まず結論から
- 鹿児島県の墓地・納骨堂の案内にも、県内で確かめた鹿児島市の案内と条例にも、墓じまいの助成は載っていません。
- 改葬(遺骨を別の墓へ移すこと)の許可は、県ではなく、墓のある市町村に申請します。墓地の経営許可などの窓口も、1999年4月から県から各市町村に変わっています。
- 鹿児島市の市営墓地は、返しても使用料が原則として戻りません。市営墓地・市営納骨堂・市内の共同墓地を返す人は、市営合葬墓に1柱3万8000円から移せます。
- 全国で確かめた市川市・浦安市・太田市・新居浜市の制度は、どれもその市が経営する墓地を返す人に向けたものです。
- 見積もりの単位(積算の仕方)は石材店で違います。撤去の工事は、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べて決めます。
鹿児島県と鹿児島市の制度を比べる
県の墓地・納骨堂の案内2ページと、県内で資料を確かめられた鹿児島市の制度を、項目ごとに並べました。霧島市・鹿屋市・薩摩川内市や離島の町村に墓があるなら、同じ項目を、墓のある市町村に聞きます。
| 項目 | 鹿児島県 | 鹿児島市 |
|---|---|---|
| 墓じまいの助成 | 墓地・納骨堂の案内2ページに、載っていません。 | 改葬・返還の案内、市営墓地条例、合葬墓の募集案内、共同墓地の管理のページに、載っていません。 |
| 改葬許可の窓口と手数料 | 許可を出すのは、県ではなく墓のある市町村です。 | 市内の墓は、市の様式の申請書で鹿児島市に申請します。手数料は案内のページに記載なし → 環境衛生課斎園係で確かめます。 |
| 返した墓地の使用料 | 県の案内2ページが載せているのは、墓地の経営許可と設置の窓口です。 | 条例により、原則として還付されません。 |
| 公営の合葬墓 | 星ヶ峯墓園の中の市営合葬墓は、合葬室が1柱3万8000円、個別埋蔵室が1柱8万8000円です。 | |
| 共同墓地への補助 | 管理組合が管理する共同墓地の、災害復旧・環境整備・給水栓の工事が対象です。 |
鹿児島市営墓地条例は、納めた使用料を、市が返還を命じた場合と特に必要と認めた場合のほかは還付しないと定めています。墓じまいで自分から返すときは、使用料は戻らないと考えておきます。
鹿児島市の手続きの順番は鹿児島市の墓じまい手続きの記事に、お金の決まりは鹿児島市の墓じまい補助金の記事にまとめました。
鹿児島県に墓じまいの補助金はあるのか
鹿児島県の墓地・納骨堂の案内は2ページです。経営許可の申請は市町村に問い合わせるよう案内し、墓地は市町村長が経営するのが原則としています。どちらにも、墓じまいの助成は載っていません。
墓じまいの費用を、誰が出すかで迷う人もいます。兄弟で分けるつもりだった人の記録です。
愛知県新城市にある先祖の墓をしまい、寺の永代供養に移した名古屋育ちの当事者(個人ブログ・note)
今回必要になったお金は以下の通り。 石材店 26万円 お寺 72万円 合計98万円
私は男3人兄弟の次男。 父が亡くなった時や、家を売却した時に3人で遺産を分割しました。
元々墓じまいをしようと思い立った時はあの遺産を3人が一部戻せばいいじゃんでした。
父が亡くなって約20年、家も売り、墓だけが残っていました。弟は大病で入退院を繰り返し、本人は全額を自分で出すと決めています。鹿児島市の補助金も、対象は共同墓地の管理組合の工事です。
出典: 墓じまいからの永代供養98万円也(note)(台帳: V0121)
鹿児島市の墓地の案内で「補助」が出てくるのは、共同墓地の管理のページです。管理組合が管理する共同墓地で、災害復旧や参道の整備などの工事をするときに、費用を補助します。総務省の2023年の報告書は、この事業の対象に、共同墓地の墓石を代表の墓にまとめる「整備統合」も挙げています。整備統合の補助は改葬許可1件につき2,000円で、近年は交付の実績がないとしています。どちらも、墓をしまう個人の撤去費に使う補助ではありません。
墓じまいの費用を助成する市は、全国にあります。確かめた4市の制度は、どれもその市が経営する墓地を返す人に向けたものです。
| 市(墓地) | 制度の中身 |
|---|---|
| 市川市(市川市霊園) | 一般墓地を返すとき、更地に戻す費用の全部または一部を助成します。 |
| 浦安市(浦安市墓地公園) | 墓石の撤去などの費用を、返したあとに補助します。上限は15万円です。 |
| 太田市(八王子山公園墓地) | 無縁墓地の対策として、返すときの墓石の撤去の費用を助成します。 |
| 新居浜市(市営墓地) | 2023年の報告書の時点で、区画を返して合葬式施設を使う人は、施設の使用料が全額免除でした。市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。 |
新居浜市の制度は、総務省が2023年の報告書で、区画の自発的な返還を促す取組の例に挙げたものです。集落や個人の墓地にある墓は、表の市の制度の対象に入りません。全国の制度は、墓じまい補助金の記事で比べています。
霧島市・鹿屋市や離島、県外から。窓口は墓のある市町村
鹿児島県で許可された改葬は、2022年度が4,502件、2023年度が4,393件、2024年度が5,633件でした。鹿児島市は、同じ3年で1,473件、1,341件、1,386件です。
鹿児島市の外の市町村で許可された改葬も多くあります。鎌倉新書が2026年1月に、「いいお墓」の利用者で墓じまいを考えた・した733人に聞くと、検討の理由の最多は「お墓が遠方にある」の52.0%でした。
遠い市営霊園の墓を、一度も現地に行かずにしまった人の記録です。
電車とバスを乗り継ぐ遠い市営霊園の墓を、石材店に頼んでしまった当事者(個人ブログ・note)
私は一度も現地に行っていない。
書類を書いて送ったり、必要なことを確認したりするだけで、遠くにあるお墓を手放すことができた。
4月に石材店へ問い合わせ、8月初旬に墓の撤去と更地化が終わりました。市への書類は、石材店が代わりに出してくれたと書いています。改葬の許可を出すのは、墓のある市町村です。
出典: 墓じまい|費用と手続き期間の記録(note)(台帳: V0002)
改葬の許可を申請する先は、住んでいる市町村ではなく、墓のある市町村です。法律は、改葬の許可を出すのを、遺骨がいまある場所の市町村長と定めています。屋久島や奄美大島などの離島にある墓なら、その島の市町村に申請します。
申請書の様式は、市区町村ごとに違います。申請書には、墓地の管理者が作った埋葬の事実の証明を添えます。申請する人が墓地の使用者(名義人)でないときは、使用者の承諾書も要ります。
そろえる書類の全体は、墓じまいの書類の記事にまとめました。墓が熊本県・宮崎県・沖縄県にあるなら、熊本県のページ・宮崎県のページ・沖縄県のページで、その県の案内を確かめられます。
集落や個人の墓地、寺の納骨堂にある墓は、管理者の証明から
鹿児島県の墓地は、2024年度末で9,350区域でした。数えているのは墓地の区域で、墓の数ではありません。このうち7,143区域は、国の統計で「その他」に分けられています。個人の墓地は2,075区域です。
厚生労働科学研究の研究班の報告書は、統計の「その他」を、共同墓地やムラ墓地とも呼ばれる集落の墓地としています。
宗教法人の墓地は26区域ですが、納骨堂は933施設のうち363施設を宗教法人が経営しています。一橋大学国際・公共政策大学院の2016年の報告書は、鹿児島市は寺の墓地が少なく、市営墓地や共同墓地が非常に多いと述べています。理由に挙げるのは、幕末から明治9年ごろにかけての仏教弾圧(廃仏毀釈)の影響です。
鹿児島市は2012年度の調査で、市内の共同墓地を642か所把握しています。地域で管理する墓地では、墓じまいの最初の相手が役所ではないこともあります。高齢者の墓じまいを支援してきた人の記録です。
高齢者の相談支援で独立し、墓じまいを支援してきた福祉職(個人ブログ・note)
私が支援した中で、畑の中にお墓が10基ほどあるところがありました。
この場合は、所有者や管理者が誰かを確認する必要があります。 ※御骨を移すために、行政へ届け出をします。 そこに管理者等を記載する必要があります。
支援した墓じまいは3回で、いまは4回目を手伝っていると書いています。墓が寺・霊園・それ以外のどこにあるかで、対応が変わるといいます。国の規則も、改葬の申請書に墓地の管理者の証明を添えると定めています。
出典: 高齢者の支援 ~墓じまい~(note)(台帳: V0044)
墓のある場所によって、最初に話す相手が違います。
| 墓のある場所 | 最初の相手と、頼むこと |
|---|---|
| 市町村の墓地 | 担当の課です。鹿児島市の市営墓地は、環境衛生課斎園係か谷山支所の分室が問い合わせ先です。 |
| 寺の墓地・納骨堂 | 住職です。日蓮宗のQ&Aは、改葬では墓石を処分するので必ず「御霊抜き」の法要を営むとし、住職への相談を勧めています。 |
| 集落の共同墓地 | 管理組合など、墓地の管理者です。改葬の申請書に添える、埋葬の事実の証明を頼みます。 |
| 個人の墓地 | 墓地の管理者です。管理者が分からないときは、代わりの書面で受け付けるかを、墓のある市町村に聞きます。 |
集落や個人の墓地なら、まず管理者を確かめ、証明を頼みます。総務省が2023年の報告書で実地調査した88市町村では、代わりの書面を求めるのが47.7%でした。何を出せばよいかは、墓のある市町村に先に聞きます。閉眼供養のお布施は、墓じまいのお布施の記事にまとめました。
助成の代わりに。合葬墓と見積もり・進める順番
移し先の一つに、公営の合葬墓があります。鹿児島市営合葬墓の使用料は、支払いが1度だけで、管理料は別にかかりません。墓じまいの移し先として申し込めるのは、鹿児島市内の市営墓地・市営納骨堂・共同墓地を返す人です。市外の墓や、民営の墓地から移すことはできません。
総務省の2023年の報告書では、公営の墓地や納骨堂を持つ765市町村のうち、合葬式の施設を持つのは25.5%でした。鎌倉新書の2026年の調査では、墓じまい後の移し先で最も多かったのは「永代供養(合祀・合葬墓)」の43.2%です。
助成の有無を確かめたあとの進め方を、順に並べました。
| 順番 | すること |
|---|---|
| 1 見積もりを取る | 見積もりの単位は店で違うので、複数の石材店に頼み、額と内訳を比べます。 |
| 2 親族と話す | 改葬の許可を申請できるのは墓地の使用者が原則で、親族の同意書が要る場合もあります。 |
| 3 移し先を決める | 合葬墓や納骨堂などから選びます。鹿児島市営合葬墓の案内は、親族と十分に相談してから申し込むよう求めています。 |
| 4 改葬許可を申請する | 墓のある市町村に、管理者の証明を添えて申請します。 |
| 5 閉眼供養 | 寺の墓なら、法要について住職に相談します。 |
| 6 撤去して返す | 鹿児島市の市営墓地は、撤去の前に返還の届けを出し、更地にして返します。 |
日本石材産業協会が2023年度に石材店へ尋ねた調査では、見積もりの単位は面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれていました。工事を頼む前に、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。
費用の内訳は墓じまい費用の記事に、業者に頼める範囲は墓じまい業者の記事に、移し先の比べ方は遺骨の行き先の記事にまとめました。
まとめ
鹿児島県の墓地・納骨堂の案内にも、県内で確かめた鹿児島市の案内と条例にも、墓じまいの助成は載っていません。全国で確かめた助成も、市が経営する墓地を返す人に向けた制度です。
改葬の許可は、住んでいる所ではなく、墓のある市町村に申請します。集落や個人の墓地なら、管理者の証明をもらえるかを先に確かめます。鹿児島市の市営墓地などを返す人は、市営合葬墓に1柱3万8000円から移せます。見積もりの単位は店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べてから決めてください。
