(アメブロ)(台帳: V0034)
熊本市の記入例では、申請者が太い線の枠の中を書きます。そのうえで「墓地等の管理者」の証明欄と、「墓地使用者等」の承諾欄を書いてもらい、申請します。証明と承諾は、別の書類ではなく申請書の中の欄です。
| 申請書の欄 | 誰が・何を書くか |
|---|---|
| 死亡者 | 申請者が、移す遺骨の方の本籍・住所・氏名・死亡年月日などを書きます。死亡や埋葬の年月日が分からなければ「不詳」と書き、4人以上なら別紙に書きます。 |
| 今の墓と移し先 | 今の墓や納骨堂の所在地と名称、移し先の所在地と名称を書きます。 |
| 改葬の理由 | 記入例には「○○墓地への移転、お墓を合祀するため」などとあります。 |
| 墓地等の管理者 | 今の墓の管理者が、遺骨が納まっていることを証明します。管理人がいない墓地なら、別に申立書を出します。 |
| 墓地使用者等 | 墓の代表の使用者が申請者と違うときに、使用者が改葬を承諾します。 |
この2つの欄は、国の省令が決めた添付書類にあたります。墓地の管理者が作る、遺骨が納まっている事実の証明と、申請者が使用者でないときの使用者の承諾書です。同じ用紙には「改葬許可証」の欄もあり、熊本市長が許可する形です。書類の全体は、墓じまいに必要な書類の記事で確かめられます。
証明を頼む相手は、墓地によって違います。熊本市の墓地を区域の数で数えると1,539あり、経営しているのは個人が709、その他が636、宗教法人が185、市などの地方公共団体が7です。数えているのは墓地の区域で、墓の数ではありません。
市の墓地は、許可とは別に「元に戻して返す」
市の墓地にある墓なら、改葬許可のほかに、墓地そのものを返す決まりがあります。熊本市の市営墓地には、桃尾墓園や、小峯墓地・立田山墓地・浦山墓園・花園墓地・城山墓園・清水墓園があります。桃尾墓園の案内にも市営墓地の募集要項にも、熊本市墓地条例から抜き出した決まりが並んでいます。
公営の霊園にある父の墓を、母の同意を得てしまった当事者(個人ブログ・note)
霊園の組合事務所に行き墓じまいの旨を伝えたところ、その後の流れも教えてくれました。
霊園の墓所の使用権の返還
お骨を新しい場所に移すことの手続き
お骨を埋葬している場所の市役所に提出し改装許可証をもらいます。
これは提出して出来上がったら連絡があり取りに行きました。
祖父が亡くなったときに父が建てた墓です。母は膝関節症で歩くのが難しくなり、墓参りは本人ひとりになっていました。熊本市墓地条例も、使わなくなった墓地を返すよう定めています。
出典: 2年前に実家の墓じまいをしました(note)(台帳: V0113)
条例では、使う墓地が要らなくなったら、すみやかに元の状態に戻して返さなければなりません(第13条)。元の状態に戻して返すのは、墓地を使っている側の務めです。返しても、納めた使用料は戻りません(第8条)。墓地の使用権は、ほかの人に譲ったり貸したりできません。
返す前後で、市長への届出が要る場面もあります。募集要項は、届出の窓口を健康福祉政策課としています。すでに市営墓地を使う人が新しい区画に当選したときは、今の墓地の「廃止の届け出」が要るとも書いています。案内に載っている届出のうち、墓じまいで関わりそうなものを並べます。
| こんなとき | 市長に出すもの |
|---|---|
| 先祖をまつる人が、墓地の使用権を継ぐ | 墓地承継使用許可申請 |
| 許可証の記載事項が変わった | 記載事項変更届 |
| 許可証をなくした | 再交付願 |
| 墓地の使用者が熊本市の外へ引っ越した | 管理人届 |
しまわずに置いた場合の定めもあります。使用者が亡くなってから5年たっても、祭祀(先祖をまつること)を継ぐ人がいないとき。使用者の住所が10年以上分からないとき。どちらも許可を取り消すとされています。墓じまいを見送った場合の話は、墓じまいをしないとどうなるかの記事にまとめました。返すときの撤去費は、熊本市の墓じまい補助金と費用の記事にまとめました。熊本県の案内に助成が載っているかは、熊本県の墓じまい補助金の記事で確かめられます。
熊本市の外に住んでいても、許可は墓のある熊本市で
墓じまいを考えるきっかけで多いのは、墓が遠いことです。鎌倉新書が2026年1月、「いいお墓」で資料請求や見学をした人のうち、改葬や墓じまいを検討・実施した人に理由を聞きました。「お墓が遠方にある」が52.0%で最も多く、「お墓の継承者がいない」が44.1%でした。
菩提寺(先祖の墓がある寺)にあった地方の墓を、都心の集合墓へ移した当事者(個人ブログ・note)
私の場合、遠方だったため役所から申請書類を郵送してもらい、やり取りを行いました。書類が受理され、1週間ほどで「改葬許可証」が届いたときは、法的な手続きが無事に終わった安堵感がありました。
江戸時代後期から地方の菩提寺にあった墓を、県外に移り住んだ家族が移した記録です。住職には、まず電話で相談しました。申請先は、住まいではなく今の墓がある区市町村です。
出典: 「改葬」という選択の体験記(note)(台帳: V0018)
熊本市の外に住む人が、熊本市の墓をしまう場合も同じです。申請書は熊本市長あてで、移し先の所在地と名称を書く欄があります。移し先を決めてからでないと、申請書は書き上がりません。
移し先を選ぶ段では、住む場所が効きます。市営納骨堂(桃尾霊堂)に申し込めるのは、熊本市内に住み、遺骨を持っている人です。桃尾霊堂は、先祖などをまつる場所を一定の期間貸す施設で、市が供養したり遺骨を引き取ったりするものではありません。
| 桃尾霊堂の申込み | 市の案内にあること |
|---|---|
| 申し込める人 | 熊本市内に住み、遺骨を持っている人です。 |
| 持って行くもの | 使用者本人の確認資料、埋火葬許可証か改葬許可証、使用料です。 |
| 受付の場所 | 市庁舎10階の健康福祉政策課です。 |
| 使用期間が終わるとき | 更新して使えます。時期が近づくと、市から郵送で案内が届きます。 |
市営墓地の新しい区画も、申し込めたのは熊本市民です。令和7年度は、返された区画を整えて小峯墓地など6つの墓地で30区画を募集し、受付は2026年1月14日まででした。応募資格は、熊本市に住民登録があり、祭祀の主宰者(中心になって先祖をまつる人)であることでした。
熊本市の改葬は、この3年で少しずつ増えています。2022年度は483件、2023年度は506件、2024年度は511件でした。
熊本市で墓じまいを進める順番
ここまでの手続きを、順番に並べます。移し先、管理者の証明、使用者の承諾が申請より先に要るのは、どれも申請書の欄だからです。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。
見積もりを最初に置くのは、石材店によって見積もりの物差しが違うからです。日本石材産業協会が2023年度に石材店へ積算の単位を聞いた設問は、面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費から選ぶ形で、184件の回答がありました。複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べてください。頼み先の選び方は、墓じまい業者の記事にまとめました。
| 聞きたいこと | 確かめる先 |
|---|---|
| 改葬許可の申請書 | 記入例が熊本市のサイトで公開されています。申請書は熊本市長あてです。 |
| 桃尾墓園のこと | 桃尾墓園の管理事務所です。電話は096-388-0389です。 |
| 市営墓地の届出・桃尾霊堂の空き | 市役所10階の健康福祉政策課です。電話は096-328-2340です。 |
| 寺の証明がもらえないとき | 経緯をまとめて、墓のある区市町村の担当窓口に相談します。区市町村長が認める書類で申請できる場合があります。 |
まとめ
熊本市にある墓の改葬許可は、熊本市長あての申請書1枚で申請します。今の墓の管理者の証明と使用者の承諾は、その申請書の欄にもらいます。申請先は、住まいではなく今の墓がある区市町村です。
市の墓地は、使わなくなったら元の状態に戻して返し、納めた使用料は戻りません。届出の窓口は健康福祉政策課です。移し先に桃尾霊堂を選べるのは、熊本市内に住む人です。見積もりの単位は店で違うので、工事は複数の石材店の見積もりを取り、額と内訳を比べてください。
