まず結論から
- 鳥取県の墓地15,113か所のうち、市町村などが経営する墓地は286か所です。墓じまいの助成は、全国の例でも、市が経営する墓地を返す人に向けた制度です。
- 県内で案内を確かめた鳥取市では、墓地と改葬の案内に助成は載っていません。市営墓地を返しても、使用料は戻りません。
- 改葬の許可を出すのは、遺骨がある場所の市町村長です。米子市・倉吉市・境港市や町村に墓があるなら、その役所に申請します。
- 補助の代わりの受け皿は、公営の合葬墓です。鳥取市の第二いなば墓苑の合葬式墓地は、納骨1体10万円です。
- 工事を決める前に、複数の石材店から見積もりを取りましょう。見積もりの組み立ては、店によって違います。
鳥取県の改葬は年に799〜913件
墓じまいで遺骨を別の墓へ移すことを、役所の手続きでは「改葬」と呼びます。改葬には、市町村長の許可が要ります。厚生労働省の衛生行政報告例によると、鳥取県の改葬は2022年度が883件でした。2023年度は799件、2024年度は913件です。
県庁所在地の鳥取市は、同じ3年で155〜192件でした。2024年度でみると、県の913件のうち鳥取市は155件です。県内の改葬の多くは、鳥取市の外の市町村で行われています。全国の改葬は、2024年度に176,105件でした。
鳥取市に墓がある人の手続きは鳥取市の墓じまい手続きの記事に、お金の話は鳥取市の墓じまい補助金の記事にまとめました。この記事では、県の全体と、鳥取市の外に墓がある人の進め方を見ていきます。
鳥取県に墓じまいの補助金はあるのか
墓じまいの窓口は、県ではなく市町村です。改葬の許可を出すのは、遺骨がある場所の市町村長だからです。法律で県が受け持つのは、町村にある墓地を開いたり廃止したりするときの許可です。市にある墓地なら、その許可も市長が出します。
墓じまいの助成を出している市は、全国にあります。ただ、どれも、その市が経営する墓地の区画を返す人に向けた制度です。公営の霊園の区画を返すと決めた人の記録です。
都立八柱霊園にある母方の祖父母の墓を、母に代わってしまうことにした孫(個人ブログ・note)
先日、八柱霊園の管理事務所に電話で問い合わせをし、手続きに必要な書類を郵送してもらうことになっていた。
その書類が早速届いた。
「施設変更制度に関するお知らせ」 「施設変更申請に必要な申請書類」 「都立霊園合葬埋葬施設使用の手引(施設変更)」
2023年6月の記録です。遠方でなかなか墓参りに行けず、墓の掃除は霊園の近くの石材店に頼んでいました。市営墓地の区画を返して合葬式施設を使う人に、使用料を全額免除する市もあります。
出典: 墓じまいのはなし ③(note)(台帳: V0058)
撤去の費用を助成するのは、市川市・浦安市・太田市などです。対象はどれも、その市の墓地の区画です。家の墓地や集落の墓地にある墓は、こうした制度の対象に入りません。
個人への墓じまいの助成とは別に、集落の共同墓地に補助を出す市もあります。鹿児島市は、地域の人が管理する共同墓地の管理組合などに、整備や統合の工事の補助金を出しています。統合の補助額は改葬許可1件につき2,000円で、近年は統合の目的での交付がありません。
鳥取県の墓地は、2024年度末で15,113か所でした。市町村などの墓地は286か所で、12,588か所は個人の墓地です。鳥取市の場合は、墓地と改葬の案内に助成は載っていません。全国の制度の中身は、墓じまい補助金の記事で比べています。
家や集落の墓地にある墓は、管理者の確認から
厚生労働科学研究の研究班の報告書は、国の統計で「その他」に分けられる墓地を、集落の共同墓地などとしています。鳥取県では1,872か所です。個人の墓地も集落の墓地も、多くは法律ができる前からある墓地です。地域の墓地にあった祖父の墓をしまった人の記録です。
山口の地域の墓地にある祖父の墓を、四十九日に合わせてしまった孫(個人ブログ・note)
そこは山口の元町村のお墓なのですが、聞けば地域の墓場で管理の大元としては自治会らしい。ただ、市役所に聞いても誰が管理しちょるのかもわからないほどに少子高齢化の煽りを受けていました。
墓は山の入り口のような場所にあり、道には枯葉が積もっていました。骨壺は大きな骨壺にまとめ、寺の永代供養に納めています。個人や集落の墓地を、市町村が把握しきれていない例もあります。
出典: 墓仕舞いをした話(note)(台帳: V0039)
改葬の許可の申請には、墓地の管理者が埋葬の事実を証明する書面が要ります。鳥取市の申請書では、管理者が別の個人ならその人の署名と押印、寺なら住職の署名と押印をもらいます。
管理者が分からない墓地では、この書面が作れません。そのときは、市町村長が認める代わりの書面で申請できます。総務省は2023年の報告書で、実地調査した88市町村に対応を尋ねました。代わりの書面を求める市町村が47.7%で、25.0%は未定でした。
求められる書面は、埋火葬許可証、墓地の地図や墓石の写真、戸籍の謄本、申立書、自治会長などの証明とさまざまです。墓のある市町村に、何を出せばよいかを先に聞きます。鳥取市では、市営墓地で縁故者の分からない無縁墓地が増えているとして、整理を進めています。しまわずにいた墓のその後は、墓じまいをしないとどうなるかの記事にまとめました。
米子市・倉吉市や県外から。窓口は墓のある市町村
墓じまいを考える理由で最も多いのは、墓が遠いことです。鎌倉新書が2026年1月に「いいお墓」の利用者に行った調査(有効回答733件)では、「お墓が遠方にある」が52.0%でした。遠い霊園の墓を、現地に行かずにしまった人の記録です。
電車とバスを乗り継ぐ遠い市営霊園の墓を、石材店に頼んでしまった一人暮らしの当事者(個人ブログ・note)
思っていたよりは大変ではなかった。 私は一度も現地に行っていない。
書類を書いて送ったり、必要なことを確認したりするだけで、遠くにあるお墓を手放すことができた。
4月に石材店へ問い合わせ、8月初旬に区画が更地になりました。市へ出す書類の手続きも、石材店が代わりに行っています。鳥取市も、改葬許可の申請を郵送で受け付けています。
出典: 墓じまい|費用と手続き期間の記録(note)(台帳: V0002)
同じ調査で、墓じまいで大変だったことの2番目は「役所の手続き」の32.3%でした。調査は理由に、旧墓地・新墓地・それぞれの役所との連携が要ることを挙げています。
改葬の許可を申請する先は、住んでいる市町村ではなく、墓のある市町村です。移し先の墓地には、受け取った許可証を出します。米子市・倉吉市・境港市や町村に墓があるなら、次の5つをその役所に聞きます。右の列は、鳥取市の案内での答えです。
| 役所に聞くこと | 鳥取市の案内での答え |
|---|---|
| 改葬の許可はどこに出すか。郵送でよいか | 市民課か8か所の総合支所です。郵送でも受け付け、手数料は無料です。 |
| 公営墓地を返すときの届出と使用料 | 生活環境課に墓地返還届を出します。使用料は戻りません。 |
| 公営の合葬墓はあるか | 第二いなば墓苑に合葬式墓地があり、納骨1体10万円です。 |
| 墓じまいの助成はあるか | 墓地と改葬の案内には載っていません。 |
| この先、墓の管理が難しくなりそう | 生活環境課が相談を受けています。 |
鳥取市の窓口と書類の順番は、鳥取市の墓じまい手続きの記事にまとめました。
代わりの受け皿と、見積もりの取り方
助成が無くても、移し先と工事の頼み方で費用は変わります。移し先の受け皿の一つが、公営の合葬墓です。総務省の調査では、公営の墓地や納骨堂を持つ765市町村のうち、合葬式の施設を持つのは25.5%でした。人口の多い市町村ほど、持つ割合が高くなっています。
合葬式の施設は、たくさんの遺骨を一緒に納める施設です。鳥取市の第二いなば墓苑にあり、総務省の報告書も設置例に挙げています。使用料は納骨1体10万円で、個人で墓を管理する必要がありません。鎌倉新書の2026年の調査でも、墓じまい後の移し先の最多は「永代供養(合祀・合葬墓)」の43.2%でした。移し先の比べ方は、遺骨の行き先の記事にまとめました。
撤去の工事の額は、石材店の見積もりで決まります。日本石材産業協会が2023年度に石材店に尋ねると、見積もりの単位は面積・体積・重さ・一式・墓の数・人件費に分かれました。工事を頼む前に、複数の石材店から見積もりを取り、額と内訳を比べます。費用の内訳は墓じまい費用の記事に、石材店の選び方は墓じまい業者の記事にまとめました。
まとめ
鳥取県の墓地15,113か所のうち、市町村などの墓地は286か所です。全国で確かめた墓じまいの助成は、どれも市が経営する墓地の区画を返す人に向けた制度です。県内で確かめた鳥取市の案内にも、助成は載っていません。
改葬の許可は、住んでいる所ではなく、墓のある市町村に申請します。家や集落の墓地なら、管理者の証明をもらえるかを先に確かめます。移し先には公営の合葬墓があり、鳥取市の合葬式墓地は1体10万円です。撤去の工事は、複数の石材店の見積もりを比べて決めます。見積もりの単位は店によって違います。墓が隣の県にあるなら、兵庫県・島根県・岡山県・広島県の記事もあります。
