まず結論から
- 那覇市には、識名霊園の墓地を返して市民共同墓の合葬室か合葬用納骨室(1壇まで)へ移す人の、使用料を全額免除する決まりがあります。現金の補助ではなく、減免申請書で申し込みます。
- 個人の墓地や寺の墓地など、識名霊園の外の墓から移す人は、条例第9条第2号の決まりの対象外です。市民共同墓の合葬室の使用料は1体3万円です。
- 市外に住む人は、資格の緩和に当たる場合に申し込め、使用料は条例の表の額に5割を加えた額です。
- 払った使用料は、原則として還付されません。規則が定める還付は、使わないまま期間内に返したときの半額などです。
- 墓地は使用者が元の状態に戻して返します。撤去の工事は、見積もりの単位が店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べて頼みます。改葬許可の手数料は無料です。
識名霊園の墓を返して市民共同墓へ。使用料は全額免除
那覇市霊園条例は、使用料を減らしたり免除したりできる場合を3つ挙げています。墓じまいに当たるのは第2号で、識名霊園の墳墓地の使用者が墓地を返し、続けて合葬用納骨室(1壇まで)か合葬室を使う場合です。
東京の都立霊園にも、墓を返して合葬式墓地へ移す制度があります。その制度を使った人の記録です。
都立八柱霊園にある母方の祖父母の墓を、合葬の施設へ移した孫(個人ブログ・note)
先日、八柱霊園の管理事務所に電話で問い合わせをし、手続きに必要な書類を郵送してもらうことになっていた。
その書類が早速届いた。
「施設変更制度に関するお知らせ」 「施設変更申請に必要な申請書類」 「都立霊園合葬埋葬施設使用の手引(施設変更)」
2023年6月、高齢の母に代わって手続きを進めた孫の記録です。都立霊園では、承継者がいない使用者が墓を返して合葬式墓地へ移すと、使用料と年間管理料が要りません。
出典: 墓じまいのはなし ③(note)(台帳: V0058)
那覇市の決まりも、墓を返して市の合葬の墓へ移す人の使用料を求めない形です。条例と規則の、使用料の免除と還付の決まりは次のとおりです。
| 当てはまる場合 | 那覇市の決まり |
|---|---|
| 識名霊園の墓地を返し、続けて市民共同墓を使う | 合葬用納骨室(納骨壇か特殊壇1壇まで)か合葬室の使用料の全額を減免します。 |
| 生活保護を受けている使用者が、合葬室(生前予約を除く)か参拝室を使う | 使用料の全額を減免します。 |
| そのほか、市長が特に必要と認めるとき | 市長が必要と認める額を減免します。 |
| 使わないまま期間内に返す | 墳墓地は許可から5年、市民共同墓は1年のうちに返すと、使用料の2分の1を還付します。 |
| 上のどれにも当たらない | 払った使用料は還付しません。 |
免除の申し込みには、那覇市霊園施設使用料減免申請書を使います。墓地を返す届けと書類は、那覇市の墓じまい手続きの記事にまとめました。払うめどが立たないときの考え方は、墓じまいのお金がないときの記事で整理しています。
市民共同墓は、識名霊園の中にある市の施設です。合葬式墓地は、1つの大きなお墓に複数の遺骨を納め、市が永年管理します。使用資格は、那覇市に住み、祭祀を主宰し、遺骨を持っている人です。
総務省の2023年の報告書は、市営墓地を返して合葬式施設へ移す人の使用料を全額免除する、愛媛県新居浜市の制度を紹介しています。2010年度から2021年度までに、計466柱の利用がありました。新居浜市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。
識名霊園の外から移す人の費用。1体ごと・市外は5割増し
個人の墓地や寺の墓地など、識名霊園の外の墓から移す人は、第2号の決まりの対象外です。市民共同墓へ移すなら、使用料を納めます。
移し先に払うお金も、墓じまいの費用の一部です。兄の墓をしまい、公営の合葬式墓地へ移した人の寄稿です。
兄の墓をしまい、公営の合葬式墓地へ移した当事者(ハルメク これからの生き方・読者アンバサダーの寄稿)
墓じまいは、「離檀料」と新たに作る「墓代」で、金額が大幅に変わります。私の場合、離檀料を払う必要がなかったこと、墓の移転先が公営の合葬式墓地だったこともあり、相場より安くすみました。
2025年6月の墓じまいです。住職の代替わりのあと管理費の前納を求められたことがあり、移し先は金額がはっきりしていることにこだわったと書いています。那覇市民共同墓の合葬室は、1体3万円で永年使えます。
出典: 「墓じまいの」金銭トラブルを防ぐ!総額45万円で抑えたわが家の体験談(ハルメク これからの生き方)(台帳: V0020)
那覇市民共同墓の使用料は、施設と期間で次のように分かれます。
合葬用納骨室は、合葬室へ移す前に12年か32年、納骨壇に納める施設です。使用料には合葬室の3万円が含まれ、期間が過ぎると市が合葬室へ移します。合葬室に納めた遺骨は、あとから返してもらえません。
料金は1体(1骨壺・1壇)ごとにかかります。全日本墓園協会の横田睦氏は、骨壺ごとに管理する施設では、取り出す骨壺の数しだいで費用がふくらむと指摘しています。納める骨壺の大きさには規格があります。
市外に住む人は、資格の緩和に当たる場合に申し込めますが、使用料の額は変わります。条例は、市外に住む使用者の使用料を、表の額に100分の50を加えた額としています。緩和の中身は、環境保全課に問い合わせるよう市は案内しています。
鎌倉新書が2026年1月に行った調査では、墓じまい後の遺骨の引っ越し先は「永代供養(合祀・合葬墓)」が43.2%で最多でした。調査の対象は、同社の「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人のうち、墓じまいを考えた・した人です。
払った使用料は戻る?撤去の費用は見積もりで比べる
識名霊園の墓地を返しても、払った使用料は原則として還付されません。返還を受ける霊園の側から、工事の日を書いた記録があります。
霊園の管理事務所に勤め、墓じまいの工事に立ち会った人(個人ブログ・note)
今日、霊園で墓じまいの工事に立ち会った。
その区画が契約されたのは、20年前。 墓石も、その頃に建立されている。
それから20年間。 管理料が遅れたことは、一度もなかった。 けれど、そのお墓には結局、誰も入ることがなかった。
青森の霊園で働く人の記録です。区画を求めた夫婦は、東京で暮らす息子に負担をかけたくないと、返還を申し出たそうです。識名霊園の墓地で半額が戻るのは、使わないまま許可から5年以内に返したときです。
出典: 一度も使われなかったお墓を、今日、解体した。(note)(台帳: V0049)
規則第10条が定める還付は2つです。1つは、施設を使わないまま、墳墓地なら許可から5年、市民共同墓なら1年のうちに返した場合で、使用料の半額です。もう1つは、市長が必要と認める場合です。遺骨を納めてきた墓を返すときは、使用料は戻らないと考えておきます。
墓地は、使用者が元の状態に戻して市に返す決まりです。横田睦氏も、墓石の撤去は使用者の義務とされていると書いています。
鎌倉新書の2026年の調査では、墓じまいをした・している人の実施費用は「31万〜70万円」が31.3%で最多でした。日本石材産業協会が2023年度に石材店へ聞いた調査では、見積もりの積算の単位は、面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれていました。
撤去の工事は、複数の石材店に見積もりを頼み、額と内訳を比べてから頼みます。費用の内訳は墓じまい費用の記事に、業者に頼める範囲は墓じまい業者の記事にまとめました。
沖縄県と全国の墓じまいの助成
沖縄県の墓地の案内(薬務生活衛生課・2024年1月更新)には、墓じまいの助成は載っていません。案内には、県内の市町村ごとの墓地の担当課の一覧(2022年3月31日現在)があり、那覇市は環境保全課です。
総務省の2023年の報告書の時点で、墓じまいに関わる市町村の取組には次の例がありました。
| 市 | 報告書にある取組 |
|---|---|
| 愛媛県新居浜市 | 2023年の報告書の時点で、市営墓地を返して合葬式施設へ移す人の使用料を全額免除していました。 |
| 北海道苫小牧市 | 2023年の報告書の時点で、墓じまいのローンの利息と信用保証料に、最大5万円を助成する事業がありました。利用の実績は無いとされています。 |
| 鹿児島県鹿児島市 | 墓じまいの移し先にもなる合葬墓を整備する計画をまとめました。 |
| 沖縄県那覇市 | 合葬式施設の設置例として、那覇市民共同墓が挙がっています。 |
那覇市では、改葬許可の交付手数料も無料です。全国の制度は墓じまい補助金の記事で、鹿児島市の合葬墓の料金は鹿児島市の墓じまい補助金の記事で比べられます。
沖縄県の助成のことと、墓が沖縄県内のほかの市町村にあるときの聞く先は、沖縄県の墓じまい補助金の記事にまとめました。
まとめ
那覇市では、識名霊園の墓地を返して市民共同墓へ移す人の使用料が、全額免除されます。識名霊園の外の墓から移す人は第2号の対象外で、合葬室は1体3万円、市外に住む人は5割を加えた額です。
払った使用料は、原則として戻りません。撤去の工事は、見積もりの単位が店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べてから頼んでください。手続きの順番は、那覇市の墓じまい手続きの記事にまとめました。
