まず結論から
- 山口県の墓地埋葬法の案内にも、県内で確かめた下関市・山口市・防府市の墓地の案内にも、墓じまいの助成は載っていません。
- 改葬の許可を出すのは、県ではなく墓のある市町です。宇部市・周南市・岩国市などに墓があれば、その市の担当課に聞きます。
- 確かめた下関市・山口市・防府市の案内で、市営墓地を返して使用料が戻るのは、使わずに返した区画です。下関市と防府市は3年以内なら半額、山口市は未利用の墓地を返すときなどです。
- 株式会社huhuが2026年5月に墓じまいの経験者100人に聞いた調査では、補助金を使った人は2人でした。負担を抑えた方法は、親族での分担40人・相見積もり38人・樹木葬や永代供養墓35人です(複数回答)。
- 見積もりの単位(積算の仕方)は店によって違うので、撤去の工事は複数の石材店に見積もりを頼み、額と内訳を比べます。
山口県に墓じまいの補助金はあるのか
墓じまいで遺骨を別の墓へ移すことを、法律では「改葬」と呼びます。改葬の許可を出すのは県ではなく、遺骨がいまある場所の市町村長です。
山口県では、墓地の経営や廃止の許可などの権限も、すべての市の市長へ移りました。2012年4月1日以降も知事の権限に残るのは、周防大島町・和木町・上関町・田布施町・平生町・阿武町の6町の分だけです。住んでいない市の市営墓地にある墓のことを、その市の役所へ聞きに行った人の記録です。
京都府の市営墓地にある父方の墓2基をしまった孫(個人ブログ・note)
2年前に、墓地の現状確認と経緯を確認するために、市役所へ行ってみました。市民でもないのにw
なにも手がかりがわからず、ふと行ってくるかで訪問した私に対して、懇切丁寧に教えていただき、地理不案内な私に行き方から、詳細の地図も渡していただいて、市役所のご対応に大変感謝しています。
墓の存在を知ったのは3年前、祖母の管理料の滞納が分かったときでした。墓は明治時代の2基で、市役所の記録と墓石の表書きは合っていませんでした。改葬の許可を出すのも、墓のある市町村の長です。
出典: 墓じまいをしてみた(途中)(note)(台帳: V0017)
墓じまいを助成する市は、全国にはあります。千葉県の市川市と浦安市、群馬県の太田市は、市の霊園の区画を返す人に、墓石の撤去などの費用を助成しています。
総務省行政評価局の2023年の報告書は、愛媛県新居浜市の制度を挙げています。市営墓地の区画を返して合葬式の施設を使う人は、その使用料が全額免除でした。新居浜市の2025年の案内は、墓石の撤去の補助金や助成金の制度を「設けていません」としています。北海道苫小牧市が、墓じまいの融資の利息と信用保証料を最大5万円まで助成する例も載っています。
助成のある市でも、対象はその市が経営する墓地の区画です。全国の制度は、墓じまい補助金の記事で比べています。株式会社huhuが2026年5月19日に、墓じまいを経験した100人にインターネットで聞いた調査では、補助金が出ることを知っていたのは24人でした。使ったのは2人です。
山口県の墓地は、2024年度末で3,401区域です。これは墓地の区域の数で、墓の数ではありません。最も多いのは地方公共団体(市町など)の1,522区域で、個人の1,270区域が続きます。
ただ、全国の統計で自治体の墓地とされるものの約8割は、実態は集落の墓地と変わらないと、厚生労働科学研究の報告書はみています。自分の墓が市町の条例の墓地かどうかは、墓のある市町に確かめます。
下関市・山口市・防府市では、市営墓地を返すとお金は戻るのか
市営墓地の区画を使うときは、許可や貸出のときに使用料を納めます。墓じまいで区画を返すとき、このお金は戻るのでしょうか。墓を建てる前に区画を返す話が出た、ある家族の記録です。
義母の墓を建てるお金と名義をめぐる、親族の話し合いを見てきた嫁(個人ブログ・note)
解約してきてって簡単にいうけど
管理事務所に行かないといけないし
何が起きるかというと埋蔵前2年間なら使用料半額戻る
しかし半分は戻ってこない
次女は
''解約して管理者を変えて、また同じところを買います''
義母の墓を建てる準備の途中で、名義を替えるために、買った区画を一度返す話が出ました。解約のとき、事務所の人には止められたと書いています。下関市と防府市の案内でも、使用料の半額が戻るのは3年以内に使わずに返した区画です。
出典: 今となっては(note)(台帳: V0056)
県内で確かめた3市の案内と条例から、お金に関わる所を表にまとめました。
| 市 | 墓じまいの助成 | 市営墓地を返したときのお金 |
|---|---|---|
| 下関市 | 市営墓地の手続き・改葬の案内と墓園条例に、載っていません。 | 使用料と管理料は、原則として還付しません。許可から3年以内に墓も墓石も設けずに全部を返すと、使用料の50%と、下関中央霊園の永代管理料の60%が戻ります。 |
| 山口市 | 市営墓地の手続きの案内・改葬許可の案内・市営墓地条例に、載っていません。 | 使用料と清掃料(1区画22,000円)は還付しません。未利用の墓地を返すときなどは、使用料の全部か一部を還付できます。 |
| 防府市 | 市営墓地の案内に、載っていません。 | 貸出から3年以内に未使用のまま返すと、納めた使用料の半額が戻ります。 |
下関中央霊園の年間の管理料は、返す年度の分も納めます。月割りで戻ることはありません。山口市の手続きの一覧で、使用料の還付請求書は「お墓が未建立の場合」に出す書類です。墓を建てて使ってきた区画は、3市の案内が示す還付の場合に当たりません。
返すときは、区画を元の状態に戻します。下関市と山口市の条例は、原状に戻して返すことを定めています。防府市は、更地に戻す費用を利用者の負担としています。下関市の決まりは下関市の墓じまい補助金の記事に、山口市の決まりは山口市の墓じまい補助金の記事にまとめました。
宇部市・周南市・岩国市や町に墓があるときは
山口県の改葬は、2022年度が4,669件、2023年度が4,878件、2024年度が4,752件でした。うち下関市は、331件・369件・379件です。下関市の外の市町が出した許可も多くあります。
改葬の許可を申請する先は、住んでいる市町ではなく、墓のある市町です。県の墓地埋葬法の問い合わせ先の一覧から、市町ごとの担当課を表にしました。
| 墓のある市町 | 県の一覧の担当課(電話) |
|---|---|
| 宇部市・周南市・岩国市・防府市・光市・萩市 | 各市役所の環境政策課です。電話は宇部市 0836-34-8251、周南市 0834-22-8322、岩国市 0827-29-5100です。防府市 0835-25-2172、光市 0833-72-1466、萩市 0838-25-3341です。 |
| 美祢市・長門市 | 各市役所の生活環境課です。美祢市 0837-53-1090、長門市 0837-23-1134。 |
| 下松市・山陽小野田市・柳井市 | 下松市は環境推進課(0833-45-1826)、山陽小野田市は環境課(0836-82-1143)です。柳井市は市民生活課(0820-22-2111)です。 |
| 山口市 | 生活安全課です(083-934-2986)。 |
| 下関市 | 下関保健所の生活衛生課です(083-231-1540)。改葬許可の申請は、生活安全課か各総合支所の市民生活課が受け付けます。 |
| 和木町・周防大島町・上関町・田布施町・平生町・阿武町 | 県の健康福祉センターの生活環境課です。和木町は岩国(0827-29-1526)、阿武町は萩(0838-25-2666)です。ほかの4町は柳井(0820-22-3631)です。 |
6町に墓がある場合も、改葬の許可を出すのは町長です。下関市では、改葬許可の窓口が一覧の課と違います。窓口と書類の順番は、下関市の墓じまい手続きの記事と山口市の墓じまい手続きの記事にまとめました。墓が県外の隣の市にあるなら、北九州市の墓じまいの記事や広島市の墓じまいの記事に窓口をまとめました。
地域の共同墓地では、墓地の管理者が分かりにくいことがあります。共同墓地にある父の墓をしまう段取りを、きょうだいで確かめた人の記録です。
浜松の地域の共同墓地にある父の墓をしまう準備を始めた73歳(個人ブログ・はてなブログ)
共同墓地の場合は、管理者(自治会や地域の墓地委員など)に墓じまいの意向を伝えることが最初の重要なステップになります。
実家の墓地は地域の共同管理で、自治会長に墓じまいの意向を伝え、埋葬証明書の発行をお願いすることになります。
母の万一に備えて、きょうだいで墓参りのあとに話し合った日の記録です。父の遺骨は、名古屋の樹木葬の墓に移す予定です。改葬の申請には、墓地の管理者が作った、遺骨が納まっていることの証明を添えます。
出典: 墓参りの後は母の万一に備えきょうだいで打合せ(はてなブログ)(台帳: V0033)
管理者が分からない墓地では、この証明を作れません。その場合は、市町村長が必要と認める、証明に代わる書面で申請できます。総務省は2023年の報告書のために88市町村を実地で調べ、県内の萩市と光市も入っています。代わりの書面を求める市町村は、47.7%でした。
山口県の宗教法人の墓地は、523区域です。寺の墓なら、法要のことも住職と話します。日蓮宗の仏事Q&Aは、改葬で墓石を処分するときは必ず「御霊抜き」の法要を営むとしています。法要は住職に相談するよう勧めています。お布施の目安は墓じまいのお布施の記事に、書類は墓じまいに必要な書類の記事にまとめました。
移し先の公営の合葬墓と、見積もりの比べ方
移し先の候補の一つが、自治体の合葬式の墓です。ほかの遺骨と一緒に納める墓です。確かめた下関市と山口市の条例、防府市の市営墓地の案内では、使用料の表に合葬の墓は載っていません。
総務省の調査では、公営の墓地や納骨堂を持つ765市町村のうち、合葬式の施設があるのは195市町村(25.5%)でした。鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」の利用者に調査を行いました(有効回答733件)。墓じまい後の移し先の最多は、「永代供養(合祀・合葬墓)」の43.2%でした。移し先の比べ方は遺骨の行き先の記事に、永代供養に移す順番は永代供養の記事にまとめました。
国民生活センターの「国民生活」2025年12月号で、横田睦氏は、墓じまいの前になるべく多くの親族と相談するよう勧めています。親戚が包むお金の目安は、墓じまいで親戚が包むお金の記事にまとめました。
日本石材産業協会が2023年度に石材店に尋ねた調査(184件の回答)では、見積もりの単位は面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。単位が店で違うので、工事を頼む前に、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。費用の内訳は墓じまい費用の記事に、石材店の選び方は墓じまい業者の記事に、払えないときの道はお金がないときの記事にまとめました。
まとめ
山口県の墓地埋葬法の案内にも、県内で確かめた下関市・山口市・防府市の案内にも、墓じまいの助成は載っていません。改葬の許可を出すのは墓のある市町です。宇部市・周南市・岩国市などに墓があれば、その市町の担当課に聞きます。
確かめた下関市・山口市・防府市では、市営墓地を返して使用料が戻るのは、使わずに返した区画です。見積もりの単位は店で違うので、複数の石材店の額と内訳を比べてください。下関市と山口市の手続きは、下関市と山口市の記事にまとめました。墓が隣の県にあるなら、島根県・広島県・福岡県の記事もあります。
