沖縄県の墓じまい補助金は?県の案内になし・那覇市は使用料免除

沖縄県の墓じまい補助金は?県の案内になし・那覇市は使用料免除
目次

沖縄県で墓じまいをするとき、県や市から補助金は出るのでしょうか。那覇市の外や県外に住んでいる人、個人の墓や門中墓をしまう人は、どこで何を確かめればよいのでしょうか。

確かめたのは、沖縄県の「墓地等に関すること」のページと2018年の県議会の会議録、那覇市の改葬許可と市民共同墓の案内、那覇市霊園条例です。厚生労働省の衛生行政報告例、総務省の調査報告書、国民生活センターの「国民生活」も出典にしました。

まず結論から

  • 沖縄県の墓地の案内(薬務生活衛生課・2024年1月更新)に、墓じまいの助成は載っていません。県内で確かめた那覇市にあるのは、現金の助成ではなく、識名霊園の墓地を返して市民共同墓へ移す人の使用料の全額免除です。
  • 2018年6月21日の県議会で、県の保健医療部長は、公営墓地の整備を進めるよう市町村に助言してきたと答えました。墓地の経営の許可の権限は、平成24年から28年にかけて全市町村へ移しています。
  • 改葬の許可を出すのは、県ではなく、遺骨のある市町村です。2024年度に県内で許可された改葬3,621件のうち、那覇市は1,298件でした。
  • 沖縄県の墓地20,570区域のうち、20,415区域は経営主体が個人です(2024年度末)。那覇市の案内では、個人墓・門中墓で申請者と使用者が違えば、使用者の承諾が要ります。
  • 撤去の工事は、見積もりの単位が店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べて頼みます。

墓のある場所で、申請先とお金の制度が変わる

遺骨を別の墓や納骨堂へ移すことを「改葬」といい、遺骨がいまある市町村の長の許可が要ります。那覇市の案内も、遺骨のある市町村に申請するよう答えています。墓の場所ごとに、申請先とお金の制度を並べます。

墓のある場所改葬許可の申請先お金の制度
識名霊園(那覇市営)の墓地那覇市のハイサイ市民課か、首里・真和志・小禄の支所です。手数料は無料で、郵送は本庁だけが受け付けます。返して市民共同墓の合葬室などへ移すと、使用料が全額免除です。払った使用料は、原則として戻りません。
那覇市内の個人の墓・門中墓・寺の墓識名霊園の墓と同じ窓口です。免除の決まり(条例第9条第2号)の対象外です。市民共同墓の合葬室は、1骨壺30,000円です。
那覇市の外の墓(県内・県外)墓のある市町村の役所です。墓のある市町村で確かめます。沖縄県の墓地の案内に、墓じまいの助成は載っていません。

沖縄県の案内には、市町村ごとの墓地の担当課の一覧(2022年3月31日現在)があります。墓地の新設や移設の相談先で、那覇市は環境保全課です。那覇市の改葬許可は、別の課のハイサイ市民課が受け付けます。

那覇市の窓口と書類は那覇市の墓じまい手続きの記事に、免除と還付の条件は那覇市の墓じまい補助金の記事にまとめました。

沖縄県に墓じまいの補助金はある?

沖縄県の「墓地等に関すること」のページは、2024年1月11日の更新です。載っているのは、墓地の定義と許可、個人墓の散在の問題、市町村の担当課の一覧、広域火葬計画です。墓じまいの助成は、このページに載っていません。

2018年6月21日の県議会では、保健医療部長が、県は沖縄県墓地公園整備基本指針を定めたと答えました。指針は、公営墓地の整備を進め、個人墓地は原則として認めない方向を示していると説明しました。答弁の時点で、公営墓地を置く市町村は19、公営墓地は43か所・墳墓は8,367基でした。

お金は、撤去の工事だけでなく、遺骨の移し先にもかかります。市営霊園の墓をしまい、寺の永代供養墓へ移した人の記録です。

父の死を機に、姉と市営霊園の墓をしまい、寺の永代供養墓へ移した当事者(個人ブログ)

私がお願いしたお寺では、お墓から永代供養墓に移した場合の費用は骨壺1つに対して年間1万円でした。

30年供養してもらう場合は、30万円を最初に一括で支払います。

我が家のお墓には、3人の遺骨が入っていますので、30万円×3人で90万円になります。

父親を入れたら120万円です。

父が胆管癌で亡くなったのを機に、姉と決めた墓じまいです。このあと住職から聞いた方法で、4人の遺骨を1つの骨壺にまとめました。那覇市民共同墓の合葬室も、料金は骨壺1つごとです。

出典: 墓じまい:費用とやり方を解説!私たちの選んだ永代供養の詳細(Rinのシンプルライフ)(台帳: V0013)

那覇市霊園条例と施行規則では、識名霊園の墓地を返し、続けて合葬用納骨室(1壇まで)か合葬室を使う人は、使用料が全額免除されます。申し込みには、那覇市霊園施設使用料減免申請書を使います。

那覇市民共同墓の使用料は次のとおりです。市外に住む人は、資格の緩和に当たれば申し込めますが、使用料は条例の表の額に5割を加えた額です。

施設使用料(市内に住む人)
合葬室(永年)1骨壺30,000円です。
合葬用納骨室(1体用)12年82,000円、32年169,000円です。
合葬用納骨室(2体用)12年164,000円、32年338,000円です。

合葬用納骨室の額には、合葬室の30,000円が含まれます。1体用・2体用の納骨壇に納める容器は、幅と奥行きが29cm以下、高さが36cm以下で、骨箱などの外装をしないものです。

全日本墓園協会の横田睦氏は、骨壺ごとに一定期間管理する施設では、取り出す骨壺の数しだいで費用がふくらむと指摘しています。総務省の2023年の報告書は、那覇市と同じ形の全額免除を、愛媛県新居浜市の取組として紹介しています。2010年度から2021年度までに、計466柱の利用がありました。新居浜市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。

全国の助成の中身は墓じまい補助金の記事で、九州の市営の合葬墓の料金は鹿児島市の墓じまい補助金の記事で比べられます。合葬の墓の選び方は永代供養の記事にあります。

遠くに住んでいるときは?改葬の申請先は墓のある市町村

厚生労働省の衛生行政報告例によると、2024年度に沖縄県で許可された改葬は3,621件でした。そのうち那覇市は1,298件です。2022年度は県が3,103件・那覇市が1,125件、2023年度は県が4,983件・那覇市が1,734件でした。

沖縄県で許可された改葬の件数を年度別に示した縦棒グラフ。沖縄県は2022年度が3,103件、2023年度が4,983件、2024年度が3,621件で、年に3,103〜4,983件。うち那覇市は2022年度が1,125件、2023年度が1,734件、2024年度が1,298件。那覇市の件数は県の件数に含まれる
図1: 沖縄県と那覇市の改葬の件数(年度別)。出典: 厚生労働省「衛生行政報告例」令和4年度 第6表/同 令和5年度/同 令和6年度

改葬許可の申請先は、住まいではなく墓のある市町村です。墓から遠く離れて暮らす人も、その役所に申請します。現地に行かずに墓をしまった人の記録です。

遠い市営霊園の墓を、石材店に頼んでしまった女性(個人ブログ・note)

私は一度も現地に行っていない。

書類を書いて送ったり、必要なことを確認したりするだけで、遠くにあるお墓を手放すことができた。

電車を乗り継ぎ、さらにバスで行く霊園の墓です。4月頃に石材店へ問い合わせ、市への書類も石材店の代行で進め、8月初旬に撤去を終えました。那覇市も郵送で申請でき、受け付けるのは本庁だけです。

出典: 墓じまい|費用と手続き期間の記録(note)(台帳: V0002)

那覇市に郵送で申請するときは、返信用封筒と、日中に連絡が取れる電話番号を書いた紙を添えます。那覇市の外の墓なら、郵送できるかどうかも墓のある役所で確かめます。県外に墓がある人も、申請先はその墓のある市町村です。

鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人のうち、改葬・墓じまいを考えた・した733人に聞きました。墓じまいを考えた理由の最多は「お墓が遠方にある」で、52.0%でした。

改葬という言葉の意味は墓じまいと改葬の違いの記事に、那覇市の窓口の場所と受付の時間は那覇市の墓じまい手続きの記事にまとめました。

個人の墓・門中墓は?使用者と管理者を先に確かめる

厚生労働省の衛生行政報告例では、2024年度末の沖縄県の墓地は20,570区域でした。そのうち20,415区域は、経営主体が個人です。全国では876,042区域のうち721,647区域が個人でした。数えているのは墓地の区域で、墓の数ではありません。

沖縄県の墓地20,570区域を経営主体で分けた横棒グラフ。2024年度末の区域の数で、個人が20,415区域、宗教法人が53区域、地方公共団体が41区域、公益社団・財団法人が31区域、その他が30区域。1区域は墓地1つで、墓の数ではない
図2: 沖縄県の墓地を経営する者の内訳(区域の数)。出典: 厚生労働省「衛生行政報告例」令和6年度 第5表

愛媛大学の竹内康博氏は講演録(2021年)で、一族の人たちが入る大きな墓を門中墓と紹介しています。沖縄の墓は、一族の墓から家族の墓へ移りつつあるとも話しています。

高齢者の墓じまいを支援してきた福祉職が、畑の中の墓に出会った記録です。

地域の高齢者の相談支援で、墓じまいを手伝ってきた福祉職(個人ブログ・note)

私が支援した中で、畑の中にお墓が10基ほどあるところがありました。

この場合は、所有者や管理者が誰かを確認する必要があります。

※御骨を移すために、行政へ届け出をします。

そこに管理者等を記載する必要があります。

地域のお年寄りを支えたいと独立し、墓じまいの支援を重ねてきた人です。墓が寺・霊園・その他のどこにあるかで、対応が変わると書いています。国の規則は、改葬許可の申請書に墓地の管理者の証明を添えると定めます。

出典: 高齢者の支援 ~墓じまい~(note)(台帳: V0044)

那覇市の案内では、申請に添える書類が墓の種類で変わります。

墓の種類・場合那覇市の案内で添えるもの
霊園・寺・納骨堂の墓その管理者が出す収蔵証明書などの書面です。
那覇市の納骨堂環境保全課が出す収蔵証明書です。
個人のお墓墓の場所を示す地図です。ゼンリンの地図など、著作権のあるものは避けます。
申請者と使用者が違う(個人墓・門中墓など)墓の使用者(墓地管理者や親族の代表者など)の承諾書か、申請書の同意欄への署名です。

国民生活センターの「国民生活」2025年12月号で、全日本墓園協会の横田睦氏は、個人墓地や集落墓地には証明を出す管理者がいないことがあると書いています。その場合は、市町村長が認める「これに準ずる書面」で代えられます。何が認められるかは市町村で違うので、窓口への事前の相談を勧めています。

個人の墓・門中墓では、誰が使用者で誰が管理者かを先に確かめてから申請します。家の墓地そのものをなくすときは、墓地の廃止の許可も要ります。沖縄県は墓地の経営の許可の権限を全市町村へ移しており、担当課は県の案内の一覧で確かめられます。

書類の全体は、墓じまいに必要な書類の記事にまとめました。

沖縄で墓じまいを進める順番と費用の比べ方

進める順番を並べます。役所の手続きの部分は、法律と那覇市の案内によります。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。

順番すること
1 見積もりを頼む複数の石材店に頼み、額と内訳を比べます。見積もりの単位は店で違います。
2 親族と話し合うできるだけ多くの親族と相談するよう、横田睦氏は勧めています。使用者が別の人なら、その人の承諾も要ります。
3 移し先を決める那覇市民共同墓は、那覇市に住み、祭祀を主宰し、遺骨を持っている人が使えます。
4 証明をそろえる今の墓の管理者に証明をもらいます。那覇市では、個人のお墓は墓の場所の地図を出します。
5 改葬許可を受ける墓のある市町村に申請します。
6 閉眼供養寺の墓なら、墓石を処分する前の「御霊抜き」の法要を、菩提寺の住職に相談します。日蓮宗の公式のQ&Aの答えです。
7 取り出しと撤去識名霊園では、取り出す前に市の承認を受け、職員の立会いを求めます。墓地は元の状態に戻して返します。

鎌倉新書の同じ調査で、墓じまいをした・している人に費用を聞くと、「31万円~70万円」が31.3%で最多でした。日本石材産業協会は2023年度、石材店に見積もりの積算の単位を聞きました。184件の回答は、面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。

同じ墓でも、店ごとに物差しが違います。見積もりは複数の石材店から取り、額と内訳を並べて比べてください。業者に頼める範囲は墓じまい業者の記事に、総額の内訳は墓じまい費用の記事に、寺に包むお金はお布施の記事にまとめました。

まとめ

沖縄県の墓地の案内に、墓じまいの助成は載っていません。県内で確かめた那覇市では、識名霊園の墓地を返して市民共同墓へ移す人の使用料が全額免除されます。2018年の県議会の答弁は、公営墓地の整備と市町村への助言の話でした。

改葬許可は、住まいではなく墓のある市町村に申請します。個人墓・門中墓は、使用者の承諾と管理者の証明を先に確かめます。撤去工事の見積もりは単位が店で違うので、複数の石材店から取って額と内訳を比べます。墓が鹿児島県にあるなら、鹿児島県の墓じまいの記事もあります。

参考文献

  1. 沖縄県(保健医療介護部 薬務生活衛生課)「墓地等に関すること」(2024年1月11日更新).
  2. 沖縄県議会「平成30年第4回沖縄県議会(定例会)会議録」第4号(2018年6月21日)一般質問 沖縄県の墓地政策についての保健医療部長の答弁.
  3. 那覇市「那覇市霊園条例」(平成25年条例第51号・令和4年10月11日改正)第6条・第8条・第9条・第15条・第23条・別表.
  4. 那覇市「那覇市霊園条例施行規則」(平成25年規則第86号・令和4年10月11日改正)第11条・第18条.
  5. 那覇市(環境部 環境保全課 墓地行政推進グループ)「那覇市民共同墓」(2026年6月25日更新).
  6. 那覇市(市民文化部 ハイサイ市民課)「改葬許可申請」(2025年12月24日更新).
  7. 「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)第5条・第10条. e-Gov 法令検索.
  8. 「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」(昭和23年厚生省令第24号)第2条. e-Gov 法令検索.
  9. 厚生労働省 (2025)「衛生行政報告例 令和6年度」第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数(沖縄県と沖縄県那覇市の行). e-Stat.
  10. 厚生労働省「衛生行政報告例 令和5年度」第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数(沖縄県と沖縄県那覇市の行). e-Stat.
  11. 厚生労働省「衛生行政報告例 令和4年度」第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数(沖縄県と沖縄県那覇市の行). e-Stat.
  12. 厚生労働省 (2025)「衛生行政報告例 令和6年度」第5表 墓地・火葬場・納骨堂数,経営主体・都道府県-指定都市-中核市(再掲)別(全国と沖縄県の行). 墓地は区域の数. e-Stat.
  13. 国民生活センター (2025)「国民生活」2025年12月号(No.160)特集「『家』を継げない時代の埋葬と祭祀を考える」特集3(横田睦).
  14. 日蓮宗ポータルサイト「仏教・仏事のQ&A お墓・お墓参りについて」.
  15. 総務省行政評価局 (2023)「墓地行政に関する調査 -公営墓地における無縁墳墓を中心として- 結果報告書」. 表2-(2)-① 使用区画の自発的な返還を促進する取組を行っている例.
  16. 竹内康博 (2021)「〈講演録〉民法と宗教法―墓地使用権の法的性格―」愛知学院大学宗教法制研究所紀要 第61号.
  17. 鎌倉新書 (2026)【第4回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)全文版. 対象は同社サイト「いいお墓」経由で資料請求・霊園見学をした人のうち、改葬・墓じまいを検討・実施した人(2026年1月・インターネット調査・有効回答733件).
  18. 日本石材産業協会 (2023)「お墓じまいに関する業界内意識調査」結果(2023年度お墓じまいアンケート). 回答者は石材店.
  19. 新居浜市(環境政策課)「墓じまいについて」(2025年4月1日更新).

当事者の口コミの出典: V0013(個人ブログ)/V0002(note)/V0044(note)。いずれも本人が公開している記録で、引用は原文のままです。

更新履歴: 2026-10-04 公開/2026-10-05 新居浜市の2025年の案内を追記・隣の県の記事へのリンクを足した