まず結論から
- 長崎市の改葬の案内と、広報ながさきの墓じまいの回答に、助成の話は載っていません。
- 市有墓地を返しても、払った使用料は戻りません。例外は、市長が特別の理由があると認めたときだけです。
- 墓石の撤去と区画を元に戻す作業は、利用者が行います。しなければ市が代わりに行い、その費用を利用者から取ります。
- 撤去の費用は、複数の石材店の見積もりで額と内訳を比べます。積算の単位が店によって違うからです。
- 市有墓地条例の7つの墓地に、合葬の施設の定めはありません。市内の納骨堂144施設のうち135施設は、寺などの宗教法人のものです。
長崎市に墓じまいの補助金はある?市の案内には載っていない
長崎市の改葬の手続きは、生活衛生課のページが案内しています。載っているのは、遺骨を移すための「改葬許可」の申請の流れです。
広報ながさき2025年3月号は、墓じまいを考える60代の市民の質問に答えています。回答は改葬許可の手続きの説明で、助成には触れていません。
夫の実家の墓じまいを、義母・義弟と話し合った当事者(個人ブログ・アメブロ)
日頃、義実家のことは義弟に任せっきりなので墓じまいの費用については長男である夫が負担すること。
お墓に眠る遺骨の改葬先は私の両親や義両親の兄弟も眠っているお寺の納骨堂にお願いしようということになりました。
義母は膝を悪くし、山の急な斜面にある市営墓地へ参るのが難しくなっていました。帰省した会食の席で、義母が自分から墓じまいを決めています。墓じまいの費用を助ける取組は、総務省の報告書でも一部の市の例として紹介されています。
出典: 帰省と墓じまいのこと(アメブロ)(台帳: V0104)
総務省が2023年にまとめた報告書は、墓じまいによる区画の返還を促す市町村の取組を挙げています。
| 自治体 | 報告書が挙げた取組 |
|---|---|
| 愛媛県新居浜市 | 2023年の報告書の時点で、市営墓地の区画を返し、市の合葬式施設を使う人は、その使用料が全額免除されていました。平成22年度からの制度です。市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。 |
| 北海道苫小牧市 | 墓じまいの費用を指定の金融機関で借りたとき、利息と信用保証料に最大5万円を助成していました。報告書の時点で利用実績はありません。 |
| 鹿児島県鹿児島市 | 墓じまいの移し先にもなる合葬墓を整備しています。報告書は令和6年2月の完成予定と書いています。 |
どれも報告書の時点の、その市の取組です。長崎市の案内には、こうした助成は載っていません。全国の助成の種類は、墓じまい補助金の記事にまとめました。
市有墓地を返すと使用料は戻る?撤去の費用は誰が持つ?
浦上墓地や坂本国際墓地などの市有墓地は、長崎市有墓地条例で使用料が決まっています。2026年4月1日以後の申請では、区画1平方メートルにつき72,480円です。
遠い市営霊園にある家の墓を、現地に行かずにしまった当事者(個人ブログ・note)
費用は工事費が70万円弱。お墓の中の遺骨を取り出して合葬墓地へ移す際に、お坊さんにも来てもらったので、別途7万円ほどかかった。
4月に石材店へ問い合わせ、市への書類も石材店が代わりに出して、8月初旬に区画を更地にしました。長崎市の市有墓地でも、区画を元の状態に戻すのは利用者の務めです。
出典: 墓じまい|費用と手続き期間の記録(note)(台帳: V0002)
市有墓地を返しても、払った使用料は戻りません。条例は「既納の使用料は、返還しない」と定めています。
| お金に関わる決まり | 条例や案内に書かれていること |
|---|---|
| 払った使用料 | 返しません。市長が特別の理由があると認めるときは、この限りでないとされています。 |
| 墓石の撤去と原状回復 | 利用者が係員の指示に従って行います。しなければ市が代わりに行い、費用を利用者から取ります。 |
| 墓石の撤去の承認 | 工作物を撤去するときは、市長の承認を受けます。 |
| 改葬許可の手数料 | 改葬の案内と手続きの流れに、額の記載はありません。 |
撤去を市に任せても、費用の払い手は変わりません。承認の受け方や申請の窓口は、長崎市の墓じまい手続きの記事にまとめました。
撤去の費用はいくら?見積もりの額と内訳を比べる
費用の目安は、全国の調査で見当を付けられます。鎌倉新書が2026年1月に「いいお墓」の利用者に聞いた調査では、墓じまいを実施した・実施中の人の費用は「31万円~70万円」が31.3%で最も多くいました。30万円以下の16.8%と合わせ、約半数が70万円以下です。151万円以上も14.0%いました。
山の中にある父と先祖の墓2基をしまうことにした一人娘(個人ブログ・note)
この結果を見て、「こんなに差が出るのか」と驚きました。5社に見積もりをお願いして、本当に良かったと思います。
特にA社とE社の差は、なんと約42万円。同じ内容でも、ここまで違うとは思いませんでした。
墓の写真に矢印を付け、近くからの案内図と一緒にメールで5社へ送りました。額は248,000円から676,000円まで開き、最も安い会社に頼んでいます。見積もりの積算の単位は、石材店によって違います。
出典: 墓じまいを決めるまでの話【5社見積もりを取って分かったこと】(note)(台帳: V0001)
日本石材産業協会が2023年度に石材店へ聞いた調査に、積算の単位を尋ねた設問があります。184件が答え、選択肢は面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費です。複数の石材店に見積もりを頼み、額と内訳を並べて比べてください。
鎌倉新書は、費用に幅が出る理由として、撤去する墓地の広さや、移し先の永代供養墓・納骨堂の違いを挙げています。頼み先の選び方は墓じまい業者の記事、費用の内訳は墓じまい費用の記事にまとめました。
移し先の費用は?市内の納骨堂の多くは寺などが経営
遺骨の移し先にも費用がかかります。長崎市有墓地条例が定める7つの墓地に、合葬の施設の定めはありません。広報ながさきの回答は、墓じまいをして永代供養の納骨堂へ遺骨を納める例を挙げています。
長崎市内の納骨堂は、2024年度末で144施設ありました。そのうち宗教法人が135施設です。ほかは公益社団・財団法人が5施設、地方公共団体が3施設、その他が1施設です。
公営の合葬式施設を持つ市町村は、全国でも多くありません。総務省の基礎調査で、公営墓地・納骨堂を持つ765市町村のうち、合葬式施設があるのは25.5%でした。人口30万人以上の市町村でも47.4%です。
鎌倉新書の2026年の調査では、移し先はほかの人の遺骨と一緒に納める永代供養(合祀・合葬墓)が43.2%で最も多くいました。同社は、約半数が70万円以下で終えた一因に、比較的安い合祀・合葬墓を選ぶ人の増加を挙げています。移し先の選び方は、墓じまいの遺骨の行き先の記事と永代供養の記事にまとめました。
お金のことを聞く先
| 聞きたいこと | 問い合わせる先 |
|---|---|
| 市有墓地の使用料と撤去 | 改葬の窓口の生活衛生課か、市の代表電話(095-822-8888)で担当を確かめます。 |
| 改葬許可の申請 | 市役所の生活衛生課(電話095-829-1155)です。 |
| 撤去工事の費用 | 複数の石材店です。額と内訳を並べて比べます。見積もりの単位は店によって違います。 |
長崎県の助成のことと、墓が長崎県内のほかの市町村にあるときの聞く先は、長崎県の墓じまい補助金の記事にまとめました。
まとめ
長崎市の改葬の案内と広報ながさきの回答に、墓じまいの助成は載っていません。市有墓地を返しても払った使用料は戻らず、撤去と原状回復は利用者が行います。
撤去の費用は、複数の石材店の見積もりで額と内訳を比べてください。見積もりの単位は店によって違います。移し先は、寺などの納骨堂や永代供養の費用も合わせて考えます。手続きの順番は、長崎市の墓じまい手続きの記事にまとめました。
