まず結論から
- 茨城県の「墓地埋葬」のページ(2023年8月更新)に、墓じまいの助成は載っていません。県内で確かめた水戸市の返還協力金は、納骨したことのない公園墓地の区画を返す人だけが対象です。
- 遺骨を別の墓へ移す許可(改葬許可)を出すのは、遺骨がある市町村の長です。県のページも、墓地の許可の問い合わせを市町村へ回しています。助成の有無も、墓のある市町村で聞きます。
- 水戸市の公園墓地を返すときは、その年度の管理料を1年分納めます。管理料などの還付はありません。
- 助成の代わりになる受け皿は、公営の合葬墓です。水戸市の浜見台霊園合葬式墓地は1体70,000円で、管理料はかかりません。
- 見積もりの単位は店によって違うので、撤去工事は複数の石材店の額と内訳を比べます。
茨城県に墓じまいの補助金はある?
茨城県の「墓地埋葬」のページは、2023年8月25日の更新です。墓地・納骨堂・火葬場の許可の問い合わせは市町村へ、と案内しています。墓じまいの助成は、このページに載っていません。
県の資料「県から市町村への権限移譲の状況」は、2026年4月1日現在のものです。墓地・納骨堂・火葬場の経営の許可などの事務は、県内44市町村のすべてが受け持っています。改葬許可も、遺骨がある地の市町村長が出すと法律が定めています。
60歳を前に、3つの墓の管理を一人娘に残したくないと墓じまいを考え始めた男性(個人ブログ・note)
一般的な改葬の流れを調べると、まず遺骨の移転先を決める。現在のお墓の管理者から埋蔵証明をもらい、現在のお墓がある市区町村へ申請して改葬許可証を受け取る。その許可証を使って遺骨を取り出し、新しい受け入れ先へ移す――という形のようです。
そのほか、墓石の撤去や更地への復旧、墓地の返還なども必要になります。必要書類や手順は自治体や墓地によって違うので、実際には一つずつ確認することになります。
墓は、書き手の父母が入っている墓、弟が入る予定の墓、妻の両親が入る予定の墓の3つです。墓じまいは、今の父が亡くなったあとに進めるつもりだといいます。茨城県のページも、墓地の許可の問い合わせを市町村へ回しています。
出典: 自分的5大事業③ 墓じまい(note)(台帳: V0110)
県内で案内を確かめたのは、水戸市です。水戸市は公園墓地返還促進事業として、墓地を返す人に協力金を交付しています。目的は、すぐに墓地が要る市民に区画を回すことです。
対象は「使用許可日の翌年度から7年以上経過している」「墓地区画内に納骨をしたことがない」「墓地管理料に未納がない」のすべてを満たす人です。遺骨を納めた墓をしまって返す人は、2つ目の条件に当たりません。
| だれの・どの墓 | 案内に書いてあること |
|---|---|
| 茨城県 | 「墓地埋葬」のページに、墓じまいの助成は載っていません。 |
| 水戸市・納骨したことのない公園墓地の区画を返す | 3つの条件をすべて満たせば、返還協力金が出ます。額は区画により70,000円〜294,000円、特別霊域は1平方メートルあたり26,250円です。 |
| 水戸市・遺骨の入った墓をしまって公園墓地を返す | 協力金の条件に当たりません。その年度の管理料を1年分納め、管理料などの還付もありません。 |
補助金を使った人は多くありません。株式会社huhuの「わたしたちの墓じまい」は2026年5月、墓じまいの経験がある100人にインターネットで聞きました。補助金が出ると知っていたのは24人、使ったのは2人でした。
全国の制度の中身は墓じまい補助金の記事で比べています。水戸市の協力金の書類と振込までの流れは、水戸市の墓じまい補助金の記事にまとめました。
水戸市の外に墓があるときは?墓のある役所で聞くこと
県内の改葬の多くは、水戸市の外で許可されています。2024年度でみると、県の4,082件のうち水戸市は470件でした。日立市やつくば市、ひたちなか市などに墓がある人は、その市や町の役所が窓口です。
両親が存命のうちに、将来の墓じまいの準備を進める息子(個人ブログ・note)
市役所に確認したところ、墓地管理者には、墓地使用者や死亡者に関する情報、埋葬・埋蔵の年月日、改葬に関する事項などを記載した帳簿を備える義務があるとのことだった。
そこで、実際に今回の墓じまいの対象となる埋葬者の記録が残っているか、霊苑の管理事務所に確認したところ、今回の墓に納められている埋葬者の記録はきちんと把握されていた。
父から、将来の墓じまいを頼まれた書き手です。遺骨は、今の墓と同じ墓園にある合祀墓へ移すと決めています。法令も、改葬許可の申請書には、墓地の管理者が作る、遺骨が納まっていることの証明を添えるとしています。
出典: 僕の「墓じまい」(note)(台帳: V0005)
役所の手続きに苦労する人は少なくありません。鎌倉新書は2026年1月、「いいお墓」で資料請求や霊園見学をした人のうち、改葬・墓じまいを検討・実施した733人に聞きました。大変だったことに「役所の手続き」を挙げた人は32.3%でした。
改葬許可の申請先は、住まいではなく墓のある市町村です。水戸市も、墓が市の外にあるなら、その市町村の担当課に問い合わせるよう案内しています。その役所で確かめたいことを、水戸市の答えを例に並べます。
| 墓のある役所で聞くこと | 水戸市の場合 |
|---|---|
| 改葬許可の窓口 | 衛生事業課です。公園墓地の墓も、寺や共同墓地の墓も同じ課に出します。問い合わせ先は管理係(029-232-9160)です。 |
| 申請書の書き方 | 遺骨1体につき1枚です。管理者の欄は、公園墓地なら市が署名・押印し、寺や共同墓地なら住職・管理組合の代表者などが書きます。 |
| 改葬許可の手数料・郵送 | 案内のページに記載がありません。衛生事業課管理係で確かめます。 |
| 市の公園墓地を返す手順 | 遺骨を移し、区画を更地に戻し、墓地を返します。更地にする工事は業者に直接相談します。 |
| 返したときのお金 | その年度の管理料を1年分納めます。管理料などの還付はありません。 |
| 公営の合葬墓 | 浜見台霊園合葬式墓地があります。 |
| 墓じまいの助成 | 返還協力金は、納骨したことのない公園墓地の区画を返す人が対象です。 |
水戸市に墓がある人の手順は水戸市の墓じまい手続きの記事に、申請に添える書類は墓じまいに必要な書類の記事にあります。県の外では、栃木県の墓じまい補助金の記事と福島県いわき市の墓じまいの記事もまとめました。
助成が無いときの費用は?見積もりと合葬墓で比べる
水戸市の公園墓地でも、区画を更地に戻す工事は、工事請負業者に直接相談します。同じ鎌倉新書の調査で、実際に墓じまいをした人に費用を聞くと、「31万円~70万円」が31.3%で最多でした。
山の中にある父と先祖の墓2基をしまうため、5社に見積もりを頼んだ一人娘(個人ブログ・note)
⚫︎A社 676,000円
⚫︎B社 420,000円
⚫︎C社 401,000円
⚫︎D社 395,000円
⚫︎E社 248,000円この結果を見て、「こんなに差が出るのか」と驚きました。5社に見積もりをお願いして、本当に良かったと思います。
数年前から墓の足元の土がやわらかくなり、父の弟が亡くなったのを機に動き出しました。墓の写真と案内図を用意し、5社とのやり取りはすべてメールで行っています。見積もりの単位は、石材店によって違います。
出典: 墓じまいを決めるまでの話【5社見積もりを取って分かったこと】(note)(台帳: V0001)
日本石材産業協会が2023年度に石材店に聞いた調査では、見積もりの単位は184件の回答で、面積・体積・重さ・一式・墓の数などに分かれました。同じ墓でも、店ごとに物差しが違います。見積もりは複数の石材店から取り、額と内訳を並べて比べてください。
huhuの調査では、補助金のほかに費用の負担を抑えるためにしたことも聞いています(複数回答)。親族で費用を分担できるよう相談したのが40人、複数の石材店から相見積もりを取ったのが38人でした。供養先を樹木葬や永代供養墓にしたのは35人です。
移し先の費用では、公営の合葬墓が選択肢になります。たくさんの遺骨を一緒に納める施設です。総務省の2023年の報告書では、公営の墓地・納骨堂を持つ765市町村のうち、合葬式の施設を持つのは25.5%でした。人口の多い市町村ほど、持つ割合は高くなっています。
水戸市の浜見台霊園合葬式墓地は1体70,000円で、管理料はかかりません。申請は期間中だけ受け付けます。2026年9月に確かめた案内では受付をしておらず、令和7年度の募集は終わっていました。申し込める人の条件は、この案内のページに載っていません。
進める順番を並べます。役所の手続きの部分は、法律と水戸市の案内によります。先頭の見積もりは、この記事のすすめです。
| 順番 | すること |
|---|---|
| 1 見積もりを頼む | 複数の石材店に頼みます。見積もりの単位は店によって違います。 |
| 2 親族と話し合う | 墓じまいの前に、できるだけ多くの親族と相談するよう、国民生活センターの「国民生活」の特集は勧めています。 |
| 3 移し先を決める | 公営の合葬墓も選択肢です。水戸市には浜見台霊園合葬式墓地があります。 |
| 4 改葬許可を受ける | 墓のある市町村に申請します。 |
| 5 法要 | 寺の墓なら、菩提寺の住職に相談します。日蓮宗の仏事のQ&Aは、墓石を処分するときは「御霊抜き」の法要を営むと答えています。 |
| 6 撤去と返還 | 区画を更地に戻します。水戸市の公園墓地なら、そのあと返還の手続きをします。 |
寺に包むお金の目安は墓じまいのお布施の記事に、総額の内訳は墓じまい費用の記事に、石材店の選び方は墓じまい業者の記事にまとめました。移し先の比べ方は遺骨の行き先の記事に、払えないときの道は墓じまいのお金がないときの記事にあります。
茨城県の改葬の件数と墓地の数
厚生労働省の衛生行政報告例によると、茨城県で許可された改葬は、2022年度が3,209件でした。2023年度は3,570件、2024年度は4,082件です。水戸市は同じ3年で、244件・345件・470件でした。
県の件数のうち、死亡者の縁故者がない墓(無縁墳墓等)からの改葬は、3年で5件・31件・124件でした。
県内の墓地は、2024年度末で27,475区域ありました。経営する者で分けると、個人の墓地が24,179区域で最も多く、宗教法人とその他がそれぞれ1,599区域、地方公共団体が95区域です。1区域は墓地1つの数で、墓の数ではありません。
家の墓地や集落の墓地にある墓をしまうときも、改葬許可は墓のある市町村に申請します。寺の墓地の墓なら、法要は菩提寺の住職に相談するとよいと、日蓮宗の仏事のQ&Aは答えています。
まとめ
茨城県の「墓地埋葬」のページに、墓じまいの助成は載っていません。県内で確かめた水戸市の返還協力金は、納骨したことのない公園墓地の区画を返す人が対象です。水戸市の公園墓地を返しても、管理料などは戻りません。
改葬許可は、住まいではなく墓のある市町村に申請します。水戸市の外に墓があるなら、その役所で助成・返したときのお金・合葬墓・窓口を聞いてください。撤去工事の見積もりは単位が店で違うので、複数の石材店から取って額と内訳を比べます。墓が隣の県にあるなら、福島県・栃木県・埼玉県・千葉県の記事もあります。
