まず結論から
- 奈良県の墓地埋葬法の案内にも、県内で確かめた奈良市の改葬許可・墓地返還届・寺山霊苑納骨堂のページにも、墓じまいの助成は載っていません。
- 県の案内は、改葬の手続きも墓地の経営許可も「各市町村へ」としています。改葬の許可は遺骨のある地の市町村長が出すので、助成も墓のある市町村に聞きます。
- 助成や免除のある自治体の例は、どれもその市の墓地の区画を返す人が対象です。市川市・浦安市・太田市と、総務省の2023年の報告書の時点で使用料を免除していた新居浜市です。
- 代わりに使えるのが、奈良市の寺山霊苑納骨堂です。誰でも使える個別の永代収蔵で、使用料は市内8万円・市外15万円です。
- 撤去の工事は、見積もりの単位が店によって違うので、複数の石材店の額と内訳を比べます。
奈良県に墓じまいの補助金はある?県と奈良市の案内で確かめた
奈良県の薬務・衛生課のページは、墓地埋葬法に関することを1つの節にまとめています。埋葬・火葬・改葬の手続きと、墓地・納骨堂・火葬場の経営許可は、各市町村へ問い合わせるよう書かれています。
墓じまいの費用を誰が受け持つかを、家族で決めた人の記録です。
夫の実家の墓じまいを、帰省の席で義母・義弟と話し合った当事者。夫は長男で、地元を離れて住む(個人ブログ・アメブロ)
日頃、義実家のことは義弟に任せっきりなので墓じまいの費用については長男である夫が負担すること。
お墓に眠る遺骨の改葬先は私の両親や義両親の兄弟も眠っているお寺の納骨堂にお願いしようということになりました。
墓は山の急な斜面にある市営墓地で、膝を悪くした義母には墓参りが難しくなっていました。会食の席で、義母が自分から墓じまいを決めています。奈良県の案内も、お金ではなく窓口の話で終わっています。
出典: 帰省と墓じまいのこと(アメブロ)(台帳: V0104)
確かめた4つの案内に書かれていることは、次のとおりです。
| 確かめた案内 | 書かれていること | 助成 |
|---|---|---|
| 奈良県 薬務・衛生課(墓地埋葬法の節) | 手続きと経営許可は各市町村へ、という案内と、県内の火葬場の一覧(2026年4月時点)です。 | 記載なし |
| 奈良市 改葬許可申請 | 手数料は1枚につき300円です。オンライン申請では郵送料が別にかかります。 | 記載なし |
| 奈良市 墓地返還届 | 手続きと、墓石・延石等を撤去して元通りにすることです。 | 記載なし |
| 奈良市 寺山霊苑の納骨堂 | 永代収蔵の使用料(市内8万円・市外15万円)と、納めたあとは還付しないことです。 | 記載なし |
県の外には、墓じまいにお金を出したり、使用料を免除したりする自治体があります。どこも対象は、その自治体の墓地の区画を返す人です。
| 自治体 | 対象 | 助成・免除の中身 |
|---|---|---|
| 千葉県市川市 | 市川市霊園の一般墓地を返す人 | 更地に戻す原状回復の費用の全部か一部です。 |
| 千葉県浦安市 | 墓地公園の墓所を返す人 | 墓石の撤去など原状回復の費用で、上限150,000円です。 |
| 群馬県太田市 | 八王子山公園墓地を返す人 | 無縁墓地対策として、墓石の撤去にかかる費用です。 |
| 愛媛県新居浜市 | 市営墓地の区画を返し、合葬式施設を使う人 | 合葬式施設の使用料の全額免除でした(総務省の2023年の報告書の時点)。市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。 |
どれも、市の墓地の区画を返す人のための制度です。奈良市の市営墓地を返すときのお金は、墓地返還届の案内に書かれていないので、斎苑管理課で確かめます。
総務省の2023年の報告書では、県内の御所市が、使用者の所在が分からない区画に連絡を求める立札を立てていました。5年連絡がなく墓参りの形跡もないことを、縁故者がないと判断する目安にしています。墓をそのままにしたときの話は墓じまいしないとどうなるかの記事にまとめました。
全国の助成の例は墓じまい補助金の記事に、奈良市のお金は奈良市の墓じまい補助金の記事にあります。費用を用意できないときは墓じまいのお金がないときの記事へ。隣の府県は、京都府・大阪府・三重県・和歌山県の墓じまい補助金のページで確かめられます。
個人や集落の墓地の墓は?まず管理者を確かめる
奈良県の墓地は、統計の上では個人の経営がほとんどです。2024年度末の県の墓地4,920区域のうち、4,533区域が個人の経営でした。宗教法人は325区域、地方公共団体は47区域です。数えているのは墓地の区域で、墓の数ではありません。
厚生労働科学研究の2024年の報告書は、数えられている全国の個人墓地と集落の墓地を、法律の第26条による、いわゆる「みなし墓地」だとしています。法律ができたときに許可を受けて経営していた墓地を、許可を受けたものとみなす決まりです。
畑の中の墓をしまう手伝いをした人の記録です。
高齢者の相談支援で独立し、墓じまいを手伝ってきた福祉職(個人ブログ・note)
私が支援した中で、畑の中にお墓が10基ほどあるところがありました。
この場合は、所有者や管理者が誰かを確認する必要があります。 ※御骨を移すために、行政へ届け出をします。 そこに管理者等を記載する必要があります。
墓じまいの支援は3回を終え、4回目の途中だという人です。墓が寺・霊園・それ以外のどこにあるかで、連絡する先が変わると書いています。申請書には、今の墓の管理者による証明を付けます。
出典: 高齢者の支援 ~墓じまい~(note)(台帳: V0044)
奈良市の旧都祁村には、5つの集落が使う地蔵墓地があります。愛媛大学の竹内康博さんの講演録(2021年)によると、登記簿では5つの集落の共有地で、運営の仕方は集落ごとに違います。講演の時点で、原則として土葬の墓地でした。土葬の遺体を移すときは、いったん火葬場で火葬します。
こうした墓地では、証明を出す管理者がいないこともあります。そのときは、市町村長が必要と認める「これに準ずる書面」で代えられます。何を出せばよいかは、墓のある市町村の窓口に先に相談します。
総務省が実地調査した88市町村では、管理者の分からない墓地からの改葬で、代わりの書面を求めるところが42市町村(47.7%)でした。申請の例がなく、対応を決めていないところも22市町村(25.0%)ありました。
寺の墓なら、墓石を処分する前の「御霊抜き」の法要を、菩提寺の住職に相談します。奈良市内では、墓地92区域のうち83区域が宗教法人の経営です。書類の全体は墓じまいに必要な書類の記事に、法要のお布施は墓じまいのお布施の記事にまとめました。
奈良市の外や県外の墓は?申請は墓のある市町村へ
改葬の許可は、遺骨が今ある地の市町村長が出します。移し先の墓地の管理者は、改葬許可証を受け取ってから納骨させます。遠くの墓のために、書類をそろえた人の記録です。
熊本の市の霊園にある実家の墓をしまうため、現地へ出向いた当事者(個人ブログ・アメブロ)
あとは熊本を再訪するにあたって必要な書類等の準備
改葬許可申請届等は市役所のホームページからダウンロード出来ました
お墓の使用者が叔母(父の妹)になっていましたが入院中の為印鑑や委任状、身分証明書が必要
2024年10月末に熊本へ出向き、檀家である寺の住職に相談してから動き出した人です。遺骨は寺の永代供養の合祀墓に納めると決めました。申請する人が墓の使用者でないときは、使用者の承諾書が要ります。
出典: 墓じまい①(アメブロ)(台帳: V0034)
鎌倉新書が2026年1月、「いいお墓」経由で墓じまいを検討・実施した人に聞いた調査があります(有効回答733件)。検討の理由の最多は「お墓が遠方にある」の52.0%でした。大変だったことでは「役所の手続き」が32.3%で、「遺骨の引っ越し(改葬)先選び」の38.8%に次ぎました。
墓のある役所には、次の5つを聞きます。奈良市の墓なら、市の案内に答えがあります。
| 聞くこと | 奈良市の案内での答え |
|---|---|
| 改葬許可の窓口と出し方 | 市役所 中央棟3階の斎苑管理課です。窓口かオンラインで申請します。郵送は案内のページに記載なし → 斎苑管理課で確かめます。 |
| 改葬許可の手数料 | 1枚につき300円で、申請書は遺骨1体に1枚です。オンライン申請は郵送料が別です。 |
| 市の墓地を返すとき | 墓地返還届と墓地使用許可書(原本)を出し、墓石・延石等を撤去して元通りにします。 |
| 市の納骨堂・合葬墓 | 寺山霊苑の納骨堂で、骨壺に1体ずつ収める永代収蔵です。市内8万円・市外15万円です。 |
| 墓じまいの助成 | 上の3つの案内には載っていません。斎苑管理課で確かめます。 |
申請先は、住まいではなく、墓のある市町村です。奈良市の外に墓があれば、同じ5つをその市町村の窓口で聞きます。奈良市の手続きは奈良市の墓じまいの記事に、近くの市は京都市・堺市・和歌山市の記事にあります。
県内で許可された改葬は、2022年度が1,732件、2023年度が1,898件、2024年度が2,080件でした。2024年度に奈良市が許可したのは389件です。奈良市の外の市町村の許可も多くあります。
進める順番と、移し先・撤去の費用
墓じまいを進める順番を、表にしました。3〜5と8の段の決まりは法令に、7の段の市営墓地は奈良市の案内によります。
| 段 | すること | 決まり・理由 |
|---|---|---|
| 1 | 複数の石材店に見積もりを頼む | 見積もりの単位が店ごとに違います。 |
| 2 | 親族と話し合って決める | 墓じまいの前に、なるべく多くの親族と相談します。 |
| 3 | 移し先を決める | 申請書に「改葬の場所」を書きます。 |
| 4 | 今の墓の管理者に証明を頼む | 埋葬・埋蔵の事実を証する書面を申請書に添えます。 |
| 5 | 墓のある市町村に改葬許可を申請する | 許可するのは、遺骨が今ある地の市町村長です。 |
| 6 | 御霊抜きの法要を住職に相談する | 寺の墓では、墓石を処分する前に営みます。 |
| 7 | 遺骨を取り出し、墓石を撤去する | 奈良市の市営墓地なら墓地返還届を出し、元通りにします。 |
| 8 | 移し先に改葬許可証を出して納骨する | 移し先の管理者は、許可証を受け取ってから納めます。 |
見積もりを最初に置くのは、店ごとに見積もりの物差しが違うからです。日本石材産業協会が2023年度に石材店へ積算の単位を聞いた調査では、184件の回答が面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。
先の鎌倉新書の調査で、墓じまいをした人の費用は「31万円~70万円」が31.3%で最多でした。移し先は「永代供養(合祀・合葬墓)」が43.2%で、最も多くありました。費用の内訳は墓じまい費用の記事に、石材店の選び方は墓じまい業者の記事にまとめました。
奈良市の寺山霊苑納骨堂は、2025年12月23日に永代収蔵を始めました。2.3寸の骨壺に1体ずつ収め、預けてから15年間は遺族の申し出で返してもらえます。市外の人も申し込め、使用料は市外15万円です。市は、合同慰霊祭などの宗教的な儀式や供養をしません。
まとめ
奈良県の墓地埋葬法の案内にも、県内で確かめた奈良市の3つの案内にも、墓じまいの助成は載っていません。助成のある自治体の例は、どれもその市の墓地の区画を返す人が対象です。
改葬の許可は、墓のある市町村に申請します。奈良市なら寺山霊苑納骨堂の永代収蔵が使え、撤去の工事は複数の石材店の見積もりで額と内訳を比べてください。見積もりの単位は店によって違います。
