まず結論から
- 長崎県の生活衛生課が出す県有墓地の案内にも、長崎市・佐世保市の改葬と霊園の案内にも、墓じまいの助成は載っていません。
- 改葬の許可を出すのは、県ではなく、遺骨が今ある地の市町村長です。諫早・島原・五島・対馬などに墓があるなら、聞く先はその市・町です。
- 長崎市有墓地・佐世保市民霊園・長崎県有墓地は、どれも返しても払った使用料が原則戻りません。
- 佐世保市民霊園に永代供養墓はなく、霊園の納骨堂は1体5年分で21,360円です。預かるのは5年で、更新できるのは市長が特別な理由を認めたときです。長崎市有墓地条例の7つの墓地に、合葬の施設の定めはありません。
- 撤去の見積もりは、単位(積算の仕方)が石材店で違います。複数の石材店の額と内訳を比べます。
長崎県に墓じまいの補助金はある?聞く先は墓のある市・町
長崎県の生活衛生課は、県が管理する長崎県有墓地(長崎市坂本2丁目)の案内を出しています。載っているのは、区画の貸付の募集や、使用者が亡くなったとき・返すときの届出などです。墓じまいの助成は載っていません。
改葬の許可も、県の仕事ではありません。法律は、改葬の許可を、遺骨が今ある地の市町村長が出すと定めています。聞く先は、住まいではなく墓のある市・町の役所です。
飛行機で帰る先にある義父の遺骨を、永代供養へ移す準備をしている嫁(個人ブログ・アメブロ)
改葬するにあたってはまず役所に連絡して改葬許可証の交付を受けないといけない
叔母たちは話の1か月後に先祖の遺骨を迎えに動き、本人は夏の飛行機代を見て、時期をずらすことにしました。役所には平日しか電話できず、手続きが進まないとも書いています。許可を出すのは、遺骨が今ある地の市町村長です。
出典: 遺骨を取りに帰省するそうです(アメブロ)(台帳: V0091)
長崎県と2市について、開いて確かめた案内の中身は次のとおりです。
| 墓地・市 | 助成の記載 | 聞く先 |
|---|---|---|
| 長崎県有墓地(長崎市坂本2丁目) | 県有墓地の案内に載っていません。 | 区画を返すときは、県の生活衛生課(095-895-2363)に前もって相談します。 |
| 長崎市 | 改葬の案内と、広報ながさきの墓じまいの回答に載っていません。 | 改葬許可は生活衛生課(095-829-1155)です。手数料は案内のページに記載なし → 生活衛生課で確かめます。 |
| 佐世保市 | 改葬と市民霊園の案内に載っていません。 | 改葬許可は生活衛生課です。手数料はかからず、郵送でも申請できます。 |
2市の手続きは長崎市の墓じまいの記事と佐世保市の墓じまいの記事に、お金の話は長崎市の補助金の記事と佐世保市の補助金の記事にまとめました。
助成を出している市の例です。千葉県市川市は、市川市霊園の一般墓地を返す人に、更地に戻す費用の全部か一部を助成しています。受付は2026年5月に予算額に達していったん終わり、9月16日に補正予算が認められて再開しました。群馬県太田市は、八王子山公園墓地の無縁墓地対策として、返すときの墓石の撤去の費用を助成しています。
総務省行政評価局の2023年の報告書は、市営墓地を返して合葬式施設を使う人の使用料を全額免除する、愛媛県新居浜市の例を挙げています。新居浜市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。どれも、その市が持つ墓地を返す人向けです。全国の制度の見分け方は、墓じまい補助金の記事にまとめました。
墓を返すと使用料は戻る?県内の公営の移し先は
助成の代わりに、返した区画のお金が戻るかを確かめました。移し先になる公営の施設も、2市と県有墓地で違います。
山の上の墓をしまうことにし、檀家の寺の納骨堂を1区画借りた本人(個人ブログ・アメブロ)
そのお寺は駐車場からしばらく歩き
階段を登っていく
私も、母も
その階段だけがひとつ難点だ
それでも、あの山の上のお墓よりは
まだ行きやすいし
管理しやすい
納骨堂は、連絡が取れなくなれば合同墓へ移る仕組みでした。永代供養を含めて100万円には届かない額だったといい、母が負担しています。長崎県の納骨堂も、多くは宗教法人の経営です。
出典: 墓じまい〜③(アメブロ)(台帳: V0079)
3つの公営の墓地で、払った使用料と移し先を比べました。返しても、払った使用料は原則戻りません。
| 墓地 | 払った使用料 | 公営の移し先 |
|---|---|---|
| 長崎県有墓地 | 返しても返還しません。使わないまま返しても同じです。 | 墓石を建てる区画です。県内に住所がある人が、1世帯1区画を申し込めます。管理料は取りません。 |
| 長崎市有墓地(浦上・坂本国際など7か所) | 条例は「既納の使用料は、返還しない」と定めています。市長が特別の理由を認めるときは例外です。 | 条例の7つの墓地に、合葬の施設の定めはありません。 |
| 佐世保市民霊園 | 即納使用料は原則還付されません。許可から3年以内に、全部を使わずに返したときなどは例外です。 | 永代供養墓はありません。霊園の納骨堂は、佐世保市民が1体5年分21,360円で使えます。預かるのは5年で、更新できるのは市長が特別な理由を認めたときです。 |
県有墓地を返すときは、使用者が墓石などをすべて撤去し、更地にして返します。長崎市有墓地も、利用を終えたら係員の指示に従い、区画を元の状態に戻す決まりです。佐世保市民霊園の墓石の撤去費用も、使用者の負担です。
長崎県の納骨堂は、2024年度末で477施設ありました。そのうち449施設は宗教法人の経営です。宗教法人の納骨堂の数は、北海道・福岡県・佐賀県・熊本県に次ぐ多さです。
鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」の利用者で改葬・墓じまいを検討・実施した733人に調査をしました。墓じまい後の改葬先で最も多い答えは、永代供養(合祀・合葬墓)の43.2%です。納骨堂は13.3%でした。
移し先の選び方は、墓じまいの遺骨の行き先の記事と墓じまいと永代供養の記事にまとめました。寺の納骨堂が多い隣の県の事情は、佐賀県と熊本県の記事にあります。
諫早・五島・対馬など、長崎市と佐世保市の外に墓があるとき
長崎県で許可された改葬は、2022年度に6,049件、2023年度に6,731件、2024年度に6,656件でした。2024年度は、長崎市が3,559件、佐世保市が1,265件です。2市の値は県の件数に含まれ、2市の外の市町が許可した改葬も、この件数に入っています。
諫早・大村・島原・五島・対馬などに墓があるなら、改葬の許可はその市・町に申請します。助成の有無も、その市・町の窓口で聞きます。墓地によっては、管理者がはっきりしないこともあります。
山口の地域の墓地にある祖父の墓を、四十九日にしまった孫(個人ブログ・note)
そこは山口の元町村のお墓なのですが、聞けば地域の墓場で管理の大元としては自治会らしい。ただ、市役所に聞いても誰が管理しちょるのかもわからないほどに少子高齢化の煽りを受けていました。
墓は林道の先の山側にあり、寺が管理している様子もない場所でした。骨壺はまとめて、寺の永代供養へ移しています。こうした墓地では、改葬の申請に要る管理者の証明が取れないことがあります。
出典: 墓仕舞いをした話(note)(台帳: V0039)
改葬の申請には、墓地の管理者が作る、遺骨が納まっている事実の証明を添えます。それが難しい特別の事情があれば、市町村長が必要と認める書面で代えられます。
全日本墓園協会の横田睦氏は「国民生活」で、何が認められるかは墓地の様子や市町村で違うと書いています。申請の前に、墓のある市・町の窓口に相談するよう勧めています。総務省行政評価局が2023年に実地調査した88市町村では、管理者が分からない墓地からの改葬で、代わりの書面を求める市町村が47.7%でした。
長崎県の墓地は、2024年度末で17,764区域ありました。うち個人の経営が14,815区域です。地方公共団体は2,003、宗教法人は864、その他は42、公益法人は40区域でした。数えているのは墓地の区域で、墓の数ではありません。
書類の全体は墓じまいに必要な書類の記事に、改葬の意味は墓じまいと改葬の違いの記事にまとめました。墓が隣の県にあるなら、佐賀県と福岡県の記事に窓口をまとめています。
長崎県で墓じまいを進める順番と費用の比べ方
ここまでの手続きを並べます。役所の手続きは法律と施行規則により、2市の部分はそれぞれの市の案内によります。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。
| 段 | すること | 確かめること |
|---|---|---|
| 1 | 複数の石材店に見積もりを頼む | 見積もりの単位(積算の仕方)は店で違います。額と内訳を比べます。 |
| 2 | 親族と相談し、移し先を決める | 横田氏は、なるべく多くの親族と相談すべきだと述べています。佐世保市は、移し先が決まっていないと改葬許可証を出しません。 |
| 3 | 墓のある市・町に改葬許可を申請する | 管理者の証明と、使用者の承諾が要ります。長崎市の申請書は管理者の署名・捺印が必ず要り、佐世保市は郵送でも出せます。 |
| 4 | 寺の墓なら、閉眼供養を頼む | 日蓮宗のQ&Aは、墓石を処分するときは必ず「御霊抜き」の法要を営むと答えています。お布施はお布施の記事にまとめました。 |
| 5 | 遺骨を移し、改葬許可証を渡す | 許可証は、移し先の墓地・納骨堂の管理者に渡します。 |
| 6 | 墓石を撤去し、区画を返す | 長崎市有墓地は撤去の承認願と返還届、佐世保市民霊園は墓地返還届、県有墓地は相談のうえ返還届出です。 |
見積もりを最初に置くのは、石材店によって見積もりの単位が違うからです。日本石材産業協会が2023年度に石材店へ積算の単位を聞いた設問には、184件の回答がありました。選択肢は、面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費の6つです。複数の石材店の見積もりを、額と内訳で比べてください。
鎌倉新書の同じ調査で、実際に改葬・墓じまいをした人の費用は「31万円~70万円」が31.3%で最多でした。151万円以上の人も14.0%いました。内訳は墓じまい費用の記事に、頼み先の選び方は墓じまい業者の記事にまとめました。
まとめ
長崎県の県有墓地の案内にも、長崎市・佐世保市の改葬と霊園の案内にも、墓じまいの助成は載っていません。改葬の許可は、県ではなく遺骨のある市・町が出します。
長崎市有墓地・佐世保市民霊園・長崎県有墓地は、返しても払った使用料が原則戻りません。管理者が分からない墓は、墓のある市・町の窓口に前もって相談してください。撤去の見積もりは、単位が店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べます。
